JTB、2026年の訪日旅行市場トレンド予測を発表

JTB、2026年の訪日旅行市場トレンド予測を発表

JTBは、訪日外国人旅行について観光庁・JNTO(日本政府観光局)などの公的統計・調査データやIMF(国際通貨基金)の経済予測およびJTBグループの予約動向などをもとにまとめた、2026年(1月~12月)の訪日旅行市場トレンド予測を公開しました。


訪日外国人旅行者数は前年比97.2%の4,140万人
訪日消費額は前年比100.6%の9.64兆円に

・経済成長を背景に、多くの国・地域からの訪日外国人旅行者数は増加するものの、中国・香港からの需要減により、全体の人数では前年をわずかに下回る
・旅行コストの上昇に加え、滞在期間の長い欧米豪客の増加により、総消費額は前年を超える見通し
・訪日リピーター比率の増加に伴い、訪問地は大都市から地方へとシフトが進む

数値は暦年ベース。2019年、2023年、2024年の旅行者数は日本政府観光局(JNTO)の「訪日外客統計」、単価、消費額は観光庁「インバウンド消費動向調査」にもとづく観光庁推計値。2025、2026年は旅行者数、単価、消費額ともJTB予測。消費額は日本国内における消費額。単価は旅行者1人当たりの消費額。

訪日旅行市場概況

2026年の訪日需要の予測は、訪日外国人旅行者数4,140万人(前年比97.2%)、消費額9.64兆円(前年比100.6%)という結果になりました。

コロナ禍後の回復過程において二桁台の伸び率を重ねてきた訪日需要の成長率も、2026年は各国・地域の経済成長に伴う自然増に依存する段階へ移行するため伸び率が低下。加えて、中国・香港からの需要減が見込まれることから、旅行者数は前年を下回ると予測しています。

2024年から2025年にかけて訪日需要が大きく高まった背景には、円安や日本国内の物価安に加え、コロナ禍前と比較した各国・地域の所得水準の上昇、ならびに欧米豪などを中心とした日本人気の高まりなどがありました。

これらによる需要押し上げの効果は2025年まででおおむね一巡し、2026年は各国・地域の経済成長に伴う海外旅行需要の自然増が、旅行者数増加の主な要因となると予測しています。

需要の下振れ要因として懸念されるのは、中国・香港からの訪日需要の減少。また、円レートの急激な上昇も需要に影響を及ぼす可能性があります。

韓国や台湾などの日本に近い市場では、円安が訪日旅行誘因のひとつとなっており、仮に円高が進行した場合には、旅行先が東南アジアなど相対的に割安な方面へとシフトする可能性があります。

訪日外国人旅行者の消費単価は、円レートに加え、宿泊費など日本国内の旅行コストや、各国・地域における所得水準の影響を受けます。

2024年と2025年の消費単価を費目別に比較すると、円レート上昇の局面ではショッピングを控える傾向があり、消費単価に対してマイナスの影響を与えていると考えられます。一方で、宿泊費を中心とした旅行コストそのものは上昇しており、消費単価を押し上げる要因となっています。

2026年は、年間を平均したドル円レート(対USドル)が2025年と大きく変わらない1ドル=150円前後になると想定しており、この前提のもとでは、日本国内の旅行コストの上昇による単価押し上げ効果が継続し、消費単価は上昇が続くと想定しています。 

市場別にみた海外旅行者総数と対前年比 

東アジア4市場は韓国、台湾、香港、中国。
東南アジア6市場はタイ、シンガポール、マレーシア、インドネシア、フィリピン、ベトナム。
欧米豪ほかは米国、カナダ、メキシコ、豪州、英国、フランス、ドイツ、イタリア、スペイン、ロシア、インド。
2024の海外旅行者数は韓国、米国、英国などアウトバウンド統計を公表している国についてはそれぞれの国の統計にもとづく。その他の国については主要な旅行先の国における到着客数を合計した数値などをもとに推定。2025、2026については上記データに加えIMFのWorld Economic Outlook (2025年10月)にもとづく経済成長率などを参考にJTBが予測したもの。折れ線グラフは対前年比。

国・地域別にみた動向 

2026年における発地別の訪日外国人旅行者数は、中国・香港からの旅行者数減少の影響を受ける東アジア4市場を除き、各国・地域における海外旅行者数の増加率と同程度の伸びを見込んでいます。

2026年の海外旅行者数の伸び率を国・地域別に見ると、中国が最も高く、名目経済成長率(USドルベース)6%台を大幅に上回る15.1%増と予測しています。これは、中国においてコロナ禍後の海外旅行解禁が他国に比べて遅れたことから、2026年もコロナ禍前の需要水準を回復する局面が継続するためです。

ただし、中国から日本への旅行者数は減少の見込みであり、中国発の海外旅行需要は、東南アジアなど日本以外の国・地域へと振り向けられ、当該国・地域への旅行者数が大きく増加すると想定されます。

