【無料レポート】デジタル・トレンド白書2025 – 食トレンド編|ダウンロードページ
https://manamina.valuesccg.com/articles/4663「デジタル・トレンド白書2025 食トレンド編」は、2025年に注目を集めた食や飲料・お菓子などのヒット分析・トレンド解説が収録されたレポートです。物価が高騰しているなか、どのような商品が人気を博しているのか。消費者の食に対する好みや購買行動はどのように変化しているのかを分析しています。
「うまトマ」って何?
松屋フーズ公式サイトでは、「うまトマ」について以下の説明がされています。
「うまトマハンバーグ」は、鉄板でふっくらジューシーに焼き上げたハンバーグに、にんにくの旨味とトマトの酸味がクセになる特製のトマトソースを絡めた逸品です。
税込セット価格980円、単品価格780円(参考:うまトマハンバーグ定食|メニュー|松屋)となっており、牛めし並盛が460円(参考:牛めし|メニュー|松屋)の松屋では、高めの価格設定になっています。
■期間限定メニューからレギュラーメニューへ
「うまトマ」は2002年から期間限定メニューとして不定期に販売されてきました。2019年から毎年夏の限定メニューとして販売されるようになり、2023年の冬には「うまトマ」のチキン版である「うまトマチキン」も販売されました。
2025年6月からはレギュラーメニューとして販売されることが決定し、大きな反響を呼んでいます。本記事では、「うまトマ」のレギュラー化を受けて、松屋にどのような影響が現れたのか分析します。
なお、分析には、毎月更新される行動データを用いて、手元のブラウザで競合サイト分析やトレンド調査を行えるヴァリューズのWeb行動ログ分析ツールDockpitを用います。
「うまトマ」人気が急上昇したのは2024年
まず、過去2年間の「うまトマ」検索者数の変動を見てみましょう。
「うまトマ」(うまとま、うまトマハンバーグ、ウマトマハンバーグを含む)検索者数
調査期間:2023年06月~2025年07月
調査デバイス:PC&スマートフォン
「うまトマ」検索者数は、2023年8月の「うまトマハンバーグ」販売期間では2万人程度でした。2023年12月の「うまトマチキン」が販売された時期では検索者数1万人となっています。2024年4月の店舗限定販売が行われた時期も、1万人程度検索者がいました。「うまトマ」の販売は、発表の度に話題を集めていたことがわかります。
検索者数が急激に増加したのは2024年夏の販売時期で、ピーク時で約6万人になっています。前年同月と比較すると約3倍となっており、注目度が急上昇したことがわかります。2023年夏から2024年夏までに販売が2度あったことで、接触頻度が高まったことが要因の一つとして考えられます。また、この時期はSNSでも「うまトマ」がバズっており、様々なコンテンツが話題を呼んでいました。特に人気YouTuberがたびたび動画で取り上げ、認知度が徐々に高まったことも大きく貢献していそうです。
そしてレギュラー化した2025年6月では検索者数約6万人となっており、2024年に引き続き高い関心が寄せられたことがわかります。
「うまトマ」で松屋はどう変わった?
次に、「うまトマ」検索者の属性から、松屋に起こった変化を分析していきます。
■「うまトマ」で20代~30代の取り込みに成功
まず「うまトマ」検索者の年代を見ていきます。
「うまトマ」(うまとま、うまトマハンバーグ、ウマトマハンバーグを含む)検索者の年代
「松屋」検索者の年代
調査期間:2023年06月~2025年07月
調査デバイス:PC&スマートフォン
「うまトマ」検索者の年代を見ると20代と30代の割合が突出して大きくなっており、20代が36.5%、30代が34%という結果になりました。「松屋」検索者は30代~50代がボリューム層で、20代の割合は13.9%以下になっています。もともと幅広い世代から人気の松屋ですが、「うまトマ」レギュラー化によって顧客の年代の幅をさらに広げることに成功したと言えそうです。
■女性も楽しめる「うまトマ」
次に、「うまトマ」検索者の性別を見ていきます。
「うまトマ」(うまとま、うまトマハンバーグ、ウマトマハンバーグを含む)検索者の性別
「松屋」検索者の性別
調査期間:2023年06月~2025年07月
調査デバイス:PC&スマートフォン
「うまトマ」検索者の男女比を見ると、やや男性が多くなっていますが、大きな偏りはないことがわかります。また「松屋」検索者の男女比と比較すると、ほとんど違いがありませんでした。
「うまトマ」は2002年に初めて販売されました。この当時の松屋は男性客が多かったことから、女性にも受けるメニューとして開発されたそうです。現在の「松屋」「うまトマ」検索者の男女比を見ると、男性からも女性からも支持を得ていることがわかり、取り組みの成果が伺えます。
参考:一時は販売中止も?松屋の夏の風物詩メニュー「うまトマハンバーグ」が毎年大人気のワケ|ウォーカープラス
松屋は尖った定食メニューでファン獲得
松屋は「うまトマ」以外にも、期間限定メニューが度々話題になります。
中でも2020年に初めて期間限定販売を開始した「シュクメルリ鍋定食」は大きな話題を呼びました。「シュクメルリ鍋定食」は ”世界一にんにくを美味しく食べるための料理” とされており、「うまトマ」と同様パンチの効いた味わいであることが想像できます。
「うまトマ」や「シュクメルリ鍋」の感想についてSNSの反応を見ると、絶賛する反応が多くなっていますが、”おいしくない”など批判的な反応もしばしば見受けられます。万人受けを狙うよりも他にはない尖ったメニューにすることが、熱狂的なファンの獲得と、話題性の秘訣なのかもしれません。
