旅行・観光市場では今何が起こっているのか? 新型コロナウイルスの影響について調査|セミナーレポート

旅行・観光市場では今何が起こっているのか? 新型コロナウイルスの影響について調査|セミナーレポート

withコロナ時代の旅行市場の変化をWeb行動ログから考察したオンラインセミナーが開催されました。今回は、旅行市場における消費者の意識変化・行動変化に注目し、新型コロナウイルスで大打撃を受けた旅行業界において、集客を戻すにはどのようなアプローチが効果的かをアンケート調査とWeb行動ログから読み解きます。


スピーカー紹介

セミナーのテーマ

1.コロナ禍における旅行市場の変化

新型コロナウイルスが今なお予断を許さない状況ではありますが、GoToキャンペーンの影響等が広がり、衛生面に気を付けつつ旅行に行く人が増えてきています。
コロナ禍における旅行市場ではどのような変化が起きているのでしょうか。

コロナ禍の旅行市場では、次の2点で大きな変化が見られました。

①どんな旅行を選ぶか (What)

②どのように旅行を検討するか (How)

オンライン / オフライン問わずどのような変化があったのか?

まず、「①どんな旅行を選ぶか」という点に着目してみましょう。

新型コロナウイルスによって旅行業界は大きな打撃を受け、特に海外旅行に行く人が顕著に減少しましたが、アンケート調査によると国内旅行の予定・検討者はさほど減少していないということが分かりました。

とはいえ、コロナの自粛ムードは少なからず旅行予定に影響し、特に女性の方が自粛傾向が強いということが明らかになりました。

旅行予定の変化

旅行予定の男女差

では、どのような旅行が選ばれているのでしょうか。

アンケート調査によると、旅行先において「費用」「交通の便」「宿泊先」「観光スポット」が重視されていた昨年と比べて、今年は「温泉」「ドライブ・ツーリング」といった点が重視されるようになりました。

旅行先で重視する点

続いて、ログデータを用いた検索ワード分析で直近の旅行ニーズを見ていきましょう。

下のスライドは、特徴的に上がっていた検索ワードが大きく変化してきたことを示しています。
航空会社への問い合わせなど海外旅行の心配が多かった3月から、徐々にカーシェアや高速道路料金など、車移動への関心が高まったことが分かります。

検索ワードの変化

これらのことから、「国内旅行である」「密にならない」ことが旅行先を選ぶ前提条件になっていることが読み取れます。
さらに、「身近な人と、癒しを求めて」「近場へ気軽に」「移動手段は車で、プライベートに」といった旅行がより好まれる傾向にあるようです。

つまり、旅行先の選定基準は、コロナ以前の自己実現欲求から、生理的欲求・安全の欲求に近しい訴求軸が好まれやすくなったと推測されます。

旅行先の選定基準の変化

次に、「②どのように旅行を検討するか」という点に着目してみましょう。

コロナ以降、外出時間が減少し、室内で過ごす時間が増加したためインターネットの利用が増加しています。
その傾向は旅行に関する情報収集でも顕著に現れ、旅行を検討する際にインターネットを用いる人の割合が男女ともに増加しました。

旅行に関する情報収集の仕方の変化

また、自粛ムードの強かった5月から「旅行」の検索者数は増加していたことが分かりました。

Webでの旅行検討行動の変化

ここまで、

①どんな旅行を選ぶか

②どのように旅行を検討するか


という2つの変化を見てきました。

ここからは、具体的な消費者のWEB上での行動の変化を深掘りしてみましょう。

2.Web行動ログから見るコロナ禍での消費者の旅行検討

コロナ以後、インターネット上の旅行サイトを情報収集に用いる人が増加したことが分かりました。
では、コロナの影響で減少したユーザー数がいち早く戻ったのはどのようなサイトだったのでしょうか

集客がいち早く戻ったサイトとは?

今回のセミナーでは、旅行サイトを「メディアサイト」と「予約サイト」の2つに分けて分析しました。

まず、メディアサイトでは、多くのサイトで4~5月に昨年比で6~7割ほどのユーザー減が見られ、特に、海外旅行系のサイトが顕著に減少しました。
しかし、6~7月にはユーザー数を戻しているサイトも散見されました。

コロナ禍での旅行メディアサイトの閲覧状況

旅行のモチベーションがより強まったときに見られる予約サイトでも、昨年比ユーザー数は大幅に減少しました。メディアサイトに比べてユーザーの戻りは遅かったものの、7月になってユーザー数を戻しているサイトも見られました。

コロナ禍での旅行予約サイトの閲覧状況

ユーザー数を大幅に戻したJTBでは、SEOと広告の両面から強化したようです。
さらに、GoToキャンペーンに加えて独自のクーポンを発行しています。

JTBの集客施策 (1)

JTBの集客施策 (2)

このような施策から、「旅行に行っていい理由」を提示したことでユーザー数を戻すことが出来たことが推測されます。

まとめ 今後の旅行検討者へのアプローチはどうすべきか

総括

ここまで、コロナ禍の旅行市場における消費者の変化とユーザー回復企業の動向を読み解いてきました。そこでは、消費者において「一時的な反応」と「今後も継続しそうな変化」が見られ、これらの変化をうまくとらえた旅行サイトがユーザー数を戻すことに成功していたということが明らかになりました。
今後もGoToキャンペーンが継続されていくなかで、旅行業界でどのような変化が見られるのか注視していく必要がありそうです。

セミナー資料ダウンロード【無料】

「旅行・観光市場では今何が起きているのか? 新型コロナウイルスの影響について調査」レポート

資料のダウンロードURLを、ご入力いただいたメールアドレスに送付させていただきます。
ご登録頂いた方にはVALUESからサービスのお知らせやご案内をさせて頂く場合がございます。

この記事のライター

早稲田大学でEU政治について学び、フランスに留学し政治学修了証を取得。
2021年4月ヴァリューズ入社予定で、現在内定者アルバイトとして記事を執筆中です!

