小売業界のリピーター獲得は難しい!?再来店につながらなかったケースが多いと思う方は約7割
はじめに、「過去3ヶ月以内に来店した顧客について、『再来店・再購入につながらなかった』と感じるケースはどの程度あるか」について尋ねたところ、約7割が『非常に多い(24.3%)』『やや多い(49.7%)』と回答しました。
多数の方が再来店・再購入につながらないケースが「多い」と感じている現状から、単発購入や一度きりの来店に終わる顧客が多く、再来店促進について課題を抱えている様子がうかがえます。
では、顧客の来店・購入頻度にはどのような傾向が見られるのでしょうか。
「直近3ヶ月の顧客の『来店・購入頻度』はどの程度か」と尋ねたところ、以下のような回答結果になりました。
■非常に多いと回答した方
『一度購入したきりの顧客が多い(42.5%)』
『数ヶ月に1回程度購入する顧客が多い(40.1%)』
■やや多いと回答した方
『数ヶ月に1回程度購入する顧客が多い(55.6%)』
『月に数回購入する顧客が多い(27.3%)』
■あまりないと回答した方
『数ヶ月に1回程度購入する顧客が多い(39.3%)』
『月に数回購入する顧客が多い(39.3%)』
『週に複数回購入する顧客が多い(11.4%)』
■全くないと回答した方
『数ヶ月に1回程度購入する顧客が多い(42.9%)』
『週に複数回購入する顧客が多い(37.1%)』
「再来店・再購入につながらなかった」と感じるケースが多い方ほど、直近3カ月の顧客の来店・購入頻度が低い傾向が見られました。前の質問で『非常に多い』と回答した方は、「一度購入したきりの顧客が多い」が最多で、リピーター化が進んでいない実態が明確です。
『やや多い』と回答した方は、「数ヶ月に1回程度購入する顧客」が中心で、再訪する顧客が一定数はいますが頻度は高くないことがうかがえます。
これに対し、『あまりない』『全くない』と回答した方は「月に数回購入」「週に複数回購入」といった高頻度の顧客が多く、固定顧客層を維持している構図が見て取れます。
では、再来店・再購入につながらない背景には、どのような課題が隠れているのでしょうか。
「再来店・再購入につながらなかった」と感じるケースが『非常に多い』『やや多い』と回答した方にうかがいました。
「顧客の『来店・購入頻度が伸び悩む』理由として、当てはまると感じるもの」について尋ねたところ、『特典・クーポンなどの再来店促進施策がなかった(44.8%)』が最も多く、『顧客情報を十分に収集・管理できていなかった(35.4%)』『店舗・商品の存在を思い出してもらう仕組みがなかった(リマインド不足)(33.6%)』となりました。
来店・購入頻度が伸び悩む理由として、「再来店促進施策がない」「顧客情報の収集・管理不足」「リマインド不足」が上位になり、顧客との接点を十分に維持できていないことが、再来店・再購入を阻む壁となっているようです。
顧客情報の取得手段は「店舗専用アプリ」が最多。再来店促進のために利用している手段とは?
