満足度の実態:生成AIでのVOC分析、利用者の87.6%が「満足」。理由は「効率化」「速度」
「かなり満足(26.1%)」、「やや満足(61.5%)」 を含めると、87.6%が満足と回答し満足している理由については、「大量のデータを効率的に処理できるから (36.8%)」「分析速度が大幅に向上したから (35.8%)」など、作業効率の改善を重視している傾向が見られました。
その他、「分析の客観性が保てるから」 「従来見落としていた顧客の声を発見できるようになったから」といった意見も見受けられました。
活用の限界:活用レベルは 「課題抽出・要因分析まで実施 」が最多で、意思決定を支援するレベルへの貢献は限定的
生成AIを活用したVOC分析の活用レベルは、「レベル3:課題抽出・要因分析まで実施」 が37.1%で最も多い結果となりました。次いで、「レベル2:簡単な傾向分析まで実施」 が26.4%でした。
一方で、「レベル4:改善提案の作成まで実施」 (20.4%) や 「レベル5:意思決定支援レベルまで実施」 (7.0%) といった、よりビジネス成果に直結する高度な活用ができている担当者は合わせて約27%に留まりました。
この結果から、多くの利用者が基本的な分析から一歩進んだ段階にいるものの、戦略的な意思決定に繋がるほどの活用には至っていない現状が明らかになりました。
顕在化した課題:最も多くの担当者が感じている課題は「セキュリティ面での制約」
生成AIを活用したVOC分析で現在感じている課題について聞いたところ、「セキュリティ面での制約がある」が38.0%で最も多い結果となりました。
次いで、「一般的すぎる提案しか得られない」 (33.4%) と「データの前処理や整理が大変」(33.4%) が同率で並び、以降も 「企業固有の文脈を理解してくれない」 (32.2%)、「分析結果が表面的で深さが足りない」 (31.0%) といった回答が続きました。
この結果から、セキュリティというビジネス利用における根本的な障壁に加え、分析の「質」や「手間」の課題も僅差で存在しており、利用者が直面する問題が複合的であることが明らかになりました。
■データ連携面では「VOCと顧客属性を紐づけて分析できていない」が46.4%で最多に
生成AIを活用したVOC分析のデータ連携面の課題として、最も多かったのは「VOCとその発言者の属性情報(年代、購買履歴など)を紐づけて分析できていない」で、46.4%に上りました。
次いで「部署やチャネルごとにデータが分散しており、VOCを一元管理できていない」 (40.9%)、「SNSなどの外部データを継続的に収集・分析する仕組みを構築できていない」 (38.4%) といった回答も上位にあがっています。
この結果から、多くの企業で顧客の声がデータとして分断されており、顧客の属性や背景を理解した上での深い分析に至っていない現状が明らかになりました。
本調査により、生成AIによるVOC分析は 「効率化」 の面で高い満足度を得ている一方で、その活用レベルは「課題抽出・要因分析」に留まり、ビジネスの意思決定支援に貢献しているのはわずか7.0%にすぎない実態が明らかになりました。
このギャップの背景には、本調査で明らかになった「戦略・組織」「データ連携」「人材スキル」「技術」という複合的な“4つの壁”があります。
特に、「分析で見つけた課題を、改善アクションに繋げるフローがない」という組織的な課題 や、「VOCとその発言者の属性情報を紐づけて分析できていない」というデータ連携の課題など、手軽で汎用的な生成AIでは、解決が難しい構造的な問題が利用者の本格的な活用を阻止しています。
これらの課題を乗り越え、VOCを真のビジネス価値へと変えるためには、手軽な効率化の先に存在する本質的な課題への対策が不可欠です。
調査概要
調査名称:生成AIでのVOC分析に関する実態調査
調査方法:IDEATECHが提供するリサーチデータマーケティング 「リサピー®︎」 の企画によるインターネット調査
調査期間:2025年8月5日〜同年8月6日
有効回答:生成AIを活用してVOC分析に取り組んでいる担当者329名
※合計を100%とするため、一部の数値について端数の処理を行っております。そのため、実際の計算値とは若干の差異が生じる場合がございます。
出典元:株式会社プラスアルファ・コンサルティング
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