「全社一律のAI導入」は限界?8割以上が機能不足を実感する企業AI活用のリアル【SDEパートナーズ調査】

「全社一律のAI導入」は限界?8割以上が機能不足を実感する企業AI活用のリアル【SDEパートナーズ調査】

SDEパートナーズ株式会社は、従業員300名以上の企業に勤務し、業務で生成AIツールを利用している会社員を対象に「国内法人における主要な生成AIプラットフォームの市場シェア、部門別・職種別の生成AIツール活用深度&使い分けの実態」に関する調査を実施し、結果を公開しました。


法人導入シェアの現状

〜Microsoft Copilot、ChatGPTの2強をGoogle Geminiが追う展開〜

まず、全社標準生成AIツールとしての導入状況を調査したところ、法人市場における「プラットフォーム争い」の現状が明らかになりました。

シェアのトップは『Microsoft Copilot(45.3%)』、次いで『ChatGPT(45.0%)』と、この2つのツールがほぼ同率の結果となりました。

Microsoft 365等のビジネスアプリケーションに統合されたMicrosoft Copilotが標準インフラとして普及する一方で、特定のプラットフォームに依存しないChatGPTが、依然として法人市場において強固な支持を得ていることが分かります。

一方、『Google Gemini(28.3%)』は約3割に留まっており、Google Workspaceユーザーを中心に普及しているものの、上位2社を追う展開となっています。また、『Notion AI(8.5%)』や『Anthropic Claude(7.7%)』なども一定のシェアを占めている現状が明らかになりました。

AI活用の深度と業務内容の実態

〜生成AIツールは「個人の時短ツール」から、「組織的な業務変革」での活用へ〜

では、全社標準として導入された生成AIツールは、具体的にどのような業務で活用されているのでしょうか。

上記調査結果の通り、『メール・各種文書の作成・添削(50.1%)』、『資料の構成案・骨子の作成(46.0%)』、『議事録作成・情報の要約(41.8%)』がトップ3を占めました。

定型的な文章作成や情報の整理など、個人の事務作業を効率化する「汎用的な補助機能」としての利用が浸透している実態がうかがえます。

では、活用の深度はどうでしょうか?

回答者の所属部門における活用の深度を5段階で評価しました。

調査の結果、『レベル1【補助】(23.1%)』と『レベル2【定着化】(29.8%)』の合計が52.9%と、生成AIツールを個人レベルのタスクの時短に活用する層が過半数を占め、多くの企業において、AIは「個人がたまに使う」あるいは「個人の時短ツール」として浸透してきているようです。

一方で、プロンプトが共有されチームの業務フローに生成AIツールが組み込まれている 『レベル3【標準化】』以上の段階に達している層も全体の約4割(44.1%)となり、組織的な業務変革に生成AIツールが活用され始めている実態が見えてきます。

さらに、『レベル4【高度化】(13.7%)』や、『レベル5【自動化】(5.4%)といった、高度な活用を実現できている企業は現時点では限定的であるものの、AIエージェントが実用フェーズへ移行する中で、業務の高度化・自動化へとシフトする企業が増加していくのも、時間の問題かもしれません。

次に、活用の深度を職種別に分解するとどうでしょうか?

活用の深度を5段階でスコアリングし、職種別の平均値を算出しました。
その結果、職種によって活用の「成熟度」に明確な差があることが判明しました。

情報システム・IT(2.7)と法務(2.6)が全体を牽引
全職種の中で最もスコアが高かったのは『情報システム・IT(2.7)』でした。次いで、『法務・コンプライアンス(2.6)』となりました。
技術的な理解が深いIT部門だけでなく、文書作成や契約審査など、テキスト解析のニーズが極めて高い法務部門においても生成AIツールが実務プロセスに深く入り込み、他職種よりも一歩進んだ活用ステージにあることがうかがえます。

経営・マーケティング層(2.5台)の先行
『経営企画・事業戦略(2.5)』および『マーケティング・広報・企画(2.5)』がそれに次ぐ上位グループを形成しています。戦略立案やコンテンツ制作など、クリエイティブかつ論理的なアウトプットを求める職種において、AIを「思考のパートナー」として活用する動きが定着しつつあるようです。

経理・財務・会計(2.0)における活用の難しさ
全職種の中で最もスコアが低かったのは『経理・財務・会計(2.0)』でした。
1円単位の正確性が求められ、かつ数値データを主に扱う職種においては、現在の汎用的な生成AI(LLM)の特性(ハルシネーションのリスク等)がハードルとなり、実務への導入が慎重、あるいは限定的になっている現状が浮き彫りになりました。

全社標準ツールとしての限界と「実務レベル」の壁

〜全社標準生成AIツール利用者の8割以上が機能不足を実感〜

今回の調査で最も注目すべき結果となったのが、全社標準生成AIツールに対する実務上の評価です。

全社標準生成AIツールを利用する中で、『「機能や精度が実務レベルに達していない」と感じることがあるか』という問いに対し、『頻繁に感じる(24.3%)』と『たまに感じる(58.7%)』を合わせると83.0%に達しました。一方で、『全く感じない』という回答はわずか2.0%に留まっています。

実務レベルへの到達感の低さから、企業のAI投資と現場の生産性に対する寄与が必ずしも比例していない現状が浮き彫りになりました。

では、職種別に見るとどうでしょうか?

