【2025年】花粉症の検索トレンド分析。近年注目されている対策は?

【2025年】花粉症の検索トレンド分析。近年注目されている対策は?

「時期が早い」「花粉飛散量が多い」と言われている2025年春、花粉症に悩まされている方々も多いのではないでしょうか。「花粉症」についての検索者はいつ多くなるのか、どのような人なのか、さらに注目の花粉症対策について調査しました。 ※本記事に掲載する医療情報や健康関連情報は一般的な参考情報を提供するものであり、内容の正確性や信頼性を担保するものではありません。個別の状況においては必ず医師や専門家に相談してください。


いまや「国民病」とも言われる花粉症

環境省のデータによると、2019年時点で約4割の国民が花粉症を患っており、「国民病」とも言われています。

同データによると、花粉症の割合が高くなっている理由には以下が挙げられます。
・飛散する花粉数の増加
・食生活の変化
・腸内細菌の変化
・空気中の汚染物質や喫煙
・ストレスの影響
・都市部における空気の乾燥

出典:環境省環境保健部環境安全課「花粉症環境保健マニュアル2022」

花粉症についての検索者数が増えるのはいつ?

まず「花粉症」についての検索者数が増加する時期を、1年単位、数年単位それぞれで見ていきましょう。

1年のうちの検索者数のピークは3月

「花粉症」検索者は1年のうちどの時期が多いのか見てみましょう。なお分析には、毎月更新されるデータを用いて、検索キーワードやWebサイトのユーザー分析ができる、株式会社ヴァリューズのWeb行動ログ分析ツール「Dockpit(ドックピット)」を用います。

「花粉症」と検索する人は、1月ごろから増え始め、3月が最も多くなっています。10月をピークに秋にも検索されていますが、比べると春の方が圧倒的に多いです。

「花粉症」検索者数の推移

図:「花粉症」検索者数の推移
期間:2024年1月~12月
デバイス:パソコン・スマートフォン

検索者数が増える年は花粉飛散量が多い年

「花粉症」検索者数は年によってどのように変化しているのでしょうか。

過去3年分の3月を含めた期間で見ていきます。「花粉症」検索者数は2022年3月は126万人、2023年3月は185万人、2024年3月は80万9000人という結果でした。2023年の検索者数の多さが目立ちます。

「花粉症」検索者数の推移(過去3回の花粉ピーク期)

図:「花粉症」検索者数の推移(過去3回の花粉ピーク期)
期間:2022年2月~2024年3月
デバイス:パソコン・スマートフォン

次に、検索者数と花粉の飛散量に相関があるかを見ていきましょう。例として大阪市の花粉飛散量の推移を見ると、検索者数と同様に2023年の花粉飛散量が多いことがわかります。

以上のことから、花粉症の検索者数は、その年の花粉飛散量に伴って増減する傾向があると考えられます。

日本気象協会は、花粉飛散量について以下のように述べています。

花粉の飛散量は、前年春の飛散量が少ないと増え、多いと減少する傾向があります。2024年春の花粉飛散量は、九州から近畿と、北陸から東北南部では例年を下回り、関東甲信も例年並みか少ない傾向でした。一方、東海と東北北部や北海道は、例年を上回りました。また、今年(2024年)の夏は猛暑となり、花芽の形成に好条件な「高温・多照」という気象条件が九州から北海道までほぼ揃いました。

2024年春の花粉飛散量は少なく、2024年夏は花芽の形成に好条件な気象でした。そのため、2025年春の花粉飛散量は多く「花粉症」検索者数も増加すると推測できます。

花粉症に悩まされているのはどのような人?

次に、花粉症に悩まされている人の特徴を調査しました。

「花粉症」で検索されている内容の上位は、症状や、対処法に関するキーワードです。そのため「花粉症」検索者は既に花粉症を自覚している人、もしくは花粉症を疑っている人だと考えられます。

「花粉症」の検索キーワード

図:「花粉症」の検索キーワード
期間:2024年2月~2025年1月
デバイス:パソコン・スマートフォン

「花粉症」を検索するのは30~40代

花粉症を患っているのはどのような人なのでしょうか。環境省のデータによると、10〜50代は花粉症の有病率にあまり差がありません。

しかし「花粉症」検索者数は30〜40代が最も多く25%を超えています。有病率が比較的高い10〜50代のなかでも特に30〜40代がパソコンやスマートフォンでの検索により花粉症の情報を得る傾向にあります。

