【第1回】Salesforceの標準オブジェクトとは?初心者向けの解説まとめ

【第1回】Salesforceの標準オブジェクトとは?初心者向けの解説まとめ

Salesforceを活用するうえで、重要な概念が「​オブジェクト」です。 本記事では、Salesforceの主要な標準オブジェクトについて、初心者の方向けにご紹介します。


Salesforce導入後、時間の経過と共に、「新しい課題が生まれカスタマイズを行いたいが、導入支援パートナーとの契約は終了しており、手をつけられていない」「自社で開発を考えているが、Salesforceのオブジェクト(データ)の構造・全体像がわからない。」といった方も多いのではないでしょうか。

Salesforceはプログラミング言語の知識がない方でも、一定量ノーコード(コーディング不要)で実装できるのが強みですが、構造の理解は不可欠です。今回、初心者の方向けに、参考サイトと一部データ構造をまとめたものをご紹介します。

オブジェクトについて

Salesforceは営業活動を支援するSFA(Sales Force Automation)の機能と、顧客情報を管理・蓄積するCRM(Customer Relation Managemnet)の機能を兼ね備えているツールです。また、多数の「オブジェクト」で構成されるRDB(Relational Database)です。

「オブジェクト」とは、一言で表すとデータを格納する「箱」のことで、「取引先」「商談」など目的・性質に応じてデータを分類し、蓄積します。
「商談名」「取引先名」「完了予定日」など「オブジェクト」を構成する要素を「項目(フィールド)」と呼び、あらかじめ「項目」にリレーションを設定することで、「オブジェクト」間で情報を連携することができます。

Salseforceには、「取引先」のように 標準機能として提供されている標準オブジェクトと、組織独自で作成することができるカスタムオブジェクトが存在します。

Salseforceのデータベース構造

Salseforceのデータベース構造

次に、標準オブジェクトのデータ構造・オブジェクト間の連携を把握できるサイトについてご案内します。

標準オブジェクトの構造・定義把握に役立つサイト

Developer向けサイト

データモデル(ER図)

Salesforce組織にデフォルトで実装されている標準オブジェクトがどのように連携されているのか、依存関係を把握することができます。「セールスアプリケーションに関するオブジェクト」「ToDo オブジェクトと行動オブジェクト」「商品オブジェクトとスケジュールオブジェクト」の3つは、商談と関連するオブジェクトが何かであったり、活動・行動・Todoの関係性理解にも役立ち、プロセスビルダーやフローの実装など自動化する際に活用できます。

※参考:ER図の見方

【図解あり】初心者向け!ER図とEER図の基本とツールの選び方 | Cacooブログ

https://cacoo.com/ja/blog/entity-relationship-diagram-for-beginner/

ウェブサイトやシステムの複雑なデータベースの構造を可視化したいときは、ER図(実体関連モデル図)やEER図(拡張実体関連モデル図)をデータベースの設計図として活用しましょう。本記事では、ER図とEER図の基本と違い、ER図の作成ツールの選び方をご紹介します。

標準オブジェクト定義

各オブジェクトの項目説明です。SalesforceのUI上表示されない項目や項目名(英語表記)の記載や、オブジェクトの特徴・使用方法の記載があり、EmailMessage とTodo オブジェクトの関係性なども理解でき、こちらも実装時に活用できます。

Helpサイト

標準オブジェクト定義(取引先)
https://help.salesforce.com/articleView?id=sf.account_fields.htm&type=5

標準オブジェクト定義(取引先責任者)
https://help.salesforce.com/articleView?id=sf.contacts_fields.htm&type=5

標準オブジェクト定義(商談)
https://help.salesforce.com/articleView?id=sf.opp_fields.htm&type=5

標準オブジェクト定義(商談商品)
https://help.salesforce.com/articleView?id=sf.opportunity_product_fields.htm&type=5

標準オブジェクト定義(リード)
https://help.salesforce.com/articleView?id=sf.leads_fields.htm&type=5

商談周りの標準オブジェクトをピックアップ

主要な標準オブジェクトを業務フローにマッピングしてみます。

【図1】は、全体像を把握するため、実際の業務の流れ・フローと、オブジェクトをマッチングした例です。
(※フローは一例)


【図1】標準オブジェクトを業務フローにマッピング

【図1】標準オブジェクトを業務フローにマッピング

【図1】に主要なキーを記載し、オブジェクト間の関連性を理解できるようにしたものが【図2】です。


【図2】商談周りの標準オブジェクト

【図2】商談周りの標準オブジェクト

さらに【図3】は、【図2】の明細と価格表の関係を把握できるようにしています。


【図3】商談周りの標準オブジェクト(明細)

【図3】商談周りの標準オブジェクト(明細)

