動画系SNS(TikTok・YouTube)に高予算を投じる企業が増加傾向|自社SNSに関する調査【ネオマーケティング調査】

動画系SNS(TikTok・YouTube)に高予算を投じる企業が増加傾向|自社SNSに関する調査【ネオマーケティング調査】

株式会社ネオマーケティングは、企業SNSアカウントの運用担当者を対象に、投稿内容や文体、注力施策、フォロワーとの関係性など、自社のSNS運用に関する調査を実施し、結果を公開しました。


利用しているSNSの種類

10個中7個のSNSにおいて、「toC以外」のSNS運用担当者の利用率が高くなっていました。

特にショート動画アプリ「TikTok」や動画共有プラットフォーム「YouTube」の利用率の差は大きく、「toC」のSNS運用担当者の「TikTok」利用率は16.2%、「YouTube」利用率は31.4%、「toC以外」のSNS運用担当者の「TikTok」利用率は22.7%、「YouTube」利用率は43.3%で、それぞれ6.5ポイント・11.9ポイントの差が開いています。

対法人ビジネスの方が幅広くSNSに挑戦しており、特に動画を扱うSNSに積極的ということがわかりました。

また、同社が実施した2021年の調査結果(下記グラフ参照)を見ると「toC」のSNS運用担当者の「TikTok」利用率は7.8%、「YouTube」利用率は30.0%、「toC以外」のSNS運用担当者の「TikTok」利用率は11.8%、「YouTube」利用率は36.2%でした。

この約4年間で、「toC」「toC以外」双方において、動画系SNSの利用率がさらに高まったようです。

SNSのフォロワー数

お勤め先、もしくは自身がおこなっているビジネスのSNSのフォロワーは何名かお聞きしました。

以下は、ビジネスモデルが「toC」と「toC以外」のSNS運用担当者の回答結果をそれぞれ比較したものです。

2021年調査(下記グラフ参照)では「toC」のSNSにおけるフォロワー1000名未満の割合は63.2%、「toC以外」のSNSにおけるフォロワー1000名未満の割合は59.0%だったところ、今回の調査では「toC」「toC以外」でそれぞれ57.6%・55.8%に。

これはSNS活用がより本格化し、戦略的な運用が浸透してきたことの表れと考えられます。

特に、SNSが単なる情報発信の場から、ブランディングや顧客接点の重要なチャネルとして位置付けられるようになったことで、企業側の運用リソースやノウハウも向上。

加えて、リール・ショート動画など拡散力の高いフォーマットの活用や、アルゴリズムを意識した投稿設計が普及したことも、フォロワー増加を全体的に後押しした要因と言えるでしょう。


SNSの投稿内容として、あてはまるものをそれぞれお聞きしました。
以下は、前掲した設問【利用しているSNSの種類】にて最も利用率が高かった「X(旧Twitter)」と、今回特に利用率の変動が大きかった「TikTok」「YouTube」の回答結果を示しています。

SNSの投稿内容

SNSの投稿内容として、あてはまるものをそれぞれお聞きしました。

以下は、前掲した設問【利用しているSNSの種類】にて最も利用率が高かった「X(旧Twitter)」と、今回特に利用率の変動が大きかった「TikTok」「YouTube」の回答結果を示しています。

「X(旧Twitter)」の場合、「toC」と「toC以外」のどちらもトップが「自社新商品・自社新サービス情報」で、そこに「自社商品・自社サービスの情報」または「自社のニュース」、かなり差をつけて「ノウハウ・お役立ち情報」「イベント情報」が続いており、投稿内容の傾向が近いことがわかりました。

「TikTok」の場合、「toC」は「自社新商品・自社新サービス情報」「自社商品・自社サービスの情報」といった“売上につながる”宣伝色の強い投稿や「ノウハウ・お役立ち情報」がより多い一方で、「toC以外」は「自社のニュース」「購入者・ファンの紹介」「他社商品・他社サービス情報」といった“売上には直結しないが、認知や比較・検討の上で参考になる”投稿がより多い傾向がありました。

他のSNSと比べ、よりエンタメ性の強いコンテンツが求められるTikTokにおいて、法人向けのモノ・サービスを有する「toC以外」はやはり直接的に宣伝することが難しいからか、さまざまなアプローチを試行錯誤している様子がうかがえます。

また、同じ動画系SNSである「TikTok」「YouTube」で比較すると、「toC」と「toC以外」それぞれにおいて、ほぼ全ての投稿で「TikTok」を利用する割合が高くなっていました。

この傾向は、2021年の調査(下記グラフ参照)よりも顕著になっています。

今回の調査において、特に「toC以外」で「YouTube」が「TikTok」を上回ったのは「自社新商品・自社新サービス情報」のみで、5.6ポイント差だったのに対し、2021年調査では「toC以外」の「自社新商品・自社新サービス情報」「自社商品・自社サービスの情報」の投稿利用率において、「TikTok」より「YouTube」の方がそれぞれ8.3ポイント・15.4ポイントも高くなっていました。

