競合分析とは?目的やその必要性
競合分析とは、マーケティング戦略を立案し、施策を実行するにあたって、商品やサービスのマーケティング、自社が置かれた市場環境や強み・弱みなどの理解や分析のことを指します。
自社の強みや弱みは外部環境や競合との関係のなかで相対的に決まる部分もあるので、競合分析する必要があります。市場は無限ではなく、ある程度の範囲が決まっているので、いかに自社が競合他社に先んじてアドバンテージを得られるかを導き出すのが、競合分析とも言えます。
競合分析によって、マーケティングを含む各種戦略を立てやすくなるばかりでなく、業界や市場のニーズといった「気づき」も得られます。それによって新規ビジネスのアイデアが生まれるといった副次的な効果も見込めます。
マーケティング戦略がなかったり、誤った前提に基づいて立案されていた場合、個々の施策の整合性が取れず、必要な目的が達成できない結果になりがちです。
競合分析を効率よく行えるフレームワーク
「3C分析」「4C分析」「SWOT分析」などのフレームワークを使うと、必要な要素を漏れなく検討でき、効率的に競合分析できます。また、自社が取ろうとするマーケティング戦略のバランスが妥当かを検証できるのも、フレームワークを使うメリットです。
例えば、高級ブランドで大幅な値引きをする場合、競合のシェアは奪えるかもしれませんが、ブランド価値は毀損する恐れがあり、顧客から受け入れられるかバランスを考える必要があります。
■競合分析のフレームワーク:3C分析
3Cとは、Customer(市場・顧客)、Competitor(競合)、Company(自社)という3つの要素の頭文字Cを取ったものです。
3C分析の概要とフレームワークの重要性とは?目的とやり方を解説
https://manamina.valuesccg.com/articles/512自社の製品・サービスをマーケティングするには、自社が置かれた市場環境や強み・弱みなどを理解してマーケティング戦略を立案し、施策を実行していきます。マーケティング戦略立案にあたり、顧客・競合・自社の3つの要素から分析する3C分析という方法があります。この記事では、3C分析の意味や実際の手順、事例を元に3C分析活用の注意点を解説します。
Customer=市場・顧客の分析
3C分析では、最初に、対象となる市場や顧客を分析します。これは自社を評価していく基準となります。
政治や経済、社会や技術などの側面から、自社にとってこれから立案する戦略が好機になるのかを判断します。予想される今後の動向や変化するニーズに自社の戦略を合わせられるかを分析します。
これらはマクロ的な要素とされており、自社ではコントロールできない分野のため、社会的な変化を考慮に入れる必要があるためです。
そして、もうひとつのポイントとして「ミクロ分析」があります。これは、新規参入や業界内での強さのバランス、買い手や売り手の交渉力などの分析です。
マクロとミクロ、バランスよく分析して、自社の周りにはどれほどの脅威となる存在がいるのかを判断し、戦略を立てていくのに活用します。
Competitor=競合を分析する
続いて、競合他社の売上や市場シェアなどを分析します。この際、どこが競合ブランドやメーカーになるのかの明確な判断も重要になります。直接競合となる会社だけでなく、間接的に競合となる企業も探してみましょう。
同じ商品やサービスではなくても、提供するものが同じ価値になると、競合になる可能性が高くなります。
そして、競合する他社を判断できたら、その競合他社の特色を分析します。価値の提供方法やプロモーションなども併せてチェックしましょう。
競合会社がどのような結果を出しており、結果を生み出したリソースにも注目します。どれほどの売り上げがあるのか、営業利益などは参考になるデータです。その他、広告などの必要なコストも着目します。
結果を出すための方法も分析の材料となります。製品を開発し、製造、物流までの流れだけでなく、マーケティングの手法も探しましょう。
競合会社が変化する市場にどのように対応しているのかを分析していくと、参考になるデータを集めることができます。効果的に競合サイトのデータを集めるには、『Dockpit(ドックピット)』などの分析ツールを活用する方法がおすすめです。
また、どのように効率的に競合を発見するかについては、こちらの記事もご覧ください。
ライバル企業も徹底分析!誰でも手軽に始められる『Dockpit(ドックピット)』の競合分析機能まとめ