東南アジア6市場については、経済成長率では中国に近い水準であるものの、海外旅行者数の伸び率は9.6%増と一段下がる見通しです。これは、シンガポールのようにコロナ禍後の需要回復が早かった市場と、タイのように2026年に本格的な需要回復が進む市場が混在しているためです。

欧米豪などその他の国・地域については、海外旅行者数の伸び率は経済成長率をやや下回る水準にとどまると想定しています。米国や欧州などでは、コロナ禍後の海外旅行需要の回復はすでに一巡しており、今後の海外旅行者数の伸びは、各地域の経済成長率におおむね収束していくと考えられます。


市場別にみた2026 年の海外旅行・訪日旅行需要成長率

東アジア4市場は韓国、台湾、香港、中国。東南アジア6市場はタイ、シンガポール、マレーシア、インドネシア、フィリピン、ベトナム。欧米豪ほかは米国、カナダ、メキシコ、豪州、英国、フランス、ドイツ、イタリア、スペイン、ロシア、インド。海外旅行需要、訪日旅行需要、日本選択率の変化はJTB予測。経済成長率はIMF World Economic Outlook (2025年10月)。

高まる欧米豪からの旅行者の存在感

2026年は、大都市における欧米豪からの旅行者の存在感がさらに高まると想定されます。

観光庁の統計によると、2025年1月~9月における欧米豪からの延べ宿泊者数は2,995万人泊(前年同期比+609万人泊)と、従来ボリュームの大きかった韓国・台湾・香港(3,186万人泊)に匹敵する規模にまで拡大してきました。

このような状況の背景には、欧米豪からの旅行者一人あたりの滞在期間が、アジアからの旅行者のおよそ2倍に及ぶという特徴があります。旅行者数そのものではアジア市場が上回るものの、この滞在期間の長さが延べ宿泊者数を押し上げ、存在感を高めていると言えます。

欧米豪からの旅行者の宿泊地は、アジアからの旅行者と比べて関東・近畿などの大都市部に偏在する傾向が見られる一方、北陸各県においても延べ宿泊者数が大幅に増加しています。要因の一つとして、北陸新幹線の開通・延伸により、東京〜関西間に新たな移動ルートが形成されたことが挙げられます。

欧米豪からの旅行者は成田空港や羽田空港から入国するケースが多く、初訪日客の割合も高いことから、東京に加えて関西方面まで足を延ばす傾向があります。従来は東京から東海を経由して大阪へ向かう、いわゆる「ゴールデンルート」が主流でしたが、その一部が北陸経由へとシフトしている状況がうかがえます。

なかでも石川・金沢は、北陸新幹線延伸以前からゴールデンルートに次ぐ旅行先として一定の認知と集客力を有していました。歴史や伝統文化、庭園、城郭といった欧米豪からの旅行者の嗜好に合う観光資源が豊富であることに加え、金継ぎなどの文化体験コンテンツが高い評価を得ている点も、人気の背景にあります。

一方、福井や富山については、宿泊者数の絶対規模は限定的であるものの、伸び率で見ると高い水準にあります。これらの動きは、北陸新幹線の効果に加え、自治体による継続的な海外向けプロモーションや、震災後の復興に向けた情報発信の成果とも考えられます。

欧米豪からの旅行者の消費傾向としては、宿泊、飲食など旅ナカ消費の割合が高い傾向が見られます。コロナ禍前と比べると、ショッピング関連の支出も増加傾向にあり、円安の影響により酒類などの免税品購入が増えているほか、アジアからの旅行者と比べて衣料品や伝統工芸品などへの支出額が多いことも特徴です。欧米豪からの旅行者は滞在期間が長いことから消費単価も高く、消費額ベースでみた存在感も大きくなっています。

観光庁「宿泊旅行統計」をもとにJTBが作成。2024年、2025年とも1~9月累計の前年同期比。

円レートの変動が大きく影響する韓国、台湾市場

韓国、台湾については、コロナ禍後、海外旅行先として日本を選ぶ割合が大幅に上昇しています。これらの日本に近い市場は為替レートの影響を受けやすく、日本選択率が高水準で推移している背景には、円安からくるお得感が挙げられます。

2026年は円レートが大きく変動しないことを前提としていますが、仮に円高が進んだ場合には、旅行先が日本から東南アジアなど割安な国へとシフトし、訪日外国人旅行者数が下振れする可能性があります。

2010年から2019年のプロットが青、2023年から2025年までのプロットがオレンジ。横軸は各国通貨1単位が日本円でいくらになるかを示す。プロットが右へ行くほど自国通貨の日本円に対するレートは高くなる。縦軸は各国の訪日外国人旅行者数を海外旅行者数で割ったもの。訪日外国人旅行者数は日本政府観光局(JNTO)、海外旅行者数は各国統計局、為替レートはOANDAのデータを使用。

