スピーカー紹介
はじめに コロナによる自動車の購入への影響は?
株式会社ヴァリューズ 向井優(以下、向井):「まずは、コロナ禍の消費者の自動車購入意向についてご紹介します。こちらのグラフは、2020年に購入を見送った商品について、消費者にアンケートを行った結果です。
コロナウイルス流行の影響をダイレクトに受けた旅行ほどではないものの、自動車も購入を見送ったジャンルのトップ8に入っています。マンション購入を上回っているのは意外です。
実際の購買行動では、2020年の登録車は288万527台。2011年の東日本大震災以来の300万台割れとなっています。「国内全8社が、全体で売上高4.9%減、営業利益16.6%減」という報道もあり、自動車業界においては、楽観しにくいのが現状です。」
キーワード×閲覧サイトでターゲットを掘り下げる
・購入見送り者の半数近くは、2021年には購入予定
・EV検索者はコロナ禍中も増加
・EV関心層を検索キーワードから6つのタイプに分類
向井:「ただ、悲観的な話ばかりではありません。購入見送り者の半数近くは、2021年には購入予定との回答も出ています。
また、下のグラフはEV検索者の推移を表したものですが、コロナ禍も検索者数は大きく増加しています。消費者の自動車、特にEVへの関心はコロナ禍の中でも高いと言えます。」
■検索キーワードでEV関心層を深掘り
向井:「では、EVに関心を持っているのはどの様な人なのでしょうか?EV検索前後3時間の検索キーワードで、EV検索者をクラスタリングしてみました。
ボリュームの多い順にクラスタは下記となります。
①国内メーカーを中心に検討するクラスタ
②株式投資でEVに関心があるクラスタ
③外車を中心に検討するクラスタ
④充電設備が気になるクラスタ
⑤小型車を中心に検討するクラスタ
⑥補助金が気になるクラスタ
EV関心層と言っても、その関心や検討商品は異なっている事が分かります。
また、各クラスタで閲覧するサイトやアプリ等のネット行動も異なることが見えてきました。下のスライドは、国内メーカー中心クラスタと。外車中心クラスタの閲覧率の高いサイトを比較したものです。
自動車関連でも閲覧サイトが異なっていることがわかります。
■EV関心層のカスタマージャーニー
EV関心層のネット上でのカスタマージャーニーを見ていくと、EVについての情報収集のファネルによって、検索行動も異なっていることも見えてきました。
あるEV検討者の検索行動の移り変わりを見てみましょう。
最初は、BMWやテスラ等の外車を中心に情報収集をしていましたが、次第に海外メーカーに比べれば価格帯に手が伸びやすい国内メーカーに検討の軸が移っていきます。
また、検討初期はEVや各社ブランドについての広い情報収集でしたが、検討後期にはEVの電気代などの具体的な気になりごとを検索しています。このタイミングでうまくWeb広告で接触していたのがマツダで、このマツダサイトに流入した検討者は見積りも行っていました。
検討ファネルのどこで、どのように接点を持つのかが、各社で価格帯も異なるだけに重要と言えます。」
コロナ禍の中でも躍進する自動車サブスクリプション
向井:「もう一つ注目したいのが、自動車のサブスクリプションサービスです。トヨタのKINTOが大きなシェアを占め、日産のクリックモビが追随していますが、いずれもコロナ禍でもサイト訪問者は大きく増加しています。
特にKINTOに至ってはコロナ前の63倍にもサイト訪問者が増加しており、関心の高さがうかがわれます。
KINTO接触者が、他に閲覧している自動車関連のサイトを見ると、トヨタ以外の自動車メーカーや、中古車販売サイトもランクインしています。(各サイトEV検索者のうち10%~25%が閲覧)
こうした自動車のサブスクリプションサービスの台頭は、既存の自動車メーカーや中古車にとって、ビジネスチャンスでもあり、脅威でもあります。」
セミナーでは他にも、Web行動ログを活用して、プロダクトアウトなWebサイトからターゲットのインサイトに合わせたサイトにリメイクした、自動車関連サービス会社の事例も解説されました。
まとめ
向井:「ここまで見て来たように、コロナ禍での自動車領域でのマーケティングのポイントは以下のようにまとめることができます。
ひとつは、消費者の自動車への関心は回復傾向にあるということ。
もうひとつは、デジタルでの接点がますます重要となっているということです。
これまで、自動車はマスマーケティングが主戦場でした。しかし、実際の自動車についての検討・検討行動をみると、消費者の関心にもバリエーションがあり、各ファネルでのアプローチを考える必要性が浮かび上がりました。これからは、デジタル上でのコミュニケーションの精緻化が求められていくとみられます。」
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