置き配/配送の日時指定サービスの利用頻度
よく利用する割合(「必ず利用する」「ほとんどの場合で利用する」の合算)で比較すると、「置き配サービス」よりも「配送の日時指定」の方が利用率が高いことがわかりました。
また、「置き配サービス」は、「利用しない」と回答した割合も30.7%と少なくありません。
■置き配サービスを利用していない理由
前掲の設問【置き配/配送の日時指定サービスの利用頻度】にて、置き配サービスを「ほとんど利用しない」「利用しない」と回答した人に対し、その理由を聞くと「盗難や紛失が心配だから」が48.9%でトップでした。
また、「荷物が汚れる可能性があるから」「荷物が破損する可能性があるから」など、置き配で荷物を一定の時間放置することで起こりうる事象よりも、「置き配に適した場所がない」ことの方が、サービスを利用しない(利用できない)理由としては大きいようです。
利用していない理由の詳細を自由記述で聞いたところ、「オートロックの物件で、置き配ができないから」(28歳、女性)と、オートロックを理由に挙げる声も散見されました。
昨今、生活者に対し「置き配利用」が啓蒙されていますが、自宅がオートロックで、かつ物件自体に宅配ボックスの設備やドライバー専用のオートロック解錠システムなどが導入されていないため、そもそも“使いたくても使えない層”も一定数いるのが現状のようです。
宅配の再配達依頼を行う頻度
宅配の再配達依頼をどのくらいの頻度で行っているかについて聞くと、よく行う割合(「ほとんど毎回依頼する」「依頼することが多い」の合算)は11.2%、さらに「依頼することがある」を含めると46.8%に。
通信販売利用者の半数近くが、荷物を一度で受け取れなかった経験があることがわかります。
■再配達依頼をすることが多い理由
前掲の設問【宅配の再配達依頼を行う頻度】にて「ほとんど毎回依頼する」「依頼することが多い」と回答した人に対し、その理由を聞くと「配送時間帯に自宅にいないことが多いから」が39.3%で最多でした。
その後続く「予定が変更になり、受け取れなかったから」や「配送時間帯の指定ができないサービスを利用しているから」といった理由は、ある程度避けられない・生活者側ではどうにもならない部分があります。
しかし、この「配送時間帯に自宅にいないことが多いから」は、配送時間帯の事前指定を忘れていたり、平日の帰宅時間が遅すぎて配送時間帯指定サービスが使えなかったりといった状況が考えられるため、生活者側の意識改善や、コンビニ受け取り・「PUDOステーション(宅配便ロッカー)」などの利用によって一部解決できそうです。
一方で、「再配達を気軽に依頼できるから」と回答した割合が17.9%に上っている点に注目です。
2024年11月現在、再配達に対してペナルティ(再配達料の設定)を設けている配送業者はおらず、再配達が生活者のダメージになることはありません。
予め到着日・時間が予想しづらい、他人からの荷物などは除き、自ら通信販売にて日付・時間指定で購入した荷物を受け取れなかった場合は、何かしらの警告やペナルティを設けたり、一度で受け取りができた場合にインセンティブを設けたりと、「配送日・時間の約束を守らないこと」が損になるような仕組みを作れば、少なくとも“気軽に再配達にしてしまう層”は減っていくのではないでしょうか。
現在利用している宅配サービスで満足している点
現在利用している宅配サービスにおいて、満足している点を聞いたところ、「配送日時の指定ができること」が、「配送料が安い、または無料であること」を抑え、39.2%でトップに。生活者にとって、予め日時指定できることがいかに重要であるかがうかがえます。
それにもかかわらず、前掲の設問【宅配の再配達依頼を行う頻度】で示すように、通信販売利用者の半数近くが、再配達依頼経験を持っています。
時間指定したものの、設定された時間帯の幅が広すぎてすれ違ってしまう・日付のみで時間帯指定ができず受け取れないといった状況も考えられるものの、要因として大きいのは、やはり現状の再配達システムが生活者にとって気軽なものとなってしまっていることなのではないでしょうか。
現在利用している宅配サービスにおいて、不満な点をお聞きしました。
以下は「不満な点はない」を除く、上位12項目を表示しています。
現在利用している宅配サービスで不満な点
現在利用している宅配サービスにおいて、不満な点を聞くと「配送料が高い、またはかかること」が13.2%でトップとなりました。
そこに「配達時間帯の選択肢が少なく時間帯が広すぎること」「配送日時の指定が自由にできないこと」など、受け取りに関する項目が9%前後で続いています。
やはり生活者側としても、できれば一度で受け取りたいという気持ちは一定程度あるようです。
一方で、「配達員の対応が悪いことがあること」や「荷物が破損して届くことがあること」といった、配達員個人による事象は7.1%以下にとどまりました。