「花粉症」検索者の年代分布

図:「花粉症」検索者の年代分布
期間:2023年2月~2025年1月
デバイス:パソコン・スマートフォン

購買行動では口コミ・評判を重視

花粉症の人の価値観を見ていきましょう。なお分析には、Web行動データとアンケートデータを用いた分析を行える、株式会社ヴァリューズの分析ツール「Perscope(ペルスコープ)」を用います。

「花粉症」検索者は購買活動において、ネット人口全体と比べて購入時に「口コミ・評判」を重視する傾向にあります。

「花粉症」検索者の購入時の重視点

図:「花粉症」検索者の購入時の重視点
期間:2024年2月~2025年1月
デバイス:パソコン・スマートフォン

花粉症グッズの販売を促進するためには、口コミや評判に対しての施策がより重要なポイントかもしれません。

余暇は自宅で過ごす

花粉症の人は余暇をどのように過ごしているのでしょうか。

「花粉症」検索者の余暇の過ごし方

図:「花粉症」検索者の余暇の過ごし方
期間:2024年2月~2025年1月
デバイス:パソコン・スマートフォン

「マンガ鑑賞」「アニメ鑑賞」「動画共有サイトの視聴」「SNSの視聴」「読書」など、自宅で完結する過ごし方が目立っています。反対に、「アウトドア」は少なくなっています。

花粉症の人は、花粉が飛散している時期は動画の視聴や読書をしてやり過ごしているかもしれません。

近年調べられている花粉症対策は「注射」と「ヨーグルト」

Dockpit(ドックピット)」を用いて、2022年から2024年にかけて検索されるワードがどのように変化してきたのか、「花粉症」検索者数が多くなる1月から5月に絞って調査しました。

今回は2022年、2023年、2024年と時が経つにつれてランキングが上がってきている「注射」と「ヨーグルト」の2つのワードに着目しました。それぞれ詳しく見ていきましょう。

「花粉症」の掛け合わせワード

図:「花粉症」の掛け合わせワード
期間:2024年1月~5月
デバイス:パソコン・スマートフォン

効果的?危険?慎重な選択が重要な「注射」

「注射」という掛け合わせワードのランキングは、2022年は16位でしたが、2023年と2024年には7位に上がってきました。

「花粉症」の掛け合わせワード

図:「花粉症」の掛け合わせワード
期間:2022年1月~5月(左)2023年1月~5月(中)2024年1月~5月(右)
デバイス:パソコン・スマートフォン

最も閲覧されているのが、大正製薬のサイトの、花粉症注射についての概要が書かれているページです。注射は費用が高く治療を慎重に選びたいという気持ちや、副作用なども含め概要を知りたいという考えから「注射」と検索する人が多いのかもしれません。

「花粉症」の掛け合わせワード「注射」の流入ページ

図:「花粉症」の掛け合わせワード「注射」の流入ページ
期間:2023年2月~2025年1月
デバイス:パソコン・スマートフォン

有名人も効果ありと話す「ヨーグルト」

「ヨーグルト」という掛け合わせワードのランキングは、2022年と2023年は31位でしたが、2024年には14位に上がってきました。

「花粉症」の掛け合わせワード

図:「花粉症」の掛け合わせワード
期間:2022年1月~5月(左)2023年1月~5月(中)2024年1月~5月(右)
デバイス:パソコン・スマートフォン

2024年3月はじめに岡崎体育さんが「X(旧Twitter)」で以下のように投稿しました。多くのいいねを獲得しておりネットニュースにも取り上げられたようです。

「花粉症」との掛け合わせワードランキング上位「薬」「目薬」「症状」の3つは1月から3月にかけて緩やかに検索者数が増えています。しかし「ヨーグルト」は3月のみ検索者数が増えているので、岡崎体育さんのXの影響も少なからずあるかもしれません。

「花粉症」の掛け合わせワード推移

図:「花粉症」の掛け合わせワード推移
期間:2024年1月~5月
デバイス:パソコン・スマートフォン

ただし、厚生労働省の「花粉症の民間医療について」のなかで、岡本美孝氏は、以下のように述べています。

確かにストレスの改善がはかられ、体への有害成分が含まれていなければ民間医療に問題は無いとも考えられます。しかし、花粉症に効果があるといったことを公言し販売するなら、その疾患に対する有効性を示す必要がありますが、残念ながら民間医療の多くに十分な効果の根拠があるとは言えません。

花粉症の情報収集をする人は、口コミを重視しやすい傾向があるなかで、一般の人の意見だけでなく、専門家の意見もしっかりと集めていくことが姿勢として大事になるでしょう。

今後はまぶたに塗布する薬に人気が出る?

