Z世代の「社会問題感度」は高い
本調査ではまず、「社会問題への関わり」について各世代の意識と行動を比較しました。
ここでは、全23種の社会問題について、「認知」「興味」「理解」「共有(SNS等での投稿・発信)」「関与経験」「今後の関与意向」のいずれかに該当する割合を世代別に集計しています。
<data1-1>社会問題関与度
その結果、Z世代(20代)は「共有」が20.0%(対30-50代 +10.0pt)、「関与経験」は22.9%(+8.9pt)、「関与意向」は33.7%(+7.0pt)と、社会問題に対し上の世代よりも有意に高い関心と行動意欲を示しています。
また、20代前半に限るとこの傾向はさらに顕著で、関与意向は37.7%にも達します。
<data1-2>関与する社会問題(複数回答)
続いて、一定以上のファッション関心層を対象に、関与している社会問題の内訳を詳しく見ると、Z世代においては「森林伐採」、「脱プラスチック」、「労働問題」などがスコアの絶対値・上世代との差分どちらにおいても高くなっています。
このように、Z世代は上世代と比較して社会問題への関与意識が際立って高く、特に20代前半では「問題の当事者」として自分ごと化している様子が伺えます。 中でも環境問題へのアクションと労働問題への関与意向の高さは、単なる社会意識にとどまらず、ブランドや企業の姿勢を評価・選別する視点にもつながっていると考えられます。
でも、「ポーズ」には冷める
続いて、具体的に企業のどのような取り組みが消費者に好意的に受け止められているかを世代別に比較しました。
<data2-1>好感のある企業活動 (5段階評価Top2)
Z世代においては「社内制度としての導入」や「商品・サービスへの落とし込み」といった、企業活動の本質に根ざした取り組みに高い好感度が集まっています。
加えて、「投票や政治参加の呼びかけ」や「政治的スローガンの活用」といったやや踏み込んだテーマに対しても肯定的な反応が見られ、政治をタブーとしない姿勢がうかがえます。
さらに、企業による社会問題への取り組みの発信が、消費者にポジティブに映るか、ネガティブに映るかを聴取しました。
<data2-2>企業活動の影響度 (5段階評価Top2)
Z世代では、企業の社会的な発信に対して「好感度の上昇」や「購入意向の上昇」といったポジティブな反応を示す一方で、「偽善的に見える」や「商業目的に見える」といったネガティブな反応も上世代と比較して高い割合を示しています。
つまり、Z世代は企業の発信に共感しやすい一方で、その「裏側」にも敏感であり、メッセージの真意や一貫性を鋭く見極めていると考えられます。
このようにZ世代は、企業の社会的発信に対して高い関心と共感を示しており、中でも好感を持たれるのは、活動が日常的な業務や理念に組み込まれ一貫性を伴っているブランドや企業です。Z世代は「社会貢献を語るブランド」ではなく、「社会性が滲み出るブランド」を選んでいるのです。
Z世代に「刺さる発信」は?
最後に、企業やブランドが実際に行っている社会問題に関する発信に対してZ世代がどのような印象を持っているのかを分析しました。
ここでは、国内5ブランド・海外21ブランドのファッション企業を取り組み内容に応じて「環境問題」「差別・人種問題」「ジェンダー」「慈善・医療」の4カテゴリに分類し、認知・興味・好感・信頼・購入意向などを集計しています。
<data3-1>企業の社会問題活動評価(複数回答)
その結果、Z世代は上世代に比べていずれのテーマでもポジティブな反応を示す傾向があり、特に「ジェンダー系テーマ」に対しては信頼感が+18.3pt、「環境問題系テーマ」に対しては購入意向が+13.8ptと大きな差が見られました。
このように、環境問題やジェンダーといったファッションと親和性が高く、自分ごと化しやすいテーマへのブランドの取り組みが購入意向を高める傾向にあります。
調査概要
調査主体 :株式会社ザ・ゴール
調査委託先 :株式会社 電通マクロミルインサイト
調査期間 :2025年7月
調査手法:インターネット調査
調査対象 :全国20-59歳男女 有効回答数 :500サンプル
出典元:株式会社ザ・ゴール
※詳細については出典元の企業にお問い合わせください。





マナミナは" まなべるみんなのデータマーケティング・マガジン "。
市場の動向や消費者の気持ちをデータを調査して伝えます。
編集部は、メディア出身者やデータ分析プロジェクト経験者、マーケティングコンサルタント、広告代理店出身者まで、様々なバックグラウンドのメンバーが集まりました。イメージは「仲の良いパートナー会社の人」。難しいことも簡単に、「みんながまなべる」メディアをめざして、日々情報を発信しています。