ChatGPTが圧倒的支持。各生成AIは、明確なニーズを持つ利用者層に特化して支持を拡大
同社が保有する約10億件のオーディエンスデータ「IM-DMP」に登録されている国内のインターネット利用端末のうち、各生成AIサービスの利用が確認された383,132の「IM-UID」数を対象に分析を行った結果、ChatGPTは(293,614UU)を占め、他の生成AIを大きく引き離して圧倒的なシェアを持つことが明らかになりました。
次いでPerplexity(52,875UU)、Gemini(33,447UU)、Claude(3,196UU)と続いており、それぞれが明確なニーズを持つ利用者層から支持を集めていることがわかりました。
利用特性の比較分析(職業別)
生成AIサービスは、単なる利便性だけでなく、「職業」や「利用目的」によって明確な選好の違いがあることが、IM-DMP」全体の平均的な出現傾向と比べ、特定の利用者セグメントでそのキーワードやペルソナ、トピックがどれだけ出現しやすいかを示す指標である「リフト値」に基づく分析から明らかになりました。
※リフト値が高いほど、そのセグメントの利用者に特徴的であることを意味します。
ChatGPTの特徴
事務系会社員(リフト値: 9.53)で顕著な利用傾向が見られ、日常業務における文書作成や情報整理など、幅広い用途で活用されていることが推察されます。
また、技術系会社員(リフト値: 6.63)や専業主婦(リフト値: 5.20)においても高いリフト値を示しており、それぞれ専門的な情報収集から日常的な調べものまで、多様なニーズに応える汎用性の高さが特徴です。
Claudeの特徴
技術系会社員(リフト値: 21.37)のリフト値は他のAIやセグメントを圧倒しており、開発やエンジニアリングといった専門領域での利用に最適化されていることが明確に示されています。
次いで事務系会社員(リフト値: 9.83)でも高い値を示しており、専門性と汎用性を両立させたい層にも利用されていると考えられます。
Geminiの特徴
リフト値は事務系会社員(リフト値: 12.98)で最も高く、次いで技術系会社員(リフト値: 11.18)となっており、これらの職種における業務効率化や情報収集で強力なツールとして認識されていることがうかがえます。
また、自由業(リフト値: 2.18)においても比較的高い親和性が見られ、個人の裁量で多様な業務を行う層のニーズにも対応できる柔軟性が評価されているようです。
Perplexityの特徴
技術系会社員(リフト値: 9.52)と事務系会社員(リフト値: 9.25)で特に高い利用傾向があり、信頼性の高い情報を求める業務での活用が進んでいると見られます。
また、公務員(リフト値: 2.33)のリフト値も比較的高く、制度や法令など、正確性が厳しく求められる領域での情報収集ツールとしての役割が期待されていることを示唆しています。
さらに、各生成AIサービスの利用者特性をデモグラフィック属性、興味関心、閲覧キーワード、ペルソナ情報といった4つの視点から分析を実施しました。
生成AIサービス別 の利用UID属性を比較
■ChatGPT:日常生活に浸透する汎用アシスタントとして定着
最も幅広い層のUIDに利用されており、趣味や日常生活における疑問解決など、多様なニーズに応えています。「公務員」「専業主婦」など日常に根差した属性のUIDが特徴的です。趣味・ライフスタイル・学習・業務と、多岐にわたる用途で利用されていることが明らかになりました。
<デモグラフィックハイライト>
・職業:他の生成AIサービスが技術職や専門職に偏る中で、「公務員」や「専業主婦」といった層の利用割合が特徴的に高くなっています。これは、ChatGPTが特定の専門分野に限らず、広く一般の生活の中に浸透していることを示しています。
・年収:全体の利用者数が圧倒的に多いため様々な年収層がいますが、特に「年収200万円以上」の割合が高く、各所得者層にも広く普及していることがわかりました。
・興味関心:「ゲーム」「ライブ・イベント」といったエンターテイメントへの関心が、他のビジネス・技術志向の生成AIサービスとは一線を画しています。これは、情報収集だけでなく、創造的な遊びや趣味の探求といった目的で利用されていることを強く示唆しています。
