ECサイト×新規参入 ユーザー中心設計がキモとなる!ECサイトのコンセプト設計の手法

ECサイト×新規参入 ユーザー中心設計がキモとなる!ECサイトのコンセプト設計の手法

ECサイトへの新規参入を進めていく際、ECサイトのコンセプト設計が重要とは分かっていても、コンセプトをどのように考えて、それをどのようにサイトに反映させていけば良いかが分からない方が多いと思います。そこで今回は、大手サイトを例にECサイトのコンセプト設計についてご紹介します。


【1】ECサイトにおけるコンセプトの役割

ECサイトにおけるコンセプトの重要性を把握するには、そもそもコンセプトとは何か、コンセプトがなぜ重要なのかを認識しなければなりません。そこで、まずは「そもそもECサイトのコンセプトって?」という疑問にお答えします。

1-1 コンセプトとは
EC業界へ新規参入するにあたり、競合サイトへのユーザーの流入状況や自社サイトの設計方法など、気になる点はたくさんあると思います。しかしサイト上の様々なコンテンツを作成する以前に、サイトのコンセプトをしっかりと定義し、獲得したいユーザー層を決定することがまず何よりも重要になってきます。なぜなら、ユーザーに対して、ECサイトの価値を伝えるためには、発信するメッセージに一貫性が必要であり、それを整える要素こそがコンセプトであるからです。つまり、「誰」に「何」を提供したいサービスであるかを説明する根幹にあるのがコンセプトなのです。

1-2 「ブランドコンセプト」と「商品コンセプト」
さて、コンセプトと一口に言っても、大きくわけて2つの種類があります。1つ目はECサイトのブランド全体の価値を表す「ブランドコンセプト」、そして2つ目は商品一つ一つの価値を表す「商品コンセプト」です。

1つ目の「ブランドコンセプト」とは、自社のECサイトで取り扱っている商品やサービスは、どんな人に、どんな価値を届けるのかを伝えるために設定します。実際の文言は極力短い言葉で、市場における自社の独自性や競合他社と差別化できる点を表現しましょう。また、その価値を人が聞いて想像できる内容や文言が好ましいです。

2つ目の「商品コンセプト」は、ブランド全体が提供できる価値を欲するユーザーの中から、それぞれの商品に対してニーズがあるだろうユーザーを導き出すために設定します。具体的にはサイト利用、また商品購買に繋がる訴求内容をコンセプトとして言葉に落とし込むのが最適でしょう。

【2】ZOZOTOWNに見るコンセプト

ここまでで、コンセプトの役割と種類についてご理解いただけたかと思います。

上記の内容を踏まえて本稿では、大型ファッションECサイトのZOZOTOWNを具体例に挙げて考察をします。

2-1 ZOZOTOWNのターゲット層

ZOZOTOWNは株式会社スタートトゥデイが運営する日本最大級のファッションECサイトで、20~30代をターゲットに7,000以上のブランドを取り扱っています。

ヴァリューズのサイト分析サービス「eMark+」でファッションECサイトの接触ユーザー数ランキングを調べてみます。

ZOZOTOWNは3位にランクインしました。
その他上位はベルメゾンネット、ニッセン、セシール、ベルーナなどの大型ECサイトが占めました。

次に、上位5サイトのユーザー属性を確認します。

各ファッションECサイトの性別構成比(2015年4月~2016年4月)

各ファッションECサイトの年代構成比(2015年4月~2016年4月)

性別差に大きな特徴は見られませんが、年齢区分ではZOZOTOWNを訪問しているユーザー全体に占める20~30代の割合が大きくなっています。ZOZOTOWNがターゲットとしている層(20~30代)の割合は全体の53%となっています。

他の大型ECサイトが回収できていない20~30代を確実に取り込むことによって、ZOZOTOWNはその獲得ユーザー基盤を強固にしたと考えられます。

それではZOZOTOWNが想定ユーザーである20~30代を集客できているのはなぜでしょうか。
どのようなコンセプトのもとにサイトを運営しているのでしょうか。

2-2  ZOZOTOWNの「ブランドコンセプト」と「商品コンセプト」
ZOZOTOWNのサイト開設当初のコンセプトは、そのサイト名にもある通り【インターネット上の「街」】でした。リアルな「街」を歩くようにお店での買い物を楽しんでほしいという思いがあったそうです。しかしサイト開設から6年、ZOZOTOWNはコンセプトを「街」から「人」へ変更しました。具体的にはショップ店員のブログ等をトップページの目につくところに配置をするなど、「人」からものを買う感覚をインターネット上でも実現したのです。これにより、当時まだネット上での購買行為に不安を持っていた人々に、リアルな買い物と同じような「人」を介する安心感を与えることに成功しました。

