日本マーケティング学会とは
まずは日本マーケティング学会のビジョンや成り立ち、入会資格などを見ていきましょう。
■日本マーケティング学会の概要
日本マーケティング学会は、日本のマーケティング力を高めるために2012年に設立された学術団体です。
「探求と創発」をビジョンに掲げ、常に挑戦し、創造的なマーケティング力を培うことを目指し、理論と実践、かつ他分野との交流に重きをおいて活動しています。2024年9月現在、2,800人以上の研究者や実務家が会員として参加し、さまざまな活動を通じてマーケティングの発展に貢献しています。
学会では、学術誌の発行やカンファレンスの開催、リサーチプロジェクトの実施といった多彩なプログラムを主催。こうした活動を通じて、会員同士が活発に知識を共有し合い、新しいアイデアの創出につなげています。
日本学術会議の協力学術研究団体としても認められており、マーケティング分野における重要な役割を担う団体です。
■日本マーケティング学会への入会資格
日本マーケティング学会は、マーケティングに関心がある個人の方なら誰でも入会可能です。具体的には、以下のような方々を想定しているそうです。
・大学や企業、公的機関でマーケティングの研究や実務に携わっている人
・マーケティングのスペシャリストを目指す学生や社会人
・MBA(経営学修士)の在学生や卒業生
年会費は1万円ですが、後述する「若手応援割引制度」により、24歳までの方は無料、25〜29歳までの方は半額の5,000円となります。
入会すると受けられるサービスとメリット
入会すると、日本マーケティング学会が提供している「メンバーシッププログラム」を受けることができます。プログラムの一例を以下に紹介します。
■【イベント】マーケティングカンファレンス
マーケティングカンファレンスは、学会員が一堂に会して研究成果を発表し、意見交換を繰り広げる大規模なイベントです。
毎年秋に開催され、基調講演やパネルディスカッション、口頭発表セッションなど、多彩なプログラムが用意されています。特に、MBA生や社会人、学生が研究成果を発表できるポスターセッションは、多くの参加者からも好評です。各セッションでは優秀な発表に対して賞が贈られるため、研究者たちのモチベーションアップにもつながっています。
このカンファレンスは、最新のマーケティング動向を学び、人脈を広げる絶好の機会だといえるでしょう。
【研究会】マーケティング・リサーチプロジェクト
マーケティング・リサーチプロジェクトは、特定のテーマに関心を持つ会員が集まって行う研究会です。
現在、30以上のプロジェクトが活動しており、会員は興味のあるテーマのプロジェクトに参加できます。
【プロジェクト一例】
・プレイスブランディング研究会
・ web3研究会
・フランチャイズ・システム研究会
・地域活性化マーケティング研究会
・ デジタルトランスフォーメーション研究会 など
各プロジェクトでは定期的に研究会を開催し、参加者同士で意見交換や情報共有を行っています。2017年からは「春のリサプロ祭り」という合同研究会も開かれるようになり、プロジェクト間の交流も活発です。
■【座談会】マーケティングサロン
マーケティングサロンは、リラックスした雰囲気の中で行われる少人数制の座談会。主に平日の夜に開催され、東京を中心に大阪や名古屋、札幌などでも行われています。著名なゲストを招き、軽食を取りながら深い議論を交わすプログラムです。
このサロンの魅力は、第一線で活躍する実務家や研究者の生の声を聞けることです。参加者は質問やコメントを通じて、ゲストと直接対話する機会を得られます。
また、他の参加者との交流も活発で、新たな人脈作りの場としても機能しています。気軽に参加できる雰囲気も好評で、「このサロンに参加するために入会した」という会員も多いプログラムです。
■【学術誌】マーケティングジャーナル
マーケティングジャーナルは、1981年に創刊された学会の査読付き学術誌です。
年4回発行され、マーケティングに関する最新の研究成果が掲載されています。特集テーマに基づく招待論文と、自由投稿による査読論文で構成されており、マーケティング研究の重要な情報源となる媒体です。
学会員になると、このマーケティングジャーナル全編をダウンロードできます。また、一般の方からの投稿には掲載料がかかるところ、学会員は無料で掲載できるという特典があります。
■【学術誌】マーケティングレビュー
マーケティングレビューは、マーケティングジャーナルの姉妹誌として2020年3月に創刊された学術誌。最新のトピックスや現在注目されているテーマに焦点を当て、研究成果をより速やかに公開することを目的としています。
この冊子の大きな特徴は、マーケティングカンファレンスでの優秀な口頭発表と連動していることです。カンファレンスで高い評価を受けた発表を、短めの論文にまとめて掲載しています。