顧客との接点やリマインド体制が不足しているのは、情報の収集経路そのものに課題があるためである可能性があります。
そこで、「顧客の来店データや属性情報は、どのように取得しているか」について尋ねたところ、『店舗専用アプリ(36.3%)』が最も多く、『予約時の情報(電話・インターネットなど)(33.2%)』『スタンプカード(31.6%)』となりました。
この結果から、アナログ手段とデジタル手段が混在しており、情報の一元管理が進んでいない可能性がうかがえます。『取得していない』という回答も一定数あり、データ収集の仕組みが整っていない店舗もあることがわかりました。
続いて、収集したデータの具体的な活用状況について聞きました。
前の質問で『取得していない』と回答した方以外に、「取得した顧客の来店データや属性情報をどのように活用しているか」について尋ねたところ、『クーポンやキャンペーン情報の送付(46.1%)』が最も多く、『誕生日や記念日など特定日の通知(41.7%)』『来店状況の分析・可視化(36.9%)』となりました。
顧客データを「クーポンやキャンペーン情報の送付」「特定日の通知」「来店状況の分析・可視化」といった販促活動に生かす動きが広がっている一方で、「活用できていない」という方も一定数いるようです。
では、こうして得られたデータをもとに、どのような手段で再来店を促しているのでしょうか。
「顧客の再来店促進のために、現在利用している手段」について尋ねたところ、『紙のチラシやクーポン券の配布(36.0%)』が最も多く、『SNS発信(35.5%)』『メールマガジン(33.6%)』となりました。
紙媒体を中心とした従来型の施策が根強い一方で、SNSやメールマガジンといったデジタル手段の活用も広がりつつあります。
SNSとメールマガジンの両方を活用する店舗もあることが考えられ、顧客の属性や購買ステージに応じて複数チャネルを使いわける動きが進んでいると考えられます。
今後利用したいと思う手段1位は「店舗専用アプリ」
では、今後の再来店促進に向けて、どのような手段を活用したいと考えているのでしょうか。
「今後、顧客の再来店促進のために利用したいと思う手段」について尋ねたところ、『店舗専用アプリ(32.6%)』が最も多く、『メールマガジン(32.4%)』『SNS発信(31.5%)』となりました。
「店舗専用アプリ」「メールマガジン」「SNS発信」が上位になり、継続的な接点づくりと情報発信を両立できる手段として注目されていると考えられます。
顧客とのデジタルコミュニケーションを重視する傾向が強まっているといえますが、顧客と継続的につながる手段を持つことについて、どのように感じているのでしょうか。
「顧客と継続的につながる手段(LINE公式アカウント、店舗専用アプリなど)を持つことについて、どのように感じるか」について尋ねたところ、約8割が『非常に重要だと感じる(32.0%)』『ある程度重要だと感じる(50.2%)』と回答しました。
大多数が顧客と継続的につながる手段を持つことは「重要」だと捉えており、再来店促進における顧客接点の役割が高く評価されていることがわかります。
リピート率の向上のために「関係性の維持・深化」を重視する姿勢が広がっていると考えられます。
「店舗専用アプリ」に興味がある方は約9割、導入意欲も高水準
そのような中で、顧客と継続的につながる手段の一つとして期待が高まっているのが「店舗専用アプリ」です。
では、実際にどの程度の方が「店舗専用アプリ」の導入や活用に興味を持っているのでしょうか。
前の質問で『非常に重要だと感じる』『ある程度重要だと感じる』と回答した方に、「顧客との接点を強化する手段として『店舗専用アプリ』に興味はあるか」と尋ねたところ、約9割が『非常に興味がある(33.0%)』『ある程度興味がある(56.5%)』と回答しました。
多くの方が、「店舗専用アプリ」を顧客との関係を継続的に強化する有効な手段と捉えていることがうかがえます。
では、導入する際にはどのような機能を活用したいと考えているのでしょうか。
前の質問で『非常に興味がある』『ある程度興味がある』と回答した方に、「店舗専用アプリのどのような機能を活用したいと思うか」について尋ねたところ、『スタンプカード機能(47.5%)』が最も多く、『クーポン配信(41.3%)』『来店予約機能(39.7%)』となりました。
この結果から、購買促進と利便性向上の双方を重視する傾向が見られました。
「スタンプカード」や「クーポン」など、「リピート動機の可視化」に関する機能が上位を占めており、顧客に再来店のきっかけを提供する仕組みが重視されていると考えられます。
実店舗とオンラインを横断する接点づくりが今後の競争力を左右すると考えられます。
調査概要
【調査期間】2025年10月30日(木)~2025年10月31日(金)
【調査方法】PRIZMAによるインターネット調査
【調査人数】1,016人
【調査対象】調査回答時に小売店経営者・店舗責任者・マーケティング担当者と回答したモニター
【調査元】株式会社iTAN
【モニター提供元】PRIZMAリサーチ
出典元:株式会社iTAN
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