「年会費」や「ポイントプログラム」ファクターが総合満足度に与える影響度が上昇、顧客の強いコスト意識の表れ
本調査では、総合的な顧客満足度に影響を与えるファクターとして、「クレジット機能」、「ポイントプログラム」、「会員向けサービス/特典」、「手続き・サポート」の4ファクター、加えて、年会費が発生する部門では「年会費」ファクターを設定し、毎年各ファクターの影響度を算出しています。
影響度が上がったファクターは、「年会費2万円以上」と「年会費1万円~2万円未満」の部門では「ポイントプログラム」が+6ポイント、「年会費」が+4ポイント、「年会費1万円未満部門」では「年会費」が+3ポイント、また「年会費無料部門」では「ポイントプログラム」が+5ポイントでした。
年会費やポイントといった直接的な利得に繋がるファクターの影響度の上昇は、顧客がメインで利用するクレジットカードに対するコスト意識のより強い表れだと考えられます。
J.D. パワー 2025年クレジットカード顧客満足度調査℠
高まるセキュリティ意識と情報発信の課題
「セキュリティ対策」が顧客満足度に及ぼす影響度が大きくなっています。これまで、セキュリティ対策は「クレジット機能」ファクターの中で最も影響度が小さい項目でしたが、今回の構造解析の結果、全ての部門において最も影響度が大きくなっていることが確認されました。不正使用の被害増加を受け、顧客のセキュリティ意識が高まっていることが背景にあると推察されます。
クレジットカード会社からのセキュリティ対策に関する情報発信に対する顧客の認知状況を確認すると、約8割の顧客が認知しているものの 、明確に「見聞きしたことがある」と回答した顧客はわずか2割にとどまっており、クレジットカード会社の情報発信に改善の余地があることを示唆しています。
また、顧客の認知状況は満足度やロイヤルティとの相関関係が確認されます。顧客のセキュリティに対する関心が高まっている今こそ、カード会社からのセキュリティ対策情報を確実に届くように改善することが、満足度を高め、ロイヤルティを醸成する好機と考えられます。
カードの不正利用が多様化し、増加の一途をたどる現状において、カード会社の啓蒙手段や伝達方法の改善と、顧客のセキュリティ意識の高まりが相乗効果を発揮することで、不正利用の抑制に繋がり、これは業界全体の健全な発展のために不可欠な要素と言えるでしょう。
J.D. パワー 2025年クレジットカード顧客満足度調査℠
年会費に応じたサービスの多様化や変化を受け、部門の設計を一部変更
近年、クレジットカード会社における年会費やその費用に応じたサービスの提供は多様化が進み、様々な変化を見せています。
一例を挙げると、高額な年会費のクレジットカードの新規発行やリニューアルを通じてサービスの一層の充実を図る動きがある一方、同じ年会費でもこれまで提供されていたサービスの制限や撤廃といった縮小の動きも見られました。
また特定の条件達成による年会費の無料化、無条件で年会費を撤廃するといった動きも。クレジットカードの年会費とサービスの組み合わせが、会員獲得や囲い込みにおける差別化戦略としてこれまで以上にその重要性を増していると言えます。
このような市場の変化を受け、年会費によるサービス内容の違いをより明確にすることを目的に、本調査では、部門の設計を一部変更し、プロパーカードの年会費の価格帯で「年会費2万円以上」、「年会費1万円~2万円未満」、「年会費1万円未満」、「年会費無料」の4部門に分け、総合満足度ランキングを発表しています。
■J.D. パワー 2025年クレジットカード顧客満足度No.1を発表
総合満足度ランキングは下記の通りです。
<年会費2万円以上部門>(対象5ブランド)
第1位:エポスカード、三井住友カード(同スコア、685ポイント)
エポスカードは「年会費」ファクターで最高評価。三井住友カードは「ポイントプログラム」ファクターで最高評価。
第3位:アメリカン・エキスプレス(681ポイント)
J.D. パワー 2025年クレジットカード顧客満足度調査℠
<年会費1万円~2万円未満部門>(対象8ブランド)
第1位:PayPayカード(672ポイント)
「ポイントプログラム」、「会員向けサービス/特典」の2ファクターで最高評価。
第2位:楽天カード(671ポイント)
第3位:JCBカード(664ポイント)
J.D. パワー 2025年クレジットカード顧客満足度調査℠
<年会費1万円未満部門>(対象9ブランド)
第1位:エポスカード(690ポイント)
8年連続の総合満足度第1位。「年会費」ファクターで最高評価。
第2位:楽天カード(667ポイント)
第3位:三井住友カード(661ポイント)
J.D. パワー 2025年クレジットカード顧客満足度調査℠
<年会費無料部門>(対象11ブランド)
第1位:三井住友カード(664ポイント)
「クレジット機能」ファクターで最高評価。
第2位:楽天カード(663ポイント)
第3位:PayPayカード(650ポイント)
J.D. パワー 2025年クレジットカード顧客満足度調査℠
調査概要
■実施期間:2025年5月中旬~下旬
■調査方法:インターネット調査
■調査対象:クレジットカード会社が発行するプロパーカードを保有する人(20~69 歳の本会員。※家族カード、法人カードは除く)
■調査回答者数:8,571人
※J.D. パワーが調査結果を公表する全ての調査は、J.D. パワーが第三者機関として自主企画し実施したものです。
出典元:株式会社 J.D. パワー ジャパン
※詳細については出典元の企業にお問い合わせください。
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