牛丼チェーン業界に変化の波
これまでは、松屋の「うまトマ」に着目してその事業戦略を見てきました。ここからは、大手牛丼チェーンの「吉野家」「すき家」についても見てみましょう。
■吉野家:牛丼+αでラーメン事業のシェア拡大を目指す
「吉野家」や「はなまるうどん」を展開する吉野家ホールディングスは、今後ラーメン事業に力を入れる動きを発表しました。
当社グループは、2025年度からの中期経営計画において、「『変身』と『成長』」をテーマとし、企業価値の持続的な向上を目指しています。吉野家を主軸とした従来の事業構造を転換し、はなまるやラーメンなどの新業態の成長を加速することで、収益構造の多様化と安定性の向上を図っていきます。
この流れを受けてか、吉野家は2025年7月4日から新商品「牛玉スタミナまぜそば」の販売を開始しました。
吉野家で麺商品が展開されるのは今回が初となります。ホールディングスのラーメン事業だけでなく、吉野家内でも牛丼以外の選択肢を提供することで、幅広く支持を得る戦略なのかもしれません。
■すき家:価格改定で競合最安に
すき家は2025年9月4日から「牛丼」の価格を改定し、牛丼並盛450円(税込)で提供する事を発表しました。松屋の牛めし並盛が税込460円(参考:牛めし|メニュー|松屋)、吉野家の牛丼並盛は498円(参考:牛丼 | 吉野家公式ホームページ)となっているため、今回の値下げですき家が最安となりました。
| サイズ | 変更前 | 変更後 | 差額 |
| ミニ | 430円 | 390円 | -40円 |
| 並盛 | 480円 | 450円 | -30円 |
| 中盛 | 650円 | 650円 | 0円 |
| 大盛 | 680円 | 650円 | -30円 |
| 特盛 | 880円 | 850円 | -30円 |
| メガ | 1,030円 | 1,030円 | 0円 |
松屋と吉野家が牛丼以外のメニューにも力を入れているのに対し、すき家は主力商品である牛丼を低価格で提供することに注力する、という戦略の違いが見られます。
三大チェーンで最も固定ファンの多い松屋
最後に、牛丼三大チェーン「すき家」「松屋」「吉野家」を比較していきます。まず、「すき家」「松屋」「吉野家」の検索者数を見ていきます。
「すき家」「松屋」「吉野家」の検索者数
調査期間:2024年09月~2025年08月
調査デバイス:PC&スマートフォン
2024年10月は各社が秋の割引キャンペーンを行っていたため、検索者数が多くなっています。また、すき家は2025年12月から福袋の販売を行っており、松屋も2025年1月から各種キャンペーンをしていたことから検索者数が増加したと考えられます。
2025年3月は不祥事の発覚があった影響か、すき家の検索者数が多くなっています。直近の2025年8月では3社とも上昇傾向にありますが、過去1年を通して見ると、すき家、吉野家、松屋の順で検索者数が多いと言えそうです。
次に「すき家」「松屋」「吉野家」公式アプリのユーザー数を見てみましょう。
「すき家公式アプリ」「松屋フーズ公式アプリ」「吉野家公式アプリ」のアプリユーザー数
調査期間:2024年09月~2025年08月
調査デバイス:スマートフォン
3社の公式アプリユーザー数を比較すると、松屋が最も多くなっており、他社と大きな差が出ています。アプリユーザーは日常的に実際の店舗を利用するユーザーであると考えられるため、松屋は固定ファンが多いと言えそうです。
■国内店舗数はすき家が日本一
3社の国内店舗数を見ると、すき家が圧倒的に多くなっており、次いで吉野家、松屋となっています。アクセス面ではすき家に軍配が上がります。
| 項目 | 店舗数(2025年08月時点) |
| 松屋 | 1,134店 |
| 吉野家 | 1,271店 |
| すき家 | 1,977店 |
■価格面でもすき家が優勢
これまでは松屋が3社の中で最も低価格でしたが、すき家の値段改定により牛丼チェーン最安はすき家となりました。
【牛丼/牛めしの価格比較表(税込)】
| 項目 | すき家改定前 | すき家 | 松屋 | 吉野家 |
| ミニ/小盛 | 430円 | 390円 | 430円 | 465円 |
| 並盛 | 480円 | 450円 | 460円 | 498円 |
| 中盛/アタマ大盛 | 650円 | 650円 | 630円 | 674円 |
| 大盛 | 680円 | 650円 | 680円 | 740円 |
| 特盛 | 880円 | 850円 | 860円 | 938円 |
| メガ/超特盛 | 1,030円 | 1,030円 | ー | 1,059円 |
*黄色は各サイズの最安値
まとめ
松屋は、三大チェーンの中で最もリーズナブルな価格設定に加え、「うまトマ」のように独創的な期間限定メニューでファンを獲得してきました。
吉野家は三大チェーンの中では高価格帯であるため、価格競争では不利な立場にあるものの、ラーメン事業の展開によって安定した経営を図っています。
すき家は圧倒的な店舗数で他社と差別化されてきましたが、今回の価格改定で価格競争においても最も有利となりました。牛丼チェーン業界の動きが活発になっている今、今後どのような展開があるのか、引き続き注目が集まりそうです。
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26卒内定者アルバイトの大学院生。大学では害虫防除の研究をしています。