ニーズはわかっても動けない?ファンマーケティング担当者が直面する「施策化の壁」とは【DNP出版IPビジネスプロジェクト調査】

ニーズはわかっても動けない?ファンマーケティング担当者が直面する「施策化の壁」とは【DNP出版IPビジネスプロジェクト調査】

大日本印刷株式会社(DNP)が推進する「DNP出版IPビジネスプロジェクト」は、ファンマーケティングを実施しているBtoC企業のマーケティング・販促・経営企画担当者を対象に、「BtoC企業マーケティング担当者のファンマーケティングの実態と課題」に関する調査を実施し、結果を公開しました。


ファンマーケティングを行う目的は「ブランドへの愛着向上」が最多に!

はじめに、「ファンマーケティングに取り組む理由(目的)」について尋ねたところ、『ブランドロイヤリティの向上(55.8%)』が最も多く、次いで『既存顧客のLTV(顧客生涯価値)最大化(54.0%)』『競合他社との差別化(41.4%)』となりました。

新規顧客よりも、既存顧客のブランドに対する愛着や信頼感を高めること、また長期的な利益の最大化を重視していることがうかがえます。

それらを実現するために、どのような施策が行われているのでしょう。「ファンマーケティングを促進するために実施している施策」を尋ねたところ、最も多かった回答は『ポイントやインセンティブ制度の導入(40.0%)』でした。次いで『限定コンテンツの配信(38.1%)』『SNSでの継続的な発信(37.4%)』が続いています。

「ポイント付与」などの直接的な還元や、特別感のある情報を提供する施策が上位に挙がりました。顧客にとって目に見えるメリットを提示することが、ファンとの関係構築において有効だと考えられているのかもしれません。

また、「イベント開催」などの体験型施策も一定数挙げられており、物質的な還元だけでなく、ブランドとの感情的なつながりを生む接点づくりにも取り組んでいる様子がうかがえます。

では、そうした施策を届けるための接点として、どのような手段を活用しているのでしょうか。

「顧客とのコミュニケーションに使用しているチャネル」について尋ねたところ、『自社メディア(ブログなど)(40.9%)』が最も多く、次いで『自社アプリ・会員サイト(39.6%)』『ワークショップ・体験会(36.2%)』となりました。

情報発信の基盤として「自社媒体」を重視する企業が増えている傾向がうかがえます。近年のCookie規制の強化を背景に、プラットフォームに依存するのではなく、企業自身が顧客データを直接蓄積・活用し、ファンとの継続的な関係構築につなげたいという意図があると考えられます。

また、「体験会」などの対面施策も上位に挙がっており、直接的なコミュニケーションを通じてファンとの関係を深めようとする取り組みもうかがえます。

こうした施策やコミュニケーションチャネルを継続的に運用するには、一定のコストも伴います。では、企業は月間でファンマーケティングにどの程度の予算を投じているのでしょうか。

『10万円未満(7.9%)』
10万円〜50万円未満(32.4%)
50万円〜100万円未満(38.1%)
100万円〜300万円未満(13.5%)
『300万円以上(8.1%)』

顧客との関係構築には長期にわたる継続的なコミュニケーションや情報発信が欠かせないため、高額な仕組みに依存するのではなく、現実的な費用の範囲で施策を積み重ねながら、ブランドへの愛着を育てようとしているのかもしれません。

顧客分析で重要視しているデータは「来店・利用頻度」「サイト閲覧履歴」

効果的な運用を行うためには顧客理解が不可欠ですが、実際の分析ではどのような項目が重視されているのでしょうか。

「顧客分析において、重視しているデータ項目」を尋ねたところ、最も多かったのが『来店・利用頻度(48.0%)』で、次いで『サイト閲覧履歴(46.8%)』『購買履歴・金額(42.6%)』と続きました。

年齢・性別などのデモグラフィック情報だけでなく、実際にどのような行動をとったかを示すデータが重視されていることがわかりました。

「いつ来店したか」「何を見たか」「何を購入したか」といった行動の積み重ねから、顧客の欲求や興味関心をより具体的に捉えようとしているようです。

こうした顧客データの分析結果は、実際にどのような施策やアクションに活かされているのでしょうか。

「顧客データの分析結果をもとに、どのようなアクションや施策を行っているか」と尋ねたところ、『セグメント別にLINEやアプリでの配信(41.3%)』が最も多く、次いで『コンテンツの出しわけ(35.8%)』『キャンペーン設計(34.0%)』となりました。

