マクドナルド、バーガーキングを徹底比較。メニュー,価格,アプリ利用者数

マクドナルド、バーガーキングを徹底比較。メニュー,価格,アプリ利用者数

ファストフード市場を牽引するハンバーガー市場。主なチェーン店のうち、今回は「マクドナルド」「バーガーキング」に注目し、店舗数やメニュー・価格、アプリ利用者データから、各社の集客動向や特徴を比較調査しました。


国内ハンバーガー市場は右肩上がり

まず、国内のハンバーガー市場の概観です。

株式会社富士経済の「外食産業マーケティング便覧 2024 No.1」によると、ファストフードの市場規模は2023年が3兆8,308億円で前年比109.3%、2024年見込みが4兆765億円で前年比106.4%と、国内のハンバーガー市場は年々拡大しています。

中でもハンバーガー市場は注目業態として取り上げられており、2023年が9,811億円で前年比108.2%、2024年見込みが1兆418億円で前年比106.2%と、市場規模・成長率ともに順調であることがわかります。

参考:ファストフードをはじめとする外食市場を調査 | プレスリリース | 富士経済グループ

店舗数はマクドナルド、店舗数伸びはバーガーキングがトップ

日本ソフト販売株式会社の「【2024年版】ハンバーガーチェーンの店舗数ランキング」によると、2024年4月時点で、各ハンバーガーチェーンの国内店舗数は以下のようになっていました。

マクドナルド:2,967店舗
モスバーガー:1,308店舗
ケンタッキーフライドチキン:1,228店舗
ロッテリア:296店舗
バーガーキング:221店舗

マクドナルドがバーガーキングの10倍以上の店舗数を抱えており、圧倒的なシェアを誇っていることがわかります。

また、2023年4月時点と比較した増減率は以下となっています。

マクドナルド:+0.5%
モスバーガー:+2.1%
ケンタッキーフライドチキン:+2.8%
ロッテリア:-3.9%
バーガーキング:+18.8%

店舗数の伸びはバーガーキングが最も好調で、2024年12月末には全国254店舗と、ロッテリアに迫る勢いで出店を加速させています。

参考:【2024年版】ハンバーガーチェーンの店舗数ランキング|日本ソフト販売株式会社
参考: 2024年12月、バーガーキング® 店舗数が全国250店を突破!記念すべき250店舗目は「相鉄横浜駅店」 12月は合計7店舗をグランドオープン!2028年600店舗に向けて来年はさらに出店を加速!|PR TIMES

マクドナルドは低価格で勝負、バーガーキングはアプリクーポンが話題

次に、公式サイトに掲載されている各社の主なメニューと価格を調査しました。なお、記事で掲載している金額・メニューは記事執筆時の情報です。最新の情報は各社公式サイトよりご確認ください。

まずマクドナルドは、「いつ食べても、どこで食べても、変わらないおいしさを届けられるように」をモットーとしており、素材にこだわりサステナビリティにも配慮した商品を提供しています。

参考:おいしさのゴールデンルール | マクドナルド公式


カテゴリ価格(一部店舗及びデリバリーで異なる)
バーガー180~720円
セット240~990円
サイドメニュー40~1,000円
ドリンク140~320円
スイーツ140~380円
ハッピーセット510~540円


参考:メニュー(おすすめ) | マクドナルド公式

対してバーガーキングは、ビーフパティを直接火で焼いて調理する独自の「直火焼き方式」を採用しており、パティのジューシーでスモーキーな味わいが特徴です。

参考:Why バーガーキング | バーガーキング®公式サイト


カテゴリ

価格
ワッパー / ワッパーJr.400~1,190円
バーガー / ホットドッグ280~2,090円
お得セット550~900円
サイド30~500円
ドリンク230~300円
デザート140~270円
お子様向け410~460円


参考:メニュー| バーガーキング®公式サイト

全体的に、マクドナルドの方が低価格で商品を展開していることがわかります。
一方で、2025年3月12日より、マクドナルドは商品価格の値上げを実施。これは過去3年で6回目の価格改定となり、SNS上では、バーガーキングの公式アプリクーポンを利用した際のコスパの良さが話題となりました。

実際にバーガーキングのアプリをインストールしてみると、メンバーシップのうち最下位ランクの「Bronze」でも、ステージアップでワッパーが1回無料になる特典が用意されていました。

「バーガーキング」公式アプリのメンバーシップ特典(2025年3月26日時点)

「バーガーキング」公式アプリのメンバーシップ特典(2025年3月26日時点)

また、アプリのクーポンではセットが200円ほど割引に。

「バーガーキング」公式アプリのクーポン(一部、2025年3月26日時点)

「バーガーキング」公式アプリのクーポン(一部、2025年3月26日時点)

一方マクドナルドの公式アプリクーポンでは、セットの割引は50円ほどであり、バーガーキングよりは割引幅が小さいことがわかります。

「マクドナルド」公式アプリのクーポン(一部、2025年3月26日時点)

「マクドナルド」公式アプリのクーポン(一部、2025年3月26日時点)

マクドナルドは度重なる値上げにより、バーガーキングやモスバーガーなどの他のバーガーショップへ乗り換えられる可能性もあります。ただ、IR情報によると売上高や利益は概ね毎年上がっていることから、圧倒的な店舗数によるアクセスの良さなどで、客足の減少には至っていないと言えそうです。

参考:財務指標サマリー(通期)|IR情報|McDonald

アプリ利用者はマクドナルドが約10倍

ここからは、消費者の行動データをもとに、各社の集客状況について深堀りしていきます。
なお分析には、毎月更新される行動データを用いて、手元のブラウザで競合サイト分析やトレンド調査を行えるヴァリューズのWeb行動ログ分析ツール「「Dockpit(ドックピット)」」を用います。

