分析方法について
今回の分析では、対象動画のコンバージョン数、CPI/CPA、インプレッション数を評価基準としています。コンバージョン数が中央値を上回り、CPI/CPAが中央値を下回っている動画を好調動画と位置付け、その中でもインプレッション数が多いものをTOP動画としています。
こうして抽出した好調動画について、なぜ獲得効率が良いのか、要因分析を行いました。
1. アプリインストール編|FX
FXのアプリの場合、「初心者でも安心して使える」ことが伝わる動画が好調です。
UGCライクな撮影素材から始まり、アプリUIを提示することで「初心者でも安心して使える」ことを想起させ、利用体験とメリットを複数紹介する動画が多い傾向にあります。また、「ゲームで遊んでFXを擬似体験させる」ことで、操作の簡易さとFXの仕組みを訴求するものも多く見られます。
■CTRが好調なクリエイティブ
動画がユーザーに視聴されやすく、クリックされやすくなる要因として以下が挙げられます。
・動画の表現にUGC感がある
・実際のアプリUIで操作シーンを見せる
・手持ち表現でスマホ画面に注目させる
・冒頭に日常のシーンが入っている
・ナレーションやBGMがある
実際のアプリUIで操作シーンを見せる
動画内に実際のアプリUIを表示し、投資の様子などを見せるとCTRが高くなる傾向にあります。
「アプリ操作有り」と「アプリ操作無し」の動画の比較では、「アプリ操作有り」の平均CTRが約63%高くなっています。その理由としては、動画の視聴者にはFX初心者が多いことが推測されます。
投資へのハードルを下げる必要があるため、アプリ操作シーンで操作の簡易さ、始めやすさを伝える動画が好調です。
手持ち表現でスマホ画面に注目させる
動画内の人物は顔を出さず、スマホを手に持って操作するシーンや「コント風」に会話のみでサービスについて語ることで操作画面に注視させる動画が好調です。
「人物有り(顔出し有り)」「人物有り(顔出し無し、手もと有り)」「人物無し」の動画の比較では、「人物有り(顔出し無し、手もと有り)」のCTRが最も高くなっています。
アプリでのFXは初心者向けのサービスが好調のため、実際の利用シーンを見せることで参加ハードルの低さを伝えることが興味を持たれやすいと推測されます。
冒頭に日常のシーンが入っている
動画の冒頭の日常シーンの有無については、「冒頭の日常シーン有り」よりも「冒頭の日常シーン無し」の割合が高くなっていますが、「冒頭の日常シーン有り」と「冒頭の日常シーン無し」の動画の比較では、「冒頭の日常シーン有り」の平均CTRが約6%高くなっています。
サービス内容と直接関係がない、料理やペットなどオーガニック投稿によくある日常生活を映した冒頭の日常シーンは、動画の広告色を薄めるため、いきなり本題を紹介する動画よりも、非顕在層ユーザーにクリックされやすいと考えられます。
■CVRが好調なクリエイティブ
ユーザーの獲得効率が良くなる要因として以下が挙げられます。
・ポジティブな感情構成になっている
・ターゲットを特定する表現を使っている
・ハードルを下げる訴求が盛り込まれている
・キャンペーン訴求はあまり影響しない
・権威性が伝わる表現を使っている
・動画終盤でサービス名を提示している
ハードルを下げる訴求が盛り込まれている
「ゲーム感覚で試すことができる」「無料で利用できる」など、アプリ利用のハードルを下げる訴求ポイントを動画に盛り込むとCVRが好調になります。訴求ポイントが4つ以上になるとより効果的です。
権威性が伝わる表現を使っている
利用満足度や取引量など、サービスの権威性が伝わる表現がある動画が好調となっています。
「サービスの権威性 有り」と「サービスの権威性 無し」の動画の比較では、「サービスの権威性 有り」の平均CVRが約56%高くなっています。ユーザーに安心感と信頼性を与える表現は、アクションに繋がりやすいと考えられます。
2. WEBコンバージョン編|クレジットカード
クレジットカードの申し込みを促進させる場合、ターゲットを特定し、おすすめポイントを複数紹介する動画が好調です。
