コーディングが主戦場。生成AI活用はテスト工程へも拡大中
調査では、「ChatGPT」の認知度が8割を超えるなど、生成AIが開発現場でも広く知られる存在となっていることがわかりました。
生成AIの現在の主な活用領域は「コーディング」(51.7%)など開発の中核工程に集中しており、「要件定義」(43.0%)など上流工程にも広がりを見せています。
今後活用したい工程として「テストケース作成」(32.4%)、「単体テスト自動化」(30.3%)と、テスト領域への応用にも期待が寄せられています。
稼働削減の効果は一部にとどまる。生成AI活用の現状と限界
生成AI導入による効果は「開発スピードの向上」(43.6%)が最多。次いで「ドキュメント作成の負担軽減」(40.9%)、テストの効率化(39.3%)と続きます 。
生成AIの導入によって、「開発スピードの向上」や「テストの効率化」を実感したという回答がある一方で、稼働削減効果については「11〜30%」が最多に。いかに定量的な評価手法を確立していくかという点がさらなる活用拡大の鍵となりそうです。
また、ここには、生成AIがカバーできるのはあくまで開発工程の一部にとどまっているという背景があるようです。設計やコーディングといった工程での活用は進んでいても、テストを実際に実行・確認する作業などは依然として人手に依存している状況があることが伺えます。
特に、スマートフォンアプリ開発においては、多様なユーザ環境ごとの表示や動作の違いが品質に直結するため、スクリプトを生成するだけでなく、端末や環境を準備して検証できる体制が不可欠です。
テスト自動化の継続率に課題──AIが支える運用改善
調査結果では、自動化率「0〜25%」が約半数で、部分的な試行にとどまっている企業が多くなっています。
自動化は、導入初期にスクリプトを作るだけでは効果が安定せず、仕様変更・OS更新・新機種追加に合わせた継続的メンテナンスが不可欠です。さらに、自動化の真価は同一シナリオを多様な端末・OSで繰り返し検証することによって最大化されますが、カバレッジ不足がROIを押し下げている可能性もあります。
運用・改善を担う人材や仕組み、そして広範な環境カバレッジが揃わなければ、全社的な効率化にはつながらないのではないかと考えられます。
調査結果では、テスト自動化は導入後の継続率が下がる傾向が見られました。
例えば「単体テスト」の自動化では、経験率は69.8%と高い一方で、継続率は59.8%にとどまっています。現在のAI活用はテストケース生成に加え、スクリプトの修正やメンテナンスにも広がっており、導入と運用改善をセットで考えることが重要であると言えます。
今後は、こうした継続的な自動化の維持こそ、AIの活躍が最も期待される領域となるでしょう。
調査概要
調査名称:テスト・検証分野における生成AI利用状況調査
実施期間:2025年02月21日~2025年02月24日
回答数:515名(スマートフォンサービスに関わったことのある開発関与者)
実施主体:NTTレゾナントテクノロジー株式会社
出典元:NTTレゾナントテクノロジー株式会社
※詳細については出典元の企業にお問い合わせください。





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