しっかりと作り込んだ長尺の動画よりも、ラフに作った短尺動画で認知・売上に繋げていこうというのが、昨今の企業アカウント運用の潮流なのかもしれません。

SNS運用におけるKPI達成

SNS運用のKPIは達成できているかお聞きしました。

以下は、ビジネスモデルが「toC」と「toC以外」のSNS運用担当者の回答結果をそれぞれ比較したものです。

「toC」「toC以外」どちらも、半数以上がKPIを達成しています。

しかし、最もポジティブな項目である「達成している」の割合で両者を比較すると、「toC以外」が26.2%であるのに対し、「toC」は16.4%にとどまっていました。

前掲した設問【SNS運用のKPI】で「toC」と「toC以外」のKPI設定の傾向が近似していたことを踏まえると、そもそも「toC」のKPIの水準が高いことや、「toC」と「toC以外」の主戦場に大きな差があることが予想されます。

「toC」は「フォロワー増=売上直結」という経営期待が強く、目標水準が高めに設定されがちなため、わずかな未達でも“課題”として意識されやすい傾向があります。

さらに「toC」領域では企業アカウントが一般ユーザーやインフルエンサーと同じ土俵で戦わざるを得ず、エンタメ性・話題性・即時性が求められるため、KPI達成のハードルが相対的に高くなりがちです。こうした環境差が、両者の違いを生んでいると考えられます。

SNSの月間予算

お勤め先、もしくは自身がおこなっているビジネスのSNSの月間予算(広告費含む)として、あてはまるものをそれぞれお聞きしました。

動画系SNS(TikTok・YouTube)に高予算を投じる企業が増加傾向にあることが浮き彫りになりました。特に「TikTok」では100万円以上の予算をかける企業が28.4%に上り、300万円以上の比率も8.6%と、主要SNSの中では突出しています。

投稿がユーザーによって二次的に広まったり、関連コンテンツとしてUGC(ユーザー生成コンテンツ)が生まれたりといったケースが多く発生する「TikTok」。

その結果、少ない予算でも爆発的に注目を集める“バズ投稿”が生まれる可能性が高く、投資に対するリターンが大きいと感じる企業が多いと考えられます。

こうした背景から、高額な予算をかけてでも積極的に取り組む企業が増えているのでしょう。

SNS運用で力を入れていること

SNS運用について、力を入れていることをお聞きしました。

以下は、KPIの達成度合いで回答結果をそれぞれ比較したものです。

KPI達成度が高い運用担当者ほど「フォロワーとのコミュニケーション」を最重視していることが明らかになりました。特に「KPI達成している運用担当者」は71.1%が同項目を挙げており、他の全ての項目を大きく上回る結果です。

これは、一方的な情報発信ではなく“対話型の運用”こそが、成果につながる重要な鍵であることを示しています。

また、KPI達成している運用担当者においては「クリエイティブ(41.2%)」や「内容(ネタ)の作り込み(38.7%)」への注力も高く、“見られる工夫”と“中身の工夫”の両立が意識されていました。対して「KPI達成していない運用担当者」においては「上記にあてはまるものはない」の回答が54.9%と過半数に。戦略的な運用の欠如やリソース不足が課題として浮かび上がります。

総じて、成果を上げている運用担当者ほど、「コミュニケーション→視覚訴求→内容設計→分析」と、一連の流れを意識的かつバランスよくおこなっていることが読み取れました。

また今回の調査結果は、2021年調査(下記グラフ参照)と比べ、KPI未達成層が「上記にあてはまるものはない」と回答する割合が大幅に増加していることがわかります。

これはKPI達成層と未達成層との“運用姿勢の差”がより鮮明になってきていることを示していると考えられます。

この約4年間で、より高度化・専門化したSNS運用。

運用担当者の間で「何をすべきか」が明確に意識されるようになり、成果を出す企業ほど戦略的な取り組みに注力する一方、リソースやノウハウが不足している企業は手が打てず、手応えも薄れがちというケースも少なくないのかもしれません。

また、SNSの競争環境が激化し、アルゴリズムやトレンド変化も速いため、単発の施策では通用しづらくなってきています。こうした状況下で、「何かしなければいけないが、何をすべきかわからない」状態に陥る企業が増えていることも、「上記にあてはまるものはない」という回答の増加につながっていると読み取れます。

フォロワーからのアクション

フォロワーからのアクションとしてあてはまるものをお聞きしました。

以下は、KPIの達成度合いで回答結果をそれぞれ比較したものです。

KPI達成度が高い担当者ほど、フォロワーからの“能動的なアクション”を多く引き出している実態が浮き彫りになりました。

特に「定期的にコメント・返信をしてくれる」「自主的にSNSアカウントを紹介してくれる」「自主的に商品・サービスを紹介してくれる」といった、手軽さを超えたアクションの割合が高く、これは単なるリーチやフォロワー数の増加を超えて、深い関係性を築けている証拠と言えます。