また、ターゲットに合わせて、日常シーンなどVlog風の撮影素材を組み合わせる表現も多く見られます。
■CTRが好調なクリエイティブ
動画がユーザーに視聴されやすく、クリックされやすくなる要因として以下が挙げられます。
・人物が登場している
・利用シーンを想起させる要素が盛り込まれている
・カード券面の提示がある
・ナレーションがある
・動画の最後にCTAがある
人物が登場している
人物が登場している動画が好調であり、「人物有り(顔出し有り)」「人物有り(顔出し無し)」「人物無し」の動画の比較では、「人物有り(顔出し無し)」が最もCTRが高くなっています。
人物が顔を出してアドバイスをしたり、一人語り風の表現をするよりも、さまざまな買い物や食事をするシーンで、人物は顔を出さずに体の一部が映り込んだり、「人がいる気配」を感じさせる動画が効果的だと考えられます。
利用シーンを想起させる要素が盛り込まれている
単にクレジットカードを見せるだけでなく、飲食や買い物、会計のシーンを見せることで、より具体的に利用シーンをイメージさせる動画が好調です。
「利用シーン想起要素 有り」と「利用シーン想起要素 無し」の動画の比較では、「利用シーン想起要素 有り」の平均CTRが66%高くなっています。
■CVRが好調なクリエイティブ
ユーザーの獲得効率が良くなる要因として以下が挙げられます。
・申し込みのメリット訴求が盛り込まれている
・限定表現のあるキャンペーン訴求をしている
・メリット羅列やVlog風の動画表現を使っている
・CM素材を使用しても効果が期待できる
・ポジティブな感情構成になっている
・冒頭でターゲットを特定している
・LPに診断やアンケートを活用している
・LPのファーストビューに人物やカード券面を見せている
・LPは短すぎず長すぎないように設計している
申し込みのメリット訴求が盛り込まれている
「ポイント還元」「年会費無料」など、クレジットカード申し込みのメリット訴求を動画に盛り込むとCVRが好調になります。訴求ポイントが3つ以上になるとより効果的です。
CM素材を使用しても効果が期待できる
動画形態の割合では、「動画UGCライク」が85%を占めており、「スライドショー」が8%、「動画(CM)」が7%となっていますが、平均CVRは「動画(CM)」が最も高くなっています。
「動画(CM)」は、タレントや人気クリエイターを起用したCM素材が多く見られることから、クレジットカード業界ではサービスへの信頼感、安心感がブランドに依存しやすいため、リッチな公式CMが効果的だと考えられます。
LPに診断やアンケートを活用している
LPのタイプ別の割合では、「公式HP」が54%と半数を上回っており、「記事LP」が34%、「診断LP」が12%となっています。
公式HPをそのままLPとして使う割合が最も高くなっていますが、CVRは「公式HP」よりも「診断LP」「記事LP」が好調となっています。
診断やアンケートを使い、ユーザーに回答させることで自分事化させた後に、サービスのメリットや申し込み方法を紹介する流れで申し込みを促進するLPが効果を発揮しているため、公式HPを使用する場合は、本LPの前に「診断LP」や「記事LP」を挟むことが効果的だと考えられます。
LPは短すぎず長すぎないように設計している
LPの長さを10スクロール未満を「短尺」、11〜15スクロールを「中尺」、16スクロール以上を「長尺」とし、平均CVRを比較したところ、「中尺」が最も高くなっています。
LPは短すぎず長すぎない、11〜15スクロールで設計するのが最適だと考えられます。
出典元:TikTok for Business
※詳細については出典元の企業にお問い合わせください。
マナミナは" まなべるみんなのデータマーケティング・マガジン "。
市場の動向や消費者の気持ちをデータを調査して伝えます。
編集部は、メディア出身者やデータ分析プロジェクト経験者、マーケティングコンサルタント、広告代理店出身者まで、様々なバックグラウンドのメンバーが集まりました。イメージは「仲の良いパートナー会社の人」。難しいことも簡単に、「みんながまなべる」メディアをめざして、日々情報を発信しています。