Slackとは
Slack(Searchable Log of All Conversation and Knowledge) は2013年にリリースされたビジネス用のメッセージングアプリです。 2017年11月に日本語版がリリースされ、弊社ではメールに変わる「主たるコミュニケーションの場」「なくてはならないインフラ」として活用しています。
2023年1月現在、Slackの主な機能は以下【表1】になります。
今回は【表1】 ⑥アプリ連携の1つである「Salesforce × Slack」連携アプリを取り扱います。
【表1】Slack の主な機能
No | 機能 | 機能概要 | |
基本 機能 |
① | チャンネル | 招待した関係者とコミュニケーションを取る場所(パブリックチャンネル) 招待されていない方も閲覧・投稿可能 |
関係者を限定することも可能(プライベートチャンネル) 招待されていない方は閲覧・投稿不可 |
|||
音声またはビデオ通話(ハドルミーティング) | |||
ファイルやリンク共有 | |||
スタンプ機能(リアクション) | |||
② | Slackコネクト | 社外の方とも同じように指定したチャンネルを利用可能 | |
③ | ダイレクトメッセージ | プライベートチャンネルを作成するほどでもない個別のやりとり | |
応用 機能 |
④ | ワークフロー | タスク・プロセスの自動化 |
⑤ | Todo管理・アラート | 通知やアラート、リマインドなどのお知らせ | |
⑥ | アプリ連携 | 自社システムやクラウドサービスとのシームレスな連携を実現 (ゲストユーザは利用不可) |
Salesforce×Slack連携アプリについて
まず、Salesforce社とSlack社が提供している連携アプリの一部 を【図1】で表現しましたのでご覧ください。
Slack社はSalesforce社と合併する前から、Salesforceと連携可能なアプリ(図1-①)を提供していました。
合併後、Summer'22 (2022年6月)に Salesforce社による新たな連携アプリ(図1-②以降)が正式リリースされました。今後も機能を取捨選択した上でのサービス統合が進み、ゆくゆくはSlack社が構築したアプリ(図1-①)は利用できなくなる旨案内されています。
そのため、今から連携機能を活用しようと考えているのであれば、目的に応じて最近リリースされた 連携アプリ(図1-②以降)を利用して構築していくのが望ましい 状況です。但し、Slack社が提供しているアプリ(図1-①)との連携方法を記載している記事やサイトが非常に多いのでご注意ください。和訳の兼ね合いでヘルプ・記事によってアプリ名称が異なるケースもありますのでアイコンで確認するのが確実です。
【図1】Salesforce社とSlack社が提供している連携アプリ
Salesforceサービス共通の 連携アプリ |
Salesforceサービス毎に提供される 連携アプリ(一部掲載) |
||||
Slack社提供 | Salesforce社 提供 |
Salesforce社提供 | |||
① | ② | ③ | ④ | ⑤ | ⑥ |
Salesforce | Salesforce for Slack (Salesforce Digital HQ アプリ) |
Sales Cloud for Slack |
Service Cloud for Slack |
Account Angagement for Slack (旧Pardot) |
CRM Analytics for Slack (旧TableauCRM) |
廃止予定 (時期未定) |
Summer'22 正式リリース |
Summer'22 正式リリース |
Winter'23 正式リリース |
簡潔に申し上げると、目的に応じてアプリを使い分け、場合によっては複数利用されるのがオススメです。
②Salesforce for Slack アプリ
L Lightning Platform を利用していて、承認/否認機能や、
全てのSalesforce アプリのサインイン・認証を共通化したい場合
③Sales Cloud for Slack アプリ
L Sales Cloudを利用していて、通知やレコード検索・編集機能を利用したい場合
他、商談とチャンネルを紐づける(販売チャンネル機能を利用)ことで、レコードのステータス・
フェーズの変化、金額の変動、完了予定日の更新等を通知し、チャンネルメンバーと
リアルタイムに商談の状況を共有・可視化することができます。
廃止予定の①Salesforce アプリは、③に近い機能になります。
また、「図1-②以降」のアプリは各サービス毎に連携アプリを開発している(開発者も異なる)為、できることが異なるそうです。共通化できる機能については一元化を期待したいですね。
※参考動画:Sales Cloud for Slack | Where the future works
https://www.youtube.com/watch?v=TIyEULO1rx0Sales Cloud for Slack を活用した Salesforce と Slack の連携イメージ像を紹介(日本語字幕有り)
以降は、【図1】①~③の連携アプリに着目して、主な機能、詳細、設定を比較表を元にご案内します。
【表2】主な機能
主な機能 \ アプリ | ① Salesforce(廃止予定) |
② Salesforce for Slack |
③ Sales Cloud for Slack |
① Slack上でSalesforceレコードの操作 | ◯ 検索・表示・共有 |
◯ 承認・否認・共有 |
◎ 検索・表示・変更・共有 |
② 任意のSlackチャンネルにSalesforceレコードを紐づけ | ◯ | × |
◯ |
③ Slackチャンネルや自分へ通知 | ◎ | ◯ フローで対応 |
◎ フローで対応 |
④ Slack-Salesforce 間でメッセージを反映 | ◎ | × | × |
⑤ Slack上で承認/否認 | × | ◎ | × |
⑥ Slack上で画面フローを起動(β版) | × | ○ | ○ |