学会員になると、冊子全編のダウンロード・閲覧が可能です。
■【プラットフォーム】ワーキングペーパー
ワーキングペーパーは、2015年に設置された学会員向けの研究発表用プラットフォームです。
学会員になると、マーケティングに関する論文やケーススタディ、コラムなどの研究成果を自由に公開できます。最もダウンロード数の多い論文には「トップダウンロード賞」が贈られるため、研究者のモチベーションにもつながっています。
■学会賞
日本マーケティング学会では、優れた研究や活動を表彰するためにさまざまな賞を設けています。
その中でも特に注目されているのが「日本マーケティング本 大賞」です。これは、会員の投票によって選ばれる、その年最も優れたマーケティング関連の書籍に贈られる賞です。
他にも、マーケティングジャーナルの最優秀論文賞、カンファレンスでの最優秀口頭発表賞や最優秀ポスター賞、ワーキングペーパーのトップダウンロード賞など、多様な賞が用意されています。
これらの賞は、研究者や実務家の努力を評価し、さらなる研究活動を促進する役割を果たしています。
■会員制度
日本マーケティング学会では、会員の継続的な参加を促すためのユニークな制度を設けています。
例えば「継続・シニア会員制度」は、長年にわたって学会に貢献してきた会員を優遇するもので、会費の割引などの特典があります。
また、「フェロー会員・殿堂入り制度」は、学会に特に顕著な貢献をした会員を表彰する制度です。
こうした制度によって、経験豊富な会員の知見を若手会員に継承する機会が生まれ、学会全体の発展につながっています。
■グッズ・ステータス
日本マーケティング学会では、会員であることを示すさまざまなグッズやステータスシンボルを用意しています。
学会活動への参加時に身分証明として使用できる会員証が発行されるとともに、学会オリジナルのステッカーや名刺が作成されています。
こうした会員限定のアイテムがあることで、会員の帰属意識が高まり、会員同士の活発なコミュニケーションや学会活動への積極的な参加につながっているといえるでしょう。
入会には「若手応援割」を活用しよう!
日本マーケティング学会では、2023年4月より、若手研究者や実務家を支援するための「若手応援割」制度を導入しています。
この制度では、24歳までの方は年会費が無料、25〜29歳までの方は年会費が半額の5,000円となります。
■「若手」のうちに入会するメリット
制度の目的は、若い世代がマーケティング研究や実務に触れる機会を増やし、将来のマーケティング界を担う人材を育成することです。年会費の負担を軽減することで、学生や若手社会人が気軽に学会に参加できるようになりました。
在学中や社会人になってすぐの時期に参加することで、以下のようなメリットが得られるでしょう。
・卒論のテーマが見つかる
・就活に役立つ
・やりたいことが見つかる
・憧れのマーケターの話が聴ける
・人脈が広がる
・就職(転職)を考えている企業の人がプレゼンを聴いてくれる
・カンファや研究会で行きたい企業の人に会える
若手応援割を利用すれば、最小限の費用で学会の豊富なリソースを活用できます。最新の研究動向を学んだり、経験豊富な研究者や実務家との交流を深めたりする機会が得られるため、若い世代のキャリア形成に大いに役立つでしょう。
■「学会の歩き方」で学会を最大限に活用できる
さらに、若手会員向けに「学会の歩き方」というオンラインイベントも開催されています。
このイベントでは、学会プログラムの活用法や楽しみ方について詳しく解説されており、新規会員が学会活動に溶け込みやすい環境が整えられています。
【イベント内容一例】
・「リサーチプロジェクト」の紹介と活用法
・企業の第一線で活躍するマーケティング担当者が語る「学生時代のマーケティングサロン活用法」
・カンファレンス受賞者に聞く「オーラル発表、ポスター発表の極意」
・編集長たちに聞く「論文の探し方、読み方、書き〜ジャーナルの活用法〜」
マーケティングに興味を持ち始めた人におすすめ
日本マーケティング学会に入会すると、最新のマーケティング手法やトレンドといったより実践的な知識を学ぶことができます。また、業界の専門家と直接触れ合える機会は非常に貴重なものであり、今後のキャリア形成においてもプラスになることは間違いないでしょう。
少しでも興味が湧いた方は、ぜひ一度サイトを訪れてみてはいかがでしょうか。
日本マーケティング学会のテーマは「探求と創発」。研究者と実務者が出会い、世界トップクラスのマーケティング力を培っていく場所を目指しています。
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