https://manamina.valuesccg.com/articles/1087ヴァリューズが開発し2020年10月に正式リリースしたダッシュボード型マーケティングツール『Dockpit(ドックピット)』にはキーワード分析、競合分析、業界分析、トレンド分析の4つの機能が備わっています。今回は「競合分析」に着目し、Webサイトの競合分析の流れから活用方法まで詳しくご紹介します。
Company=自社を分析する
最後に自社の分析を進めます。上記の2つの分析を元にし、自社の戦略を練っていきます。
市場の変化と、それに対する競合の対応状況は、自社との良い比較材料です。着目できるのは、経営資源、市場でのシェア、販路など、複数のポイントがあります。ここから、自社の強い部分や弱い部分を導き出していきます。
自社の特色を分析し、さらに魅力を付け加える部分を判断し、差別化を図ります。
3C分析のまとめかた
3C分析を実際に行う際、以下で紹介するテンプレートを用い、顧客→競合会社→自社の順に分析すると成功要因を発見しやすいので、ぜひご活用ください。
■競合分析のフレームワーク:4C分析
4C分析はアメリカの経済学者、ロバート・ラウターボーンが1993年に発表した競合分析のフレームワークです。
以前よりあった、4C分析の始祖とも言える「4P分析」では、自社でコントロール可能な4つの要素から自社が取りうる市場のポジションやマーケティング施策を検討します。
4P分析の定義
・Product(製品)
・Price(価格)
・Place(流通)
・Promotion(プロモーション・販売促進)
この4P分析は自社が取りうる手段に落とし込むには良いフレームワークですが、4C分析では、それらの施策が顧客目線でもメリットがあるか?という視点で捉え直します。
4C分析における4つの「C」は以下のとおりです。
・Customer Value(顧客にとっての価値)
・Customer Cost(顧客が費やすお金)
・Convenience(顧客にとっての利便性)
・Communication(顧客とのコミュニケーション)
Customer Value(顧客にとっての価値)
ここでは顧客のニーズを解決する方法は何か?を考えます。
例としては企業側では多機能化して他社との差別化を図ろう!となるかもしれませんが、顧客にとっては価格が上がるだけで、多機能化は不要とされるかもしれません。
Customer Cost(顧客が費やすお金)
高級な商品を売り出そうという場合、顧客はその製品にいくらまで出せるか、つまり顧客が費やす(費やせる)お金=Customer Costの目線を考慮します。
Convenience(顧客にとっての利便性)
顧客が必要としたときに買える場所かを考慮するのが「Convenience(顧客にとっての利便性)」。欲しいときにすぐに手に入れられるのが理想です。
しかし、高級ブランドの販売は適度な希少性や、行列に並ぶ体験が顧客の所有欲を満たすことにつながるかもしれない、と考えを巡らせる必要があります。
Communication(顧客とのコミュニケーション)
コミュニケーションは宣伝活動とも言い換えられます。たとえば、企業目線ではDMを頻繁に送ったほうが売上が向上すると考えても、顧客目線からすると「しつこい」「うっとしい」といった、違和感がある「Communication」になってしまう場合があります。このような場合、DMではなくSNSでのコミュニケーションなど、顧客に違和感を与えないような方法を考えます。
マーケティング戦略のフレームワークで4P分析とセットで使われる4C分析について、用語の定義や使い方を解説します。4P分析の4つの要素を顧客目線で捉え直すと4C分析になります。売り手目線の4P分析から導き出された戦略が顧客目線から見ても妥当か?というチェックするのに役立ちます。
■競合分析のフレームワーク:SWOT分析
SWOT分析とは、「内部環境か外部環境か」と「事業にとってプラス要因かマイナス要因か」の2×2軸で4つに分類することで、事業を取り巻く要因を整理し、市場の状況や事業の課題の認識、そして、自社の事業戦略を見つけるためのフレームワークです。
2×2軸の4つの象限の頭文字が「SWOT」になります。
・Strength(強み)=内部環境xプラス要因
・Weakness(弱み)=内部環境xマイナス要因
