5大ドラッグストア 顧客像/ ユーザー数を比較|マツココ、ウエルシア、ツルハ、スギ薬局、コスモス

5大ドラッグストア 顧客像/ ユーザー数を比較|マツココ、ウエルシア、ツルハ、スギ薬局、コスモス

2025年までの11年で市場規模が約2倍に拡大したドラッグストア業界。販売額は4.9兆円から9.4兆円へと成長しています。本記事では、マツココやウエルシアをはじめとする主要5ブランドのアプリ利用データをもとに、各社のポジショニングやロイヤルティ構造を分析します。


生活インフラ化するドラッグストア業界

ドラッグストアは、今では医薬品だけでなく、化粧品や日用品、食品まで取り揃える生活インフラとして存在感を高めています。経済産業省のデータによると、ドラッグストア事業者の販売額は2014年に約4兆9,375億円、2025年には約9兆4,129億円と、ここ11年で約2倍程度に拡大していることが分かります。

出典:経済産業省「時系列データ_商業動態統計調査_ドラッグストア商品別販売額等及び前年(度、同期、同月)比」

業界再編が進むなか、存在感を示すのがマツキヨココカラ&カンパニー(以下マツココ)、ウエルシア、ツルハドラッグ、スギ薬局、コスモス薬品の5ブランドです。

5ブランドの店舗数、売上高は以下の通りです。

項目 店舗数(時点)※ 売上高
マツココ 3,499店舗(2025年3月) 1兆616億円(2025年3月期)
ウエルシア 3,001店舗(2025年2月) 1兆2,850億円(2025年2月期)
ツルハドラッグ 2,676店舗(2025年8月末) 8,456億円(2025年2月期)
スギ薬局 2,174店舗(2025年1月末) 8,780億円(2025年5月期)
コスモス 1,662店舗(2026年2月末) 1兆113億円(2025年5月期)

※一部グループ企業の店舗数を含みます

出典:マツキヨココカラ&カンパニー 採用サイト「数字で見るマツキヨココカラ&カンパニー」
ウエルシアホールディングス株式会社「2025年2月期 決算説明会」
ツルハドラッグリクルートサイト「3分でわかるツルハ」
株式会社ツルハホールディングス「財務ハイライト」
スギホールディングス「数字で見るスギ薬局グループ|会社情報」
スギホールディングス「経営指標|IRライブラリー|投資家情報」
株式会社コスモス薬品「店舗検索」
株式会社コスモス薬品「経営指標|IR情報」

ドラッグストア業界では、店舗数の増加に加え、クーポン配信やポイント経済圏との連携など、アプリを軸とした顧客接点の強化も進んでいます。この記事では、この5ブランドのアプリ利用データを詳しく見ていきます。

なお分析には、毎月更新される行動データを用いて、手元のブラウザで競合サイト分析やトレンド調査を行えるヴァリューズのWeb行動ログ分析ツール「Dockpit(ドックピット)」を用います。

成熟したドラッグストアアプリ市場

まずはユーザー数推移です。

マツココ、ウエルシア、ツルハドラッグ、スギ薬局、コスモスアプリユーザー数推移

図:マツココ、ウエルシア、ツルハドラッグ、スギ薬局、コスモスアプリユーザー数推移
調査対象:PC&スマートフォン
調査期間:2024年2月~2026年2月

5ブランドのアプリユーザー数推移を見ると、いずれも大きな増減はなく、全体として横ばいから微増傾向で推移しています。急激な成長や大幅な減少は見られず、アプリ市場としてはすでに一定の普及が進んでおり、成熟フェーズに入っていると考えられます。

その中でも、ウエルシアは期間を通じて最も多いユーザー数を維持しており、トップポジションを継続しています。

一方、2024年1月のマツモトキヨシとココカラファインの経営統合により誕生したマツココは、アプリ統合後にユーザー数が大きく増加し、その後は安定的に推移しています。

