生成AIとは
生成AIとは、ユーザーの入力や指示に対してテキストや画像など新たなアウトプットを生み出すことができるAIです。従来のAIは既存情報の識別がメインでしたが、ChatGPTやGeminiなどをはじめとする生成AIでは、ディープラーニングやLMM(大規模言語モデル)などのアプローチを用いることで、新たな情報を生成することができるのです。
生成AIは近年急速にその市場を拡大させています。JEITA(一般社団法人電子情報技術産業協会)が2023年に発表した資料によれば、生成AIの市場は今後一層拡大していき、2030年においては日本で1.7兆円(2023年の約15倍)、世界では2,110億ドル(2023年の約20倍)ほどの需要が見込まれると予測されています。
このように、生成AIは既存のAIよりもクリエイティブであり、幅広い業務へ活用されることが期待されるなど、世界中から大きな注目を集めています。
本稿では、そんな生成AIの特徴について、機能面・ユーザー面から比較を行い、深掘りしていきます。ひとえに生成AIといっても画像生成AIや音声生成AIなど、数多くの種類があるため、本稿では最も身近で汎用性の高い、「ChatGPT」「Gemini」「Microsoft Copilot」「Claude」の4つを紹介していきます。
■生成AIの機能
まずは、生成AIごとの機能の特徴について触れていきます。下の表は、4つの生成AIの特徴を簡単にまとめたものになります。

各生成AIの機能と特徴
各生成AIについてまとめると、汎用性の高い「ChatGPT(チャットジーピーティー)」、様々なツールと連携しやすいのが「Gemini(ジェミニ)」「Microsoft Copilot(マイクロソフト コパイロット)」、とくに安全性が高いのが「Claude(クロード)」といった特徴があります。以下で、それぞれの詳細について触れていきます。
ChatGPTは最も汎用的
ChatGPTは、OpenAIが2022年に公開したものであり、生成AIのさきがけとなっています。文章作成、翻訳、要約、質疑応答、プログラミングなど、幅広いタスクに対応でき、汎用性が高いAIです。
Googleとの互換性が高いGemini
Geminiは、Googleが2023年に発表したものです。Googleが提供しているため、ドキュメントやスプレッドシートなどのGoogle Workspaceと連携がしやすく業務の負担を減らすことができます。また、Googleの検索エンジンに基づいて出力しているため、ChatGPTよりも情報の鮮度が高いといわれています。さらに、テキスト、画像、音声など、多様なデータを同時に処理(マルチモーダル)することができます。
Microsoftとの互換性が高いMicrosoft Copilot
Microsoft Copilotは、Microsoftが2023年に公開したものです。Microsoftが提供していることから、Geminiと同様に、WordやExcelなどの業務で活用できる点やBingの検索エンジンに基づくため情報の鮮度が高いことが特徴です。
Claudeは安全性に優れる
Claudeは、Anthropicが2023年に公開したものです。他の生成AIと比較して、安全性や対話の自然さが優れています。また、情報処理能力が高く、複雑な質問にも比較的正確な答えを返すことができます。
生成AIのユーザー層
ここからは、各生成AIのユーザーを分析することで、ユーザーの特徴の面からも生成AIを深掘りしていきます。なお分析には、毎月更新される行動データを用いて、手元のブラウザで競合サイト分析やトレンド調査を行えるヴァリューズのWeb行動ログ分析ツール「Dockpit(ドックピット)」を用います。
まずは、ユーザー数から、各生成AIの規模感を見ていきましょう。下のグラフはぞれぞれ、各生成AIのサイト訪問者とアプリユーザー(以下「ユーザー」と表現)の推移を示したものになります。

「ChatGPT」「Gemini」「Microsoft Copilot」「Claude」の
サイト訪問者数推移(左)・アプリ起動者数推移(右)
集計期間:2024年3月~2025年2月
集計デバイス:PC、スマートフォン
グラフからは、ChatGPTがとりわけ規模が大きく、ユーザーも大きく増加していることが分かります。Geminiも変動は多いものの、軒並み増加しており、Copilot・Claudeは他2つと比較するとユーザーは少ないものの、着実にユーザー数を増加させています。
学生の利用が多く、Gemini・Copilotは幅広い層から支持
次に、ユーザー(Webサイト訪問者とアプリ起動ユーザーを合算)の性年代や職業から、属性を把握していきます。なお、性年代については、先ほどと同様にDockpitを、職業についてはWeb行動データとアンケートデータを用いたペルソナ分析やクラスタ分析で、誰でも簡単に顧客理解ができる、株式会社ヴァリューズの分析ツール「Perscope(ペルスコープ)」を用います。
はじめに、各生成AIユーザーの男女比を見ていきます。下のグラフからは、4つの生成AIすべてで男性比率が6割以上となっており、男性が多く利用する傾向にあることが分かります。