文脈の理解が求められる経営企画やマーケティング職種では約9割が機能不足を感じています

一方、経営・役員層は不満を感じる割合が相対的に低く、現場との認識に乖離が生じている可能性が示されました。

さらに、『機能や精度が実務レベルに達していないと感じる』と回答した方に、どのような点に課題を感じるかについて聞いてみました。

結果、具体的な課題は、『社内システム・ツールとの連携不足(43.3%)』が最多となりました。

Microsoft 365やGoogle Workspaceといった既存プラットフォームの延長線上で導入したものの、実務で日常的に使用する専門ツールや社内独自のシステムとの分断が、現場の負担になっている様子がうかがえます。

シャドーAI化する「併用・使い分け」の実態

〜「会社支給」より「実務の成果」。7割以上が全社標準生成AIツール以外を“自衛的併用”〜

次に、全社標準生成AIツール以外の併用・使い分けの状況を調査しました。

前述のとおり、全社標準生成AIツールに対する満足度が低い中、全社標準生成AIツール以外『日常的に利用・併用している(30.0%)』、あるいは『特定の業務で併用している(40.3%)』層は、合わせて70.3%に達しました
実に7割以上の利用者が、全社標準ツールのみならず、複数のプラットフォームを併用している実態が明らかになりました。

では、具体的には、どの生成AIツールを利用・併用しているのでしょうか?

最も選ばれているのは『ChatGPT(51.3%)』であり、個人利用における圧倒的なデファクトスタンダードとしての地位を、企業内における活用でも維持している状況です。

しかし、注目すべきは2位以下の動向です。

『Google Gemini(41.2%)』が約4割と、全社標準ツールとしての導入シェア(28.3%)を大きく上回る高い支持を得ています。

また、『Anthropic Claude(19.4%)』も約2割に達しており、特定のビジネスエコシステム(MicrosoftやGoogle)に属さない独立系AIが、実務の現場で確実に存在感を高めている実態が浮き彫りになりました。

一方で、『Microsoft Copilot』が全社標準ツールとしての導入率(45.3%)で首位ながら併用率では30.1%に留まっており、「全社標準だから使う」ツールと「わざわざ自分で選んででも使いたい」ツールとの間に乖離が生じている可能性が示されました。

これらの結果から、「全社標準ツールの一律配布」で満足するのではなく、GeminiやClaudeといった、現場が真に必要とするツールを安全かつ組織的に運用するための「マルチプラットフォーム化」を軸とした活用環境の整備が必要となっていると考えられます。

さらに、全社標準とは別のツールを利用・併用したい理由を聞いてみました。

全社標準生成AIツール以外を併用・希望する理由として、『外部アプリ・ツールとの連携の容易さ(33.1%)』、『高度な思考・論理構築力(30.7%)』、『回答の精度・信頼性の高さ(29.6%)』が上位に挙がっています。
いるのではないでしょうか。

最適化が進まない組織のボトルネック(原因)

〜生成AIツール活用の「足踏み」を生む要因。セキュリティ、人材不足、そして“トップダウンの弊害”〜

現場が全社標準生成AIツールの機能に不足を感じて自衛的に併用を進める一方で、なぜ組織としての「職種別・部門別最適化」は進まないのでしょうか。

その要因を調査したところ、日本企業が直面する根深いボトルネックが浮き彫りになりました。

最適化を阻む理由として、全職種で共通して上位に挙がったのは『セキュリティ・ガバナンスへの懸念(38.3%)』『専門人材の不足(34.5%)』『情報過多(26.9%)』そして『トップダウン(による一律導入)の弊害(26.1%)』です。

セキュリティや人材確保といった運用・環境面のハードルが上位に並ぶ一方で、今回注目したいのが組織の導入プロセスに起因する課題です。

特に『トップダウン(による一律導入)の弊害』については、現場の業務実態を詳細に把握しないまま「全社一律」のルールやツールを適用した結果、現場の創意工夫や高度な活用を難しくしている可能性も考えられます。

調査概要

【調査期間】2026年3月18日(水)~2026年3月23日(月)
【調査方法】インターネット調査
【調査人数】1,014人
【調査対象】調査回答時に従業員300名以上の企業に勤務し、業務で生成AIツールを利用している会社員と回答したモニター
【調査元】SDEパートナーズ株式会社

出典元:SDEパートナーズ株式会社

引用:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000003.000178927.html

※詳細については出典元の企業にお問い合わせください。

この記事のライター

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