・Opportunity(機会)=外部環境xプラス要因
・Threat(脅威)=外部環境xマイナス要因
「Strength(強み)」「Weakness(弱み)」は自社の強み・弱みとも言い換えられます。また例えば市場が成長しているなら外部環境xプラス要因で「Opportunity(機会)」になります。
なお、SWOT分析はあくまで自社を取り巻く外部環境・内部環境を整理したものに過ぎません。これを施策に具体化していく作業は「クロスSWOT分析」を通じて行います。
外部環境(機会と脅威)を縦軸、内部環境(強みと弱み)を横軸とし、かけ合わせた領域に対する施策を検討します。
例えば弱みx脅威=市場が縮小しつつあり自社のシェアが低い...という場合に防衛・撤退策を検討することで最悪の状況に陥る状況を回避します。
3C分析、4C分析、SWOT分析を行うときにテンプレートを利用すると効率的です。以下のリンクでこれら分析のテンプレートを紹介しています。
マーケティング戦略の一環として行われる競合分析。競合分析の実行にあたっては、フレームワークの利用が効率的になります。フレームワークの概念とともに、どのように調査した内容をテンプレートにまとめて分析に活かすのかを解説します。
競合分析の進め方5STEP
これまでに紹介した3つのフレームワークを含め、具体的に競合分析を進める手順を5段階に分けて解説します。
■Step1 競合をまとめる
自社が提供する製品やサービスと類似したビジネスモデルを持つ競合他社をピックアップします。この際、Googleなどで自社製品やサービスを検索し、検索結果で自社よりも上位に表示される他社を選ぶのもひとつの手段です。このとき、直接関係する競合だけでなく、間接的な競合もピックアップすると、新しい市場が自社にどう影響するかの確認にもなります。
競合のピックアップには後述する分析ツール「Dockpit(ドックピット)」の「業界分析」機能を使うのも便利です。業界は既にデータベース化され定義されているので、自社のサービスに関連する業界を選ぶと、各社のユーザー数シェアが1クリックで表示できます。
■Step2 市場を分析する
続いてのステップは市場の分析です。顧客の属性、そこでのニーズや課題を、「一次調査」という顧客の声などから直接聞き取る調査によって収集する方法があります。
競合の一次調査の具体的な内容は、顧客へのインタビュー、アンケートのほか、競合他社の製品やサービスを自社で入手して研究するといったものが挙げられます。
そして、市場規模、成長性、政治・経済による影響を、すでにまとめられた情報である「二次調査」によって調べます。
二次調査は、競合他社が発表している会社情報やホームページのチェック、ほかにも世界情勢(経済やテクノロジー)の把握があります。
■Step3 競合の調査・分析
競合の「調査」で手をつけやすいのは、製品の特徴(価格、対象年齢、サポート内容など)を洗い出し、機能ごとに分類しての比較です。
そして、競合の現状における成果や成果の理由も調査・分析します。成果を上げた背景にはどのような背景があるのか?開発の工数や販売ルート、営業の方法など、調べられる範囲で徹底的に調査した上で分析を行います。このような競合の調査・分析が自社の戦略立案に一役買うばかりではなく、競合に劣らない自社の強みを見つけられる可能性も出てきます。
■Step4 自社と競合の比較
競合他社の情報を集めたら、(クロス)SWOT分析を用いて自社と競合他社の比較を明確にします。
(クロス)SWOT分析の結果、自社の強み、弱みを明確にした上でそれをチャンスに、さらに直面する脅威を真摯に受け止めると、立案した戦略に具体性を持たせられます。
■Step5 自社の強みや弱みを把握し、戦略を検討する
自社の強みや弱みを把握するためには、経営者やほかの社員と協力し、自社の強みや弱みをリストアップします。これには、自社の製品やサービス、顧客サポート、販売プロセス、マーケティング戦略、人材状況、財務状況といった要素をチェックするとよいでしょう。
そして、すでに洗い出した競合相手の強みや弱みも分析したうえで、市場での地位を確立するための戦略を策定しましょう。これには、差別化戦略、コストリーダーシップ戦略、集中戦略などが含まれます。
競合の強みや弱みを把握するには「他社比較表」を利用するとわかりやすく、効率的です。以下のリンクで詳細を解説しています。