まずは公式アプリのユーザー数です。1年間の起動者数はバーガーキングが560万人、マクドナルドが5,690万人となっており、国内店舗数と同じく約10倍の開きがあることがわかります。

「バーガーキング」「マクドナルド」のスマホアプリ利用者数

「バーガーキング」「マクドナルド」のスマホアプリ利用者数
期間:2024年3月~2025年2月
デバイス:スマートフォン

バーガーキング利用者は、男性が多く関東に集中

アプリ起動者の性別を見ると、バーガーキングは男性が約58%でやや男性が多く、マクドナルドは女性が約55%でやや女性が多くなっています。バーガーキングは「がっつりたくさん食べたい」という男性客が集まりやすいのかもしれません。

「バーガーキング」「マクドナルド」のスマホアプリ利用者:性別

「バーガーキング」「マクドナルド」のスマホアプリ利用者:性別
期間:2024年3月~2025年2月
デバイス:スマートフォン

年代については大きな違いは見られず、いずれも20~50代ユーザーがメインであることがわかります。

「バーガーキング」「マクドナルド」のスマホアプリ利用者:年代

「バーガーキング」「マクドナルド」のスマホアプリ利用者:年代
期間:2024年3月~2025年2月
デバイス:スマートフォン

アプリユーザーの世帯年収は、マクドナルドよりバーガーキングユーザーの方がやや高い傾向にあり、商品価格との連動が見られます。

「バーガーキング」「マクドナルド」のスマホアプリ利用者:世帯年収

「バーガーキング」「マクドナルド」のスマホアプリ利用者:世帯年収
期間:2024年3月~2025年2月
デバイス:スマートフォン

子供の有無を見ると、マクドナルドの方が「子供あり」ユーザーの割合が高く半数を超えており、ファミリー層の支持が厚いことがわかります。

「バーガーキング」「マクドナルド」のスマホアプリ利用者:子供有無

「バーガーキング」「マクドナルド」のスマホアプリ利用者:子供有無
期間:2024年3月~2025年2月
デバイス:スマートフォン

アプリユーザーの居住地域について、関東地方の割合は、マクドナルドは約41%でネット利用者全体とほぼ同じなのに対し、バーガーキングは約58%となっており、より関東への集中が顕著です。

「バーガーキング」「マクドナルド」のスマホアプリ利用者:居住地域

「バーガーキング」「マクドナルド」のスマホアプリ利用者:居住地域
期間:2024年3月~2025年2月
デバイス:スマートフォン

バーガーキングは店舗へのアクセスがアプリ利用に影響か

最後に、両アプリの併用状況を見ていきます。
バーガーキングユーザーのマクドナルドアプリ併用率は82%で、大半が併用しているものの、20%弱の利用者はバーガーキング「のみ」ユーザーであることがわかります。

「バーガーキング」から見た「マクドナルド」のアプリ併用状況

「バーガーキング」から見た「マクドナルド」のアプリ併用状況
期間:2024年3月~2025年2月
デバイス:スマートフォン

一方、マクドナルドユーザーのバーガーキングアプリ併用率は8%弱で、マクドナルド「のみ」ユーザーが多くを占めています。

「マクドナルド」から見た「バーガーキング」のアプリ併用状況

「マクドナルド」から見た「バーガーキング」のアプリ併用状況
期間:2024年3月~2025年2月
デバイス:スマートフォン

バーガーキングはマクドナルドに比べると店舗数が少なく、「行きたいけど近くになくて、滅多に行けないからアプリまでは入れない」という消費者が多いのかもしれません。一方で前述のように、バーガーキングは店舗数を順調に増やしているため、今後アプリ利用者も増えていく可能性は大いにありそうです。

まとめ

今回はコロナ収束後も市場規模を拡大するハンバーガー市場について、中でもマクドナルドとバーガーキングに注目し、各社の特徴や違いを調査してきました。

店舗数とアプリ利用者数は、マクドナルドがバーガーキングの約10倍と、圧倒的なシェアを誇っているのに対し、上位バーガーチェーンの中でも店舗数の伸びはバーガーキングがトップとなっており、今後の追い上げが期待できそうです。

メニューおよび価格を比較すると、マクドナルドの方が全体的に低価格で提供しているものの、度重なる値上げにより、バーガーキング公式アプリのクーポンや特典が注目されていることがわかりました。

アプリ利用者については、バーガーキングユーザーは男性・子なし割合が高く、世帯年収もやや高い傾向にあることから、自分に使えるお金に余裕があり、がっつりたくさん食べたいユーザーが多いことがうかがえます。また、バーガーキングユーザーは店舗へのアクセス性のためか、関東地方に集中していることがわかりました。

アプリの併用率を見ると「マクドナルド」のみユーザーが約92%で、マクドナルドの人気ぶりがうかがえるものの、「バーガーキング」のみユーザーも20%弱と、根強いファンの存在が明らかになりました。

物価上昇にも関わらず、拡大し続けるハンバーガー市場。今後の勢力図がどうなるのか、引き続き注目です。

▼今回の分析にはWeb行動ログ調査ツール『Dockpit』を使用しています。『Dockpit』では毎月更新される行動データを用いて、手元のブラウザでキーワード分析やトレンド調査を行えます。無料版もありますので、興味のある方は下記よりぜひご登録ください。

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この記事のライター

1997年生まれ、大阪大学卒。データアナリストを経て、Webマーケティング・リサーチを軸に、コンテンツディレクション、SNS運用、デジタル広告運用などを担当。現在はフリーで活動しています。

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