市場調査の3つの成功事例を紹介。日本ハム、明治、セブン&アイの手法とは?

市場調査の3つの成功事例を紹介。日本ハム、明治、セブン&アイの手法とは?

1年半で国内最大級のBBQサイトに成長した日本ハム、新しい取り組みが多い明治「ザ・チョコレート」、売れないと言われた固定観念を打ち破ったセブン&アイホールディングスの「金の食パン」。新事業を開発するにあたり市場調査がどう具体的に役立つかわかる3つの事例をご紹介します。


市場調査とは何か?

サービスや商品を提供する上で必要な市場調査。市場調査を元に市場の動向を把握し理解すれば、ビジネス戦略を立案してマーケティング施策を実行するのに役立ちます。市場調査は自社で行う場合と、外部の調査会社に委託する方法があります。

市場調査はどんな目的で行われるか?

市場調査には市場分析・アイデア創造・サービス開発・商品評価などの目的があり、大きくは「仮説を検証する調査」と「事実を明らかにする調査」に分けられます。

「仮説検証」の例としては、自社商品の価格や評価に対する仮設を、市場調査による分析で検証します。

「事実調査」では、市場調査を通じて自社製品やサービスに対する顧客の意見やニーズを把握し、自社製品やサービスの改善に役立てます。

以前マナミナでインタビューした、アンケートと行動ログに基づく市場調査を行っているリサーチャー・灰谷さんは、調査には「実態把握系」「購買検討プロセス系」「コンセプトチェック系」の3つがあると語っていました。具体的な市場調査の流れを知りたい方は、ぜひ参考にしてみてください。

ユーザーの購買検討プロセスを理解するデータ分析手法とは。アナリストの灰谷さんに聞いてみた

https://manamina.valuesccg.com/articles/412

ユーザーがものを買うとき、その決め手は何なのでしょうか? マーケティング担当者にとってそれは常に注視すべきポイントのはず。ユーザーの理解を深めれば、自ずとマーケティング戦略やプロモーション施策も決まっていくからです。こうしたマーケティングの中心的な課題である「ユーザー理解」のための調査をするのが、ヴァリューズのデータアナリスト・灰谷圭史さんの仕事。灰谷さんはどのようにデータを扱い、ユーザーインサイトを紐解いているのでしょうか。その調査手法を事例とともに語っていただきました。

市場調査は「定量調査」と「定性調査」に分かれる

市場調査は定量調査と定性調査の2種類あります。

定量調査
定量調査のデータは数値や割合で表せます。アンケートで「はい・いいえ」を選ばせる、あるいは商品の選択肢から順位をつけるなどの選択肢が用意されます。

定性調査
定性調査は数値や割合では表現できない行動や、その背景にある心理などの質的データを得る調査方法です。インタビューの会話やアンケートの自由記入欄から得た回答を元に、リサーチャーが意味を解釈します。

調査目的が仮説を検証するためのものなのか、事実を明らかにしたいものなのかをまず明確に設定しましょう。その後、目的に沿った情報を得るために定量か定性のどちらに重きを置くべきかを考え、調査を設計していくと良いでしょう。

では、ここから実際の調査事例を紹介していきます。

市場調査の事例1:日本ハムの年間1000万人が利用するBBQサイト運営

日本ハムはハムやハンバーグなど畜産加工品の製造・販売を行う食品メーカー。日本ハムが運営する「BBQ GO!(バーベキューゴー)」は、市場調査にもとづいた戦略でリリースから1年半で累計約800万人が訪れる、BBQ業界最大級のサイトに急成長した事例です。

BBQ GO! | 国内最大級!全国のバーベキュー情報サイト

https://www.bbqgo.jp/

国内最大級のバーベキュー情報サイト<BBQ GO!>は、BBQスポット(BBQ場、BBQレストランなど)の情報を豊富に掲載!バーベキュースポットをお探しなら、BBQ GO!でチェックしよう!写真や「こだわり」など欲しい情報がいっぱい。他にもレシピや準備の仕方などBBQに関するハウツー情報が満載です。

「BBQ GO!」は北海道から沖縄まで全国1300箇所以上のBBQ場を網羅しつつ、食肉を取り扱うメーカーならではの切り口で前準備からレシピまでさまざまな情報を取り扱うことで、BBQの未経験者からベテランまで安心して利用できます。

「BBQ GO!」の成功理由には、徹底した競合分析とPDCAがあります。食品メーカーの立場を生かして、質と量で圧倒するランチェスター戦略の「強者の戦略」を基本戦略とし、競合サイトをベンチマークとして市場調査に活用しました。

市場調査にあたっては、競合サイトの調査比較ができる「eMark+」を導入して、エリアごとのバーベキュー関連キーワードの検索ボリュームを把握しました。BBQはエリアごとに消費者のニーズが異なるため、クロス集計して各エリアのニーズに対応するサイト構成としたと言います。