競合分析で用いられる「他社比較表」について。競合分析は分析して終わりではなく、ビジネス上の意思決定に使われます。競合分析の結果をわかりやすく表現するには「他社比較表」を用いると便利です。
競合分析後はその結果をもとにアクションを起こす
競合他社分析を行い、自社の優位性や独自性を把握するのはあくまでもスタート前の準備です。
戦略立案、そして実行というゴールに向かうためには、戦略を現場に落とし込むことが重要であり、戦略実行の優先順位の設定、アクションプランの策定、そして、そのアクションプランの振り返りをしっかりと行う必要があります。
こうしたアクションが、ビジネスにおけるさまざまな環境の変化に対応しつつ、利益を確保するために欠かせない要素となります。
Webサイトから競合分析を行う方法
現代におけるマーケティングは、オンラインがおもなフィールドと言えます。したがって、自社が発信する「コンテンツ」が重要な武器となります。Webサイトは業界を問わずさまざまな企業でも活用されており、それはGoogleやYahoo!の検索結果を見ても明らかです。
つまり、競合のWebサイトを分析すれば、自社のWebマーケティングの指針策定にも大いに役立ちます。競合のサイトの運用方針を調査することは、自社のWebサイトのコンテンツ制作に活用できます。また、同じようなフィールドで戦うべきか?といった戦略を策定する際の参考にもなります。
そのためにおすすめのツールを続けて紹介します。
競合分析に使えるおすすめツール
ヴァリューズが提供する「Dockpit(ドックピット)」はWebサイト/アプリ分析ツールで、国内の主要サイトのユーザー数やPV数、訪問者属性、流入元やその検索ワード、よく見られているコンテンツなどをすぐ調査できるツールです。
国内主要サイトの情報がわかる理由は、ヴァリューズが独自保有する国内250万人規模の消費者パネルを活用しているからです。こうした背景から、花王やマガシークといった大企業に広告代理店など、多くの導入事例があります。
Dockpitの内容について理解していただくために、ひとつの例を紹介します。たとえば、「旅行」を含むキーワードの検索結果を分析すると、まず下図のようなサマリーが表示されます。
キーワードサマリー「旅行」
検索ユーザー数、セッション数の月次推移をはじめ、性別/年代/居住地域/居住都道府県などの検索ユーザーの属性、検索キーワード、掛け合わせワード、関心ワード、類似ワード、季節比較、流入サイト、流入ページなどを1枚のダッシュボードで簡単に確認できます。また、それぞれ深掘り分析できるようになっています。そして、検索されたキーワードだけでなく、検索後にどのようなコンテンツを見ているのか、流入ページまで確認できたり、年代別や世帯年収別など、ユーザー属性でセグメントを絞れるといった点がDockpitの特徴です。
Dockpit「流入ページ」機能の例
Dockpit上のサマリーレポートはパワーポイント形式でダウンロードでき、データはExcelやテキストで、グラフは画像でダウンロードできるため、企画書や報告資料の作成にも役立ちます。
まとめ
商品やサービスの販売戦略の立案にあたっては、競合分析が欠かせません。単に自社商品と競合するような企業についてだけではなく、潜在的に競合となり得るであろう企業も分析することがベターと言えるでしょう。
分析にあたっては3C分析、4C分析、SWOT分析といったフレームワークを使うと漏れなく効率的に検討できます。企業サイド、そして顧客からの視点をバランスよくミックスして競合分析を行うのがポイントです。
また、本メディア・マナミナを運営するヴァリューズでは、ユーザー数やデモグラフィック属性、流入元の割合や自然検索ワードなどの観点で競合サイト分析が簡単にできるSaaS型ツール「Dockpit(ドックピット)」を提供しています。Dockpitによって競合のデータから自社の戦略を再考し、方向性の決定につなげることが可能です。機能の一部は無料でお使いいただけますので、下記のボタンからご登録ください。
マナミナは" まなべるみんなのデータマーケティング・マガジン "。
市場の動向や消費者の気持ちをデータを調査して伝えます。
編集部は、メディア出身者やデータ分析プロジェクト経験者、マーケティングコンサルタント、広告代理店出身者まで、様々なバックグラウンドのメンバーが集まりました。イメージは「仲の良いパートナー会社の人」。難しいことも簡単に、「みんながまなべる」メディアをめざして、日々情報を発信しています。