PR活動の分散化が進行中!広報戦略の変化とは
「過去1年で強化しているPR内容」について、前年度と比較したところ、全体的に割合が減少していることがわかりました。
特に、『新製品・サービスの紹介』は前年度の65.4%から55.6%へと約10ポイント減少しており、『SDGs、ESG、CSRなど企業の社会的責任活動』も55.3%から52.1%へとやや低下しました。
一方で、『業務提携・事業提携・資金調達』(36.4%→35.3%)、『経営陣からのメッセージ』(17.3%→17.0%)の減少幅は比較的少ない傾向にありました。
この変化から、企業のPR戦略が分散化しつつあることが示唆されます。
特に、新製品・サービスの紹介が減少したことは、製品プロモーションよりも他の広報活動にリソースを割く傾向が強まっている可能性を示しています。
また、社会的責任活動のPR強化が若干減少したものの、依然として高い割合を維持している点から、企業のサステナビリティ戦略が継続的に重要視されていることも読み取れます。
従来手法減少、デジタルPRが加速
続いて「過去1年で強化している広報手法」について、前年度と比較したところ、全体的に割合が減少している項目が多い中、『オウンドメディアの運用』(21.1%→23.1%)と『SNSの運用』(18.1%→20.7%)がわずかに増加していることが分かりました。
一方で、『プレスリリースの配信』(56.3%→47.9%)や『メディアリレーションズ』(48.5%→40.2%)といった従来の広報手法は減少傾向にありました。
この変化は、企業の広報活動が従来のメディア向けPRから、より直接的な情報発信へとシフトしている可能性を示唆しています。特に、オウンドメディアやSNSといったデジタルプラットフォームの活用が微増していることから、自社でコントロールできる情報発信の重要性が高まっていると考えられます。
一方で、プレスリリースやメディアリレーションズの減少は、広報活動のコスト削減や、マスメディアの影響力の変化が影響している可能性もあります。
デジタルとリアル、両軸で進化する広報活動
「過去1年でPR手法として新たに取り入れた手法の中で最も活用したもの」について尋ねたところ、『SNSの運用(28.2%)』と回答した方が最も多く、『プレスリリースの配信(26.8%)』『オウンドメディアの運用(18.5%)』『展示会や見本市などへの出展(14.0%)』と続きました。
大半の企業が何らかの新しいPR手法を取り入れていることが分かります。
特にデジタルメディアの活用が拡大している傾向が見て取れました。
SNSの運用が最も多く選ばれたことから、企業が消費者との直接的なコミュニケーションを重視していることがうかがえます。また、オウンドメディアの運用やウェビナー・オンラインイベントの活用も一定数見られることから、情報発信の手段として、企業自身が主体的に発信できるチャネルの重要性が高まっていると考えられます。
一方で、展示会やポップアップストアのようなオフラインの取り組みも一定の割合で実施されており、デジタルとリアルの両面でPR活動が展開されていることが分かりました。
また、「新たに取り入れたPR手法の効果の満足度」について分析したところ、「大変満足」と評価されたのは『プレスリリースの配信』が最も高く、『オウンドメディアの運用』『展示会や見本市などへの出展』『SNSの運用』と続きました。
一方で、「満足」と回答した割合が最も高かったのは『SNSの運用』であり、『展示会や見本市などへの出展』『オウンドメディアの運用』『プレスリリースの配信』が続きました。
企業のPR手法において、特にプレスリリースの配信は即効性や影響力の面で引き続き「大変満足」と評価する割合が最も高く、即効性や影響力の面で引き続き重要視されていることがうかがえます。
一方で、SNSの運用は「満足」と回答した割合が最も高く、効果は実感しやすいものの、「大変満足」とする割合が低いことから、期待していたほどの成果が得られないケースもあると推測できます。
また、展示会や見本市への出展については「大変満足」とする回答が7割以上を占めておりおり、リアルイベントの価値も一定程度維持されていることが分かります。
総じて、新たに取り入れたPR手法は概ね良好な評価を得ているものの、継続的な戦略の見直しが求められる可能性があります。
次世代のPR戦略はハイブリッド型に
「今後検討予定のもの、または興味があるPR手法」について尋ねたところ、『オウンドメディアの運用(41.4%)』と回答した方が最も多く、『SNSの運用(34.9%)』『展示会や見本市などへの出展(34.5%)』『ウェビナー・オンラインイベント(22.5%)』と続きました。
今後のPR戦略において企業が特に注目しているのは、自社メディアを活用した情報発信であることが分かります。
オウンドメディアやSNSの運用への関心が高いことから、企業がマスメディア頼りの広報から脱却し、より自社でコントロール可能な情報発信手法を強化しようとしていることが推察されます。
また、展示会やウェビナーなどのリアル・オンラインイベントにも一定の関心が寄せられており、今後のPR活動はオンラインとオフラインを組み合わせたハイブリッド型の施策が主流になっていく可能性が高いと考えられるでしょう。
未来を切り開くPRのトレンド
最後に「今後注目すべきPRトレンド」について尋ねたところ、『ターゲット一人ひとりに合わせたコミュニケーション(パーソナライズドコミュニケーション)(49.9%)』と回答した方が最も多く、『オンラインとオフラインの融合的活用によるコミュニケーション強化(ヒューマンアプローチ)(46.8%)』『データに基づいた、説得力のあるコンテンツ発信(ファクトデータ)(32.5%)』『AIのさらなる活用(26.2%)』と続きました。
今後のPR戦略においては、個々のターゲットに適した情報提供が重視され、マス向けの発信からパーソナライズドなアプローチへの移行が進んでいることがうかがえます。
また、オンラインとオフラインを組み合わせたハイブリッドな手法にも高い関心が寄せられており、デジタル施策とリアルイベントの融合が今後のPR活動の鍵となる可能性が高いと考えられます。
さらに、データに基づいたファクトドリブンなコンテンツ発信が求められている点や、AI活用の注目度が高まっている点も、今後の広報戦略に影響を与える要因として重要視されています。
また、その具体的な活用方法についてもうかがいました。
■具体的にどのように活用したいと考えていますか?
・さまざまな取り組みをタイムリーに情報提供(埼玉県/50代/会社員)
・メディアを使って多くの顧客に認知(大阪府/40代/会社員)
・若者への魅力発信(青森県/40代/会社員)
・暮らしにおけるのモノとサービスの普及度合いを収集し、市場ニーズへの感度を高める(千葉県/50代/会社員)
・AIによる自動化で業務を効率化(京都府/30代/会社員)
調査概要
調査テーマ:【前年度比較】PRの最新トレンドに関する調査
調査期間:2025年2月7日(金)~2月11日(火)
調査方法:PRIZMAが提供する調査PR「PRIZMA」によるインターネット調査
調査対象:企業の広報責任者
調査人数:507名
モニター提供元:PRIZMAリサーチ
出典元:株式会社PRIZMA

【2025年度版|前年度比較】 PRの最新トレンドに関する調査
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