「介護の悩み」を検索から読み解く|リクシス共催ウェビナー

「介護の悩み」を検索から読み解く|リクシス共催ウェビナー

少子高齢化が進むにつれ、家族の介護は多くの人が直面する問題となっています。将来の介護に不安を抱える人々の悩みに早期から寄り添うことは、消費者自身にとっても、関連サービスを提供する側にとっても有益なはずです。今回のウェビナーでは『検索から読み解く「介護の悩み」』と題して、介護に不安を抱える消費者とどのようにコミュニケーションをしていけばよいのか、ユーザーのWeb行動ログから分析し、ご紹介しました。 ※詳細なセミナー資料は記事末尾のフォームから無料でダウンロードできます。


スピーカー紹介

株式会社ヴァリューズ ソリューション局 マネージャー マーケティングコンサルタント 竹久 真也

株式会社ヴァリューズ ソリューション局 マネージャー
マーケティングコンサルタント 竹久 真也

行動ログデータによる「介護」の検索特徴

介護の重要性が増しているなかで、消費者の目から見た場合、どんな形で悩みが現れ、どんなメッセージがあれば消費者とコミュニケーションが取れるのでしょうか。『検索から読み解く「介護の悩み」』をテーマに、主に介護をされている方、介護に関わっていらっしゃる方がどのようなことを悩まれているのか、弊社の行動ログデータを使って分析した結果をご紹介します。

なお分析には、一部Dockpit(毎月更新される行動データを用いて、手元のブラウザで競合サイト分析やトレンド調査を行えるヴァリューズのWeb行動ログ分析ツール)を使用しています。

「介護」検索者は1月に増加、40-50代がボリュームゾーン

「介護」という言葉がどれぐらい検索されているのか、2021年7月から2022年6月の1年間で見てみると、月次で約30万人の検索者が見られ、1月は里帰りがあるためか少し増加しています。

検索者の年代の割合は、一般的なユーザーと比べると40〜50代が高くなっています。60代以降が下がっている理由は、介護を「する側」から「される側」に回っていくからかもしれません。

左:「介護」検索者数の推移 右:「介護」検索者の年代割合

左:「介護」検索者数の推移
右:「介護」検索者の年代割合

若年層はキャリア、年配層は症状や備品を検索

次の左図は、「介護」と掛け合わせて検索されているワードを機械的にグルーピングをしたものになります。線で繋がっているところが1つのグループです。

左:「介護」と掛け合わせて検索されたワードネットワーク 右:「介護」との掛け合わせワードと検索者の性別・年齢別マップ。左が男性、右が女性、上は高年齢、下は若年齢

左:「介護」と掛け合わせて検索されたワードネットワーク
右:「介護」との掛け合わせワードと検索者の性別・年齢別マップ。左が男性、右が女性、上は高年齢、下は若年齢

「求人」「資格」のようなご自身のキャリアに関する検索もありますが、「認知症」「リフォーム」といった検索も目立ちます。

「介護」と掛け合わせて検索されているワードを、性別・年齢でプロットして分析したものが右図です。若年層では「転職」「正社員」等ご自身のキャリアに関するワードが、年齢が上がって実際介護に取り組まれている方では「認知症」「オムツ」「ベッド」等のワードがよく調べられていることが分かります。

データの分析手法

今回は実際に介護で悩んでいる方がどんなことを調べているのか、求人関連のワードを除いて分析しました。「介護」との掛け合わせだけでなく周辺ニーズも拾っていくために、介護を含む検索の前後で検索された内容も含めてデータを分析しています。

例えば資料の上段は、ある人が「介護」に関して検索した内容を時系列で並べたものです。赤枠が「介護」というワードが入った検索ですが、その前後で「デイサービス」や「要支援」「検査外来」というワードでも調べられています。「介護」というワードはないもののその文脈で調べられているので、これらのキーワードを含めて、どういう検索ニーズ、情報ニーズがあるのかを分析しました。

上段:「介護」を含む検索前後の検索ワードの例 下段:抽出した検索ワードのクラスタリング例

上段:「介護」を含む検索前後の検索ワードの例
下段:抽出した検索ワードのクラスタリング例

次に下段ですが、抽出された検索ワードを近いワードがまとまるようクラスタリングしました。クラスタリングでは、求人を除き、既に介護中だったり、今後介護をしそうな方に絞って8つのクラスタに分けています。ユーザーが概ねこのような話題について調べていると捉えてもらえればと思います。

