JR東日本が手がけるJRE BANK
JRE BANKは、JR東日本グループの銀行サービス※1です。おもにスマートフォンから利用でき、駅や電車の利用にあわせて、お得なサービスを受けられます。たとえば、以下のようなメリットがあります。
・銀行取引でJRE POINTが貯まる
・いつでも手数料無料でVIEW ALTTEが使える
・優待割引券がもらえる
Suicaとの連携もできるため、通勤や通学、旅行において利便性が高いサービスです。残高やご利用明細の確認、振込などの銀行口座としての基本機能は、スマートフォンで完結します。
JRE BANKは、JR東日本だから提供できるさまざまな特典があり、利便性も高い点が大きな魅力です。JR東日本のサービスをよく使う人ほど、メリットを感じやすいでしょう。
※1:JRE BANKは、ビューカードと楽天銀行を所属銀行とする銀行代理事業者として、各種契約締結の媒介を行うサービス
※記事内で紹介している情報は記事執筆時の情報です。最新の情報は公式サイトをご確認ください。また、各種特典には利用条件があります。具体的な条件についても公式サイトをご確認ください。
「JRE BANK」の検索者数の推移と注目キーワードの振り返り
ここからの調査・分析には、ヴァリューズのWeb行動ログ分析ツール「Dockpit(ドックピット)」を用いています。
2024年3月〜2025年5月における「JRE BANK」の検索者数の推移は、以下のとおりです。

図:「JRE BANK」の検索者数の推移
期間:2024年3月~2025年5月
分析ツール:Dockpit
デバイス:PC、スマートフォン
JRE BANKは、2024年4月9日にリリースが配信され、2024年5月9日にサービスがスタートしています。サービス開始の2024年5月の検索者数は約30万人で、もっとも多いことがわかります。2024年7月ごろから検索者数は落ち着きはじめ、以降は毎月5万人程度が検索しています。
■サービス開始当初は口座開設ニーズが高い
次に「JRE BANK」の検索者が、どのようなキーワードに注目しているのかを、四半期ごとに調査(季節比較)しました。季節比較では、JRE BANKの検索者が、検索の際に用いた「掛け合わせワード」のうち、注目度の高いキーワードをピックアップしています。
JRE BANK開始直後の2024年5月〜2024年7月は「申し込み」「口座開設」など、口座解説に関連するキーワードが目立ちます。

図:「JRE BANK」の検索者数の季節比較(2024年5月〜2024年7月)
期間:2024年5月〜2024年7月
分析ツール:Dockpit
デバイス:PC、スマートフォン
また、「メール来ない」や「GMAIL」が含まれていますが、こちらは想定以上の申し込みによってメール送付に時間がかかっていたことが要因と考えられます。
参考:サービス開始当初の公式のXの投稿
■サービス開始から3か月目以降は、キャンペーン・特典の情報収集
2024年8月〜2024年10月は「いつ」「特典」など「キャンペーン」に関わるキーワードが注目されています。JRE BANKでは、2024年9月に「24歳以下限定!!JRE BANKで『どこかにビューーン!』」キャンペーンを実施しました(※1)。
「どこかにビューーン!」は、4つの新幹線の停車駅からランダムに選ばれた駅に、JRE POINT 5,000〜6,000ポイントで往復利用できるサービスです。「24歳以下限定!!JRE BANKで『どこかにビューーン!』」キャンペーンは、条件を満たすと、JRE POINT 3,000ポイントで「どこかにビューーン!」を利用できるクーポンを1枚もらえるという内容でした。旅行を検討している若年層に注目されたのでしょう。

図:「JRE BANK」の検索者数の季節比較(2024年8月〜2024年10月)
期間:2024年8月〜2024年10月
分析ツール:Dockpit
デバイス:PC、スマートフォン
2024年12月〜2025年2月は「グリーン券」「ポイント」など、特典に関連するキーワードが注目されています。JRE BANKは、利用状況に応じて、さまざまな特典を提供しています。たとえば、「(モバイルSuica限定)Suicaグリーン券」では、普通列車のグリーン車を無料で利用可能です(最大年4枚)。また、JRE BANKに預けた現金は、駅のATM「VIEW ALTTE」で、 上限回数なく手数料無料で引き出せます(※2)。頻繁にJRを利用して移動する人にとっては、魅力的な特典でしょう。

図:「JRE BANK」の検索者数の季節比較(2024年11月〜2025年1月)
期間:2024年11月〜2025年1月
分析ツール:Dockpit
デバイス:PC、スマートフォン
2025年2月〜2025年5月は「優待割引券」「4割引」など、割引に関連するキーワードが注目されています。JRE BANKは「JRE BANK優待割引券(最大年10枚)」を用意しており、割引券1枚で、JR東日本営業路線内の片道運賃および、片道料金が4割引になります。JR東日本エリアのみのため、区間は限られますが、新幹線の料金が4割引になると考えると、大きなメリットといえるでしょう。