「ChatGPT」「Gemini」「Microsoft Copilot」「Claude」ユーザーの男女比
集計期間:2024年3月~2025年2月
集計デバイス:PC、スマートフォン
同様に、年代についても見ていきます。下のグラフは、各生成AIユーザーの年代割合を示しています。

「ChatGPT」「Gemini」「Microsoft Copilot」「Claude」ユーザーの年代割合
集計期間:2024年3月~2025年2月
集計デバイス:PC、スマートフォン
上のグラフを見ると、ChatGPT・Claudeはとくに20・30代といった若年層の利用割合が高く、対照的にGeminiとCopilotはネット利用者平均の年代割合と同じような形状となってます。一般的に身近なWebブラウザ(Chrome・Bing)と結びついていることが影響しているのかもしれません。
続いて、各生成AIユーザーの職業を見てみましょう。

「ChatGPT」「Gemini」「Microsoft Copilot」「Claude」ユーザーの職業
集計期間:2024年3月~2025年2月
集計デバイス:PC、スマートフォン
下のグラフからは、4つの生成AIすべてに共通して、学生の割合が高くなっていることが分かります。他には、Claudeはフリーランス・SOHO(Small Office Home Office)の割合が高く、Copilotにおいては管理職の割合も少し高くなっています。
まとめると、4つの生成AIに共通して男性・学生の割合が高いこと、ChatGPT・Claudeは特に若年層(学生)の割合が高いこと、Gemini・Copilotは幅広い年代に利用されていることの3点が分かりました。
ChatGPT・Claudeはヘビーユーザーが多い
ここからは、ユーザーの利用頻度や利用時間から、各生成AIに対するユーザーの関心度合いをDockpitで調べていきます。
はじめに、一人あたりセッション数です。下のグラフは、各生成AIサービスへのWebサイト訪問者が、平均して月に何度サイト訪問を行ったかを示しています。

「ChatGPT」「Gemini」「Microsoft Copilot」「Claude」Webサイト訪問者の一人あたりセッション数
集計期間:2024年3月~2025年2月
集計デバイス:PC、スマートフォン
グラフから特徴的なのは、ChatGPTとClaudeの一人あたりセッション数の高さです。2024年5・6月のChatGPTこそ下落していますが、この2つの生成AIは軒並み一人あたりセッション数が高くなっています。Geminiは、2024年前半は一人あたりセッション数は高かったものの、変動しながら徐々に減少しています。Copilotは変動が少なく、低い水準で推移しています。
また、平均滞在時間を見ていきます。下のグラフは、各生成AIのサイト訪問者の1セッションあたりの平均滞在時間を示しています。

「ChatGPT」「Gemini」「Microsoft Copilot」「Claude」Webサイト訪問者の平均滞在時間
集計期間:2024年3月~2025年2月
集計デバイス:PC、スマートフォン
上のグラフから、直近の2024年11月以降を見ると、セッション数と同様にChatGPT・Claudeの数値が大きく、その後にGemini、Copilotが続くという形になっています。また、Geminiには変動が少なく、Copilotは2024年2月こそ数値が大きいものの、その後は低い水準で推移していることが分かります。
ここまで、一人あたりセッション数・平均滞在時間といった指標を見ると、ChatGPTとClaudeのユーザーは利用頻度が高く利用時間も長くなっていました。この2つのサービスが生成AIサービスの市場として強いのかもしれませんね。
ClaudeはPC、Gemini・Copilotはスマホ利用が多い
ここでは、利用デバイスから、ユーザーのさらなる深掘りを行っていきます。下のグラフは、各生成AIのユーザー(Webサイト訪問者とアプリ起動ユーザーを合算)について、PC・スマートフォンの利用デバイス比を示しています。

「ChatGPT」「Gemini」「Microsoft Copilot」「Claude」Webサイト訪問者の利用デバイス比
集計期間:2024年3月~2025年2月
集計デバイス:PC、スマートフォン
グラフを見ると、Claudeは特にPCでの利用割合が高く、対照的にGemini・Copilotはスマートフォンでの利用割合が高くなっていることが分かります。これまでの分析にあったような、GeminiとCopilotが幅広い年代に利用されていることやヘビーユーザーがさほど多くないことは、この「スマートフォンでの手軽な利用が多い」ことと結びついているのかもしれません。
併用利用者は多い?
各生成AIの併用状況からも、ユーザーの深掘りを行っていきます。ユーザーは単一のAIサービスで完結させているのでしょうか、それとも、目的や用途に合わせて、生成AIを使い分けているのでしょうか。各生成AIのユーザー(Webサイト訪問者とアプリ起動ユーザーを合算)から調べていきます。
まずは、ChatGPTから見た併用状況です。ChatGPTはユーザー数が他の生成AIと比較して特にユーザー数が多かったため、併用無しが8割以上を占める結果となりました。

