「Google I/O 2023」のトピックを解説。Google検索へのチャット機能導入など|「2023年6月 コンテンツマーケティング最新動向レポート」

「Google I/O 2023」のトピックを解説。Google検索へのチャット機能導入など|「2023年6月 コンテンツマーケティング最新動向レポート」

2023年5月に開催された「Google I/O 2023」の発表内容がマーケターの間で話題になっています。SEO担当者が必ず押さえておかなければいけないトピックは何か、コンテンツマーケティングにどのような影響を及ぼすか、ヴァリューズのマーケティングコンサルタントが解説します。


【解説者紹介】

マーケター注目!「Google I/O 2023」とは





岩間:5月に行われた「Google I/O 2023」に注目が集まっていますね。多くのメディアが取りあげています。










安部:「2023年6月 コンテンツマーケティング最新動向」レポートでは、「Google I/O 2023」の発表の中から、今、マーケターが知るべき重要なトピックを厳選して紹介しています。この対談では、そのほんの一部を紹介していきたいと思います!

まず「Google I/O」とは何かから説明しますね。「Google I/O」は、Googleの最新のソリューションや製品、技術について発表するイベントです。基調講演では、製品ニュースやアップデートの発表がメインで行われるほか、技術セッションなども別途用意されています。

「Google I/O 2023」は2023年5月10日に行われ、AIを中心とする今後のサービスローンチやアップデートをメインとした発表が行われました。




Google検索にチャット機能を搭載





安部:では発表の内容を見ていきましょう。

最初に紹介するのは、Google検索にチャット機能が搭載されることです。今回の発表の中でもマーケターに大きな影響を与えるトピックなのではないかと感じています。

一部の検索結果画面では、キーワードを入れるとGoogle側がピックアップした内容(強調スニペット)が表示されます。

今後は、AIがキーワードに対する回答を作り、チャットで出していくことになります。

このような生成AI搭載のGoogle検索が登場するのは、現状はアメリカの英語版でのみ。Google Labsで提供が開始されます。参加するためにはウェイティングリストへの登録が必要です。








岩間:なるほど。でも、検索にチャット機能が導入されることで、何が変わるんでしょう。今でも似たような機能として、強調スニペットやレコメンドがありますよね。今回導入されるチャット機能との違いがはっきりしないなと感じています。




強調スニペットの例(「強調スニペット」検索結果、2023年6月5日時点)

チャットだけで完結し、検索結果ページを見なくなる?





安部:あくまで仮説ですが、これまでとの差別化要素として、一つは回答を探す必要がなくなるのではないかと考えています。これまでは、キーワードを入力して表示された検索結果から上位ページをいくつか見る、というように回答に行き着くために数アクション必要でしたが、これからはチャットがすぐに回答を出してくれるようになります。回答の精度が高いようであれば、手間を大幅に減らすことができるでしょう。

もう一つは会話ができるようになることです。検索結果だけでなく、その前後の文脈を捉えたうえで回答を出してくれます。そのため、ユーザーのニーズによりマッチした回答が出るようになるのではと考えています。










岩間:そうなると、ユーザーは今までのように検索結果画面を見ることなく、チャットだけで完結させるようになるのでしょうか。










安部:難しい質問ですね。進化次第だと思いますが、現状すぐは難しいだろうと思います。

一番の懸念は回答の精度ですね。事実確認をするために公式サイトなどをチェックするといった手間を何回か経験すると、チャットではなく今まで通り検索しようする人も出てくるでしょう。

今後は、チャットに回答してもらうべき内容と、検索結果で情報を集めるべき内容のすみ分けがより明確になってくると思います。実際、Twitterで調べる内容とGoogleで調べる内容を分けている人もいるのではないでしょうか。地震速報はTwitterで調べるけど、おすすめのお店などはGoogleで調べるといった感じですね。同じように、チャットに回答を任せる内容も出てくると思います。










岩間:SEOに携わるマーケターは、どう向き合っていけばよいでしょう。ユーザーにWebサイトに来てもらい、会員登録や商品購入などコンバージョンを獲得することが必要になってくると思うのですが、チャット機能はその前の段階にいる潜在層に対する情報提供の部分を代替しそうですね。










安部:おっしゃる通り、SEO施策を行っている企業ではコンバージョン獲得が主題になっていることが多いと思います。お役立ち情報のような潜在層向け情報の提供をチャット機能が代替するのであれば、一部テーマでは記事を作ることを問い直す必要が出てくるかもしれません。










