【大阪グルメ】地元民が調べる店、観光客が調べる店。食べログTOP10

【大阪グルメ】地元民が調べる店、観光客が調べる店。食べログTOP10

飲食店の口コミサイト「食べログ」。豊富な情報が掲載され、予約まで可能な食べログは多くの人に利用されています。食べログの利用シーンはさまざまですが、「地元民が調べるお店」と「観光客が調べるお店」にはどのような違いがあるのでしょうか?本記事では、現在万博が開催されている大阪を対象に、その違いを分析します。


食べログとは

食べログ」は、株式会社カカクコムが運営する日本最大級のグルメレビューサイトです。

ジャンルやエリア、価格帯など、さまざまな条件で飲食店を検索できるほか、写真やメニュー、口コミなどを確認しながら、目的に合ったお店選びができます。

また、気に入ったお店の予約も可能で、日常の食事から特別な日のレストラン探しまで、幅広く活用されています。

食べログについて

一口に「食べログでお店を探す」といっても、その目的は人によってさまざまです。

同じ地域のお店を調べる場合でも、地元に住む人と他の地域から訪れる人とでは、調べる目的や知りたい情報に違いがあると考えられます。

そこで今回は、現在万博が開催されている大阪府を対象に、「大阪府民(地元民)」と「大阪府民以外(主に観光客)」で検索する飲食店にどのような違いがあるのか分析します。

分析には、株式会社ヴァリューズのWeb行動ログ分析ツール「Dockpit(ドックピット)」を用います。

なお調査の都合上、本記事ではアプリを除いたWeb検索データに絞って分析を行います。

地元民が調べているお店TOP10

さっそく、大阪府民が調べている飲食店TOP10から見ていきましょう。

No.店名ページ訪問者ジャンル最寄り駅予算(夜)予約百名店
1サカナのめしや 天端10,100海鮮・居酒屋天王寺駅4,000~4,999円
2ちょうつがひ 阪急グランドビル店9,000和食梅田駅4,000~4,999円
3廣東料理 民生 ヒルトンプラザウエスト店(みんせい)8,800中華西梅田駅6,000~7,999円2024、2021
4旬魚 旬菜 咲くら 梅田阪急グランドビル店(さくら)8,700海鮮・居酒屋梅田駅3,000~3,999円
5一富士食堂8,700うどん大阪天満宮駅~999円×2024
6カルネジーオ ウエスト(CarneSio west)8,600ステーキ・イタリアン大阪梅田駅5,000~5,999円2024
7アシッドラシーヌ(ACIDRACINES)8,300ケーキ天満橋駅1,000~1,999円2023、2022、2020~2017
8豚足のかどや8,200豚料理大阪難波駅2,000~2,999円※×
9赤白 ルクア大阪店(コウハク)8,000フレンチ大阪駅2,000~2,999円
10酒宴 菜乃庵(nanoan)7,900和食・居酒屋天王寺駅5,000~5,999円

大阪府民が調べた大阪の飲食店TOP10(記事作成時点、Dockpitデータ・食べログ情報より筆者作成)
セグメント:大阪府居住者
集計期間:2024年4月~2025年3月
デバイス:PC、スマートフォン
※「予算」の掲載がなかったため「予算(口コミ集計)」を記載

和食や海鮮の居酒屋、中華、イタリアン、フレンチなど、幅広いジャンルのお店がランクインしています。

予算が比較的高く、高級感のあるお店が多い傾向にあります。さらに、2位の「ちょうつがひ」と4位の「咲くら」は、阪急グランドビルの28階・ 27階といずれも高層階に位置しており、景色を楽しめる特別感のあるお店です。

また、ランクインしている多くのお店が予約可能となっています。

これらの傾向から、大阪府民(地元民)は、特別な日に普段とは違う高級感のあるお店を予約する目的で、食べログを利用する人が多いと考えられます。

観光客が調べているお店TOP10

次に、大阪府民以外が調べている飲食店TOP10を見ていきましょう。

No.店名ページ訪問者数ジャンル最寄り駅予算(夜)予約百名店
1徳蔵(徳蔵【旧店名】わいん家)77,800ビストロ・イタリアン心斎橋駅4,000~4,999円
2お好み焼き きじ 本店19,900お好み焼き梅田駅2,000~2,999円×2024~2022、2019、2018
3カドヤ食堂 総本店(かどやしょくどう)19,700ラーメン・つけ麺西長堀駅1,000~1,999円×2024~2017
4人類みな麺類18,500ラーメン南方駅~999円×2024~2017
5味乃家 本店(あじのや)18,400お好み焼きなんば駅3,000~3,999円2024~2022、2019、2018
6福太郎 本店(福太郎)16,900お好み焼き近鉄日本橋2,000~2,999円×2024~2022、2019、2018
7中華そば 桐麺 総本店16,400ラーメン十三駅1,000~1,999円×2024~2022
8春駒(はるこま)14,900寿司天満駅1,000~1,999円×2021
9家和らぎ(ヤワラギ)13,300日本料理

