ブランドイメージは18業界のうち15業界でロイヤルティ醸成の要因に
NPSベンチマーク調査においては、推奨度のほか、ロイヤルティに影響を与える要素についても聴取し、推奨度とロイヤルティ構成要素の満足度との相関関係からロイヤルティに影響を当てる要因についても分析しています。
分析の結果、ロイヤルティ構成要素のうち、「ブランドイメージの良さ」は、生命保険や自動車保険などの金融業界や、電力・都市ガスなどのエネルギー業界など、18業界中15業界においてロイヤルティ醸成につながる要因となることがわかりました。
特に銀行業界では、「ブランドイメージの良さ」が最もロイヤルティに与える影響が高くなりました。一方で、セキュリティソフト業界と通販化粧品業界においては、ブランドイメージはロイヤルティへの影響度が高いものの、満足度が低い結果となりました。
図:18業界におけるブランドイメージのロイヤルティへの影響度分析(ドライバーチャート)
ブランドイメージは不祥事が起きると大きく毀損し、ロイヤルティを阻害しやすい
ブランドイメージの低下によってロイヤルティに大きく影響した例として、ある生命保険会社(以降A社)が挙げられます。
A社では、2019年に不祥事報道が相次いだことにより、2018年から2020年にかけて、NPSはマイナス24.6ポイントと大きく低下しました。その後、NPSは回復傾向であるものの、不祥事報道以前と比較して低い水準となっています。
図:生命保険A社におけるNPSの経年推移
生命保険A社における、不祥事報道前後でロイヤルティに影響度の高い要因を分析したところ、ブランドイメージは、不祥事報道前の2018年には満足度は高くロイヤルティへの影響度も低かったものの、不祥事報道後の2020年には、満足度が大きく低下し、かつ推奨度への影響度が大きく上昇しました。
このように、何らかの不祥事やネガティブな報道がなされたときに、ブランドイメージの毀損がロイヤルティの低下につながるため、NPSの時系列変化の要因を把握するためにも、ロイヤルティ構成要素として「ブランドイメージの良さ」の満足度を把握することが重要であるといえます。
図:生命保険A社における不祥事報道前後のブランドイメージのロイヤルティへの影響の変化
信頼感や安定感、お客様を大切にしているイメージがロイヤルティ醸成のポイント
NPSベンチマーク調査では、調査対象企業に対する具体的なイメージ項目を設けています。
ブランドイメージがロイヤルティに特に大きく影響している銀行を例に、具体的にどのようなイメージがロイヤルティ醸成に寄与しているか分析したところ、「信頼感がある」や「安定感がある」といったイメージがロイヤルティを醸成する結果となりました。
一方で、「お客様を大切にしている」イメージは、推奨度への影響度が高いものの、他のイメージと比較して弱く、優先的に高めていくべきイメージとなりました。「お客様を大切にしている」イメージは、銀行業界だけでなく生命保険業界や電力業界など多くの業界でロイヤルティ醸成にとって重要なイメージとなりました。
図:銀行業界におけるロイヤルティに影響を与えるイメージ分析
※イメージに関する項目は1~5の5段階評価で聴取
NPS上位企業では、ロイヤルティへの影響度が高いイメージを形成している
NPS上位の銀行B社における具体的なイメージを分析したところ、ロイヤルティへの影響度が高い「信頼感がある」や「安定感がある」、「お客様を大切にしている」といったイメージが業界平均と比較して高く、中でも「信頼感がある」と「お客様を大切にしている」イメージにおいては、調査対象の13行の中で最も高い結果となりました。
この傾向はその他の業界のNPS上位企業においても顕著であり、NPS上位企業においてはロイヤルティへの影響度が高いイメージを形成していることがわかりました。ロイヤルティ醸成に寄与するイメージを特定し、強めていくための取り組みの重要性が示唆される結果となりました。
図:NPS上位の銀行B社におけるイメージ
出典元:NTTコム オンライン・マーケティング・ソリューション株式会社
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