訪問先別の動向 

2024年から2025年にかけての訪問先別訪日需要を見ると、2019年と比較して、東京や大阪などの大都市への偏在が進みました。

要因としては、宿泊地が大都市に偏っている欧米豪からの旅行者の比率が上昇したことに加え、地方訪問率の高いアジアからの訪日リピーターにおいても、コロナ禍後の初回訪日旅行では大都市への訪問率が高まったことが挙げられます。さらに、国内地方空港への国際線直行便の運航再開が遅れていたことも、需要の大都市集中を後押ししました。

2026年は中国・香港からの旅行者数減少により、訪日外国人宿泊者数が前年を下回る地域が一部で見込まれる一方、大都市と地方の構成比については、地方の比率が上昇すると予測しています。

主な背景として、訪日外国人旅行者数全体の伸び率が鈍化することで、地方訪問率の高い訪日リピーターの構成比が上昇することが挙げられます。

訪問先別に宿泊者数を見ると、訪日経験が豊富なリピーターが多い東北や、欧米豪からの旅行者比率が高い中国地方では、宿泊者数の増加が見込まれます。一方で、近畿や中部など、中国からの団体旅行客比率が高い地域では、前年を下回ると予測しています。

また、訪日経験回数が増えると、地方での宿泊数も増えることがわかっています。さらに訪日回数4回以上のリピーターは訪問先をひとつの地域に絞り込む傾向が見られることから、今後リピーター比率の増加が進むと、訪日外国人旅行者の周遊エリアは大都市から地方へシフトするとともに、絞り込みも進んでいくと考えられます。

2025年実績は観光庁「宿泊旅行統計」2025年1~9月累計の前年同期比伸び率。2026年はJTB予想。+は前年比101%以上、+/-は同99%以上101%未満、▲は同95%以上99%未満、▲▲は同95%未満。

JTBグループの予約動向

JTBが運営する訪日外国人旅行者向け宿泊予約サイト「JAPANiCAN.com」における、2026年1月~4月の予約件数は、前年同期比で台湾161%、韓国138%、米国はほぼ横ばいと堅調に推移しています。

台湾からの旅行者には中部エリアの人気が高く、石川、三重、長野、愛知はいずれも同200%超となっているほか、直行便ネットワークが拡大した大阪や沖縄も大きく伸長しています。

韓国からの旅行者は、北海道および九州への需要が高い一方で、宮城、群馬、長野、岐阜、兵庫などでも同200%超となるなど、訪問先の地域分散が進んでいます。

米国からの旅行者についても地域分散の傾向が顕著で、なかでも四国エリアが同240%と好調です。

一方、日中関係の影響を受け、中国からの旅行者は同50%、香港は同90%にとどまっています。特に北海道においては、団体旅行に一時的な影響が見られましたが、個人旅行では訪問先として依然高い支持を得ており、旅行形態による傾向の違いが顕著となっています。

訪日インバウンド事業を専門とするJTBグローバルマーケティング&トラベルの予約状況によると、主力である欧米市場において日本への関心は引き続き高い水準にある一方で、他国と比べて日本の旅行コスト上昇率が大きいことから、2026年にかけて旅行需要の伸びが鈍化する兆しが見られます。

また同市場においては、休暇取得の時期が集中型から分散型へと移行しており、混雑回避志向や夏季の暑さに対する懸念が、旅行先の選択や旅行時期に大きな影響を与えていることが伺えます。

さらに安心感や予約の簡便さ、ユニークな体験を理由にパッケージツアーへの関心が高まっていることも特徴として挙げられます。

法人事業における2025年度の状況は、 Meetings&Events領域(ミーティング&イベント)が前年度と比較し240%、国際会議が同 131%と好調に推移しており、「大阪・関西万博」に関連する需要の増加も顕著にみられました。訪日外国人旅行者を対象としたプロモーション関連事業も同130%と高い成長を見せています。

2026年は、「2026 World Baseball Classic™」や「第20回アジア・アジアパラ競技大会(愛知・名古屋)」といった国際的なスポーツ大会により、アジアをはじめとした世界各国からの注目が集まります。選手はもとより、観戦者や関係者の滞在により、需要が大きく高まることが期待されます。

出典元:株式会社JTB

引用:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001488.000031978.html

※詳細については出典元の企業にお問い合わせください。

この記事のライター

マナミナは" まなべるみんなのデータマーケティング・マガジン "。
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編集部は、メディア出身者やデータ分析プロジェクト経験者、マーケティングコンサルタント、広告代理店出身者まで、様々なバックグラウンドのメンバーが集まりました。イメージは「仲の良いパートナー会社の人」。難しいことも簡単に、「みんながまなべる」メディアをめざして、日々情報を発信しています。

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