2024年5月、アレルギー性結膜炎治療剤「アレジオン®眼瞼クリーム0.5%」が発売されました。一日に一回まぶたに塗るだけで目のかゆみが治まるという新しい特徴を持つ薬です。

寝る前に塗ると次の日に一日中効果が続くため、目薬に対して「何度も使用するのが面倒」「アイメイクが崩れる」などの悩みを持つ人が注目すると期待できます。

ニュース番組でも取り上げられており、今後知名度が上がっていくのではないでしょうか。

「花粉症」検索者は口コミ・評判を重んじるため、ポジティブな意見が増えて広まっていくと、人気が出ることが期待されます。

まとめ

今回は、「時期」「人」「対策」の観点で花粉症について調査しました。

まず、「時期」の調査では、花粉飛散量に伴って「花粉症」検索者数が増減する傾向があるとわかりました。昨春の花粉飛散量や昨夏の気象に着目することで「花粉症」検索者数が増えることを推測できるかもしれません。

次に、「人」の調査では、「花粉症」検索者は口コミや評判を重視する傾向があるとわかりました。花粉症グッズの販売においては口コミや評判に対する施策が有効かもしれません。

最後に、「対策」の調査では、「注射」と「ヨーグルト」が注目されているとわかりました。特に「ヨーグルト」は口コミや評判を重視する「花粉症」検索者だからこそ注目されたキーワードかもしれません。また、昨年発売のまぶたに塗布する薬の人気が期待されます。

毎年多くの人を悩ませる花粉症、適切な情報収集で、適切に対処していきましょう。

▼今回の分析にはWeb行動ログ調査ツール『Dockpit』を使用しています。『Dockpit』では毎月更新される行動データを用いて、手元のブラウザでキーワード分析やトレンド調査を行えます。無料版もありますので、興味のある方は下記よりぜひご登録ください。

dockpit 無料版の登録はこちら
▼今回の分析には生活者理解のためのリサーチエンジン『Perscope』を使用しています。『Perscope』では国内最大規模のWeb行動×アンケートデータを活用し、誰でも いつでも 簡単に"生活者起点のマーケティング活動"を実現することができます。無料デモもありますので、興味のある方は下記よりぜひお申し込みください。

Perscope 詳細はこちら

この記事のライター

2026年4月に入社予定の大学3年生です。法学部法律学科で、主に環境法について学んでいます。

趣味は旅行と日本舞踊です。

関連する投稿


食事記録アプリ「あすけん」「カロミル」を比較!ダイエットガチ勢が選ぶのは?

食事記録アプリ「あすけん」「カロミル」を比較!ダイエットガチ勢が選ぶのは?

新生活や来たる夏に向けて、ダイエットを考える人も多いのでは。今回は食事の記録をメインとして、ユーザーの健康管理をサポートするサービス「あすけん」「カロミル」について、両者の機能や利用実態を比較。調査の結果、各サービスで利用者の主な年代や、ダイエットへの熱量などが異なることが見えてきました。


【ユーザー徹底検証】サプリメント利用調査(2025年1月最新版)

【ユーザー徹底検証】サプリメント利用調査(2025年1月最新版)

ドラッグストア、コンビニ、ECと手軽に手にすることのできるサプリメント。実際にはどれくらいのユーザーが利用しているのでしょう。そして、その目的や購入の決め手となることは?本レポートでは、サプリメントの摂取層を対象に調査を行い、どのような商品が選ばれ、どのように利用されているのか、その購買行動や利用実態を具体的に把握、検証しました。※本レポートは無料でダウンロードできます。