また近年、同社はファッション系SNS「WEAR」の運営を開始し、流行の最先端にいる芸能人や有名ブロガーだけでなく、一般の人もリアルな着こなしや最新トレンドを発信できるプラットフォームを実現しました。さらに「WEAR」はSNS機能だけでなくZOZOTOWNの購入ページへの導線を貼ることで、販売促進の役割も担っています。

一方で、「商品コンセプト」がZOZOTOWNの大きな特徴と言えます。というのもZOZOTOWNの「商品コンセプト」としては、「各アパレルブランドの理念を尊重する」ことが挙げられます。ZOZOTOWNのトップページからは、「スカート」や「パンツ」などの商品カテゴリーごとの検索ももちろん可能ですが、各ブランドページから洋服を選ぶこともできます。

各ブランドの理念を尊重し、それを表現する空間をインターネット上に作り上げたZOZOTOWNは、リアルな街で自分のお気に入りのショップに入るような感覚でのネットショッピングを可能にしました。また各ショップのサイトトップには、それぞれのブランドのコンセプトが以下の通り明記されています。

このように各ショップのトップページに記載されたコンセプトの文言からだけでなく、各アパレルブランドそのものを「商品コンセプト」と据えることで、それぞれの商品を購入するであろうターゲット層に直接アプローチをかけた、という点がZOZOTOWNの成功要因の一つと言えるでしょう。

では、ZOZOTOWN内でどれだけの想定ターゲットへリーチができているか検証するため、実際に同一ブランドの各レーベルページへの流入属性を見ていきます。

今回はZOZOTOWNのブランドランキング上位にもランクインしているブランドUNITED ARROWSから、若年かつカジュアル嗜好層向けの「green label relaxing」と、価格帯も少し高くセレクト用品嗜好層向けの「UNITED ARROWS」の2つを比較します。

同じレディースの白い無地のシャツを比べてみると、価格も「green label relaxing」は6,000~9,000円、一方で「UNITED ARROWS」は14,000~20,000円となっています。

比較的若年層向けの「green label relaxing」と、より大人向けのアイテムを扱う「UNITED ARROWS」の両ページへの流入年齢層を比べてみます。

ZOZOTOWN内の2レーベル年代構成比

ZOZOTOWN内の2レーベル個人年収構成比

その結果、「green label relaxing」は20代の検索ボリュームが多いのがわかります。一方で40代の流入が多くみられるのは「UNITED ARROWS」となっています。50代の割合も、「UNITED ARROWS」が「green label relaxing」の2倍弱となっています。

また、接触ユーザーの個人年収を見てみると「green label relaxing」は300万円未満と回答したユーザーが約45%を占めているのに対して、「UNITED ARROWS」では約34%という結果が出ました。

以上のように、年齢と個人年収というそれぞれ一軸を用いた簡易なサイト分析でも、各レーベル単位で想定属性と実際のサイト訪問属性の大きな乖離がないことが確認できます。

ここからZOZOTOWNのページ上では、十分なブランドコンセプト・レーベルコンセプトがユーザーに対して訴求できているという仮説が立てられるのではないでしょうか。

【3】「ユーザー中心ECサイト」を作るには正確なペルソナ設計を

【自社の商品を欲しいと思うであろう層】を特定するための手法の一つとして、ペルソナ設計があります。

ペルソナ設計とは自社の商品を買ったり、ウェブサイトに訪れたりする人の名前や年齢、居住地、仕事内容から生活のパターンなどを詳細に仮説として想定することです。

ユーザーが店頭やウェブサイトに何を欲して訪れるのかを、より具体的に描き出すためにペルソナ設計は昨今注目を浴びているマーケティング手法です。

市場の現状を調査し、自身のECサイトが掲げたいコンセプトとバッティングしそうな既存プレーヤーのサイトにおいて、どのようなユーザーが購買に至っているかを事前に調査し、仮説とデータを織り交ぜながら自社サイトのペルソナ設計を行っていくといいでしょう。

上記の内容を参考にコンセプト設計を実践してみてください。

本記事内でご紹介いたしましたサイト・ページ別のユーザー数推移や、訪問ユーザーの性年代・個人年収等のデータ分析はすべて「eMark+」の無料機能を使って分析可能です。

市場環境の調査、利用ユーザーの属性分析に、ぜひお気軽にご活用ください。

この記事のライター

マナミナは" まなべるみんなのデータマーケティング・マガジン "。
市場の動向や消費者の気持ちをデータを調査して伝えます。

編集部は、メディア出身者やデータ分析プロジェクト経験者、マーケティングコンサルタント、広告代理店出身者まで、様々なバックグラウンドのメンバーが集まりました。イメージは「仲の良いパートナー会社の人」。難しいことも簡単に、「みんながまなべる」メディアをめざして、日々情報を発信しています。

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