中小企業のWEBマーケティング、予算不足より「戦略・記事品質・改善プロセス」の欠如が浮き彫りに【LiKG調査】

中小企業のWEBマーケティング、予算不足より「戦略・記事品質・改善プロセス」の欠如が浮き彫りに【LiKG調査】

株式会社LiKGは、全国の中小企業経営者および役員を対象に、「Webマーケティング投資実態調査2025」を実施し、結果を公開しました。


年間予算は「100万円未満」が半数以上

図表1:年間マーケティング予算

企業の年間マーケティング予算について尋ねたところ、最も多かったのは「〜99万円」で全体の58.5%に達しました。続いて「100〜499万円」が16.5%、「500〜999万円」が8.5%、「1,000〜2,999万円」が8.5%、「3,000万円以上」が8.0%となりました。

この結果から、多くの中小企業が100万円未満という限られた予算でWebマーケティングに取り組んでいる現状が確認できます。

前年からの予算は7割が変化なく、慎重な投資傾向に

図表2:前年からの予算変化

前年と比較した予算変動については、「変わらない」が77.5%と大多数を占めました。一方で、「予算が増えた」と回答した企業は11.0%、「減った」と回答した企業は7.0%にとどまっています。

この結果は、多くの企業が継続的にマーケティング予算を増やせていない状況を示しており、慎重な投資スタンスが続いていることがうかがえます。

実施施策はリスティング広告等、即時性の高いパフォーマンス型広告が大半を占める結果に

図表3:取り組んでいるWebマーケティング施策

取り組んでいるWebマーケティング施策については、SEOやコンテンツ制作を実施している企業が27.5%で最多となりました。次いで、SNS広告が19.5%、リスティング広告が18.5%、YouTube広告が17.0%と続いています。

一方で、LINE広告は7.0%、TikTok広告は6.5%と比較的低い割合となりました。全体としては、効果検証が比較的しやすく、実行しやすい“王道チャネル”に取り組みが集中していることが分かります。

6割以上の企業が、成果実感を得られず

図表4:施策の成果実感

施策全体の成果実感については、「十分に成果を感じている」と回答した企業は全体の10.0%でした。一方で、「どちらかといえば成果を感じている」としたのは25.5%にとどまり、ポジティブな回答は合計で35.5%でした。

対して、「あまり成果を感じていない」が41.0%、「全く成果を感じていない」が23.5%となり、成果が見えていない企業が全体の64.5%と多数派であることが明らかとなりました。

成果指標は短期的な指標が多くを占める傾向に

図表5:成果指標

成果をどの指標で判断しているかを尋ねたところ、「売上・受注数」を指標としている企業が40.5%で最も多いという結果でした。次いで「問い合わせ・資料請求数・来店などの数」が28.5%、「サイトアクセス数(PV・UU)」が17.5%、「ブランド認知度・検索ボリューム」が11.0%となりました。

この結果から、多くの中小企業が短期的な成果に直結する指標を重視して施策評価を行っている実態が見て取れます。

成果が出ない理由は「知見不足」。分析できない・リソース不足が続く

図表6:成果が出ない理由

施策の成果が出ない理由として最も多かったのは、「社内にマーケティング知見がない」で31.0%でした。これに次いで「分析や改善ができていない」が23.0%、「コンテンツ制作のリソースが足りない」が18.5%、「予算が足りない」が15.0%と続きます。

全体として、スキル・人材・体制といった内部リソースがボトルネックとなり、成果創出の妨げになっている実態が明確となりました。

少額からでも始めやすい運用型広告が多くの企業で成果を実感

図7:満足度ランキング

重みづけスコア(※1)による分析の結果、費用対効果の満足度が最も高かった施策は「SEO・コンテンツマーケティング」で、1位票の高さが他施策を大きく引き離す結果となりました。

2位にはSNS広告(Instagram・X・TikTok)、3位にはメール/CRM施策が続き、いずれも複数順位で安定した支持を獲得しています。

一方、生成AIの活用や動画マーケティング、YouTube広告といった新興領域は相対的に評価が伸びず、企業の費用対効果の実感にギャップがある現状が浮き彫りとなりました。


(※1)本調査では、順位ごとの評価の強さを反映するため、1位を3点、2位を2点、3位を1点としてスコア化する「重みづけスコア」を採用しています。

図8:満足度ワーストランキング

重みづけスコアによる不満度分析では、「YouTubeの立ち上げ・拡張」が最も費用対効果に対する不満が高い施策として際立つ結果となりました。

続いて「生成AIの活用」が2位、「SEO・コンテンツマーケティング」が3位に入り、成果の可視化が難しい領域ほど不満が生まれやすい傾向が明らかになりました。

一方、同じ調査で実施した“満足度ランキング”では、SEO・コンテンツマーケティングが最も高い評価を獲得しており、同一施策が「最も評価される一方で不満も大きい」という二極化が特徴的です。

この二極化の背景には、SEO施策の成否が「正しい運用体制が整っているかどうか」に大きく依存する点があると考えられます。

適切なキーワード戦略や継続的なコンテンツ改善が行われている企業では高い費用対効果を実感できる一方、短期的な成果を求めたり、専門性の不足から誤った運用をしてしまう企業では期待通りの成果が得られず、不満として表れている可能性が高い結果となりました。

また、生成AIの活用や動画マーケティング、YouTube広告なども同様に、導入のしやすさと成果創出の難しさのギャップが不満度の上昇につながっていると推察されます。

今後強化したい施策はSEOのほか、生成AI活用も

図9:強化施策について

今後1年間で強化したいマーケティング施策を尋ねたところ、最も多かったのは「SEO・コンテンツマーケティング」で、全体の13.5%の企業が強化意向を示しました。

続いて、「SNS広告(Instagram/X/TikTok)」が11.0%、「生成AIの活用」が10.0%、「動画マーケティング」が8.5%、「リスティング広告」が8.0%という結果となりました。

一方で、「特に予定はない」と回答した企業が56.5%と過半数に達しており、取り組みたい施策はありつつも、リソース不足や優先順位の判断が難しい企業が多い様子もうかがえます。

専門知識、上流設計で内部運用の限界と課題感

図10:不足リソースについて

マーケティング活動において最も必要だと感じている支援としては、「マーケティング戦略全体の設計」が34.0%と最も多く、施策よりも“全体戦略の構築”に対するニーズが強い結果となりました。

次いで「AI・自動化の導入支援」が18.5%、「SEO対策の専門家」が8.0%、「リスティング広告」および「SNS広告の専門家」がそれぞれ6.5%、「コンテンツ制作リソース」が6.0%と続き、専門領域ごとの支援需要も一定数確認されました。

また、「メール/CRMの専門家」を求める企業も5.5%存在しており、既存顧客の育成施策に関心を持つ企業も少なくありません。

調査概要

調査名:マーケティング予算・施策実態調査2025
調査対象:全国の経営者・役員 200名
調査方法:インターネット調査
調査期間:2025年11月10日
有効回答数:200

出典元:株式会社LiKG

引用:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000010.000132885.html

※詳細については出典元の企業にお問い合わせください。

この記事のライター

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