行動ログデータから分析!ECモール「Amazon」と「楽天市場」はどのように使い分けられている?

行動ログデータから分析!ECモール「Amazon」と「楽天市場」はどのように使い分けられている?

当メディア「マナミナ」を運営するヴァリューズの直近の調査からもわかるように、新型コロナの影響で国内ECモールの利用者が増加しています。その中でも圧倒的なシェアを誇る「Amazon」と「楽天市場」のユーザーはどのようにサイトを利用しているのでしょうか?今回は、行動ログデータから両者のユーザー属性や集客経路、ユーザー層などについて調査・分析しました。


「Amazon」と「楽天市場」の概観を知る

まずは、Web行動ログ分析ツール「Dockpit」の業界サマリーの中の『総合 通販』カテゴリから、直近1年間の概観を見ていきましょう。

業界シェアは僅差で「楽天市場」がトップに

セッション数をベースに業界シェアを見ると「楽天市場」が28.2%でトップ、次いで「Amazon」が27.4%となっていました。

両者でこの業界の半分以上を占めており圧倒的なシェアを誇っています。

『総合 通販』業界シェア

『総合 通販』業界シェア

期間:2020年8月~2021年7月
デバイス:PCおよびスマートフォン

ユーザー属性は両者とも、ほぼ同じ構成

続いて、「Amazon」と「楽天市場」のユーザー属性を見てみましょう。

性別は男性割合が若干高いものの、男女比はほぼ均等となっていました。

「Amazon」と「楽天市場」のユーザー属性:性別

「Amazon」と「楽天市場」のユーザー属性:性別

期間:2020年8月~2021年7月
デバイス:PCおよびスマートフォン

年代別では、40代が最も多く、両者ともほぼ同じ構成となっており、大きな差はありませんでした。

「Amazon」と「楽天市場」のユーザー属性:年代別

「Amazon」と「楽天市場」のユーザー属性:年代別

期間:2020年8月~2021年7月
デバイス:PCおよびスマートフォン

「Amazon」はキーワード検索、「楽天市場」は外部サイト

次は、流入経路について見てみましょう。

「Amazon」は自然検索やリスティングなどのキーワード検索とソーシャルの割合が高い結果となっていました。

キーワード検索の内訳は『Amazon』や『アマゾン』など、サイト名検索がトップ3を独占。また、“映画番組見放題、音楽聞き放題、好きな漫画・本読み放題”の『Amazonプライム』関連ワードも上位に多数ランクインしており、長引く新型コロナの影響でお家時間を有意義に過ごしたいと考えるユーザーがさらに増えていることがうかがえました。

ソーシャルからの流入は『YouTube』や『Twitter』、『FC2 ブログ』が上位を占めていました。


「楽天市場」は、外部サイトやアフィリエイト広告、メールの割合が高く、外部サイトの内訳は『my Rakuten』や『お気に入りブックマーク』、『楽天ポイントモール』、『楽天スーパーポイントギャラリー』、『楽天市場 ラッキーくじ』などトップ5は楽天グループサイトからとなっていました。ポイントやくじなどのギミック系をフックに巧みにユーザーをサイトへ誘導しているようです。

アフィリエイト広告においては、楽天会員であれば気軽に始められる『楽天アフィリエイト』が全体の9割以上を占めていました。

また、ECサイトにおいて、顧客との関係性構築の手段の1つでもあるメールの割合も高くなっています。

「Amazon」と「楽天市場」の流入経路

「Amazon」と「楽天市場」の流入経路

期間:2020年8月~2021年7月
デバイス:PCおよびスマートフォン

併用状況は65%前後で推移し、施策などの影響は見られない

では、「Amazon」と「楽天市場」の併用状況はどうでしょうか。

両者とも65%前後のユーザーが併用していることがわかりました。
特に大きな差はなく、各サイトで実施されているポイントアップ施策やセールなどの影響で月の併用率が変動することは見受けられませんでした。

併用状況:「Amazon」の「楽天市場」併用率推移

併用状況:「Amazon」の「楽天市場」併用率推移

期間:2020年8月~2021年7月
デバイス:PCおよびスマートフォン

併用状況:「楽天市場」の「Amazon」併用率推移

併用状況:「楽天市場」の「Amazon」併用率推移

期間:2020年8月~2021年7月
デバイス:PCおよびスマートフォン

ユーザー層の違いについて

では、ここからは「Amazon」と「楽天市場」のユーザー特徴を探るため、「Amazon」、「楽天市場」と比較しながら分析を進めていきます。

具体的に、「Amazon」、「楽天市場」の中で人毎に最も閲覧セッション数が多いサイトをメイン利用サイトとみなして集計を行いました。これにより、各サイトを普段よく使っているユーザーの傾向を考察することが可能です。

また、「Amazon」をよく利用する人をAmazonユーザー、「楽天市場」をよく利用する人を楽天市場ユーザーと表記します。

主要となる利用者層が異なる結果に

まず、参考までに利用者の属性を見てみましょう。

性別ではAmazonユーザーは男性割合が約66%と高く、楽天市場ユーザーは男女割合がほぼ半々という結果に。
年代別では、Amazonユーザーは20代~30代の男性割合が比較的高く、楽天市場ユーザーは40代以上の女性割合が高くなっていました。