「ChatGPT」ユーザーから見た、他3つのサービスの併用状況
集計期間:2024年3月~2025年2月
集計デバイス:PC、スマートフォン
続いて、Geminiから見た併用状況です。ChatGPTとの併用は34%と多少あるものの、6割強のユーザーが併用無しであることが分かります。

「Gemini」ユーザーから見た、他3つのサービスの併用状況
集計期間:2024年3月~2025年2月
集計デバイス:PC、スマートフォン
同様に、Copilotの併用状況を見ていきます。約42%がChatGPTを併用しており、25%がGeminiを併用していました。

「Copilot」ユーザーから見た、他3つのサービスの併用状況
集計期間:2024年3月~2025年2月
集計デバイス:PC、スマートフォン
最後に、Claudeから見た併用状況です。先に述べたように規模はCopilotとあまり変わりませんでしたが、併用無しは9.6%と1割を切っており、特にChatGPTとの併用割合が86%と高く、併用者のほとんどを占めていました。

「Claude」ユーザーから見た、他3つのサービスの併用状況
集計期間:2024年3月~2025年2月
集計デバイス:PC、スマートフォン
以上のように、ユーザーが特に多いChatGPTはもちろん併用が少なかったものの、GeminiやCopilotにおいても半数近くが単独利用であり、用途に応じて生成AIサービスを使い分けているユーザーの割合は多くない可能性が示されました。Claudeにおいては、ユーザーのほとんどがChatGPTを併用しており、目的や用途によって使い分けている可能性がおおいにあることが分かりました。
各生成AIによって関心は様々
ここからは、各生成AIユーザーの関心アプリを調べ、ユーザーの生成AI利用の目的を明らかにしていきます。
まずは、ChatGPTユーザーの関心アプリです。下の表はChatGPTユーザーの関心アプリをリーチ差順に示しています。

「ChatGPT」ユーザーの関心アプリ
集計期間:2024年3月~2025年2月
集計デバイス:PC、スマートフォン
上の表では、XやInstagram、Prime Videoなど一般的に多くの人が利用するアプリが挙げられているほか、Googleドキュメントや翻訳、スプレッドシートといった、Google系アプリの関心も高くなっています。ChatGPTユーザーの8割が単独利用だったことも踏まえると、Geminiを使わずにChatGPTだけでGoogle系の業務効率化を図っている人も多そうです。
続いて、Geminiユーザーの関心アプリをリーチ差順に示した下のグラフを見ていきます。12位までのうち、9つがGoogle系アプリとなっており、Google系アプリとの連携が売りであるGeminiの特徴が十分に表れています。

「Gemini」ユーザーの関心アプリ
集計期間:2024年3月~2025年2月
集計デバイス:PC、スマートフォン
同様に、Copilotユーザーの関心アプリについても見ていきます。12位までに5つのMicrosoftソフト系アプリがランクインしており、その強みが表れています。また、ChatGPTやGeminiとの併用ユーザーが一定数いるため、それらのユーザーの関心アプリも多くランクインしています。

「Copilot」ユーザーの関心アプリ
集計期間:2024年3月~2025年2月
集計デバイス:PC、スマートフォン
最後に、Claudeユーザーの関心アプリも見ていきます。左下の表はClaudeユーザーの関心アプリを特徴値順(比較的規模が小さいものがランクインする)に示しています。表のほとんどがAI関連のアプリという結果となりました。Claudeにヘビーユーザーが多かったことや他の生成AIとの併用割合が高かったことも踏まえると、ClaudeユーザーはAIに特に関心が高い層が集まっているのかもしれません。

「Claude」ユーザーの関心アプリ
集計期間:2024年3月~2025年2月
集計デバイス:PC、スマートフォン
まとめ
ここまで、「ChatGPT」「Gemini」「Microsoft Copilot」「Claude」という4つの生成AIについて、機能面・ユーザー面から特徴や違いを明らかにしてきました。ここではまとめとして、分析結果を下の表に示します。

分析のまとめ
生成AIは作業の早さや幅広さから、今後も間違いなく拡大を続けていくコンテンツです。今回明らかにした、機能の特徴やユーザーの実態を参考に、自分にあった生成AIを見つけてみてはいかかでしょうか。

【2025年】生成AIツールと活用事例7選。マーケターはどう使う?
https://manamina.valuesccg.com/articles/3944#outline64生成AIは魅力的なツールであるため、ビジネスで活用したいと考える人は多いかもしれません。マーケターの方々に向けて、Google GeminiやAdobe、Canvaなどの生成AIツールと活用事例、導入ステップを紹介していきます。
▼今回の分析にはWeb行動ログ調査ツール『Dockpit』を使用しています。『Dockpit』では毎月更新される行動データを用いて、手元のブラウザでキーワード分析やトレンド調査を行えます。無料版もありますので、興味のある方は下記よりぜひご登録ください。
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2025年4月に入社予定の大学4年生です。大学では、経済学部で計量経済学を学んでいます。