すべての顧客に同じ情報を届けるのではなく、属性や行動履歴に応じて発信内容を分ける手法が多く挙げられました。顧客一人ひとりの興味や状況に合わせて情報を届けることが、関係性を深めるうえで重要だと考えられているようです。

また、「施策の効果検証は、どの程度の頻度で行っているか」を尋ねたところ、最も多かったのが『週次(週に1回程度)(37.3%)』で、続いて『月次(月に1回程度)(29.8%)』『リアルタイム・毎日(22.7%)』という結果でした。

リアルタイムで日々確認している担当者は約2割見られますが、多くは週ごと、あるいは月ごとにデータを整理しながら次の施策を検討するのが現実的なペースであることが示されました。

最大の壁は「顧客のニーズはわかっているのに施策に移せない」こと

では、こうした分析を通じて、顧客のニーズを実際にどれくらい把握できているのでしょうか。

「顧客データの分析結果をもとに、ファンのニーズをどの程度把握できていると感じるか」と尋ねたところ、以下のような回答結果になりました。

『明確に把握できており、施策にも十分に反映できている(24.5%)』
明確に把握できているが、施策には反映できていない(40.1%)
ある程度把握できており、部分的に施策に反映できている(27.7%)
『ある程度把握できているが、施策には反映できていない(6.7%)』
『あまり把握できていない(0.7%)』
『まったく把握できていない(0.3%)』

顧客データの分析を通じてファンのニーズを把握できていると回答した担当者がほとんどで、ニーズの理解そのものは広く進んでいることが分かりました。

しかし、その内容を施策に「十分に反映できている」と感じている担当者は24.5%にとどまっています。部分的な反映や未反映を含めると7割強となり、分析によって得られたデータを、実際の施策やコミュニケーションにどのように落とし込むかという過程で、難しさを感じている方が多い状況が浮き彫りになりました。

では、ファンのニーズを施策に反映するうえで、企業の担当者はどのような課題を感じているのでしょうか。

「ファンマーケティングの運用における課題」について尋ねたところ、最も多かったのが『戦略を立てる専門知識(39.4%)』、次いで『分析を行うためのスキル・ツール(39.2%)』、『施策の優先順位付け・意思決定力(33.8%)』が続きました。

顧客データや情報そのものは一定程度蓄積し分析されている一方で、それらをもとに戦略を設計し、どの施策から着手すべきかを判断するための専門知識や、深掘りする分析方法に課題を感じている担当者が多い様子がうかがえます。

求められているのは「ユーザー分析・インサイト抽出」や「施策~改善までの伴走型支援」

こうした課題を補うために、企業はどのような支援を必要としているのでしょうか。

「ファンマーケティングの運用において、今後導入したい、または必要だと感じる支援・機能」について尋ねたところ、『ユーザー分析・インサイト抽出(44.6%)』が最も多く、次いで『施策提案や改善の伴走支援(43.9%)』『分析から施策設計・実行までを一気通貫で任せられる支援(38.8%)』となりました。

前問では、9割以上の担当者が顧客データからファンのニーズ自体は把握できていると回答していましたが、本設問の結果からは、より潜在的な本音にあたるインサイトの抽出についてさらなる支援を求める声が多いことが分かります。

さらに、分析にとどまらず、施策の設計や改善、実行段階まで寄り添う「伴走支援」への需要も高く、運用全体を支える支援体制が求められている状況がわかります。また、「分析・配信・効果測定を一元化できるツール」は16.7%にとどまり、便利なシステムやツールを単体で導入するだけでは、運用上の課題解決にはつながりにくいと考える担当者が多いことも読み取れます。

これらの結果から、戦略構築力や分析スキルといった不足部分を補い、実行までを支援してくれる「専門的なパートナー」が求められていると言えそうです。

調査概要

調査期間:2026年2月17日(火)~2026年2月18日(水)
調査方法:インターネット調査
調査対象:調査回答時にファンマーケティングを実施しているBtoC企業のマーケティング・販促・経営企画担当者と回答したモニター
有効回答数:1,017人
調査機関:株式会社PRIZMA「サクリサ」

出典元:大日本印刷株式会社 DNP出版IPビジネスPR事務局

引用:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000013.000138376.html

※詳細については出典元の企業にお問い合わせください。

この記事のライター

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