電気やガスを使った分だけ株がもらえる!話題の新サービス「カブアンド」を調査

電気やガスを使った分だけ株がもらえる!話題の新サービス「カブアンド」を調査

申し込み殺到により一時受付を停止した、話題の新サービス「カブアンド」。電気やガス、モバイル、ネット回線などを使った分だけ株がもらえるという、革新的なビジネスモデルで注目を集めています。今回は、世間の関心が高まった背景や、同サービスがどのような人に検討されているのか、公式サイトの閲覧者データをもとに分析していきます。


データ分析のヴァリューズ、 「デジタル・トレンド白書2024 – 金融編」を公開

データ分析のヴァリューズ、 「デジタル・トレンド白書2024 – 金融編」を公開

ヴァリューズは、国内最大規模の消費者Web行動ログパネルを保有し、データマーケティング・メディア「マナミナ」にて消費トレンドの自主調査を発信してきました。その中から注目領域の調査・コラムをピックアップし、白書として収録。2021年の発行から4回目を迎えます。今回は2023年下半期から2024年に公開した調査から厳選し、金融業界のデジタル動向をまとめた「デジタル・トレンド白書2024 – 金融編」を公開しました。ダウンロード特典として、銀行、証券など金融各業界のサイトランキングも収録しています。(「デジタル・トレンド白書2024 – 金融編」ページ数|90P)


スマホ時代に「紙の手帳」がブーム!人気の背景を調査

スマホ時代に「紙の手帳」がブーム!人気の背景を調査

書店や文房具店にズラリと並ぶ手帳。2024年は、手帳の売り上げが前年から4割も増えた店舗もあったとか。なぜ今、紙の手帳が盛り上がりを見せているのか、どんな人が注目しているのか、ニーズや使い方とあわせて調査しました。


最新の投稿


BizTech、最新の生成AI技術トレンドがわかる「最新生成AIツール・モデル調査レポート」を無料公開

BizTech、最新の生成AI技術トレンドがわかる「最新生成AIツール・モデル調査レポート」を無料公開

BizTech株式会社は、2025年2月25日〜2025年3月11日の最新生成AI技術トレンドをまとめたレポートを無料公開したことを発表しました。


プレスリリース配信にあたって最も負担に感じるのは"配信準備に時間や手間がかかること"【レイクルー調査】

プレスリリース配信にあたって最も負担に感じるのは"配信準備に時間や手間がかかること"【レイクルー調査】

株式会社レイクルーは、従業員数100名以下の中小企業の広報・PR担当者を対象に「プレスリリース配信の実態」に関する調査を実施し、結果を公開しました。


約8割がオタ卒・担降りを経験!推し歴が長くなると「活動の方向性・路線の変化」や「推しのライフステージの変化」がオタ卒・担降りのトリガーに【Favomatch調査】

約8割がオタ卒・担降りを経験!推し歴が長くなると「活動の方向性・路線の変化」や「推しのライフステージの変化」がオタ卒・担降りのトリガーに【Favomatch調査】

株式会社Favosiaは、同社が提供する推し活アプリ「Favomatch(ファボマッチ)」にて、大人の推し活を楽しむ女性を対象にした「オタ卒(オタクを卒業すること)」と「担降り(特定の推しから別の推しに移行すること)」に関する実態調査を実施し、結果を公開しました。


【2025年】花粉症の検索トレンド分析。近年注目されている対策は?

【2025年】花粉症の検索トレンド分析。近年注目されている対策は?

「時期が早い」「花粉飛散量が多い」と言われている2025年春、花粉症に悩まされている方々も多いのではないでしょうか。「花粉症」についての検索者はいつ多くなるのか、どのような人なのか、さらに注目の花粉症対策について調査しました。 ※本記事に掲載する医療情報や健康関連情報は一般的な参考情報を提供するものであり、内容の正確性や信頼性を担保するものではありません。個別の状況においては必ず医師や専門家に相談してください。


キャッシュレス決済を利用している人は95%!クレジットカードの保有率は87%と高水準を維持【JCB調査】

キャッシュレス決済を利用している人は95%!クレジットカードの保有率は87%と高水準を維持【JCB調査】

株式会社ジェーシービーは、市場のキャッシュレス利用実態を把握することを目的として、2024年度版「キャッシュレスに関する総合調査」を実施し、結果を公開しました。


競合も、業界も、トレンドもわかる、マーケターのためのリサーチエンジン Dockpit 無料登録はこちら

アクセスランキング


>>総合人気ランキング

ページトップへ