両者で主要となる利用者層が異なっていました。

「Amazon」、「楽天市場」の利用割合:性年代別

「Amazon」、「楽天市場」の利用割合:性年代別

Amazonユーザーは『会社勤務』、楽天市場ユーザーは『専業主婦(主夫)』

職業も比較したところ、Amazonユーザーは『会社勤務』の割合が高く、楽天市場ユーザーは『専業主婦(主夫)』の割合が高い結果となりました。

「Amazon」、「楽天市場」の利用割合:職業別

「Amazon」、「楽天市場」の利用割合:職業別

Amazonユーザーと楽天市場ユーザーでは、興味関心ジャンルが大きく異なる

各ユーザーが何に興味関心があるのか、アンケートで調査したサイコグラフィックを見てみました。

Amazonユーザーは『パソコン』や『デジタル機器』の他に『ゲーム』、『動画共有サイト』、『マンガ』、『アニメ』への関心が高くなっています。

「Amazon」のサイコグラフィック

「Amazon」のサイコグラフィック

※スコアが大きくなるほど特徴的に興味関心があり、スコアが小さくなると、興味関心がないことを示す。0だと全体のスコアと同じ。

一方、楽天市場ユーザーは『国内旅行』への関心が特に高くなっています。

「楽天市場」のサイコグラフィック

「楽天市場」のサイコグラフィック

※スコアが大きくなるほど特徴的に興味関心があり、スコアが小さくなると、興味関心がないことを示す。0だと全体のスコアと同じ。

Amazonユーザーと楽天市場ユーザーでは、興味関心の対象ジャンルが大きく異なることが特徴的でした。

両者の閲覧カテゴリの違いも顕著

最後に、各ユーザーが閲覧している商品ジャンルをカテゴリマップで見てみました。

Amazonユーザーは『パソコン・周辺機器』や『本』、『kindleストア』などのカテゴリがよく閲覧されていることがわかりました。さらにカテゴリ詳細まで見てみると、『パソコン・周辺機器』はPCアクセサリ、『本』はコミックなどとなっており、ビジネスや趣味などに関連するカテゴリを閲覧しているようです。

Amazonユーザーの「Amazon」閲覧カテゴリ

Amazonユーザーの「Amazon」閲覧カテゴリ

楽天市場ユーザーは、『食品』や『日用品雑貨・文房具・手芸』、『インテリア・寝具・収納』などのカテゴリで閲覧が高い傾向が出ていました。こちらもカテゴリ詳細まで見てみると、『食品』は加工品や惣菜、『日用品雑貨・文房具・手芸』は日用消耗品、『インテリア・寝具・収納』は寝具となっていて、日常生活を送る上で必要な食品や生活用品がメインとなっていました。

楽天市場ユーザーの「楽天市場」閲覧カテゴリ

楽天市場ユーザーの「楽天市場」閲覧カテゴリ

興味関心ジャンルと同様に、閲覧カテゴリも「Amazon」と「楽天市場」では大きく異なっていました。

商品が探しやすく、すぐに商品が届く「Amazon」に対し、“ポイントが貯まる・使える”イメージが定着している「楽天市場」。両者のビジネスモデルの違いから、Amazonユーザーは20代~30代の男性割合・会社勤務の割合が高く、楽天市場ユーザーは40代以上の女性割合・専業主婦(主夫)の割合が高いことが考えられます。

また、このユーザー層の違いが、興味関心ジャンルや閲覧カテゴリに大きく影響していることも考えられます。

まとめ

今回は、「Amazon」と「楽天市場」の違いについて調査しました。

セッション数ベースの業界シェアでは、「楽天市場」と「Amazon」の二強体制で、性別や年代別などのユーザー属性の構成も両者はほぼ同じでした。

また、集客構造については「Amazon」はキーワード検索、ソーシャル、「楽天市場」は外部サイト、アフィリエイト広告、メールの割合が高くなっていました。

主利用しているユーザー層では、興味関心ジャンルと閲覧カテゴリの違いが顕著となっており、倉庫型の「Amazon」、店舗モール型の「楽天市場」というビジネスモデルの違いが色濃く反映されているようでした。そして、それがユーザー層の違いにも影響していると考えられます。

このように、アンケートで聴取したデータとネット行動ログを掛け合わせることで、Webサイト毎にユーザーの特徴を深く分析することが可能です。

分析概要

概観について

全国のモニター会員の協力により、インターネット行動ログとユーザー属性情報を用いたマーケティング分析ツール『Dockpit』を使用し、2020年8月~2021年7月におけるユーザーの行動を分析しました。

ユーザー層の違いについて

ネット行動分析サービスを提供する株式会社ヴァリューズは、全国のモニター会員の協力により、2020年11月のネット行動ログデータを分析しました。
※利用デバイスはPC
※アンケートは全国のヴァリューズモニター(20歳以上男女)を対象として、2020年7月~12月に調査を実施

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この記事のライター

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