「物流の2024年問題」に関するアンケート【インターワイヤード調査】

「物流の2024年問題」に関するアンケート【インターワイヤード調査】

トラックドライバーの時間外労働時間の上限を規制する「働き方改革」の法律適用が来年4月に迫り、それに伴うドライバー不足、物流の停滞、コスト上昇などが懸念される「物流の2024年問題」がクローズアップされてきています。宅配便をはじめ、私たちの暮らしにも大きな影響が出てくるこの問題を、消費者・生活者はどのように捉え、どのように対応しようとしているのでしょうか。それを探るため、インターワイヤード株式会社が運営するネットリサーチのDIMSDRIVEは、一般社団法人流通問題研究協会(IDR)と共同で、「物流の2024年問題」に関するアンケートを行い、「物流の2024年問題」の認知度、宅配便再配達削減への意識と取り組みなどについてまとめました。


宅配便の利用シーン…最も利用されているのは「ネット通販」での購入

宅配便の利用(受取り、発送)シーンは?

宅配便の利用(受取り、発送)で最も高いのは「ネット通販で購入したとき」で83.0%。
「お中元・お歳暮」「お祝いの品を送るとき」が20%台で続いている。
「宅配便は全く利用しない」は9.8%であり、全体の9割は宅配便を利用している。

<男女別>
女性の方が男性より、全体的に様々なシーンで宅配便を利用している。
特に、「お祝いの品を送る」「フリマの取引」は男性を10ポイント近く上回っている。
一方男性は、「ネットオークションの取引」「レジャーのとき」などの利用率が女性より高い。

宅配便の受取り頻度「月1回以上」…76.1%、発送頻度「月1回以上」…22.4%

宅配便の受取り頻度

宅配便の受取り頻度が「月1回以上」は76.1%で、4人に3人の割合。
男性の方が受取り頻度は高めで、「月1回以上」の割合は女性より高い。

宅配便の発送頻度

宅配便の発送頻度は、受取り頻度に比べ低めで「月1回以上」は22.4%。
「ほとんどない」が3人に1人の割合となっている。
20代の若年層は「ほとんどない」が半数近くに対し、60代以上の高年代層では「ほとんどない」は2割ほどにとどまっている。

「物流の2024年問題」認知率…69.8%。「内容まで認知」は18.2%にとどまる

「物流の2024年問題」認知率

「物流の2024年問題」について、認知度を尋ねたところ、合計で69.8%が認知しているとの回答だった。
しかし大半は「見聞きしたことがある」というレベルであり、「内容まで知っている」は18.2%にとどまっている。

<男女別>
男性の方が、女性より認知度は高めである。

<年代別>
若年層に比べ、全体的に高年代層の方が認知度は高くなっている。

「ドライバーの労働環境改善」は、大半が肯定評価。「料金値上げ」は態度が分かれる

「物流の2024年問題」に関連した、宅配便に対する意識・評価

消費者に身近な宅配便について、「物流の2024年問題」に関連した意見に対する評価を尋ねた。
「トラックドライバーの労働環境を改善するのはよいこと」「再配達削減のため消費者側も協力すべき」に関しては、それぞれ「そう思う」という肯定評価が合計で8割近くを占めている。
一方で、”料金値上げ”については他の意見より肯定・否定が分かれており、「ドライバーの待遇改善や人材確保のための、宅配料金値上げ」は肯定評価が5割台にとどまっている。
”配送日数関連”については、「従来に比べ、全体的に配送の日数がかかる」「急ぎと急ぎでない荷物を区分して、急ぎの荷物には加算料金」の肯定評価はそれぞれ6割台となっている。
”物流負担・環境負荷軽減”では、「通販などではなるべくまとめて注文したい」「船や鉄道での輸送を増やすべき」とも肯定評価が6割台である。

宅配便利用の際、再配達削減を「意識している」は8割超!

宅配便利用時の、再配達削減意識度

宅配便を利用する際、再配達を削減していくことをどのくらい意識しているかについて、「とても意識している」は35.9%、「まあ意識している」は46.4%で合計82.3%が意識しているとの回答だった。
「物流の2024年問題」は間近に迫っているが、現時点(2023年5月時点)で消費者の大半は、再配達削減を意識しながら宅配便を利用しているようである。

<男女別>
再配達削減意識は、女性が男性を上回っている。

<年代別>
年代別では高年代の方が、再配達削減意識が高くなる傾向である。

再配達削減のため現在は、「時間指定」「アプリ・SNS」「置き配」などを利用

再配達削減のため現在利用していること

再配達削減のため、現在利用していることは、「受取り時間指定」「宅配業者のアプリ・SNS利用」「置き配利用」などが主流である。

再配達削減のため今後は、さらに多様な方法を利用したいという意向

再配達削減のため今後(も)利用したいこと

今後(も)利用したいことでも、現在利用している方法が上位だが、「宅配ボックス」「勤め先・オフィスでの受取り」「コンビニ受取り」「営業所・配送所での受取り」「街なかの宅配ロッカー利用」などは現在より高くあげられており、多様な方法で再配達を削減したいという意向が示されている。

ドライバー不足解消のための、宅配自動化・無人化…3人に2人が推進支持

ドライバー不足解消のための宅配自動化・無人化に対する態度

トラックドライバー不足解消のため、ドローンや自動配送ロボットを利用した宅配の自動化・無人化について、「積極的に推進してほしい」は17.9%、「慎重に推進してほしい」は48.5%であり合計で66.4%が推進を支持している。
一方で、「自動化・無人化はしないでほしい」は13.3%みられる。

<男女別>
男性の方が、女性より推進支持が高くなっている。

<年代別>
40代以下の比較的若年層では、「積極的に推進してほしい」が高年代層より高くなっている。

トラブルは「指定時間外に届いた」「荷物の箱潰れ・破損」「台風などでの遅れ」が上位

宅配便トラブルの経験

宅配便にまつわるトラブルは、「特にない」が47.1%と半数近くを占める。
具体的なトラブルとしては「指定時間外に荷物が届いた」「荷物が箱潰れ・破損などしていた」台風や大雪などで荷物到着が遅れた・発送できなかった」などが主なものである。

<男女別>
女性は男性に比べ、トラブル経験は多めとなっている。

「宅配ボックス・置き配拡大」「割引・特典」「再配達有料化」など、様々な改善案

宅配便利用であなたができること・したいこと、もっとよくなるアイデア

「物流の2024年問題」に関連して、宅配便利用について自分ができること・したいこと、「こうすればもっとよくなる」というアイデアを尋ねた。
主なものをまとめると、「宅配ボックスの設置推進」「置き配の拡大」をはじめとして、 「割引・特典付与」「再配達有料化」といったインセンティブやコスト負担の検討、 「時間指定の徹底」「受取り場所の多様化」「第二の受取り場所指定」など時間・場所についての意見、 そして、物流自体を増やさないための「実店舗購入の促進」など、様々な声が寄せられている。

調査概要

出典元:インターワイヤード株式会社
引用:https://www.dims.ne.jp/timelyresearch/2023/230606/

※詳細については出典元の企業にお問い合わせください。

この記事のライター

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市場の動向や消費者の気持ちをデータを調査して伝えます。

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