8割以上がプライベートとは別にオタク用アカウントを所持
Z世代に分類される若年女性の推し活層はほとんどの人が、普段使用するプライベートとは別にオタク用のSNSアカウントを使い分けていることが分かります。
同じ推し活をするという特性を持つ30代の回答結果と比較して明確に大きい割合となっていることからも、アカウントを棲み分けるという行為はZ世代特有の特性であると言えます。
■オタクアカウントを分ける理由
⚪︎オタバレ対策・個人情報保護
Z世代においてオタクであることは自己開示のような要素が大きいため、オタクであることを繋がりが浅いリアルな人間関係の人にバレたくない、オタクに対していまだに少しのマイナスなイメージを持つ風潮もあるため、それを理解のない人にわざわざ伝えてひかれたくない、というような心情があることがうかがえます。
また、そのような観点とは別に、オタクアカウントでSNS上で繋がっている人に個人情報を知られないためという意見が18歳未満においても複数見られました。過激な発言で炎上する人がいる現状など、オタク特有の文化もあることを踏まえても、若年層においても自己防衛的なネットリテラシーがある程度持っていることが分かります。
⚪︎情報収集
推しに関する情報はほとんどの界隈では、公式サイトだけでは不十分であり、公式SNSやファンが有志で運営している情報発信アカウント・ブログ等を活用して各自で情報収集を行なっています。そのため、オタク用アカウントがないと、情報を逃してしまう恐れがあります。
様々な情報が一方的に流れて来ながら、様々な情報を求めるZ世代において、アカウントを棲み分けることで、欲しい情報だけが並ぶTLやアルゴリズムに最適化することは一般的な行動となっています。
このことから、推し活層に限らずZ世代において情報が豊富に溢れている環境は当たり前であり、その上で信頼性のある精査された情報が一元化されているということはとても価値があるということも読み取れます。
⚪︎推し活に関する投稿用
推し活に関する投稿には、推し活記録用投稿 、オタク発言 、 二次創作投稿 、推しへのリプなど様々な内容があります。その他にも、オタクタグ(界隈で使用されるハッシュタグや独自のハッシュタグ)や、グッズ取引などオタク特有の文化があるため、それを全く関係のない人がいるプライベートアカウントですることに抵抗があることは十分に理解することができると思います。
その他にも単純に投稿の系統の統一感を出すため、オタ友を増やしたり推しに認知されたいという願望からオタク分かるようなアカウント設計などの工夫をするため、という理由も大きい割合で見受けられました。
1つだけオタクの行動をユーザー視点で理解するために抑えておきたい点として、オタクアカウントはSNS上の推し活をしたり、オタクであることを曝け出すしたりするためのサブアカウントという役割ではない場合もあるということです。
推し活が生活の軸となる多くのユーザーにおいて、オタクアカウントが日常的に利用するアカウントであり、プライベート用のアカウントがリアルの場で関係値にかかわらずSNSを交換するための、サブ的なアカウントとして利用する傾向があります。
■オタクアカウントを作る推し活女子の心理に関する考察
推し活層に限らず、プライベートアカウントと別に趣味アカウントを作る行為は一般的だと思われます。しかし、今回のアンケート結果のように8割以上のユーザーがアカウントを棲み分けていることは、Z世代の推し活をする層にとって、インターネットやSNSがネイティブな年代だからというだけではなく、推し活がライフスタイルの大部分を占めていることが起因していると考えます。
先述した通り、推し活層にとって推し活は人生そのものといったような思考であるため、オタクであることを周知させることは、ありのままの自分をさらけ出す自己開示となります。それに加え、もの心ついたときからSNSがある環境で生活をするZ世代にとって、SNSは趣味を自己内で完結する以外の選択肢を提供してくれるものとなっています。その選択肢があることで、Z世代の推し活をするユーザーは「自己開示した自分が肯定される精神的な幸福度の高い居場所」を強く求める心理が生まれていると考えます。
推し活女子への訴求に効果的な媒体は?Z世代推し活層の情報収集行動
■Z世代女性オタクの推し活に関する情報収集方法
推しに関する情報を得るための媒体として、公式SNSと非公式なXの情報発信アカウントがメインであることが分かります。現在では、多くの界隈で公式のSNSがあるため、公式webサイトよりも1日でアクティブに使う頻度の多いSNSから情報を得ていることは自然な流れだと考えます。
また、公式SNSよりも詳細かつオタク目線でわかりやすくまとめている非公式の情報発信アカウントの需要がとても高い傾向にあるため、公式の情報をユーザー目線で分かりやすく加工して一元化して発信することに十分な価値が見出されることが分かります。
そして、Xが情報収集の媒体となっているように、Instagramやtiktokも同様に娯楽目的だけではなく、情報を獲得する媒体としての機能の認識が加速していることも上記の結果から分かります。
■推し活層への潜在需要に対する訴求はXとInstagramが有効
ユーザーはSNSで潜在的なニーズを発見し、顕在化したニーズをgoogle検索で調べるという行動が一般化しており、その中でもXやInstagramなど静的なコンテンツがプラットフォームの文化の発展とともに情報収集媒体として発展していることが分かります。
一方でユーザーが気軽に投稿できるtiktokやyoutubeなどの一般投稿者の動画がメインのプラットフォームは発展を続けていますが、娯楽的な用途がメインであり、情報の信頼性の低いコンテンツの淘汰作用が未成熟なため、他媒体よりも未だに圧倒的なリーチ獲得は見込めてもその後の指標が低くなる傾向にあります。
情報の信頼性を獲得するには運用期間や公式感が挙げられますが、近年のSNSではUGCがリーチ数を獲得する要素として大きく、基本的にメディア型のアカウントは相性が悪いため、短期・中期的な直接的な数字に繋がる広告効果を期待するのであれば、運用コストの低い静的コンテンツがベターな選択肢といえます。
■顕在ニーズの深堀りにもXを活用する傾向に
先述したように、顕在化したニーズは未だにどの世代でもgoogle検索でさらに情報を集めます。ただし、近年では上記の結果を見るように、Xも比較的大きい割合となっていることが分かります。Xはgoogle検索と比較して、リアルなユーザーの口コミを獲得しやすく、リアルタイム性の観点でも優れているため、欲しい情報の種類によっては、情報検索においてXがオーガニック検索と同様の価値を持って来ていると考えられます。
【参考】媒体ごとのメインの利用目的について
本アンケートでは、最後に各SNS(X・Instagram・tiktok)の主な利用目的についても回答を募りました。
下記の結果から、ユーザーの各SNSでの実際の行動を理解することができるかと思います。
XとInstagramの利用方法の違いとして、Xは気軽な投稿、リポスト・いいね機能を活用したメモ的な利用、グッズ取引の募集などInstagramよりも明確な目的や推し活における日常的な利用用途がある点だと考えます。
また、SNSマーケティング施策の代表格の1つとなりつつある、tiktokについて本アンケート対象のユーザーにおいても「利用しない」という回答がどの年齢層においても20%以上もあることは、Z世代に属さない方からすると異なる印象かと思います。
調査概要
実施期間:2023/10/17~2023/10/22
調査対象:推し活をしている女性(oshimoaのメディアユーザー)
回答総数:419名
回答者年齢別割合:
-18歳未満:184名(43.9%)
-18~24歳:136名(32.5%)
-25~29歳:45名(10.7%)
-30歳以上:54名(12.9%) ※比較対象として30代以上の年齢の方にも回答を募りました。
調査方法:googleフォームにて回答入力
出典元:株式会社minor role
※詳細については出典元の企業にお問い合わせください。
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