・特徴的なキーワードカテゴリ:特定の[サービス名]や[商品名]、[地名・公共機関]、[人名]など、非常に多岐にわたる固有名詞が特徴です。これは、日常のふとした疑問や興味を即座に調べているUIDの傾向を反映していると考えられます。
<特徴的なペルソナ (リフト値順)>
「グリーンファイナンス愛好家」(リフト値: 14.04)、「eラーニング利用者」(リフト値: 10.95)、「中堅企業従業員」(リフト値: 9.55)など、社会課題や学習への関心が高い層で、平均よりも利用される傾向が強いです。
<特徴的なトピック (リフト値順)>
「会計・財務ソフトウェア」(リフト値: 16.85)、「ビジネスサービス」(リフト値: 14.94)、「日焼けケア・日焼け用品」(リフト値: 9.65)など、ビジネス関連トピックのほか、趣味やライフスタイルに関連するトピックも平均より強く関心を持たれています。
■Perplexity:信頼性を求める専門的リサーチャー
Perplexityは、「会社員(技術系)」と「公務員」の双方に利用が広がっており、精度重視の検索・調査用途としてビジネスパーソンや研究者層に活用されていることが示唆されました。
<デモグラフィックハイライト>
・職業:「会社員(技術系)」の利用傾向が強い点はGeminiやClaudeと共通しますが、「公務員」のカバー率も高く、ChatGPTのような一般層への広がりと、Geminiのような専門職層への浸透という、両方の特徴を併せ持っています。
・年収:Geminiと同様に高年収層での利用傾向が強いですが、Geminiほど顕著ではなく、より幅広いビジネスパーソンに利用されている可能性があります。
・興味関心:テクノロジー関連への関心が高い点は他のAIと共通していますが、キーワードやペルソナから、より「調査」「研究」といった学術的な側面に強い関心を持つ層に利用されていることが推察されます。
・特徴的なキーワードカテゴリ:[AI研究機関]や [学術論文サイト]といった専門分野の固有名詞が、平均より著しく出現しやすい傾向にあります。これらは専門的な情報収集ツールとしての役割を明確に示しています。[最新テクノロジー]への関心も高い傾向にあります。
<特徴的なペルソナ (リフト値順)>
「ホームセキュリティ探し客」(リフト値: 18.48)、「中堅企業従業員」(リフト値: 18.28)、「eラーニング利用者」(リフト値: 15.22)など、特定の課題解決や学習のために情報を探している層の利用傾向が非常に高くなっています。
<特徴的なトピック (リフト値順)>
「ビジネス・生産性ソフトウェア」(リフト値: 27.23)、「会計・財務ソフトウェア」(リフト値: 25.89)、「旅行保険」(リフト値: 21.53)、「法律サービス」(リフト値: 18.72)など、信頼性が求められる分野のトピックに強い関心が集まっています。
■Gemini:ビジネス・学習意欲の高い専門職層
Geminiは、他のサービスと比較しても特に「自由業」や「経営者・役員」など、ビジネスの意思決定層に紐づくUIDが多く、専門性の高い情報収集に活用されている傾向が強く見られました。
<デモグラフィックハイライト>
・職業:他の生成AIサービスと比較して、「自由業」「経営者・役員」といったビジネスオーナーや意思決定層の特徴が強く出ています。Claudeほどではありませんが「会社員(技術系)」の割合も高く、ビジネス用途の中でも特に専門職や技術職に強みを持つことがうかがえます。
・年収:全サービスの中で、高年収層(特に年収700万円以上)での利用傾向が最も顕著に見られます。これは、専門的な業務や投資判断など、高度な情報収集に活用されている可能性を示唆しています。
・興味関心:「インターネット」「PC・家電」への関心は、他の生成AIサービス利用者とも共通する傾向ですが、キーワードやペルソナと組み合わせると、単なる趣味ではなく、ビジネスツールとしての情報収集の文脈が強いと考えられます。
・特徴的なキーワードカテゴリ:ビジネス、人事、環境問題(ESG)に関連する専門用語が際立って出現しやすく、業務での活用シーンが多いことを示唆しています。