一方で、KPI未達成層は「いいね」すら得づらく、「きちんと把握していない」という回答も30%を超えており、フォロワーの反応を把握・分析する余裕がない、あるいは運用に対する自信が持てない状況がうかがえます。

興味深いのは、前掲した設問【SNS運用のKPI】で明らかになった通り、KPI項目として「エンゲージメント率」を重視している担当者は実は少数派であるにもかかわらず、結果的にKPI達成層の多くが「濃いエンゲージメント」を実現している点です。

リーチやフォロワー数の増加といった定量目標に向けた施策は、一見すると「広げること」だけを目的とした活動のように見えますが、実際にはそれらの施策がフォロワーとの関係性の深化にも寄与していることが今回のデータから読み取れます。

例えば、リールやショート動画などアルゴリズムに乗りやすい形式で定期的に発信する、SNSキャンペーンでユーザー投稿を促進する、話題性のあるトレンドをタイムリーに取り入れるといった施策は、新規フォロワーを獲得するだけでなく、「このアカウントは面白い」「また見たい」と感じさせる接触体験を創出。そうした継続的な接点の積み重ねが、結果的に“ただの閲覧者”を“コメントするファン”や“紹介してくれる支援者”へと転換させていると考えられます。

つまり、フォロワー数を増やすための動きが、関係性の質も同時に高める役割を果たしていると言えるでしょう。

また2021年調査(下記グラフ参照)と比べると、KPI未達成層がフォロワーから得ているアクションの割合が大幅に減少していることがわかります。

2021年では「定期的にコメント・返信をしてくれる」に29.5%・「定期的にいいね・保存をしてくれる」に50.0%集まっていたのに対し、今回はそれぞれ13.1%・25.7%にとどまりました。

前掲した設問【SNS運用で力を入れていること】での言及の通り、KPI達成層と未達成層との“運用姿勢の差”(SNSが上手くいっている担当者はより注力し、上手くいかない担当者は放置)が、より鮮明になってきた結果であると言えます。

フォロワーへのアクション

フォロワーへのアクションとしてあてはまるものをお聞きしました。

以下は、KPIの達成度合いで回答結果をそれぞれ比較したものです。

KPI達成度が高い担当者ほど、フォロワーへ「定期的にコメント・返信をしている」「定期的にいいね・保存をしている」と回答した割合が高くなっていることがわかります。

「KPI達成している運用担当者」はどちらのアクションも50%超え、「KPI達成していない運用担当者」はどちらも20%未満と、その差は2.78〜3.8倍でした。

また、2021年調査(下記グラフ参照)と比べ今回は、KPI達成していない運用担当者のアクションが全体的に縮小傾向です。

やはりSNSでフォロワーを伸ばす・フォロワーからのアクションを望むのであれば、こちらから能動的にコミュニケーションを取ること・アクションを同じように返してあげることが重要だと言えます。

一方で、リスク管理やブランドイメージの揺らぎ防止のためか、KPI達成している運用担当者でも「フォローバックしている」割合は29.9%にとどまりました。

フォローバックが難しい場合でも、積極的な「いいね」やコメント・返信によって、十分フォロワーとの関係性をカバーすることができるでしょう。

調査概要

調査の方法:株式会社ネオマーケティングが運営するアンケートシステムを利用したWEBアンケート方式で実施
調査の対象:全国の20歳~69歳の男女で、お勤め先もしくは自身がおこなっているビジネスにおいてSNS運用を担当している方(toCビジネスモデル(BtoC・GtoC・DtoC):500名、toC以外のビジネスモデル(BtoB・BtoE・BtoG):466名)
有効回答数:966名 
調査実施日:2025年2月5日(水)~2025年2月7日(金)

出典元:株式会社ネオマーケティング

「TikTok」に月100万円以上の予算をかける企業が28.4%に|自社SNSに関する調査

https://corp.neo-m.jp/report/investigation//itmedia_056/

全国の20歳以上の男女966人に聞いた 運用が上手くいっている担当者は、上手くいっていない担当者の約2〜3倍、 フォロワーへいいね・返信をする。 「TikTok」に月100万円以上の予算をかける企業が28.4%に。

引用:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000581.000003149.html

※詳細については出典元の企業にお問い合わせください。

この記事のライター

マナミナは" まなべるみんなのデータマーケティング・マガジン "。
市場の動向や消費者の気持ちをデータを調査して伝えます。

編集部は、メディア出身者やデータ分析プロジェクト経験者、マーケティングコンサルタント、広告代理店出身者まで、様々なバックグラウンドのメンバーが集まりました。イメージは「仲の良いパートナー会社の人」。難しいことも簡単に、「みんながまなべる」メディアをめざして、日々情報を発信しています。

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