【令和の米騒動】米の価格は1年で2倍に!
2024年から続く米の価格高騰は「令和の米騒動」と呼ばれ、「現代用語の基礎知識選 2024ユーキャン新語・流行語大賞」の候補30語にもノミネートされました。
2025年も価格高騰は依然として続いています。総務省の「小売物価統計調査」によると、2025年6月の東京都区部におけるコシヒカリ(5kg)の平均小売価格は5,072円と、1年前(2024年6月 2,561円)の2倍に跳ね上がっています。
米の小売価格の2023年7月から2025年6月における推移(筆者作成)
出典:総務省「小売物価統計調査」
「安いお米」を探す人が急増!検索者数は1年で2.7倍に
価格高騰が続く中で、安いお米を求めて、消費者の購買行動も変化していると予想できます。本記事では、お米に関する検索行動からその変化を分析します。
なお分析には、株式会社ヴァリューズのWeb行動ログ分析ツール「Dockpit(ドックピット)」を用います。
以下の図は、安さに関するワード(「安い」「格安」「お得」)と一緒に「米」を検索した人数の推移を表しています。
「安いお米」に関連する検索者数の推移
集計期間:2023年7月~2025年6月
デバイス:PC、スマートフォン
4月~6月における検索者数を2025年と2024年で比較すると、その数は1年間で約2.7倍に増加しています。価格高騰を受け、安いお米に対する関心が高まっていることがわかります。
安いお米を求める消費者が注目する買い方は?
では、安いお米の買い方として、消費者はどのような方法に注目しているのでしょうか。「米」と一緒に検索されたワードから分析していきます。
以下の図は、2024年8月(価格高騰が始まり、安いお米に関する検索が増加した)と2023年8月を比較したときに、検索者数の増加率が高かったワードを示しています。
「米」との掛け合わせワード
(2023年8月に対する2024年8月の変化率で降順、ユーザー数が30,000以上のワードのみ抽出)
集計期間:2023年7月~2025年6月
デバイス:PC、スマートフォン
価格高騰に関する検索のほか、買い方に関するワードもいくつか見られました。少しでも安くお米を入手しようと、お得な購入方法を模索している様子がうかがえます。
具体的には「Amazon」「直売」「メルカリ」「コストコ」「通販」といったワードとの検索が増加していました。
■Amazon、通販
「Amazon」「通販」との検索が増加したことから、スーパーなどの実店舗ではなく、オンライン購入を検討する人が増えたことがわかります。
オンライン購入は、価格比較が簡単で、大容量パックも選びやすいため、まとめ買いによって実質的なコストを抑えられる点が支持されていると考えられます。
■直売
「直売」との検索も増えており、生産者から直接購入する方法に注目が集まったことがわかります。
直売であれば、流通などのコストがかからず、比較的安価にお米を購入できると考えた消費者が多いのではないでしょうか。
また、直売所での販売だけでなく、お米農家が直接出品・配送する通販サイト(例:厳選米.com)も存在し、近くに農家がなくても直売でお米を購入することができます。
実際、「米」と「直売」を同時検索したユーザーの多くは、こうしたお米通販サイトを訪問していました。
「米」「直売」を同時検索した人が訪れたサイト
集計期間:2023年7月~2025年6月
デバイス:PC、スマートフォン
■メルカリ
「メルカリ」との検索が増加していることから、メルカリでのお米の購入が増加したことが予想されます。
メルカリなどのフリマアプリは個人出品が中心のため、市場価格よりも安く商品が手に入るケースが多くあります。そのため、安価なお米を求めてメルカリに注目が集まったと考えられます。
なお転売規制の観点から、2025年8月現在メルカリでは、米穀全般の出品を禁止しています(※)。
※参考:メルカリ、米穀全般の出品禁止を決定
■コストコ
安くお米を買う方法としてオンライン購入が注目される一方、実店舗では「コストコ」を検討する人が増えているようです。
大容量の商品を低価格で提供するコストコは、「コスパ」のイメージが強く、「コストコならお米も安く購入できるのでは」と考える人が多いと予想できます。
備蓄米では通販サイト、スーパーが注目を集める
政府の備蓄米放出以降、備蓄米を買うことが、安くお米を手に入れる方法として定着しています。
さまざまな販売チャネルで取り扱われている備蓄米ですが、消費者はどの販売チャネルに注目しているのでしょうか。
以下の表は、「備蓄米」と同時に検索されたワードを示しています。
「備蓄米」の掛け合わせワード
集計期間:2024年7月~2025年6月
デバイス:PC、スマートフォン
通販サイトから、スーパー、コンビニ、ドラッグストアまで、幅広い購入元が検索されていることがわかります。
特に、「楽天」と「アイリスオーヤマ」は検索者数が多くなっています。この2社はいち早く備蓄米販売を開始したため、注目を集めたものと考えられます(※)。
※参考:【詳しく】備蓄米 楽天などで販売・予約開始 どこで買える?
お米の通販は「詐欺サイト」に注意
ネット通販でのお米の購入も注目されているなかで、詐欺サイトに関するトラブルも発生しています(※)。
サイト内の説明の日本語が不自然、価格が異様に安い、などの場合は運営元の会社や口コミをチェックするようにしましょう。
※参考:お米の詐欺サイトが出没中!価格が不自然に安いなど怪しいサイトにはご注意!|国民生活センター
価格高騰で変わる購買行動
本記事では米の価格高騰に焦点をあて、安いお米への関心や購買行動の変化を分析しました。
米の価格が1年で2倍に上昇する中、安いお米に関する検索数は約2.7倍に増加していました。
さらに、お米の購買行動にも変化が生じ、通販やフリマアプリ、直売といった多様な販売チャネルを利用して、少しでも安くお米を購入しようとする動きが見られました。最近では、備蓄米の購入を選択肢とする人が多くなっていると考えられます。
今後もしばらくは米の価格高騰が続くと見られ、他の商品でも物価高が続いています。消費者としては、価格に敏感になりつつも、従来の方法にとらわれない柔軟で賢い買い物術が求められます。
マーケターは、そうした消費者心理や購買行動の変化を適切に捉えることが重要になるでしょう。
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2026年4月に入社予定の大学院修士課程1年生です。大学では分子生物学系の研究に取り組んでいます。