※視認性を高めるため一部のオブジェクトは省略しました。また、図を分割しているため一部のオブジェクトは重複しています。

こうしてみると各企業によって利用する機能を選択できるよう、柔軟な構造になっているのがわかります。

利用頻度が高い標準オブジェクト一覧

利用頻度が高いSalesforce標準オブジェクト一覧を作成しました。


名称
API参照名管理情報、利用用途(※1:要有効化)
取引先
Account
自社と取引のある、または取引する可能性のある企業情報。
法人だけでなく、個人の取引先も管理可能で、顧客/競合/パートナー企業全てを含みます。(※1)
※リレーションの中心となるオブジェクト。

取引先責任者
Contact
契約が成立もしくは商談が発生したお客様の名刺情報や、属性情報。
※1 人の取引先責任者を複数の取引先に関連付けることができます。(※1)
※リードまたは他のソースから発生します。

リード
Lead

自社の商品やサービスを購入する可能性のある、見込み/潜在顧客情報。

(お問い合わせされた方や、セミナー・キャンペーンに応募された方等)

※見込み顧客が取引先責任者に昇格すると、リード上からは非表示になります。
※リード上で取引を開始すると、関連する取引先責任者、取引先、商談の各レコードを自動的に作成することができます。

ケース
Case
顧客からのお問い合わせや質問、そのフィードバック等。
キャンペーン
Campaign
広告、メール、デモ、Webセミナー、展示会などのマーケティング活動全般のキャンペーン情報。
※それぞれ施策別に管理することができ、キャンペーン毎に、関連づくリード数、商談化した数、成立した商談の数や金額を可視化し、費用対効果を測ることができます。

商談
Opportunity

取引先、販売商品、販売予定額、成約予定日など、商談の内容や進捗・営業プロセスを管理

※フェーズ・確度毎に、売上予測を立てることができます。

商談商品
OpportunityLineItem
販売対象の商品明細情報。
※商品を商談に登録できるようにするには、商品/価格表/価格表エントリの3つの情報が必要です。

品目名スケジュール
OpportunityLineItemSchedule
特定の商談商品の数量、収益、納品日に関する情報。(※1)
※売上予測機能を利用できるようになります。

商談 取引先責任者の役割
OpportunityContactRole
商談に関係のある取引先の担当者情報。
※決済者/インフルエンサーなど、役割に応じて複数名登録することができます。

見積
Quote
商談の見積情報。(※1)
※見積を複数作成・管理し、商談成立後、採用した見積を商談商品に反映させることができます。

見積品目名
QuoteLineItem
見積対象の商品情報。
注文
Order
顧客から受けた注文情報。(※1)
※会社と顧客間の契約が起点となり、削減・返品なども可能です。

注文商品
OrderItem
注文対象の商品情報。
納入商品
Asset
販売品のシリアル番号、購入日、その他の情報なども含め、顧客が購入した特定の商品情報。
※自社以外で購入された商品も管理します。

契約
Contract
取引先および商談に関する契約情報。(※1)
※ワークフローアラートを利用することで、承認プロセスを通すことや、契約更改の通知を受け取ることができます。

商品
Product2
商品のマスタ情報。
価格表
Pricebook2
価格表。
※価格表を複数作成・管理することができ、1つの商品に対して様々な価格設定を行うことができます。

価格表エントリ
PricebookEntry
価格表に登録された商品情報。
※単価を管理します。

活動
Activity
電話やメール、訪問結果など日々の営業活動の業務記録。
※活動には ToDo、行動が含まれます。
※ToDo/行動にカスタム項目を追加する場合は、活動に追加します。
※ToDo/行動のレイアウトを修正する場合は、それぞれのオブジェクトで修正します。

ToDo
Task
ユーザがすべき営業活動をToDo情報(タスク)として登録し、進捗状況を管理。
※期日を過ぎても自動的に完了にならず、明示的に完了にする必要があります。
 例)明日の商談に向けて「提案書作成」をTodoとして登録

行動
Event
ユーザの日々の営業活動をスケジュール(行動)として登録し、予定を管理。
※期日を過ぎたら、自動的に完了になります。
 例)明日の商談の日程/場所を行動として登録

活動予定
OpenActivity
活動予定 (将来の行動や未完了の ToDo) の関連リストに表示される情報。
※オブジェクトに関連する全ての取引先責任者の活動が含まれます。

メール
EmailMessage
メール-to-ケースまたは拡張メールを使用している場合、取引先や取引先責任者、リードなどの活動コンポーネントから、メールを送ることができます。
※メール送信と同時にToDoが作成されます。

ユーザ
User
ユーザのアカウント情報。

本記事が、Salesforceの標準オブジェクト理解の参考になれば幸いです。

※本記事は、執筆当時の製品リリース情報を元に作成しています。
 製品・機能の追加、更新により情報が古いままになっている可能性もありますので、必ず最新情報をご確認ください。

当メディア「マナミナ」を運営する株式会社ヴァリューズでは自社データの分析・活用支援も行っております。興味をお持ちの方はぜひ下記よりお問い合わせください。

​​

メールマガジン登録

最新調査やマーケティングに役立つ
トレンド情報をお届けします

この記事のライター

マナミナは" まなべるみんなのデータマーケティング・マガジン "。
市場の動向や消費者の気持ちをデータを調査して伝えます。

編集部は、メディア出身者やデータ分析プロジェクト経験者、マーケティングコンサルタント、広告代理店出身者まで、様々なバックグラウンドのメンバーが集まりました。イメージは「仲の良いパートナー会社の人」。難しいことも簡単に、「みんながまなべる」メディアをめざして、日々情報を発信しています。

関連するキーワード


Salesforce

関連する投稿


【第4回】Salesforce と DocuSign を連携するには?