宅配サービスの改善してほしい点/今後実現してほしい機能
置き配の浸透や、荷物を受け取れる場所の拡大を求める声がある中、「改善してほしい点」「今後実現してほしい機能」に共通してみられたのは、速達ならぬ“遅達”を選択できるようにしてほしいという声。「時間はかかっても、安い配達サービス」「納期を遅らせることによる、割引サービス」などと、通常の配送料金よりもお得な遅達を求める声もありました。
実際、配達員の負担軽減につながるのか・配送業者にどの程度のメリットがあるのかなど、実現にはいくつか課題がありますが、少なくとも今の配送の速さがサービス過多となっている層が一定数いるという点は注目すべきポイントでしょう。中には、「あまり多くのサービスを求めすぎるのはどうかと思う」と、サービス拡充に疑問を持つ声もありました。
また、前掲した設問【再配達依頼をすることが多い理由】にて「1回で受け取りができた場合にインセンティブを設ける」ことについて言及しましたが、回答者の中にも「ポイント制」を望む声がみられました。
「改善してほしい点」以下、回答を一部抜粋
・「置き配を設定出来ない通信販売サイトがあるので、全ての通信販売で置き配が可能になれば助かります」(男性、36歳)
・「時間がかかっても良いから、料金の安い配達という選択肢を設けてほしい」(女性、59歳)
・「この荷物に関しては急がなくてもいいという旨を伝える項目が欲しい」(女性、32歳)
・「時間がかかってもよいので配送料を安くしてもらいたい」(女性、52歳)
・「コンビニ受け取りなど自宅以外で受け取れる方法がもっと浸透してほしい」(女性、63歳)
・「いまよりももう少し大きいサイズのものもコンビニ受け取りができるようになればいいと思う」(男性、66歳)
・「追跡サービスが、もっと簡潔にできたら嬉しい」(女性、51歳)
「今後実現してほしい機能」以下、回答を一部抜粋
・「ポイントがつく」(女性、55歳)
・「配送遅れでポイント付与」(男性、52歳)
・「時間はかかっても、安い配達サービス」(女性、59歳)
・「納期を遅らせることによる、割引サービス」(男性、66歳)
・「スーパー内で受け取る場所があると嬉しいです。置き配の場所をもっと柔軟に対応して欲しい」(女性、51歳)
・「届けた写真撮って送って頂けると助かります」(男性、27歳)
・「開封後の段ボールの回収」(男性、24歳)
・「あまり多くのサービスを求めすぎるのはどうかと思う。安全に確実に配送してくれればそれでいい」(男性、66歳)
「物流の2024年問題」を知っているか
「物流の2024年問題」とは、2024年に施行される働き方改革関連法の一環で、特に運送業界に影響を与える「時間外労働の上限規制」の問題です。具体的には、トラックドライバーの労働時間が年間960時間に制限され、以前よりも労働できなくなるため、輸送量の確保が難しくなるというもの。
対策を講じない場合、2024年度には14%、2030年度には34%の輸送力不足が発生する可能性が指摘されています。
生活者側としても、当日・翌日配達の宅配サービスが受けられなかったり、水産品・青果物など新鮮なものが手に入らなくなったりと、様々な影響を受けることが予想されています。
そんな「物流の2024年問題」ですが、通信販売利用者の半数以上が、問題の内容を知っているという結果に。
しかし、そのうち「内容をよく知っており、詳しい影響についても理解している」と、自分たちにどんな影響を及ぼすのかまでを理解できている層は24.2%にとどまっており、生活者の危機意識はさほど高くないことがうかがえます。
■現在の宅配サービスの品質維持に費用がかかるとしたら、どう思うか
「物流の2024年問題」が指摘される中、現在の宅配サービスの品質を維持するには費用がかかるとしたら、どう思うかを聞いたところ、品質維持のためなら追加料金を支払っても構わないと回答した割合(※1)と、品質低下してでも追加料金を支払いたくないと回答した割合(※2)とでは、後者が優勢となりました。
「品質向上」ではなく、「品質維持」に追加料金を支払うことに抵抗感があるという生活者は多いようです。
前掲の設問【「物流の2024年問題」を知っているか】にて、「物流の2024年問題」を詳細に理解している割合は24.2%でしたが、問題への理解度の低さ・危機意識の低さも関係しているかもしれません。
※1「今のサービス品質を維持するために多少の追加料金を支払っても構わない」「どちらかと言えば、今のサービス品質を維持するために追加料金を支払っても構わない」の合算
※2「どちらかと言えば、サービス品質が低下するとしても、追加料金を支払いたくない」「サービス品質が低下するとしても、追加料金を支払いたくない」の合算
出典元:株式会社ネオマーケティング
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