生成AI検索が急速に普及する中、「AI の回答はどこから来ているのか?」という疑問が高まっています。同じ質問でもAIによって回答の傾向が異なる理由は、引用している情報源が異なるためです。
本調査では、Ahrefsブランドレーダーを用いて、日本国内において各AI検索エンジンが回答生成時に参照・引用している情報源(ドメイン)のトップ10を分析し、日本市場における各社の情報源の傾向を定量的に明らかにしました。
・AI検索における情報源参照の仕組み
現代の生成AI検索エンジンは、RAG(Retrieval-Augmented Generation:検索拡張生成)技術を用いて、回答生成前にリアルタイムで外部データベースやウェブを検索し、その情報を参照して回答を作成しています。
各AI検索エンジンは、情報源の信頼性・正確性・鮮度・ユーザーエンゲージメントを独自の基準で評価し、引用優先度を決定しています。
調査結果
■ChatGPT
トップ3 引用ドメイン
1. Reddit(228,388回)- 海外コミュニティ圧倒的1位
2. Wikipedia 英語版(166,445回)
3. Ameblo(131,629回)
情報源の傾向:
・海外最大級のコミュニティプラットフォーム Redditを最優先で引用
・Wikipedia 英語版からグローバルな情報を取得
・日本のブログプラットフォーム(Ameblo、note)や PR TIMESも活用
傾向:海外の専門的な議論、グローバルな視点、企業公式情報に強い
■AI モード
トップ3 引用ドメイン
1. YouTube(91,954回)- 圧倒的1位
2. Google.com(35,191回)
3. Wikipedia 日本語版(33,006回)
情報戦略の特徴:
・YouTube動画コンテンツを最優先で引用
・google.comを重視(Googleエコシステムとの統合)
・SNS(Instagram、X)を積極的に引用
傾向:動画解説、ビジュアル情報、SNS のトレンドに強い
■Microsoft Copilot
トップ3 引用ドメイン
1. Wikipedia 日本語版(125,842回)
2. Bing.com(93,300回)
3. note(65,023回)
情報戦略の特徴:
・Wikipedia(百科事典)を最重視し、正確性を担保
・自社検索エンジン Bingとの連携(2位)
・辞書系サイト(Pixiv辞典)を積極活用
傾向:客観的で信頼性の高い情報、定義・比較情報に強い
■Perplexity
トップ3 引用ドメイン
1. Yahoo!知恵袋(518,977回)- 圧倒的1位(他AIの 2~5 倍)
2. YouTube(276,702回)
3. Wikipedia 日本語版(252,313回)
情報戦略の特徴:
・Yahoo! 知恵袋を極端に重視(51万回以上)
・YouTube 動画も大量に引用
・Wikipedia、辞書サイト、ブログも総合的に活用
傾向:最も総合的で幅広い情報源戦略、あらゆる質問に対応可能
調査結果から見えるマーケティングへの示唆
■SEO から AEO へ:広がる最適化の視点
これまでのデジタルマーケティングでは、Google 検索で上位表示されることが最優先事項でした。ターゲットとするキーワードで検索結果の 1 ページ目に表示され、自社サイトへのトラフィックを獲得する。これが成功の定義でした。
しかし、AI 検索エンジンの台頭により、SEO を基盤としながらも、より幅広い情報源への展開が求められる時代になっています。
■多角的なコンテンツ展開の必要性
AI は自社サイトだけでなく、SNS での言及、ユーザー生成コンテンツ(UGC)、プレスリリース、外部メディアの記事、ブログなど、Web 上のあらゆる情報源を参照します。AI 時代のマーケティングは、自社サイトという「点」から、Web 全体という「面」へと視野を広げることが不可欠です。
調査概要
調査期間:2025年5月〜9月(過去5ヶ月間)
- ChatGPT、Perplexity: 5~9月データ
- Copilot: 7~9月データ
- AI モード: 9月データ
調査対象国:日本(日本国内のデータを分析)
調査方法:Ahrefsブランドレーダーによる引用ドメイン分析
調査対象:ChatGPT (OpenAI)、AIモード (Google)、Microsoft Copilot (Microsoft)、Perplexity
分析項目:各AI検索が回答生成時に引用しているドメインのトップ10
出典元:Ahrefs pte. ltd.
※詳細については出典元の企業にお問い合わせください。





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