ちなみに、文字が濃いワードがそのクラスタで特徴的なワード、薄いワードは特徴的ではあるけれど少し劣るワードを示しています。文字の色の濃さに着目をして見ていただくと、どういう検索ニーズがあるかを追うことができます。

各クラスタから読み取れるニーズとは

8つのクラスタの特徴

今回作成した8つのクラスタから、以下のような検索者の気になりごとが伺えました。

➀悩み・困りごと
➁介護用品
➂保険
➃介護保険料・税金
➄医療費や介護の控除
➅介護施設の検討
⑦在宅介護
⑧退職・休職

では各クラスタについて、気になりごとの詳細を見ていきましょう。

➀悩み・困りごと

クラスタ1:悩み・困りごと

クラスタ1:悩み・困りごと

介護にまつわる悩みごとが中心です。「税金」「お金」「介護費用」「独身」「生活費」等の検索からは、将来設計のシュミレーションや生活費、介護費用がいくらかかるか等、今はまだ顕在化していないけれど、今後どうなるのか、将来の生活やお金に関する不安があることが分かります。

より悩みが顕在化した検索では、「介護疲れ」「(施設費用が)払えない」「(介護に伴う)うつ病」というワードや、介護される側が施設入所やおむつを拒否することに困っていて、どうしたら良いのか悩んでいることが伺えるワードが挙がりました。

➁介護用品

クラスタ2:介護用品

クラスタ2:介護用品

自宅で介護をするにあたって、家や設備をどうすればよいのかという検索です。「介護用品レンタル」「スロープ」「フランスベッド」等、自宅介護で必要なものが検索されています。特に「レンタル」との掛け合わせでは、「ベッド」「車椅子」等、価格が高く大きい備品については、購入よりもレンタルで何とかならないかと考えていることが伺えました。

また「介護リフォーム」「浴室」「階段」等、家の設備自体を介護向けに作り替えようとする検索も見られました。介護する側・される側双方の負担が大きくなりやすい場所や、事故が起こりやすい場所のリフォームを考えている様子が読み取れます。

➂保険

クラスタ3:保険

クラスタ3:保険

介護保険に関する検索では、民間の保険会社が運営する保険に関する検索がメインです。実際介護をしている人よりも、将来の備えとして検索されていると想像できます。他のクラスタに比べて20〜40代の人が多いことが特徴です。

また介護にかかる費用の「平均」や、介護保険料を他の人が「いくら」払っているか等、将来の予測が難しい中で、どのぐらい払えば標準なのか、他の人がどうしているのか思い悩む様子が伺える検索もありました。

➃介護保険料・税金

クラスタ4:介護保険料・税金

クラスタ4:介護保険料・税金

税金や介護保険料の支払い、源泉徴収等、手続きに関する検索です。親御様に代わって源泉徴収等の手続きをしなければならない、また介護保険料の支払い制度が変わり、対応方法が分からないなどの困りごとが伺え、悩みが大きいことが分かります。

➄医療費や介護の控除

クラスタ5:医療費や介護の控除

クラスタ5:医療費や介護の控除

介護に関わる医療費やその控除に関する検索です。要介護の認定はどう取得するのか、介護費用はいくらかかるのか、高額医療制度や入院費等、費用感やお金をかけないために控除の仕組みを知ろうとする動きが見られます。

「必要書類」というワードでは、必要な書類は何か、どんな制度があるのか、どこに届け出ればいいのか、どういう手続きをしたら良いのか等、経験のないことを悩みながら進めている様子が伺えました。

➅介護施設の検討

クラスタ6:介護施設の検討

クラスタ6:介護施設の検討

介護施設を検討するための検索です。様々な形態の介護施設が調べられており、それぞれのサービスや形態でどこまで支援が受けられるのか、違いやメリット・デメリット等が気になっていることがわかります。民間、公的含めて幅広い選択肢があるので、自分に合っているのはどれなのか分からない、比較しづらいことが背景にありそうです。また自分自身がサービスを受ける側ではないので、より慎重に検討している部分もあるのかもしれません。

⑦在宅介護

クラスタ7:在宅介護

クラスタ7:在宅介護

在宅介護の困りごとに対する検索です。「ライフリー」という大人用オムツや「紙おむつ」「トイレ」等の検索が見られます。排泄は自宅で介護する場合、多くの人の悩みになっているようです。「オムツ交換」のワードを見ると、交換方法の動画や勉強会の検索もありました。回数が多く負担も重いので、どうにかしたいと思っていることが感じ取れます。