岩間:逆に、潜在層向けの記事をたくさん作成しAIに学習させることで、回答をハックしていくといった方法もありそうですね。










安部:そうですね。人だけでなくAIに対しても情報提供をするといった考え方もあると思います。正しくて、独自の情報で、自社の強みと一致しているようなWeb記事をどんどん作成し、AIに学習させることで回答に影響を与えることができると考えると、記事を作る価値はあるでしょう。




画像に「AI作成」がわかる透かしを導入

AI生成画像に関する課題とは





安部:また、「Google I/O 2023」では、AIが生成した画像に対して「AI作成」であることがわかる透かしをGoogleが導入予定であることも発表されました。検索結果や他社のサービスで使用された場合にも、「GoogleのジェネレーティブAIによって生成された画像を使用している」ということが明示されるようになるとのことです。

やはりAIが生成したものに関する問題点は多いのが現状です。著作権を侵害しているものが見受けられる中で、一つの解決手段として今回の発表がされたのではないでしょうか。








安部:課題解決に向けて一歩踏み出した、発展的な議論だと思いつつ、同時に本当にこの方法が正解なのかを考える必要もあると感じます。










岩間:どういうことでしょうか?










安部:例えば「著作権を侵害しているけれど、AIが作ったものだから許してね」という逃げ道になってしまう可能性もあるのではないかと。それは正しいコミュニケーションではないと思います。やはり発信する側がきちんと責任を持つべきだろうと。

Googleだけでなくプラットフォーマー側も、AIクリエイティブに関する対策が必要になってくると思います。










岩間:確かに、それは考える必要がありますね。

ほかにも、AI生成であることがわかるデメリットはあると思います。AIコンテンツのほうが良いと思う人って、それほど多くはないのではないでしょうか。逆に「AIで作ったなら間違っているかもしれない」「作成者は手抜きをしたかったのかな」と思われてしまうこともあるのではないかと…。










安部:そうですね。発信者側に課題があると思います。

例えば庭がテーマの記事を作るとしましょう。アメリカの西海岸の庭を紹介する際、実際の写真ではなく、AIに作らせた写真を載せることが出てくると思います。ここで問題となるのが「その写真が正しいかわからないけれど、とりあえず載せておく」といった使われ方があるということです。

本当の西海岸の庭を確かめることなく、とりあえず画像を記事に掲載したり、TwitterなどのSNSに投稿したり。事実整合の仕組みやスタンスが発信者側に整っていないが故に生じる問題です。

もちろん使い方次第では、AIでもユーザーのためになるコンテンツを作ることは可能だと思います。










岩間:これは多分答えがないといいますか、テクノロジーに対して人間がどのように向き合っていくかという話なので、いろいろな意見があるだろうと思います。




「Google I/O 2023」から考える、マーケターがとるべき対策





岩間:今回紹介した動きを受け、マーケター、特にSEO担当者がとるべき対策などがありましたら教えてください。










安部:オリジナルコンテンツの重要性は変わらないと思います。もちろん今までも独自性が必要とされてきましたが、網羅的、一般的な内容の比重が多い状況でした。しかし、生成AIにより、今後はより独自性が重要視されるようになるはずです。

例えばクリーニング屋さんなら洗濯のコツなど、自社でビジネスを展開する中で蓄積してきた独自ノウハウなどのコンテンツを発信する、といった方法があるでしょう。










岩間:良い方向性になりそうだと感じます。今まではドメインが強くてSEOがきちんとされていれば、上位表示される環境でした。これからは自社の強みはどこにあるのか、この会社だからこそできる発信は何なのかを、代理店も含めて皆で考えるようになりそうですね。










安部:以上、6月のコンテンツマーケティング動向「SEO編」でした。次月のネタも楽しみにお待ちください。






(本調査はあくまでも傾向に注目し、今後の施策における仮説立てや優先順位の検討に有効活用するためのものであり、因果関係を示すものではないこと、また、各トピックの内容やVALUESの見解は、資料作成時のものであり、今後の情勢やアルゴリズムの変化によって変わることがある旨、ご留意ください)


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この記事のライター

IT企業でコンテンツマーケティングに従事した後、独立。現在はフリーランスのライターとして、ビジネスパーソンに向けた情報を発信しています。読んでよかったと思っていただける記事を届けたいです。

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