地域別ドラッグストア勢力図

地域別に見ると、各ブランドの分布には明確な偏りが見られます。

マツココ、ウエルシア、ツルハドラッグ、スギ薬局、コスモスアプリユーザー居住都道府県

図:マツココ、ウエルシア、ツルハドラッグ、スギ薬局、コスモスアプリユーザー居住都道府県
調査対象:PC&スマートフォン
調査期間:2025年3月~2026年2月

まず、北海道・東北ではツルハドラッグの利用比率が高く、特に北海道においては優位性が際立っています。これは、ツルハドラッグが北海道発祥であることや、地域に根ざした出店を進めてきた影響があると考えられます。

関東ではマツココとウエルシアの利用が多く、スギ薬局も一定の存在感を示しています。例えば埼玉県では、スギ薬局が154万人、マツココが184万人、ウエルシアが179万人と、各社のユーザー規模が拮抗しています。

埼玉県のマツココ、ウエルシア、ツルハドラッグ、スギ薬局、コスモスアプリユーザー数

図:埼玉県のマツココ、ウエルシア、ツルハドラッグ、スギ薬局、コスモスアプリユーザー数
調査対象:PC&スマートフォン
調査期間:2025年3月~2026年2月

一方、中国・四国ではコスモス薬品を中心に、マツココ、ウェルシアの三つ巴の構造となっています。

九州はコスモス薬品の発祥地であり、地域における強固なドミナント戦略が反映されていると考えられます。

このような地域差の背景には、各社の発祥地や出店戦略が影響していると考えられます。すなわち、ドラッグストア業界ではエリアごとに異なる競争構造が形成されていることがうかがえます。

若年層はマツココ、シニア層はコスモスに集まる

年代別の利用傾向を見ると、ブランドごとのポジショニングの違いがより鮮明に表れています。

マツココ、ウエルシア、ツルハドラッグ、スギ薬局、コスモスアプリユーザーの年代

図:マツココ、ウエルシア、ツルハドラッグ、スギ薬局、コスモスアプリユーザーの年代
調査対象:PC&スマートフォン
調査期間:2025年3月~2026年2月

まず、若年層の比率が高いのはマツココです。その背景には、美容領域への強い特化があります。

アプリ内では肌分析やお試しメイク機能、コスメ口コミアプリ「LIPS」との連携、コラム配信など、デジタル上で美容体験が完結するコンテンツが充実しています。これらはSNSを起点とした情報収集・購買行動と相性が良く、若年層の利用を後押ししていると考えられます。

マツココのアプリ画面

出典:マツココアプリより

また、たまごっちなどの人気キャラクターとのコラボ施策も展開しており、若年層との接点づくりを多角的に行っている点も特徴です。

一方で、シニア層の比率が高いのはコスモス薬品です。その背景には、企業として掲げる「毎日同じ価格で安い」という戦略があります。

アプリはチラシ閲覧やクーポン配布など、実利的な機能に特化しています。他のドラッグストアアプリに見られるポイント機能はあえて搭載せず、操作画面もシンプルで分かりやすく設計されている点が特徴的です。

このような設計は、デジタル操作に不慣れな層にとって認知負荷を軽減し、アプリ利用のハードルを下げる効果があると考えられます。

コスモスのアプリ画面

出典:コスモスアプリより

このように、マツココが若年層×美容で差別化を図るのに対し、コスモスはシニア層×価格訴求で支持を集めるなど、アプリ設計そのものが各社のターゲット戦略を反映している点が興味深い結果といえます。

約3日に1回使われるウエルシアアプリ

次に、アプリの起動日数を見てみましょう。

マツココ、ウエルシア、ツルハドラッグ、スギ薬局、コスモスアプリユーザーの月平均アプリ起動日数推移

図:マツココ、ウエルシア、ツルハドラッグ、スギ薬局、コスモスアプリユーザーの月平均アプリ起動日数推移
調査対象:PC&スマートフォン
調査期間:2025年3月~2026年2月

アプリの起動日数を見ると、ウエルシアが他ブランドを大きく上回っています。平均すると約3日に1回程度アプリが起動されており、最も利用頻度の高いアプリとなっています。