【第4回】Salesforce と DocuSign を連携するには?

DX化の一端として、電子署名ツールの導入を検討されていますか?当メディアを運営している株式会社ヴァリューズでは数ある電子署名ツールの中から DocuSign 社が提供しているサービスを導入しました。それにより、契約業務のプロセスをペーパレス/自動化し、数日~数週間かかっていた契約書の署名捺印を数十分~数時間で完了できるようになりました。郵送コストの削減、締結した契約書もサーバーに自動保存され、改ざん・証拠力の担保、などの恩恵に預かっています。 今回は標準機能のみで Salesforce × DocuSign 連携を行った弊社の事例をご紹介します。※DocuSign社の「導入後コンサルとしてのサポートプラン」は契約しておりません。


【第3回】SalesforceとSlackを連携するには? ~ Summer '22 対応版

【第3回】SalesforceとSlackを連携するには? ~ Summer '22 対応版

2021年12月に Salesforce社とSlack社が合併し、Salesforce と Slack サービスを連携する方法も形を変えて進化しています。それに伴い、数ある連携アプリの内どのアプリを活用すればよいのか戸惑っている方はいらっしゃいませんか? 新しい Salesforce × Slack 連携ツールの紹介記事も少ない中、今回は 標準機能のみで Salesforce × Slack 連携アプリを導入する方向けに、各アプリの違いをご紹介します。


【第2回】ワークフロー・プロセスビルダーからSalesforceフローへの移行の心得とは?

【第2回】ワークフロー・プロセスビルダーからSalesforceフローへの移行の心得とは?

Salesforce の導入利点として、年に3回行われるメジャーリリースがあげられます。それにより、Salesforce のサービスがアップグレードし、更に拡張された機能が利用できるようになります。一方で、利用できなくなる機能もあり、今回は廃止予定の「ワークフロー」と「プロセスビルダー」を「フロー」化対応した際の心得についてお話します。


最新の投稿


GWに10連休を取得する人は約2割!連休の予定はインバウンドの影響か「国内旅行」が下降し「家事」が上昇【mitoriz調査】

GWに10連休を取得する人は約2割!連休の予定はインバウンドの影響か「国内旅行」が下降し「家事」が上昇【mitoriz調査】

株式会社mitorizは、消費者購買行動データサービス「Point of Buy®」の会員に対し「大型連休に関する調査」を実施し、結果を公開しました。


Supportive fans are willing to spend money? “Oshikatsu” insights & applying it to marketing strategy

Supportive fans are willing to spend money? “Oshikatsu” insights & applying it to marketing strategy

“Oshikatsu” stimulates consumption in Japan. In fact, more than 80-90% of teens answered that they have an “Oshi.” We will deepen our understanding by investigating the current state of the “Oshikatsu” market, behaviors like time and money spent on “Oshikatsu,” and its connection with collaborations, etc. in marketing.


三井不動産、ECブランドの成長を支援するプラットフォームを提供開始

三井不動産、ECブランドの成長を支援するプラットフォームを提供開始

三井不動産株式会社は、統合コマースプラットフォーム「ecforce」を提供する株式会社SUPER STUDIOとともに、ECブランドの成長を“商業”と“物流”の両面から支援するプラットフォームを提供開始したことを発表しました。


【TVドラマランキング】共感性や独自性が話題に。「不適切にもほどがある!」「君が心をくれたから」など

【TVドラマランキング】共感性や独自性が話題に。「不適切にもほどがある!」「君が心をくれたから」など

近年動画配信サービスが普及し、時間や場所にとらわれず様々なジャンルの動画を手軽に視聴できるようになりました。テレビ離れが幅広い年代で囁かれている時代、話題になるテレビドラマとは、どのようなものなのでしょうか。今回は、2024年1月~3月に放送されたドラマについて、認知度や視聴方法、満足度、満足理由などをランキング化。その実態を探りました。


配膳ロボットの認知率は約9割、現在利用率は6割 1年後には利用率1.4倍伸びる!?【LINEリサーチ調査】

配膳ロボットの認知率は約9割、現在利用率は6割 1年後には利用率1.4倍伸びる!?【LINEリサーチ調査】

LINEリサーチは、今と近未来の流行予想を目的として「配膳ロボット」にかんする流行予想調査を実施し、その結果を公開しました。


競合も、業界も、トレンドもわかる、マーケターのためのリサーチエンジン Dockpit 無料登録はこちら

アクセスランキング


>>総合人気ランキング

ページトップへ