推しがコラボした商品・サービスを購入する割合は9割以上
上記の結果から、推しとのコラボによって、9割近くもの人が「その商品に推しが関連しているから」という理由で、購入の意思決定をしたことがあることがわかります。
また、残りの「いいえ」と回答した人の中には金銭的な理由や、まだ企業とのコラボ経験がないようなニッチなジャンルを推していることも考えられるため、推し活層の購買活動において推しとのコラボは、商材の特性が推し活層のユーザー層とかけ離れていない限り、少なくとも短期的な広告効果は十分にある程度得られると考えられます。
過去のコラボ実績がその後の消費行動にも大きく影響する
こちらの回答結果から、ある商品・サービスが推しと関連していなくても、過去に推しを広告に起用してくれていたことが認知されていれば、それは推し活層にとって購買を決める理由になるということがわかります。
推しを広告起用することで、商品やサービスの長期的な認知獲得の効果を得られると推測することができますが、具体的な回答コメントを見ると、大手の企業と有名タレント・アイドルグループのコラボが多く、企業自体の十分な認知度や大規模な予算の広告活動であるという前提が必要であるとあると考えられるため、過去のコラボを認知させること自体の難易度が高いと見ることもできます。
こちらのアンケートではQ1とは異なり、2次元推しと3次元推しで回答の割合が大きく異なっています。
これは2次元推しの場合、3次元推しよりも推し活という行動における公式グッズやコラボ商品の購入割合が大きく、推しが直接的に関わっていない限り、できるだけ公式への供給のためにお金を貯めておきたいという心理が強いからと考えました。
また、アイドルやタレントなどの3次元推しは現実の「人」を推しているからこそ、その人の人生を応援しているような要素が強いため、推しを広告起用してくれたことへの感謝や、これからも推しを広告に起用して欲しいという理由が生まれるということも考えられます。
実際に、アンケートの回答コメントにも「これからもPRや広告活動に推しを起用して欲しい」、「推しの役に立ちたい」、「少しでも推しの活躍の場(仕事)が増えてほしい」という購入理由が目立ちました。
推しとのコラボは短期的な広告効果だけではない
Q1、Q2の回答結果から推しがコラボしていること自体が、推し活層にとっては十分な購入理由となることがわかりました。
Q3では推しとのコラボによる商品・サービスの認知によって、その商材自体の魅力を認知させることができるのか、その商材のファン化に繋げることができるのか、という観点での質問を設置しました。
上記の回答結果を見ると、Q1、Q2の結果と比較して数値として低くなっていますが、そこまで大きく変化していないことがわかります。
「推しがコラボしているから」という推し活層にとっては十分な決め手になる強い理由によって、ハードルの高い初回購入を促すことができ、多くの場合それをきっかけにその商品自体の機能性を認知させることができると考えることができます。
つまり、Z世代女性向けの魅力的なプロダクトがあるのであれば、Z世代女性の多くの割合の人は推しがいるため、推しとのコラボは短期的な広告効果だけではなく、他の広告施策と比較しても十分にその商品・サービスのLTVの高い長期的な顧客形成施策の選択肢となることができます。
コラボしていることより、推しを感じられることが重要
ここまでの回答で、推し活女子の消費を促進させるためにコラボがとても確実な手段とわかりましたが、必ずしもコラボしている必要はなく、「推しを感じられる」ということも推し活女子の消費を動かす上で重要な要素と考えます。
Q.4では推しの担当カラー(メンカラ)を意識した購入経験について質問したところ、推しとのコラボが購入動機となった購入経験と同じように、9割以上の方が「はい」と回答しました。
カラーバリエーションが豊富な商品や、他社の類似商品と迷った場合に、推しを想起することができるかは商品選択の重要な決め手となることがわかります。推し活女子にとって、カラーでどの商品を買うか迷った場合、その選択をするための理由としてメンカラはその選択をするための動機となり、その意思決定のフローが無意識に習慣となっている傾向にあると考えています。
