「免疫」と検索したのはどんな人?デモグラ属性や掛け合わせワード、流入先コンテンツから消費者インサイトを分析

「免疫」と検索したのはどんな人?デモグラ属性や掛け合わせワード、流入先コンテンツから消費者インサイトを分析

新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、予防の観点から消費者の注目を集めた「免疫」。ヴァリューズ社のデータ分析ツール「Dockpit」によると、3月から5月に検索数が急上昇していたことが分かりました。本稿では、コロナ禍の急上昇ワード「免疫」の実態を調査。「Dockpit」を使い属性の傾向やワードネットワーク、季節比較などから消費者インサイトを読み解きます。


コロナ禍で急上昇した「免疫」検索数推移

新型コロナの拡大により、感染予防対策として手洗いやマスクと合わせて関心が高まった「免疫」。3月から5月には、検索量が急上昇したといいます。では、実際にどのようなキーワードで検索されたのか。また、感染の波が第一波・第二波と続く中で、「免疫」への関心はどのように動いたのか。データ分析ツール「Dockpit」を使い、消費者インサイトを深掘りしていきます。

まず、過去1年の「免疫」キーワードのユーザー数推移を見てみましょう。

分析ツール:「Dockpit」、分析期間:2019年9月〜2020年8月、対象デバイス:PC、スマートフォン

グラフから、3月から5月にかけて「免疫」キーワードの検索数が急上昇していることが分かります。新型コロナの広がりが不安視されてきた年始から上昇し、緊急事態宣言が発令された4月にピークに到達。そこから徐々に下降し、国内感染者数の最多を更新した7月には、4月ほどの上昇は見られませんでした。

性別や地域、ユーザー属性による傾向は?

次に、検索ユーザーの属性を見ていきます。

分析ツール:「Dockpit」、調査期間:2019年9月~2020年8月、対象デバイス:PC、スマートフォン

性別比は男性47.1%、女性52.9%と、若干女性の方が高い割合を占めていました。生活習慣に免疫力向上策を取り入れ、家族の感染予防に努めた主婦層などが積極的に検索したと推測できます。

地域別傾向はどうでしょうか。こちらは、都道府県ごとの検索量を示したマップです。

分析ツール:「Dockpit」、調査期間:2019年9月~2020年8月、対象デバイス:PC、スマートフォン

感染者数が圧倒的に多かった東京をはじめ、検索量が多いのは関東圏や関西、愛知、福岡、北海道などいずれも感染者数が多いエリアです。

検索・掛け合わせキーワードをチェック

続いて、どのようなキーワードで検索されたのかを見ていきます。

分析ツール:「Dockpit」、調査期間:2019年9月~2020年8月、対象デバイス:PC、スマートフォン

掛け合わせワードは「コロナ」が圧倒的に多く、コロナ禍の関心の高まりであることが明らかです。また、4位にランクインした「ビタミンD」は免疫力向上に役立つ栄養素と言われており、3月や5月にテレビ番組でも紹介されていたため、検索数が伸びたと考えられます。

また、「赤ちゃん」や「食べ物」などのワードとの掛け合わせも上位に見られます。3月末に国内で初めて0歳児の新型コロナに感染が確認されたことで、赤ちゃんの感染を不安視し、免疫力を検索する親が増えたのかもしれません。

ワードネットワークで潜在的興味を把握

次に、キーワード同士のつながりを可視化したワードネットワークを見てみましょう。

ワードネットワークでは、掛け合わせ検索件数が多く、関連性が強いワードが線で繋がれています。特定のワードに興味のあるユーザーは付近のワードにも興味を持つ傾向が高いことを示しており、潜在的な興味関心を把握できる分析手法です。

分析ツール:「Dockpit」、調査期間:2019年9月~2020年8月、対象デバイス:PC、スマートフォン

「免疫」の最も近くに「ビタミンD」のワードがあり、免疫力向上に役立つとされる「ビタミンD」に興味を持つユーザーが多い傾向が示されています。また、同じく「免疫」と関連の強い「抗体」の近くには、「再感染」や「しくみ」などのワードが見られます。生活習慣での免疫力向上に多くのユーザーが関心を寄せる一方で、抗体を持つことによる免疫作用に着目する層も一定数いることが分かります。

第一波と第二波で違いは?季節比較

続いて、季節比較です。

こちらは、「免疫」の掛け合わせ検索キーワードを季節比較したマッピングです。過去1年を3か月ごとに比較し、特徴的に検索の多かったものほど文字が大きく色が濃く表示されています。

分析ツール:「Dockpit」、調査期間:2019年9月~2020年8月、対象デバイス:PC、スマートフォン

昨年9月‐11月は、夏に流行する感染病「手足口病」のボリュームが大きく、検索ワードの種類も限られています。年末年始にかけては、「キリン(プラズマ乳酸菌)」や「ヤクルト」など、免疫力向上効果を掲げた製品やメーカーへの関心が高まっており、この頃からコロナのワードも目立ち始めていました。

3月‐5月には状況が一変し、コロナ関連の検索が急増。検索ワードの種類も広がり、「コロナウイルス」のほか、免疫系への悪影響があるのではないかと囁かれた「5G」や、集団免疫策に挑んだ「イギリス」などのワードの検索が増えています。

6月以降は検索ボリュームが減少。冒頭の検索推移で示した通り、ピークが過ぎた印象を受けます。

人気の流入ページの特徴は?

最後に、流入サイトをチェックします。上位5サイトは以下の通りでした。

・ウィキペディア
・Yahoo!知恵袋
・中外製薬
・Yahoo!ニュース
・免疫療法コンシェルジュ


では、実際にどのようなページが閲覧されたのでしょうか。こちらは、流入ページのランキングです。

分析ツール:「Dockpit」、調査期間:2019年9月~2020年8月、対象デバイス:PC、スマートフォン

免疫全般の仕組みを解説したコンテンツのほか、新型コロナにフォーカスした免疫の解説ページが訪問者数を伸ばした結果となりました。

まとめ

新型コロナ感染拡大に伴い着目された「免疫」。感染予防策の一つとして注目され、第一波の収束とともに一旦落ち着きを見せています。しかし、今後ワクチンの開発が進めば、また違った視点での関心が高まるかもしれません。コロナ禍で急上昇した「免疫」への注目は、一過性のトレンドだったのか、持続的なインサイトなのか。今後も注視していくべきテーマだと言えるでしょう。

<分析概要>
ネット行動分析サービスを提供する株式会社ヴァリューズは、全国のモニター会員の協力により、ネット行動ログとユーザー属性情報を用いたマーケティング分析サービス「Dockpit」を使用し、2019年9月~2020年8月のネット行動ログデータを分析しました。
※ユーザー数はヴァリューズ保有モニターでの出現率を基に、国内ネット人口に則して推測。

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この記事のライター

フリーランスPRおよびライターとして活動中。二児の母。

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