【大公開】日本ハム「BBQ GO!」訪問者数年内1000万人へ。急成長するサイト運営の裏側

https://liginc.co.jp/353289

メディア運営をご担当されているみなさん、こんにちは。外部ライターのナッツです。 昨今、様々なメディアサイトが乱立するなか、コンテンツづくりに四苦八苦していませんか?  「どういったコンテンツをつくればいいか、わからない」「コンテンツはつくったものの、なかなかアクセス数が伸びない」 そんなお悩みを抱えている方も多いはず。 一方、適切な戦略を立てて、リリースからわずか 1 年半で累計約800万人が訪問したBBQ業界最大級のメディアへ成長したサイトが存在します。それは日本ハムが運営するバーベキュー情報サイト「BBQ GO!(バーベキューゴー)」。 2017年現在、3年目を迎えようとしている「BBQ

事例2:明治の「ザ・チョコレート」

市場調査にもとづく数字の裏付けが、新しい取り組みを推進する裏付けとなった事例です。

「明治 ザ・チョコレート」は2016年9月に発売されると、半年強で3000万個を売り上げる人気商品に成長しました。

「明治 ザ・チョコレート」は横型で情報が多い既存のパッケージと比べ、縦型でシンプルな思い切ったデザインを採用しています。このパッケージデザインを検討する際、担当者が上司の意見に「あなたの年代はターゲットではない」と言い切ったインタビューが大きな話題となりました。

担当者が自信を持って上司に発言できたのは、消費者調査でパッケージデザインが圧倒的に支持されている結果が出ていたからです。

パッケージに関する消費者調査で驚いたのは、9割以上のお客様から好感を持っていただけたことです。通常は支持が多くても7割ほど。圧倒的な好感度は私たちが各部署を説得するときに大きな根拠になりました。

明治は元々何度か高級チョコレートで大人向けの新市場を開拓しようとしてきました。そのアプローチは、カカオの風味を味わえる「ダークチョコレート」でしたが市場には必ずしも受け入れられませんでした。

「日本においてチョコレートというのは、まだまだ甘いおやつという認識が一般的。しかし欧州では、チョコレートが大人の嗜好品として暮らしのなかに入りこんでいます。ちなみに国別のチョコレートの年間消費量は、日本が一人あたり2kgなのに対してドイツは12kg。きっと日本のチョコレート市場も現在の2倍程度になるポテンシャルを秘めている。

そこで改めて消費者調査を行った結果「日本人の6割はミルクチョコレートを好む」という結果を確認。ミルクチョコレートを好む層からの支持を獲得するため、砂糖を減らしてカカオとミルクを味わう「ダークミルクチョコレート」という新しいカテゴリーを生み出したのです。

このように明治の「ザ・チョコレート」開発のエピソードには複数の数字が登場し、消費者調査や市場調査が活用されていることがわかります。

事例3:セブン&アイホールディングスの「金色の食パン」

セブン&アイホールディングスの高級食パン「金の食パン」は2013年の発売から半年で2500万食と驚異的なヒットを記録しました。安い価格での訴求が多いプライベートブランドであえて高級路線を取り、各社が何度もチャレンジして失敗してきた高級食パンで成功した点が注目されます。

高級食パンの開発にあたって、まずマーケットの全体を把握しました。日本のマーケット全体では、各種調査で菓子パンと惣菜パンなど味付け系カテゴリーと、食パンとロールパンのような主食系カテゴリーが半々なのに対し、セブン-イレブンでは主食系比率が極端に低いことがわかっていました。つまり、セブン-イレブンでは食パンが売れるポテンシャルが数倍あったのです。

次に食パンに絞って商品開発するにあたっては、複数の消費者調査を繰り返しました。

1つは、同社が一般の消費者に問いかけを行うことのできる「プレミアムライフ向上委員会」という組織を使い、約200名の消費者に市場で支持されている1斤300円弱の食パンと新たに開発した「金の食パン」とを家庭に届け、日常の生活シーンの中で、食べ比べをお願いしている。具体的には、サンプルPという「金の食パン」とサンプルQという300円の高級食パンとを賞味してもらい、どちらがおいしいか意見を求めたのだ。

この結果は、約7割の消費者がPの「金の食パン」のほうがおいしいと回答してくれたという。加えて、手ごねによりなしえた「もっちりとした食感」に関しても、「生地のもっちり感がいい」と回答した消費者が8割を超え、「生地の甘味がいい」としてくれた人も8割近くに上ったという。

もう一つは、発売に先立って神奈川県のセブン−イレブンでテスト販売を実施、1斤250円という高価格帯でも販売が好調なことを確認しました。さらに、全国12箇所で試食テストを行い、加盟店オーナーと従業員が20商品から「金の食パン」が一番美味しいと回答するなど慎重に裏付けを進めました。

まとめ

成功事例で見てきたように、新しい事業や定説を覆すような施策を取る場合、競合調査や市場調査を通じて、データにもとづく裏付けを持っていると、自信を持って関係者を説得しプロジェクトをスムーズに進められるでしょう。今回ご紹介した事例を活かして、効果的なマーケティングを進めていただければと思います。

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この記事のライター

マナミナは" まなべるみんなのデータマーケティング・マガジン "。
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