また、Q1~3の結果よりも2次元推しと3次元推しの回答割合に差がないことから、先述したようにオタク女子にとって推しを感じられるという要素の重要性が導き出せるとともに、コラボなどの機会があまりない推しのオタクをしている女性に対しても、推しを少しでも感じられるような商品設計をすることで思わぬ消費を促す効果が期待できます。
推し活女子への消費喚起は「推しのための消費」がキーワード
こちらの質問項目の回答結果では、Q1と比較して「はい」と回答した割合が低いことに着目しました。
一般的にはインフルエンサーなどを起用したPRを用いた場合、広告案件とユーザーが認知すると購入率が下がる傾向にあります。
また、推しが宣伝している場合と、推しが普段から使用している場合の両者において、ユーザー目線ではその商品と推しとの関連度合いや商品の信頼性向上的な観点ではあまり差はないと考えます。
一般的には広告と認識されると消費者は購入を避ける傾向にあるにも関わらず、それよりもその消費が推しのためになるのであれば積極的に推しに貢献したいというマインドは、買わない理由を上回る購入の決め手となります。
グッズ収集の推し活傾向が強い二次元推しの場合には、基本的に推しは存在するだけで消費が生まれて活動が続く存在なので、自分のグッズ収集欲を満たすために消費をするため、3次元推しよりも「いいえ」と回答した結果が多くなっており、上記の考察の裏付けとなっていると思います。
推し活層へのターゲティングは幅広い商品ジャンルで有効
今回のアンケートでは2次元推しと3次元推しで求めるコラボ商材のジャンルについては、違いは見られませんでした。どちらも、コラボ商材を購入する理由として、「推しに貢献したい」「推しが関連しているグッズをとにかく集めたい」という動機が強いため、その商品のジャンルや特性について考えることは二の次となるので、気軽に買えて、普段使いできる商品が好まれる傾向となっています。
そのため、回答をまとめると上記の画像のようになりますが、実際には「コラボしているならなんでも良い」「ビジネスマン向けのサービスやスクールなどの大きな金額でなければなんでも」などという回答コメントが数多く見られました。
推し活層へのマーケティングも一貫した長期的な顧客形成の観点が最重要
今回のアンケートから推しのコラボや広告起用によって、推しを応援するためや、推しが関連していること自体が購入の動機となり、商品の初回購入のハードルを著しく低下させることがわかります。
そして、そのような短期的な広告効果をもたらすだけでなく、購入した商品の魅力についても着目し、その商品の長期的な顧客になるかという観点でも、他の広告手段と比較して劣ることはないということもわかりました。
推しを商品設計・販売の企画に起用しても短期的な成果につながらない場合には、推しを起用する手法自体が悪なのではなく、推しを起用することで短期的な一定の成果が生まれてしまうからこそ、ユーザー理解などそもそも通常のPR・広告施策を考える際のフローに思考放棄が発生してしまっている部分があるのではないかと考えます。
推しを起用することはその商品と関係なく、推し活層へアプローチをすることができるチャンスとなります。また、コラボ商品においてはその商品がどれだけ推しのことを考えられたコラボになっているか、という消費者と同じ目線で推しを推すという意識を持つような企画をすることで、自社のファンになることを促すことができます。
調査概要
実施期間:2023/09/21~2023/09/24
調査対象:推し活をしている女性
回答総数:486名(2次元推し:95名、3次元推し:391名)
回答者年齢別割合:
-18歳未満:209名(43.00%)
-18~24歳:141名(29.01%)
-25~29歳:55名(11.32%)
-30~34歳:37名(7.61%)
-35歳以上:44名(9.05%)
調査方法:googleフォームにて回答入力
出典元:株式会社minor role
※詳細については出典元の企業にお問い合わせください。
マナミナは" まなべるみんなのデータマーケティング・マガジン "。
市場の動向や消費者の気持ちをデータを調査して伝えます。
編集部は、メディア出身者やデータ分析プロジェクト経験者、マーケティングコンサルタント、広告代理店出身者まで、様々なバックグラウンドのメンバーが集まりました。イメージは「仲の良いパートナー会社の人」。難しいことも簡単に、「みんながまなべる」メディアをめざして、日々情報を発信しています。