⑦ 一括認証 | × | ◎ | × |
補足 | 通知の言語の初期値:英語 | Salesforce for Slack にサインする事でワークスペース内の他のアプリにサインインする必要無し | ②③を行うことで、任意のチャンネルに自動通知等が可能になり、チャンネルメンバーで状況確認が可能に |
【表3】機能詳細
機能詳細 \ アプリ | ① Salesforce (廃止予定) |
② Salesforce for Slack |
③ Sales Cloud for Slack |
||||
① Slack上でSalesforceレコードの操作 | レコードを検索し、確認、共有 | ◎ | ○ 共有のみ |
◎ | |||
レコードを作成、更新 | × | ◎ 承認・否認のみ |
◎ | ||||
標準オブジェクト | 取引先 取引先責任者 商談 リード |
○ | ○ | ○ | |||
ケース Todo |
○ | × | |||||
カスタムオブジェクト | システム管理者による設定が必要 | システム管理者による設定が必要、 Salesforceでグローバル検索可能なオブジェクトが対象(※1) |
|||||
表示/編集項目の設定 | ◯ 9項目まで カスタマイズ可能 |
◯ Slack レコード レイアウト でカスタマイズ可能(※2) 初期値:コンパクトレイアウト |
|||||
セールスパイプライン(商談リストビュー)を確認して、商談レコードを管理 | × | × | 〇 | ||||
② 任意のチャンネルにSalesforceレコードを紐づけ | Slack上でチャンネルとレコードを紐づける | 〇 | × | ◎ 販売チャンネル |
|||
チャンネルとレコードを紐づけた時、Slackチャンネルに自動でレコードURLをピン止め | × | × | ◎ | ||||
Salesforce上からレコードを紐づけながら、チャンネルを作成・招待 | × | × | ◎ | ||||
Salesforce上でチャンネルとレコードの紐づけを確認 | × | × | ◎ 関連レコード |
||||
③ Slackチャンネルや自分へ通知 | 自分にレコードが割り当てられると自分に通知が届く | 〇 My Alerts |
〇 | ◎ | |||
Salesforce のレコードが変更されると任意のSlack のチャンネルに投稿 | 〇 Channel Alerts |
〇 固定のチャンネル |
◎ 販売チャンネル |
||||
特定のオブジェクトのレコードに関する更新情報を任意のチャンネルに投稿 | 〇 Bulk Alerts |
〇 固定のチャンネル |
◎ フィードチャンネル |
||||
④ Slack-Salesforce 間でメッセージを反映 | Slack メッセージを Salesforce に送信(リンク) | 〇 | × | × | |||
Salesforce レコードを Slack に送信 | 〇 | × | × |
アプリの設定・インストールについて
【表4】設定・インストール
設定・インストール \ アプリ | ① Salesforce(廃止予定) |
② Salesforce for Slack |
③ Sales Cloud for Slack |
|
1) セットアップページ | セットアップページ | Salesforce 「Slack Setup」アプリケーション(2)のアプリインストール後に利用可能 ) |
× | × |
Salesforce上の設定画面(一部抜粋) | ①「Slack の初期設定」 |
①「Slack の初期設定」 |
||
・上記ガイドに従って設定を進めることで利用可能 ・事前に該当アプリで「何ができるか」を理解しておく事が重要 | ||||
2) インストールアプリ | Salesforce 「AppExchange」 | Salesforce for Slack
- Unlock collaboration across sales and service |
× | × |
Slack 「Slack app directory」 | Salesforce | Salesforce for Slack Slackワークスペース管理者による承認、並びにSlack へのインストールが必要 |
Sales Cloud for Slack Slackワークスペース管理者による承認、並びにSlack へのインストールが必要 |
|
3) 必要な「権限セット」(権限) | Salesforce | 「Slack Standard User」 ・Slack Auth ・Slack Message ・Slack Setup |
・Salesforce を Slack に接続 | 「Sales Cloud for Slack」 ・Salesforce を Slack に接続 ・Slack Sales ユーザ ・フローを実行 |
4) 必要な「Salesforceのインターフェース」 | Lightning Experience | 〇 | 〇 | 〇 |
Classic Experience | 〇 | × | × | |
5) 必要な「Salesforceのエディション」 | Enterprise、 Unlimited、Developer |
〇 | 〇 | 〇 |
Professional | 〇 ※Salesforce API へのアクセス権限が必要 |
× | ||
Performance | 〇 | 〇 | 〇 | |
6) 問い合わせ先 | アプリのWEBサポート | ツールの連携とタスクの自動化
(画面右上のお問い合わせボタンを押下) 機能追加・改修予定無 |
Salesforceの通常のお問い合わせ・サポート (トピック SalesCloud for Slack を選択) |
|
7) 複数組織への接続 | 不可。Salesforce とSlackは1つの環境としか接続できないので注意(本番環境/Sandbox の併用は不可) → Spring'23(2023年2月)β版で最大 5 つの Salesforce 組織に接続が可能に |
