あなたは気づける? AI利用者の約半数は見逃している「AIの嘘」
業務でAIを利用する203名に対し、「AIが生成した情報が事実と異なっていた(=AIに嘘をつかれた)経験」を聞いたところ、「ある」と回答した人は55.7%(113名)でした。
AI利用者の過半数がAIの嘘を明確に認識している一方で、「ない」「わからない」と回答した44.3%の人々は、AIの嘘に気づかず、誤った情報を鵜呑みにして業務を進めている“無自覚リスク”にさらされている可能性があることが分かりました。
また、“AIの嘘を経験したことでAIへの信頼度がどう変化したか”という問いに対し、23.2%の人が、「むしろ、特性が理解できて使いやすくなった(23.2%)」という回答。
この結果から、AIの嘘に気づき特性を知ることが、情報リテラシー向上に繋がっているといえます。
AIの「それらしい嘘」によって起きた業務トラブル
では、AIの嘘はどのような場面で発生しているのでしょうか。
嘘を経験した人に聞いたところ、「情報収集時(55.2%)」が他の回答を大きく引き離して1位となりました。
AIを“万能な検索エンジン”のように過信して使うことにはリスクが伴います。
本調査の自由回答では、AIがいかに「それらしい嘘」をつくのかがわかる、具体的な業務トラブル事例が集まりました。
<業務で発生したトラブル事例>
・市場調査レポートを作成中、AIにもっともらしい統計データを提示されたが、出典元を確認したら全く存在しないデータだった。
・法律上問題がないかを確認しようと尋ねたところ、e-Gov(イーガブ)※ にも存在しない法律を作られて、それに基づいて回答された。
・ある分野の書籍を探していたら、実際には出版されていない本を捏造したり、雑誌の一部を本として紹介されたりして、事実確認に手間取った。
・介護福祉の研修資料を作成する際、実際には存在しない制度名や古い法改正前の内容が含まれていた。
※デジタル庁が運営するポータルサイトで、行政手続きや電子申請、法令検索などができます
時短のつもりが“逆効果”に。AIの嘘がもたらす本当の実害
“AIの嘘から生まれたトラブルはあったか?”と質問したところ、「大きな実害はなかったが、確認作業に余計な時間がかかった(72.8%)」との回答が最多となりました。
致命的なトラブル(謝罪:2.6%)に至るケースは稀なものの、実に7割以上のビジネスパーソンが、AI回答の裏付けを取るために“逆に時間を浪費している”という実態が明らかになっています。
では、なぜ利用者はAIを鵜呑みにしてしまうのでしょうか。
アンケートでは「とにかく時間を短縮したいから(46.8%)」「自分の知らない専門分野だったので、正しいと思い込んでしまったから(45.8%)」の2つの理由が突出しており、“時短への焦り”と、“専門外知識への依存”という、2大心理が潜んでいることがわかりました。
デキる人はどう見抜く? AI時代の「情報の裏付けテクニック」
AIの嘘を見抜くために、デキる人はどのように対策しているのでしょうか。
AI回答の事実確認を行う方法を聞いたところ、従来型のスキルと新時代のスキルを併用している実態が明らかになりました。
最も多かったのは「重要なキーワードで、従来通り検索エンジンでも調べる(67.5%)」でした。
AIを導入した後も、従来の検索スキル(=Google検索での裏付け)が依然として最も重要な確認手段であることがわかります。
続いて2位には「情報の『出典元』や『ソース』を具体的に尋ねる(55.2%)」がランクイン。これは、AIの特性を理解した上で、AI自身に証拠を提示させるという新時代のスキルです。
この結果から、AIを使いこなす人(=デキる人)は、AIの回答を鵜呑みにするのではなく、「検索」という従来のリテラシーと、「出典要求」という新たなリテラシーを組み合わせて、情報の信頼性を高めていることがわかります。
調査概要
調査概要:「AI情報の正確性に関する実態調査」
調査方法:インターネット調査
調査期間:2025年10月20日~31日
有効回答数:業務で生成AIを利用するビジネスパーソン 203名
出典元:株式会社AIスキル|AIスキルアカデミー
※詳細については出典元の企業にお問い合わせください。





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