<特徴的なペルソナ (リフト値順)>
「eラーニング利用者」(リフト値: 43.87)、「中堅企業従業員」(リフト値: 36.46)、「ウェアラブル機器愛好家」(リフト値: 29.13)など、学習意欲が高く、ビジネスの第一線で活躍する層の利用傾向が、平均より著しく高いことがうかがえます。
<特徴的なトピック (リフト値順)>
「ビジネス・生産性ソフトウェア」(リフト値: 40.09)、「ネットワーク」(リフト値: 34.47)、「会計・財務ソフトウェア」(リフト値: 32.99)など、明確にビジネス・ITに関連するトピックへの関心が非常に高い傾向が見られます。
■Claude:開発者特化型のAIとして専門領域で確かな存在感
Claudeは「会社員(技術系)」の比率が非常に高く、プログラミングやIT開発業務に直結するニーズが圧倒的に強いことが浮き彫りになりました。開発者や技術者に紐づくUIDが、プログラミングやコーディングの支援ツールとして活用するケースが際立っています。
<デモグラフィックハイライト>
職業: 「会社員(技術系)」が他の職業に比べて突出して高く、他の3つの生成AIサービスと比較しても、その専門性と技術者への特化度が際立っています。利用者層は極めてシャープであると言えます。
年収: 高年収層の利用傾向が見られる点は他のAIと共通ですが、利用者母数が少ないため、特定の技術職コミュニティ内で利用が広まっている段階と考えられます。
興味関心: 「PC・家電」「インターネット」への関心は、他のAIよりもさらに強く、仕事と直結したツールとしての利用を示唆しています。ChatGPTで見られたような一般的なエンタメ系への関心はほとんど見られません。
特徴的なキーワードカテゴリ:キーワード上位は、「Claude」という[サービス名]はもとより、 [プログラミング用語]、[データベース]、[OS名]、[開発ツール]など、開発環境に直接関連する単語で占められています。
<特徴的なペルソナ (リフト値順)>
「大企業従業員」(リフト値: 30.58)、「コンピューターハードウェア愛好家」(リフト値: 29.73)、「ホームセキュリティ探し客」(リフト値: 23.08)など、IT・テクノロジー分野の専門家や意思決定層で、平均より著しく利用されやすい傾向にあります。
<特徴的なトピック (リフト値順)>
「教育」(リフト値: 51.22)、「ソフトウェア」(リフト値: 48.81)、「コンピューターハードウェア」(リフト値: 36.21)など、技術的な知識習得や開発への関心の高さがうかがえます。
生成AI市場のポジショニングマップ
これらの結果から、生成AIサービスの利用者像は一様ではなく、目的や属性に応じて明確に棲み分けが進んでいることが明らかとなりました。
そのため今後の生成AI市場は「汎用的な日常アシスタントAI」と「特定業務・分野に特化した専門AI」への二極化が一層進むと予測されます。
企業がマーケティングやサービス設計に生成AIを組み込む際には、「どの生成AIを利用している層にアプローチするか」という視点が、企業競争力に直結する重要なファクターになると考えられます。
調査概要
本レポートは、インティメート・マージャーが提供する「IM-DMP」のデータを活用し、主要な生成AIサービスの利用傾向を分析したものです。各サービスの利用が確認された「IM-UID」(端末に紐づくID)の属性の違いや特徴を明らかにすることを目的とします。
調査期間: 2025年6月29日〜2025年7月29日
調査対象: 「IM-DMP」に登録されている国内のインターネット利用端末のうち、各生成AIサービスの利用が確認された383,132の「IM-UID」数
分析手法: 性別、年齢、職業、年収などのデモグラフィックな属性、閲覧ページのキーワード、ペルソナ、興味関心トピックの4つの観点から多角的に分析し、各生成AIの利用UIDの傾向を比較
対象サービス:ChatGPT、Gemini、Perplexity、Claude
出典元:株式会社インティメート・マージャー
※詳細については出典元の企業にお問い合わせください。





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