図:「JRE BANK」の検索者数の季節比較(2025年2月〜2025年5月)
期間:2025年2月〜2025年5月
分析ツール:Dockpit
デバイス:PC、スマートフォン
JRE BANKのユーザー数・属性をメガバンクとネット銀行と比較
メガバンク(三菱UFJ銀行・三井住友銀行・みずほダイレクト)と、ネット銀行(SBI新生銀行・オリックス銀行・ソニー銀行)のアプリユーザーと比較し、JRE BANKを利用するユーザーの特徴を調査しました。
■メガバンクと比較(アプリユーザー)
まず、JRE BANKとメガバンクのアプリのユーザー数を比較した結果は、以下のとおりです。

図:JRE BANKのアプリユーザー数(メガバンクと比較)
期間:2024年6月~2025年5月
分析ツール:Dockpit
デバイス:スマートフォン
メガバンクとJRE BANKを比較すると、メガバンクはJRE BANKの約6〜16倍ほどのユーザー数であることがわかります。しかし、JRE BANKは、優待割引券やATMの無料利用などのさまざまな特典を用意しており、認知度の向上とともに、利用者も増えると考えられるでしょう。
次に、性別の比較です。

図:JRE BANKのアプリユーザーの性別(メガバンクと比較)
期間:2024年6月~2025年5月
分析ツール:Dockpit
デバイス:スマートフォン
JRE BANKのユーザーは、男性が約75%、女性が約25%と、男性のほうが多いことがわかります。メガバンクでも男性のユーザーのほうが多いですが、女性が約40%いる点を踏まえると、JRE BANKの男女比は特徴的です。
次に、年代の比較です。

図:JRE BANKのアプリユーザーの年代(メガバンクと比較)
期間:2024年6月~2025年5月
分析ツール:Dockpit
デバイス:スマートフォン
JRE BANKはメガバンクと同様、50代をピークに、若年層よりも40代以降のユーザーが多いことがわかります。50代〜60代は、メガバンクよりも割合が高いのが特徴的です。利用者が制限されず、日常生活に浸透したSuicaや公共交通機関を扱う、JR東日本グループブランドの強みを活かしているといえるでしょう。
次に、メガバンクとのアプリの併用状況です。

図:JRE BANKとメガバンクのアプリの併用状況
期間:2024年6月~2025年5月
分析ツール:Dockpit
デバイス:スマートフォン
JRE BANKの約75%のユーザーは、メガバンクと併用していることがわかります。メガバンクは店舗数が多く、サポートが手厚いため、誰でも使いやすいというメリットがあります。メガバンクと、さまざまな特典があるJRE BANKを、うまく使い分けているのかもしれません。
■ネット銀行と比較(アプリユーザー)
次に、JRE BANKと、ネット銀行を比較します。アプリのユーザー数の比較結果は、以下のとおりです。

図:ネット銀行と比較したJRE BANKのアプリユーザー数
期間:2024年6月~2025年5月
分析ツール:Dockpit
デバイス:スマートフォン
サービス開始から1年ほどですが、JRE BANKはSBI新生銀行の半分程度、オリックス銀行の5倍程度のユーザー数です。Suicaや電車など、誰もが身近なサービスに関連する点で、利用しやすいネット銀行といえるでしょう。
次に、性別の比較です。

図:JRE BANKのユーザーの性別(ネット銀行と比較)
期間:2024年6月~2025年5月
分析ツール:Dockpit
デバイス:スマートフォン
JRE BANKのユーザーは、男性が約75%、女性が約25%と、男性のユーザーが多いことがわかります。ほかのネット銀行3社を見ても、男女比はおよそ7:3であることから、JRE BANKの男性の割合は、特別に高いわけではないといえるでしょう。
次に、年代の比較です。

図:JRE BANKのユーザーの年代(メガバンクと比較)
期間:2024年6月~2025年5月
分析ツール:Dockpit
デバイス:スマートフォン
年代で見ると、JRE BANKは、ネット銀行と比較して、20代〜40代の比較的若年層の割合が高いことがわかります。前述したとおり「24歳以下限定!!JRE BANKで『どこかにビューーン!』」キャンペーンなど、若年層をターゲットにしたキャンペーンの影響があると推測されます。
また、通勤や通学、旅行など、外出の機会が多い点も挙げられるでしょう。JR東日本というブランド力と、新しいサービスの利用に対する、心理的ハードルの低さなども影響しているのかもしれません。
JRE BANKの興味関心者の4パターン
最後に、JRE BANKに興味・関心がある人について分析します。JRE BANKはどんな情報収集をしている人が認知・検討を進めるのでしょうか。
なお分析には、Web行動データとアンケートデータを用いた分析を行える、株式会社ヴァリューズの分析ツール「Perscope」を用います。
以下の図は、JRE BANK( www.jrebank.jp )のサイト接触者が、前後15日間で検索したワードを時系列で示したものです。横軸が時間の経過、縦軸が特徴値(※)の大きさを表しています。
※特徴値:一般ユーザーの検索数が少なく、抽出条件に当てはまるユーザー(JRE BANKのサイト接触者)が多く検索しているワードほど、値が高くなる。

