いまなぜ「提案ナレッジシェアクラウド」が求められているのか?
ーー 初めにナレッジシェアの必要性について教えてください。ナレッジシェアが進むと、どんないいことがあるのでしょうか?
株式会社ヴァリューズ アライアンスG マネージャー 大櫛 貴久(以下、大櫛):1つめは生産性の向上です。業務時間の多くを資料作成に費やしている社員は多く、ともすれば数日間かかってしまうこともありますが、既存の資料を誰もが効率的に流用できる環境が整っていれば多大な時間を節約できます。結果、アイデアや企画を考えること、クライアントのコミュケーションを深めることなど、より本質的な仕事に時間を割けるようになります。残業の削減にもつながると思います。
2つめには業務属人化の解消が挙げられます。人材の流動性が高まっている時代において、高度な知識やノウハウ、技術をもつ社員が離職するのはよくあることです。ナレッジシェアができていると、ハイパフォーマーの知見が一気に失われてしまうリスクを防ぐことができます。
3つめは売上のアップです。社内のナレッジを集結し活用できれば、組織全体の提案の質が向上します。成功事例の共有により、次の新しい成功事例が生まれるという好循環も生まれやすく、成約率にも効果があります。それぞれが良い結果を出せる会社になると社員のモチベーションも高まりますし、離職率も下がるかもしれません。
大櫛 貴久(おおぐし・たかひさ)
株式会社ヴァリューズ
データマーケティング局 アライアンスG マネージャー/マーケティングコンサルタント
ーー 組織の成長にとって大切なナレッジシェアを、成功させるポイントはありますか?
株式会社ヴァリューズ ソリューションG マネージャー 大島 祐輝(以下、大島):資料がわかりやすく整理されて、誰もが必要な資料や情報をすぐ見つけられる状態にすることです。資料が散在していて必要な資料が見つからない、大量の資料を1つ1つ開かなければならない、どれが最新版なのかわからない…といった状況を払拭することが成功の秘訣だと思います。
同時に運用の負荷が少ないことも大切です。社員のナレッジを集約するのは大変な手間や工数がかかります。ファイルやフォルダの名前の付け方、タグ付けのルール、サマリーの文字数など、いくらフォーマットを整備したとしても、忙しい毎日の中では後回しになりがち。ナレッジ共有が形骸化してしまうというケースは珍しくありません。
資料の格納に伴う負担を極力減らし、社員の協力を得られやすくすることも外せないポイントになります。
検索のしやすさと、運用のラクさ。この2つを同時に解決する目的で開発したのが、2024年7月にリリースした提案ナレッジシェアクラウド「Pitchcraft(ピッチクラフト)」です。
大島 祐輝(おおしま・ゆうき)
株式会社ヴァリューズ
ソリューション局 システムソリューションG マネージャー/エンジニア
「Pitchcraft」なら、検索が簡単、運用も簡単
ーー 「Pitchcraft」は、具体的にどんなことができるのでしょうか?
大島:「Pitchcraft」に、各自が作成した資料をアップロードするだけで、資料の種類や業界などのカテゴリに応じてAIが自動でタグ付けをします。自社ごとにタグルールを設定できるので、一度ルールを決めてしまえば、あとはただファイルをドラッグ&ドロップするだけで資料が整理されます。
また、GoogleドライブやOneDriveなどのクラウドストレージと連携も可能で、ストレージ内の資料をワンクリックでPitchcraftにインポートできます。従来行っていた、格納先のフォルダを探す、手動でタグをつける、必要な説明文を追加する…などの手間が一切不要で、運用の負荷が極めて少ないのが特徴です。
提案ナレッジシェアクラウド「Pitchcraft(ピッチクラフト)」
大櫛:検索性にも大変優れています。アップロードされた資料についてはAIが自動で要約をつけてくれるので、いちいち資料を開かなくても概要をスピーディに把握できます。もちろんタグで検索したり、資料に含まれているキーワードで検索したりもできるのですが、こだわったのはスライド検索ですね。
資料一式が見たいわけではなくて、(あのときのあのスライドがほしいけど、どこにあったかな?)ということは実際よくあると思います。(確かあそこにだったような…)とうろ覚えで探してはみるものの、発見するまでに時間がかかったり、結局見つけられなかったり。Pinterest(ピンタレスト)のように視覚的な検索が可能で、目当てのスライドをポイントで発見できるというのは、「Pitchcraft」の大きな特徴です。
「Pitchcraft」でのスライド検索のイメージ
大島:そもそも「Pitchcraft」は、(パワーポイントをスライドごとに検索できたら便利なのでは?)と考えて社内用のツールを作ってみたことから開発がスタートしているんですね。最初は機能がひとつしかないシンプルなプロダクトだったにも関わらず、想像以上の利用があったことから、正式にリリースすることになりました。もともと「Slidestock(スライドストック)」と呼んでいたものが発展して、いまの形になっています。
ーー 専門知識がなくても扱えますか?