心斎橋駅

5,000~5,999円
10うどん棒 大阪本店(うどんぼう)13,200うどん東梅田駅1,000~1,999円×

2024、2022、2020~2017

大阪府民以外が調べた大阪の飲食店TOP10(記事作成時点、Dockpitデータ・食べログ情報より筆者作成)
セグメント:大阪府以外の居住者
集計期間:2024年4月~2025年3月
デバイス:PC、スマートフォン

ラーメンや大阪名物のお好み焼きなど、いわゆる「ご当地グルメ」のお店が多くランクインしています。

また、百名店(※)の受賞歴に注目すると、ほとんどのお店が複数年にわたり受賞しており、評価の高い人気店が多くの人に検索されていることがわかります。

※ジャンルごとに、食べログユーザーから高い評価を受けた100店舗が選出される。2017年から毎年発表されている。

さらに、大阪府民が調べているお店とは異なり、予約不可のお店が多く含まれているのも特徴的です。

これらの傾向から、大阪府民以外(主に観光客)は、観光時に訪れたい有名店や話題のお店の情報を集める目的で、食べログを活用する人が多いと考えられます。

ラーメンも旅行の目的の一つ?

今回の調査では、大阪府民以外が調べたお店の上位にラーメン店が3店舗含まれる結果となりました。ザ・大阪のイメージがあるお好み焼きなどと比較すると、ここまでラーメン店がランクインするとは意外な印象でした。

今回ランクインした「カドヤ食堂 総本店」「人類みな麺類」「中華そば 桐麺 総本店」は、ラーメンをすする動画で人気のYouTubeチャンネル「SUSURU TV.」でも取り上げられており、いずれも40万回以上再生されている人気動画となっています。(2025年4月24日時点)

SUSURU TV.のチャンネル登録者が170万人を超えていることからも、ラーメン人気が広がりを見せていることがうかがえます。

こうした影響もあり、その地域でしか食べられないラーメンを「ご当地グルメ」として旅の目的の1つにする、「ラーメン通」の旅行者が増えているのかもしれません。

広告集客に力を入れているお店も

大阪府民以外が調べたお店にはご当地グルメのお店が多い中、イタリアンの「徳蔵」というお店が1位となりました。他のお店とジャンルの異なる徳蔵が、なぜ1位となっているのでしょうか。

その背景には、広告の効果があります。

徳蔵のページURLを見ると、末尾にGoogle広告からのアクセスであることを示す「gad_source」や「gclid」というパラメーターがついています。

実際、徳蔵のページ訪問者はリスティングからの流入がほとんどでした。

食べログ「徳蔵」のページへの流入経路

食べログ「徳蔵」のページ(https://tabelog.com/osaka/A2701/A270201/27001689/?gad_source=1&gclid=__gclid__)への流入経路
集計期間:2024年4月~2025年3月
デバイス:PC、スマートフォン

この結果から、メインのニーズから外れたとしても、広告で認知度を高められることがわかります。

調査データの特徴

次に、今回紹介したデータの特徴について見ていきます。

まず、サイト訪問者の年代です。

食べログで大阪の飲食店ページを訪問したユーザーの年代

食べログで大阪の飲食店ページを訪問したユーザーの年代
セグメント:大阪府民(青)、大阪府民以外(オレンジ)
集計期間:2024年4月~2025年3月
デバイス:PC、スマートフォン

大阪府民で大阪の飲食店ページを訪問したユーザーは、40代・50代が多い傾向にあります。一方で、大阪府民以外のユーザーは、40代・50代が多いものの、よりネット人口全体に近い分布となっています。

地元民は、特別感のあるお店の予約をする目的で食べログを利用する傾向が見られるため、年齢層が高くなっている可能性が考えられます。

さらに、デバイス比率にも特徴的な傾向が見られました。

食べログで大阪の飲食店を調べる際のデバイス

食べログで大阪の飲食店を調べる際のデバイス(PC:パソコン、SP:スマートフォン)
セグメント:大阪府民(青)、大阪府民以外(オレンジ)
集計期間:2024年4月~2025年3月
デバイス:PC、スマートフォン

いずれのセグメントにおいても、ほとんどのユーザーがパソコンで調べていることがわかります。食べログはアプリも浸透しており、スマートフォンで調べる際にはアプリを利用している人が多いのではないでしょうか。

まとめ

最後に今回の調査のまとめです。大阪府民(地元民)と大阪府民以外(主に観光客)では、食べログで調べる大阪の飲食店に明確な違いが見られました。

・大阪府民:普段は行かない特別感のあるお店を予約する際に食べログを利用している
・大阪府民以外:観光の情報収集の一貫として、現地で有名なお店を調べるために食べログを利用している

このように、同じ「食べログの利用」であっても、ユーザーの属性によって目的や利用シーンが異なることがわかりました。店舗の集客施策や情報発信を考える際は、こうした違いを意識することが重要になりそうです。

▼今回の分析にはWeb行動ログ調査ツール『Dockpit』を使用しています。『Dockpit』では毎月更新される行動データを用いて、手元のブラウザでキーワード分析やトレンド調査を行えます。無料版もありますので、興味のある方は下記よりぜひご登録ください。

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この記事のライター

2026年4月に入社予定の大学院修士課程1年生です。大学では分子生物学系の研究に取り組んでいます。

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