また「介護食」「食事」という検索もあり、食事も大きな関心事項であることが分かります。「胃ろう」「点滴」というワードでは「在宅」との掛け合わせも見られ、食事が難しくなった場合、自宅でもできるのか、入院するしかないのか、症状が重くなった時どうなっていくのか不安に思っていることが伺えます。

⑧退職・休職

クラスタ8:退職・休職

クラスタ8:退職・休職

退職や休職に関する検索では、休みの取り方はどうなっているのか、何を申請したらいいのか、保険はどうなるのか、いつからか、等が調べられていました。

介護悩みの潜在層と顕在層で、ニーズは二極化

このように介護に関する悩みと言っても、ユーザーによって置かれている状況が多岐に分かれていることが分かりました。今回の8つのクラスタでは、お伝えしたようなニーズが表出しています。

クラスタ➀➂では、潜在的な悩みが特徴的です。今は直面していないけれど、お金をどのくらい備えておけば良いのか、未来のプランが組みづらい等、将来の備えに対する不安がありそうです。

また悩みが顕在化している方では、クラスタ➄➅で出てきたように、実際どんな選択肢があり、何をやると何が失われるのか、自分にとって最適なものは何かという悩みが伺えます。既に介護に取り組まれている方、将来の介護を不安視している方のインサイトが、調査結果から見えてきました。

実際のジャーニーから推測されるニーズ

マクロの分析に加えて、実際の検索をピックアップしてご紹介します。どんな風に悩みに向き合って深められているのか、象徴的に分かるケースです。

いつどこで何を検索したのかというデータを読み解き、その検索の前後関係から、想像されるニーズを仮説として出したものになります。

30代と50代のジャーニー例

「将来に備えて資金を準備しようとされている」ジャーニーの例

この方は、まだ介護に取り組まれてはいないものの、将来に向けて資金計画を立てていきたい方だと思われます。「もし介護が必要になったら」や実家エリアの「包括支援サービス」といった検索が見られます。帰省するタイミングで将来の介護を意識するようになったと思われます。

深堀り例:将来の資金を考えるユーザーの検討ジャーニー例(30代女性)

深堀り例:将来の資金を考えるユーザーの検討ジャーニー例(30代女性)

象徴的なのは「親の介護に備える保険 比較」や、ご自身の投資について調べられている点です。IDECOやNISA等、積み立て系の投資と介護保険が、介護に対する備えとして並行して検討されているということが見えてきます。

「介護開始平均 年齢」「親の介護にかかる費用」という検索からは、投資も保険もあまり取り組んだことがないため、他の人はどうしているのか知りたい、予想は難しいけれど平均的にどれぐらい準備をすればよいのか知りたいと考えていることが読み取れます。

他にもNISAや保険のおすすめ銘柄を調べていたりする等、詳しくはないけれど決めなければいけないため、おすすめや定番を検索していることがうかがえます。

「親の介護に直面した」ジャーニーの例

短期間で様々なことを決める必要があり、次々に検索をかけ、介護に向きあう様子が読み取れます。

深堀り例:「親の介護」に直面したユーザーのジャーニー例(50代女性)

深堀り例:「親の介護」に直面したユーザーのジャーニー例(50代女性)

象徴的な検索は「1人っ子 独身 親の介護」です。様々な選択肢がある中、自分に合った選択はどれなのか悩んでいる様子が伺えます。

その後の検索では「介護医療院 デメリット」「介護保険以外のサービス」などを検索しており、他に良い方法はないのか模索していることが見て取れます。また更に進むと、手続きの問題も表面化していることが分かります。

潜在層にはモデルケース、顕在層には選択肢を

まとめると、読み取れるニーズは以下です。

●仮説1
・実家に帰るタイミングは、介護を考える機会になりやすい
・将来の備えとして、積み立て系の貯蓄と介護を一緒に考えてもらう
・「他の人はこう備えている」というモデルケースが求められている

●仮説2
・慌ただしい中で、どのような選択肢があり何を優先すべきか、情報を提供する必要性
・行政などの手続きのサポートや、チェックリストへの需要

以上、介護に不安を抱えるユーザーとコミュニケーションを取る際の参考にしていただければ幸いです。ありがとうございました。

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この記事のライター

大学卒業後、損害保険の営業事務を経て、通販雑誌・ECサイトのMD、編集、事業企画に従事した後、独立。自身のキャリアを通じて、一人一人のポテンシャルを引き出すことが組織の可能性に繋がることを実感したことから、現在はマーケティングとキャリア・人材を軸に、人と組織の可能性を最大化できるよう支援をしています。

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