関連するキーワード


「旅行」市場調査 セミナー

関連する投稿


【2025年1月6日週】注目のマーケティングセミナー・勉強会・イベント情報まとめ

【2025年1月6日週】注目のマーケティングセミナー・勉強会・イベント情報まとめ

編集部がピックアップしたマーケティングセミナー・勉強会・イベントを一覧化してお届けします。


【2024年12月23日週】注目のマーケティングセミナー・勉強会・イベント情報まとめ

【2024年12月23日週】注目のマーケティングセミナー・勉強会・イベント情報まとめ

編集部がピックアップしたマーケティングセミナー・勉強会・イベントを一覧化してお届けします。


【2024年12月16日週】注目のマーケティングセミナー・勉強会・イベント情報まとめ

【2024年12月16日週】注目のマーケティングセミナー・勉強会・イベント情報まとめ

編集部がピックアップしたマーケティングセミナー・勉強会・イベントを一覧化してお届けします。


【2024年12月9日週】注目のマーケティングセミナー・勉強会・イベント情報まとめ

【2024年12月9日週】注目のマーケティングセミナー・勉強会・イベント情報まとめ

編集部がピックアップしたマーケティングセミナー・勉強会・イベントを一覧化してお届けします。


リサーチャー菅原大介氏新刊!『ユーザーリサーチのすべて』出版記念セミナーレポート

リサーチャー菅原大介氏新刊!『ユーザーリサーチのすべて』出版記念セミナーレポート

リサーチャーである菅原大介氏の新刊『ユーザーリサーチのすべて』(マイナビ出版)が2024年10月に発売されました。 ユーザーリサーチは、定性および定量的な手法を駆使して顧客の真のニーズを明らかにし、企業がサービス改善や新たなマーケティング戦略の立案をする際に活用できるため、その重要性が高まっています。今回は出版を記念するセミナーとして、著者の菅原氏をはじめ、ブランディングテクノロジー株式会社 執行役員・CMOの黒澤友貴氏、株式会社マテリアルデジタル 取締役の川端康介氏をお迎えしてお話しいただきました。


最新の投稿


BtoBマーケティングの成功は"ファクトファインディング"が重要!本質的・潜在的な課題・ニーズを引き出すことが成功のカギ【PRIZMA調査】

BtoBマーケティングの成功は"ファクトファインディング"が重要!本質的・潜在的な課題・ニーズを引き出すことが成功のカギ【PRIZMA調査】

株式会社PRIZMAは、全国のマーケティングコンサルタントを対象に、「BtoBマーケターが始めた方が良いこと」に関する調査を実施し、結果を公開しました。


デビットカードは日本でも覇権を握るのか? 検索者の実態をクレジットカードと比較調査

デビットカードは日本でも覇権を握るのか? 検索者の実態をクレジットカードと比較調査

即時払いで決済を行うデビットカード。キャッシュレス決済全体に占める割合はまだまだ低いものの、利用者や利用場面は着実に増加しており、成長の兆しを見せています。本稿では、そんなデビットカードの検討状況について、キャッシュレス決済カテゴリのマーケットリーダーであるクレジットカードと比較し、今後の市場動向を占います。


博報堂DYMP、日本経済新聞社・東北新社と企業ブランディングのためのドキュメンタリー動画広告企画を開発

博報堂DYMP、日本経済新聞社・東北新社と企業ブランディングのためのドキュメンタリー動画広告企画を開発

株式会社博報堂DYメディアパートナーズは、株式会社日本経済新聞社、株式会社東北新社とともに、ドキュメンタリー動画を制作・提供する広告企画「日経ブランドドキュメント」を開発したことを発表しました。


2024年人気アニメを振り返る!ヒットを生む「勝ちパターン」とは?

2024年人気アニメを振り返る!ヒットを生む「勝ちパターン」とは?

コンテンツには事欠かない現代ですが、話題を呼ぶ人気作には、どのような「勝ちパターン」が存在するのでしょうか。2024年に放送された新規アニメ「薬屋のひとりごと」「逃げ上手の若君」「怪獣8号」「ダンジョン飯」に、11月に劇場版が公開された「進撃の巨人」を加えて、消費者の関心を調査しました。


2024年トレンド総決算!6つのテーマのマーケティング調査で振り返る

2024年トレンド総決算!6つのテーマのマーケティング調査で振り返る

マナミナでは、国内最大規模の消費者オンライン行動データを活用して、世の中のトレンドを調査しています。2024年もさまざまなトレンドを記事として取り上げてきました。今回は調査記事の総集編として、2024年のトレンドを振り返ります。


競合も、業界も、トレンドもわかる、マーケターのためのリサーチエンジン Dockpit 無料登録はこちら

アクセスランキング


>>総合人気ランキング

ページトップへ