※参考サイト:Salesforce×Slack インストール・初期設定
https://musukano.com/launch-flow-from-slack/Salesfoce × Slackの初期設定方法を画面イメージ付きで解説(②Salesforce for Slack、③SalesCloud for Slack利用時に活用)
参考サイト一覧 No.9 参照
また、通知例3のように商談URLを可変にしたい場合は、フロー内のコアアクション「Slack メッセージを送信」を編集を用いて、Slackメッセージテキストを作成します。Slack で使われる "mrkdwn" 形式でリンクを表現することで対応可能です。
「Slack 通知(カスタム通知)」の差し込み項目では、商談のURLを可変にすることができませんのでご注意ください。(カスタムデスクトップ通知とモバイル通知のタイトル項目と本文項目では、テキスト形式のみをサポート)
【図2】②Salesforce for Slack 利用時のSlack投稿画面
通常、Slack上にSalesforceのURLを投稿・共有すると【図2】①のようにリンクが表示されます。
②Salesforce for Slack を利用すると【図2】②のようにリンクとレコード情報が自動で表示され、
「Slackで表示」ボタンを押下すると「Slackレコードレイアウト」で設定した項目を表示し、Slack上で更新が可能になります。
「Slaesforceで開く」ボタンを押下すると、リンク同様Salesforce画面が表示されます。
弊社では、③SalesCloud for Slack を通知メインで利用していく予定です。
・Slackの領域の占有度合いを下げたい為、②Salesfoce for Slack の利用は先送り。
・Slackレイアウトにも課題があり、③SalesCloud for Slack のレコード登録・更新機能はもう少し使い勝手がよくなってから活用を検討。
最後に
冒頭に記載した問いかけは著者自身のことです。弊社にて本ツールの導入・設定を進めていた際、どのアプリをどんな時に活用すればよいのかわからず一時迷走しました。ヘルプページもまだあまり日本語化されていない中、誘導されすぎてWEB上で迷子にも。。
しかしながら、ツールの関係性・全体像を理解できたことで、各種設定をスムーズに行えるようになりました。今後は、プリインストールしたフローの中身・構造を理解し、オリジナルの通知設定に取り組む予定です。Salesforce × Slackの連携関連の Trailehead の充実はこれからのようですので、本記事を通して、Salesforce × Slack 連携アプリ 導入の足がかりとなりましたら幸いです。
■更新履歴
※2023年2月21日
Salesforceのリリースに伴い、【表4】設定・インストールの内容を更新しました。
※本記事は、執筆当時の製品リリース情報を元に作成しています。製品・機能の追加、更新により情報が古いままになっている可能性もありますので、必ず最新情報をご確認ください。
■参考サイト一覧
Chrome をご利用で英語のヘルプページを日本語でご覧になりたい方は「右クリック」の上「日本語に翻訳」機能をご利用ください。
No | 内容 | URL | |
1 | サービス紹介ページ | Salesforce Integrations for Slack | 英語 日本語 |
2 | Salesforce×Slack連携のヘルプポータル | Salesforce for Slack Integrations | 英語 |
3 | Salesforce for Slack 統合リリースノート | Salesforce for Slack Integrations Release Notes | 英語 |
3-1 | Salesforce Apps for Slack リリースノート | Salesforce Apps for Slack Release Notes | 英語 |
3-1-1 | Sales Cloud for Slack リリースノート | Sales Cloud for Slack Release Notes | 英語 |
3-2 | 管理ツール リリースノート | Salesforce Admin Tools for Slack Release Notes | 英語 |
3-2-1 | Salesforce for Slack リリースノート | Salesforce for Slack App Release Notes | 英語 |
4 | Salesforce for Slack 機能紹介 | Salesforce for Slack | 英語 |
5 | Sales Cloud for Slack 機能紹介 | Sales Cloud for Slack | 英語 |
6 | Sales Cloud for Slack (正式リリース) | Sales Cloud for Slack (Generally Available) | 英語 |
7 | Sales Cloud for Slack 通知フローのリファレンス | Sales Cloud for Slack Notification Flows Reference | 英語 |
8 | Slackのフローコアアクション | Slack Flow Core Actions | 英語 |
9 | カスタム Slack 通知への標準通知のコピー | - | 日本語 |
10 | Slack 通知の差し込み項目 | - | 日本語 |
11 | 通知ビルダーに関する考慮事項 | - | 日本語 |
12 | Slack 向け Salesforce アプリの制限事項 | - | 英語 |
当メディア「マナミナ」を運営する株式会社ヴァリューズでは自社データの分析・活用支援も行っております。興味をお持ちの方はぜひ下記よりお問い合わせください。
大手独立系SIer、ITベンチャー企業、大手マーケティングリサーチ企業での職務を経て、2015年に株式会社ヴァリューズへ中途入社。2021年からSalesforceの業務支援に携わるようになり現在に至る。趣味は旅行、散歩。