この要因として、共通ポイントの活用が挙げられます。

ウエルシアアプリではWAON POINTやVポイントを貯める・使うことができます。ウエルシアでの買い物にとどまらず、他の店舗やサービスとも連携していることが特徴です。

ウエルシアアプリとウエル活の様子

出典:ウエルシアアプリより

また、ポイントを効率的に活用する「ウエル活」が広く普及したことも、アプリ利用を促進する要因と考えられます。

ウエル活とは、毎月20日の「お客様感謝デー」において、貯めたポイントを通常よりお得に利用できる仕組みです。日用品を実質的に割安で購入できることから人気を集めました。Vポイント(旧Tポイント)をそのまま利用した1.5倍還元の施策は2024年8月20日をもって終了したものの、現在でもVポイントをWAON POINTに交換することで、同様に1.5倍で利用することが可能です。

多くのドラッグストアアプリは、来店前後に限定して利用される傾向があります。一方、ウエルシアはポイントを軸とした多様なサービス連携により、日常生活の中にも接触・想起のポイントを創出しています。

アプリを単なる来店時だけのツールにとどめず、生活動線の各所で自然にブランドとの接点を生み出す設計がウエルシアアプリの特徴といえます。

他アプリを使わない顧客が多いツルハドラッグ

次に、アプリの併用状況を見てみましょう。

5ブランドのアプリ利用状況を確認すると、いずれのブランドでも「併用なし(そのアプリのみ利用)」が半数程度を占めていました。ドラッグストアアプリは、特定の店舗のクーポンやポイントを目的に利用されることが多く、複数アプリを併用するユーザーは比較的少ない傾向にあると考えられます。

ブランド名 併用なし割合
マツココ 55.9%
ウエルシア 47.5%
ツルハドラッグ 64.3%
スギ薬局 50.2%
コスモス 53.5%

図:マツココ、ウエルシア、ツルハドラッグ、スギ薬局、コスモスアプリユーザーの併用なし割合
調査対象:PC&スマートフォン
調査期間:2025年3月~2026年2月

その中でも、併用なしの割合が最も高いのがツルハドラッグでした。

この背景として、北海道・東北エリアを中心とした集中出店により、他ドラッグストアとの競合が比較的少ない環境が影響していると考えられます。

実際に、複数ブランドが出店する関東に限定したツルハドラッグアプリの併用なし率は35.5%にとどまっており、特別高い水準ではありません。
一方で、全体で見ると併用なし率は最も高い水準にあります。
このことから、出店が集中しているエリアにおいて他ブランドとの併用が起こりにくい構造が影響している可能性があります。

このように、特定エリアへの集中出店により優位なポジションを確立することで、単独利用が生まれやすい構造となっている点が特徴です。

加えて、ツルハドラッグアプリはお薬手帳機能も特徴的です。
こうした継続利用が前提となる機能は、一度使い始めるとアプリを変更しにくく、単独利用を後押ししている要因の一つと考えられます。

ツルハドラッグアプリ画面

出典:ツルハドラッグアプリより

まとめ

本記事では、ドラッグストア大手5ブランドのデータをもとに、各社の戦略を分析しました。

その結果、業界は拡大を続けながらも成熟段階に入り、「どれだけ選ばれ続けるか」が重要な競争軸となっていることが明らかになりました。

各社は、若年層×美容、シニア層×低価格、ポイント経済圏、医療機能などを軸に、明確なポジショニングを築いています。

今後は、各社がどのように自社の強みを軸に差別化を深化させていくのか、その動向に注目が集まります。

▼今回の分析にはWeb行動ログ調査ツール『Dockpit』を使用しています。『Dockpit』では毎月更新される行動データを用いて、手元のブラウザでキーワード分析やトレンド調査を行えます。無料版もありますので、興味のある方は下記よりぜひご登録ください。

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この記事のライター

2027年4月に入社予定の大学4年生です。
スポーツ健康科学部で、スポーツマーケティングを専攻しています。

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