Rocket Now急増、Uber Eats・出前館は利用規模を維持
フードデリバリー市場で急速に存在感を高めているのが、2025年1月にサービスを開始したRocket Nowです。
送料・サービス料が無料の「ゼロ配」を特徴とし、2026年6月には累計700万ダウンロードを達成しました。
一方、KDDIの子会社が運営するmenuが、2026年9月30日でサービスを終了しました。また、Woltは2026年3月に日本でのサービスを終了しています。
新たなサービスが急成長する一方、既存サービスの終了も相次ぐなか、フードデリバリーアプリのユーザー数はどのように変化したのでしょうか。Rocket Now、Uber Eats、出前館、menu、Woltの5つのアプリを比較します。
ここでは、毎月更新される行動データを用いて、手元のブラウザで競合サイト分析やトレンド調査を行えるヴァリューズのWeb行動ログ分析ツール「Dockpit(ドックピット)」を用います。
Rocket Nowが急速にユーザー数を伸ばす一方、Uber Eatsと出前館は一定の利用規模を維持しています。
図:フードデリバリーアプリユーザー数推移
調査対象:PC&スマートフォン
調査期間:2024年8月~2026年7月
Rocket Nowはサービス開始後にユーザー数を伸ばし、2026年5月には約470万人に達しました。一時はUber Eatsに並ぶ規模となりましたが、その後は減少に転じ、2026年7月のユーザー数は、5月と比べて約3割減少しています。
一方、Uber Eatsは調査期間を通じて約380万〜480万人、出前館は約290万〜340万人の範囲で推移しています。
サービス終了を発表した2社を見ると、menuは約80万〜120万人で推移し、サービス終了を前に徐々に減少しています。Woltも2026年2月までは約50万人前後を維持していましたが、サービス終了に伴って急減しました。
■Uber Eats・出前館の維持は「価格競争」か
注目したいのは、Rocket Nowが一時Uber Eatsに並ぶ規模まで成長しても、Uber Eatsと出前館のユーザー数が大きく落ち込んでいない点です。
Rocket Nowがユーザーを増やした背景には、「ゼロ配」という分かりやすい価格面のメリットや、積極的なキャンペーンがあったと考えられます。
一方、Uber Eatsでは、2026年2月から会員サービス「Uber One」の対象注文で配達手数料に加えてサービス料も無料としています。
出前館も、2026年3月から「出前館がお届け」の対象店舗で送料無料キャンペーンを実施しています。
条件や仕組みは異なりますが、既存2社も価格面のメリットを打ち出していることが、利用規模を維持できた一因と考えられます。
また、3社では利用している年代や世帯構成にも違いが見られます。次章では、Rocket Now、Uber Eats、出前館のユーザー像を比較し、それぞれどのような人に選ばれているのかを見ていきます。
主要3社はそれぞれどんな人に選ばれている?
ここからは、Rocket Now、Uber Eats、出前館の3社に絞り、利用者の特徴を比較します。
まず性別を見ると、Rocket Nowは男性、Uber Eatsと出前館は女性がやや多いものの、3社とも男女比に大きな差は見られません。
図:フードデリバリーアプリ性別
調査対象:PC&スマートフォン
調査期間:2024年8月~2026年7月
一方、年代別ではサービスごとに異なる特徴が表れています。Rocket Nowは20代から60代まで幅広い年代に利用されている一方、Uber Eatsは20代、出前館は30代を中心に利用されています。
図:フードデリバリーアプリ年代
調査対象:PC&スマートフォン
調査期間:2024年8月~2026年7月
Rocket Nowは、20代から60代までの割合が比較的均等で、特定の年代に大きく偏っていません。
過去のマナミナ記事では、送料・サービス料が無料となる「ゼロ配」や積極的なキャンペーンが、Rocket Nowの利用者増加につながった可能性を紹介しました。
ゼロ配で急成長!「ロケットナウ」ヒットの裏側と今後の展望を分析 | [マナミナ]まなべるみんなのデータマーケティング・マガジン
https://manamina.valuesccg.com/articles/4599" target="_blank" rel="noopener noreferrer家にいながら外食気分を味わえるフードデリバリーサービス。Uber Eatsや出前館が市場をけん引する中、韓国発の新サービス「Rocket Now(ロケットナウ)」が日本に上陸し、大きな注目を集めています。本記事では、ロケットナウが急成長を遂げた背景や、フードデリバリー業界の今後の展望について分析します。
「ゼロ配」という分かりやすい価格面のメリットやキャンペーンが、年代を問わず利用を始めるきっかけになった可能性があります。
Uber Eatsは20代の割合が最も高く、次いで30代、40代となっています。3社のなかでも、若年層を中心に利用されている点が特徴です。一方、出前館は30代が最も多く、40代、50代と続いており、Uber Eatsよりもミドル層を中心に利用されています。
■「40代以下の単身世帯」という共通点
年代構成には各社それぞれで違いがありましたが、世帯構成からは共通点も見られます。
ここでは、Web行動データとアンケートデータを用いた分析を行える、株式会社ヴァリューズの分析ツール「Perscope」を用います。