図:JRE BANK( www.jrebank.jp )のサイト接触者の興味関心
期間:2024年5月~2025年4月
分析ツール:Perscope
デバイス:PC、スマートフォン
■ユーザー像①JR関連サービスの情報収集者
JRE BANKは大きく、以下の4つの情報収集をしている人に認知・検討されるサービスと考えられます。
・JR関連サービス
・ほかの銀行口座
・ポイント・資産形成
・旅行
まず「JR関連サービス」です。

図:JRE BANK( www.jrebank.jp )のサイト接触者の興味関心(JR関連サービス)
期間:2024年5月~2025年4月
分析ツール:Perscope
デバイス:PC、スマートフォン
クレジットカード「VIEWカード」や、ポイントサービス「JREポイント」など、JR東日本が提供するサービスのキーワードが見られます。また「大人の休日倶楽部」「青春18きっぷ」など、乗車券が安くなるサービスや、同じJRが運営する「東海道新幹線」もスコアが高いことがわかります。
JR関連のサービスの情報収集の一つとして、JRE BANKが認知・検討されていると考えられます。
■ユーザー像②銀行サービスの情報収集者
次に「銀行サービス」です。

図:JRE BANK( www.jrebank.jp )のサイト接触者の興味関心(ほかの銀行口座)
期間:2024年5月~2025年4月
分析ツール:Perscope
デバイス:PC、スマートフォン
メガバンクでは「みずほ銀行」「三井住友銀行」、ネット銀行では「SBI銀行」「ソニー銀行」などが注目されています。前述したとおり、JRE BANKのユーザーの75%以上が、メガバンクと併用していることからも、ほかの銀行口座にも興味をもっている様子がうかがえます。
また併用以外にも、JRE BANKかそのほかの銀行で口座開設をするか検討している可能性もあります。
■ユーザー像③ポイント・資産形成の情報収集者
次に「ポイント・資産形成」です。

図:JRE BANK( www.jrebank.jp )のサイト接触者の興味関心(ポイント・資産形成)
期間:2024年5月~2025年4月
分析ツール:Perscope
デバイス:PC、スマートフォン
「Vポイント」「Dポイント」など、さまざまなサービスのポイントが注目されています。「ポイントサイト」や、ポイントサイトを比較できるサイト「どこ得」などもあり、ポイ活に積極的な人も多いといえるでしょう。
また「NISA」や「株」など、資産形成にも関心があるようです。自治体によっては「住民税」や「固定資産税」の支払いに、キャッシュレス決済が対応していることもあります。
これらのデータから、ポイ活や資産運用、お金周りの情報収集の流れのなかでJRE BANKが認知・検討されている可能性が考えられます。
■ユーザー像④旅行の情報収集者
最後に「旅行」です。

図:JRE BANK( www.jrebank.jp )のサイト接触者の興味関心(旅行)
期間:2024年5月~2025年4月
分析ツール:Perscope
デバイス:PC、スマートフォン
前述した「東海道新幹線」のほかに「北陸新幹線」「成田空港」などの、公共交通機関が検索されています。また、ガイドブックの「じゃらん」や「温泉」「路線図」「時刻表」など、旅行に関わるキーワードへの注目度も高いようです。
旅行に関する情報収集をしているなかで、JRE BANKを知り、JRE BANKの公式サイトに訪れている人がいると考えられます。
まとめ
開始から1年が経ったJRE BANKのユーザー属性や、興味関心について調査しました。
JRE BANKは、メガバンクと併用している人が多く、ネット銀行3行と比較すると、比較的若年層のユーザーに人気のようです。JR東日本のブランド力や、若年層をターゲットにしたキャンペーンによる影響が考えられるでしょう。
JRE BANKのサイト接触者は、JR関連のサービスや旅行に興味があるようです。また、JRE POINTはもちろん、Vポイントやdポイントなどの、ポイントにも興味のある様子がうかがえます。このことから、ポイ活や資産形成にも関心を寄せているといえます。
スマートフォンで操作が完結する利便性と、JR関連の魅力的な特典があることから、今後も利用者が伸びていくと考えられるのではないでしょうか。
Webライター。転職、キャリア、美容、不動産、金融ジャンルの記事を執筆中。新卒からシステムエンジニアとして働いていました。ライティングにおいては、わかりやすい文章を書くことはもちろん、どこかくすっと笑えるような、読み手が温かい気持ちになれる記事を書くことを心がけています。