大櫛:専門知識は不要です。分厚いマニュアルを読み込む必要もなく、直感的に操作できるので、初めての方でもすぐに使いこなせる仕様になっています。新入社員でも30分程度で大体の使い方を理解できると思います。むしろ新入社員が社内の過去資料を参考にして自主的に勉強できる環境を整えたいという理由で、導入を決められた企業もあります。
さまざまなお客さまを見て本当に思うのは、ツールの使いやすさは、そのままナレッジシェアの浸透に直結するということです。多機能であっても、ユーザビリティが低く直感的に使えない製品であれば、結局は利用されなくなり、ナレッジをシェアする文化は醸成されません。「Pitchcraft」はエンジニアだけではなくUXデザイナーによって、満足度の高いインターフェイスを現場のユーザー目線で検証しつづけています。高いユーザービリティによりナレッジシェアが形骸化せず組織に浸透します。既に「Pitchcraft」を導入された企業からも「思った以上に使いやすい!」と感激の声も届いていて、とてもうれしく思っています。
また、サービスの効果を最大限引き出すためにツール提供のみならず人的サポートも行っています。各企業や部署に適した効果的なタグの付けの仕方、資料の整理の仕方、最適な運用方法や利用者を増やすための施策などをアドバイスしています。何かあればいつでもお気軽にご相談ください。
ーー そもそもなのですが、資料の共有はクラウドストレージでは不十分でしょうか?
大櫛:クラウドストレージは資料を「保存する」という意味では優秀ですが、「整理する」「検索する」という面では使いやすいとは言えないです。「Pitchcraft」はGoogleドライブなどと連携が可能で、外部ストレージ内にある資料をインポートできます。また、その資料にも自動でタグ付けが行われます。クラウドストレージと併用することで、過去資料を活用できる頻度は増えるはずです。
ーー セキュリティはどのようになっていますか?
大島:お客さまの貴重なデータをお預かりするサービスなので、セキュリティの設計には特に力を入れました。国際規格のISMSを取得していることに加え、600の米政府機関で使用されているAWSを使用しています。保存データや通信経路を暗号化する対応に加え、グローバルIPアドレス制限にも対応しています。セキュリティ面に安心感を持っていただけていることも、開発者として付け加えておきたいと思います。
強い組織は、ナレッジシェアから始まる
ーー 導入をした企業は、どのような理由で「Pitchcraft」を選んでいますか?
大櫛:2024年7月の一般公開に先立ち、クローズドでリリースした際から、「こんなプロダクトを待っていた」「今すぐ使いたい」など、反響は大きかったですね。選ばれた理由はやはり手間がかからないということでしょうか。ナレッジシェアにExcelを使って多大な労力や時間をかけていた担当者からは、資料をアップロードするだけで資料が自動で整理されたり、要約が生成されたりという点に評価を受けています。運用の負荷は意外に見落とされがちな観点ですが、人材や時間、コストなど現実的に必要なリソースを事前に見積もると「Pitchcraft」の良さを感じてもらえることが多いですね。
もうひとつがユーザビリティです。検索というのは1日に何度も行うような行為なので、普段づかいしやすいことが重要です。
⚫︎ AIに質問すると回答が自動で生成され目当ての情報を提示してくれる
⚫︎ 新着資料を簡単に確認できる
⚫︎ PV数やブックマーク数により社内の人気資料が可視化される
⚫︎ バージョン整理ができるため最新資料がどれか迷わずにすむ
⚫︎ マウスオンすると資料が自動拡大し、クリックせずに画面上でページをめくることができる
…といったさまざまな検索体験も、「かゆいところに手が届く!」と好評です。ありがたいことに、当初は一部署だけ導入していたものが隣の部署にも、と拡大いただくケースも増えてきました。
ーー 導入を検討している企業に対してアドバイスをお願いします
大櫛:企業の営業組織や提案現場では、8割以上の人がナレッジや資料の共有が組織にとって重要な取り組みだと考えているにもかかわらず、実際にナレッジシェアがうまく機能していると回答した割合は1割以下というデータがあります。ナレッジシェアに課題を感じている場合、既存の導入ツールも含めて見直す価値はあります。時間や人手が足りず、思い通りに進められていない場合は、ぜひAIを活用した専門ツールの検討をおすすめします。手間をかけずにナレッジシェアができれば必ず組織力は向上するはずです。
大島:pitchはプレゼン、craftは技術の意味を持つことから、プレゼンの質を上げるサポートツールでありたいという意味を「Pitchcraft」の名称に込めました。また、魔術を表すwitchcraftにちなんで、良い資料が簡単に組織で次々と作成されている状態を作りたいという願いもあります。
大櫛:今後、多くの業界で人材不足は深刻化していくと思います。人の出入りもより激しくなる時代に、知的資産の整備をすることは急務です。個人のPCのローカル上に置かれがちな資料も積極的にクラウド上に集める。質の高い資料をシェアし、社内の風通しをよくして、組織力を上げ、競争力を高める。そんな環境を実現するために、ぜひ「Pitchcraft」を体験してみてください。
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