Rocket Now、Uber Eats、出前館はいずれも、ネット人口全体と比べて40代以下の単身者が多くなっています。
図:フードデリバリーアプリ同居家族
調査対象:PC&スマートフォン
調査期間:2024年8月~2026年7月
1人分だけのためにわざわざ時間を作って調理するのはもったいなく、食材を使い切れないこともあります。フードデリバリーなら、食べたいものを1食単位で注文できるため、1人分の食事を用意しやすいという利点があります。こうした手軽さが、40代以下の単身者による利用につながっている可能性があります。
このように、Rocket Nowは幅広い年代、Uber Eatsは若年層、出前館はミドル層を中心に利用されています。一方、40代以下の単身者が多い点は3社に共通しており、中心となる年代は異なっても、1人分の食事を手軽に用意したいという似た場面で選ばれている可能性があります。
主要3社のこれからの注目ポイント
ここまでの分析から、Rocket Now、Uber Eats、出前館では、ユーザー数の動きや利用者の特徴に違いが見られました。最後に、それぞれの今後の注目点を考察します。
■Rocket Now:急成長を継続利用につなげられるか
Rocket Nowは、短期間で多くのユーザーを獲得した一方、2026年5月をピークにユーザー数が減少しています。今後は、「ゼロ配」やキャンペーンをきっかけに利用を始めたユーザーを、継続利用につなげられるかが注目されます。
継続利用に向けた施策として、2026年8月には、対象店舗での注文ごとにスタンプを獲得し、5個集めるとクーポンや商品などの特典を受け取れる「スタンプカード」機能が追加されました。
Rocket Nowは20代から60代まで幅広く利用されていることから、幅広い年代のニーズに応えながら、こうした施策を継続利用につなげられるかが注目されます。
■Uber Eats:フードデリバリーの第一想起になれるか
Uber Eatsは、調査期間を通じて3社のなかで最大規模のユーザー数を維持しています。今後はこの認知や利用規模を生かし、フードデリバリーを利用したいときに、最初に思い浮かぶサービスであり続けられるかがポイントになりそうです。
2024年から展開している「Uber Eatsで、いーんじゃない?」のCMでは、仕事や家事で疲れたときなど、食事の用意を任せたい日常の場面でUber Eatsを利用する選択肢を提示しています。
また、2026年には、秋の定番商品であるマクドナルドの「月見バーガー」とコラボし、季節のイベントとデリバリーを組み合わせた広告やキャンペーンを展開しました。
「食事を用意するのが大変なとき」だけでなく、イベントや季節商品を楽しむときなど、さまざまな場面で思い出されるサービスになれるかが、今後のポイントとなりそうです。
フードデリバリーの代名詞として浸透しつつあるか
「フードデリバリーといえばUber Eats」というイメージが定着しつつある例として、YouTubeにおける「ウーバー爆食」と呼ばれる動画が挙げられます。これは企業による公式企画ではありませんが、サービス名がそのまま動画の企画名として使われています。
Googleで検索する「ググる」が検索全般を表す代名詞になったように、フードデリバリーで注文することを「ウーバーする」といった用法が定着していけば、その地位が確固たるものになった証と言えるかもしれません。
■出前館:25年以上の運営実績を強みにできるか
出前館は、2000年にデリバリー総合サイトを開設し、25年以上にわたって国内でサービスを展開してきました。Uber Eatsが日本でサービスを開始した2016年、Rocket Nowが開始した2025年と比べても、長い運営実績を持つ点が特徴です。
出前館は、現在の30〜50代が、現在ほどインターネットやスマートフォンを日常的に使うようになる前から、オンラインで出前を注文できるサービスを展開してきました。長年のサービス展開によって蓄積された認知や利用経験が、ミドル層を中心とした現在の利用につながっている可能性があります。
現在は全国47都道府県で展開し、10万店舗以上から注文できる体制を整えています。長年親しまれてきたサービスとしての身近さに加え、全国で幅広い店舗から選べる利用基盤を活かせるかが、今後も利用され続けるためのポイントとなりそうです。
まとめ
本記事では、Rocket Nowが急成長し、menuやWoltがサービスを終了するなか、主要なフードデリバリーアプリの利用動向とユーザーの特徴を見てきました。
Rocket Nowのユーザー数が急増した後も、Uber Eatsと出前館の利用規模は大きく崩れていません。その背景には、Rocket Nowの「ゼロ配」に対し、既存2社も配達料金を抑える施策を展開していることがあると考えられます。
また、主要3社の利用者を見ると、Rocket Nowは幅広い年代、Uber Eatsは若年層、出前館はミドル層を中心に利用されていました。一方、40代以下の単身者が多い点は3社に共通しています。
今後は、Rocket Nowが価格面の魅力に加えて継続利用したくなる理由をつくれるか、Uber Eatsが日常の食事からイベントまで思い出される場面を増やせるか、出前館が長年の認知や利用基盤を活かせるかが注目されます。価格競争が活発になるなか、各社がそれぞれの強みを活かし、利用者に選ばれ続けるためにどのような施策を展開するのか、今後の動向にも注目です。








2027年4月に入社予定の大学4年生です。
スポーツ健康科学部で、スポーツマーケティングを専攻しています。