エアコン購入の検討フローを分析。データが示す、重要な"媒体"とは

エアコン購入の検討フローを分析。データが示す、重要な"媒体"とは

購入検討のピークが近づくエアコン。夏には欠かせないアイテムですが、消費者はどのような流れで、何を軸に検討を進めているのでしょうか。エアコン検討者の行動データから、情報収集の実態を調査しました。


エアコンの情報収集|時期・検索キーワード

検討は7月がピーク

まず、エアコンの情報収集の実態を、ヴァリューズのWeb行動ログ分析ツール「Dockpit(ドックピット)」を用いて分析していきます。

「エアコン」の検索者数を見ると、毎年4~5月に増え始め、7月にピークを迎えています。

「エアコン」検索者数の推移

「エアコン」検索者数の推移
期間:2023年1月~2025年2月
デバイス:PC&スマートフォン

検索キーワードは「ジャパネット」「ダイキン」などが上位

「エアコン」が含まれる検索ワードで、よく検索されているワードの上位は下記の通りです。

「エアコン」検索者の検索キーワード

「エアコン」検索者の検索キーワード
期間:2024年5月~2025年4月
デバイス:PC&スマートフォン

エアコンの検索でよく使われるキーワードは、主に以下の3つの種類に分かれます。

小売店関連:お店や販売店を探すキーワード
メーカー関連:製造会社や商品ブランドに関するキーワード
メンテナンス・不具合関連:修理方法や故障・トラブル解決に関するキーワード

小売店系では「ジャパネット」「ヤマダ電機」、メーカー系では「ダイキン」「パナソニック」「日立」、メンテナンスとして「掃除」、不具合として「水漏れ」などが上位にランクインしています。

エアコン購入検討者の実態|年代・情報収集の媒体

年代が上がるにつれて増加

続いて、エアコンの比較ができるページ(価格.com、ジャパネット、楽天市場、ビックカメラ、Amazon、マイベストの対象ページ)の閲覧者データから、エアコンの購入検討者を調査します。なお分析には、ヴァリューズの分析ツール「Perscope(ペルスコープ)」を用います。

購入検討者は、年代が上がるにつれて割合が増えています。

各サイト(※)のエアコンページ閲覧者:年代

各サイト(※)のエアコンページ閲覧者:年代
※価格.com、ジャパネット、楽天市場、ビックカメラ、Amazon、マイベスト
期間:2024年5月~2025年4月
デバイス:PC&スマートフォン

年代を追うごとに検討者が増える背景として、若いうちに買ったエアコンの買い替え時期が50代以降に来る、60代以降は在宅時間が増え、節電意識から省エネ技術の高いエアコンへの買い替え需要が高まる、などが考えられます。

「テレビ」「メール」がタッチポイント

情報収集媒体としては年代が高いことが影響してか、「テレビ」のポイントが最も多くなっていました。「メール」が僅差で次点についていることから、メルマガもタッチポイントとして有効であることがうかがえます。

各サイト(※)のエアコンページ閲覧者:情報収集媒体

各サイト(※)のエアコンページ閲覧者:情報収集媒体
※価格.com、ジャパネット、楽天市場、ビックカメラ、Amazon、マイベスト
期間:2024年5月~2025年4月
デバイス:PC&スマートフォン

検索キーワードでも、テレビで通販番組を放映している「ジャパネット」がエアコンの掛け合わせワードの1位となっていたため、Webでのエアコン検討はテレビの影響が強いと考えられます。

エアコンの検討フロー|きっかけから、検討の深め方

エアコンの購入検討フローを、エアコンの比較ページ閲覧前後の検索キーワードから分析していきます。エアコンの比較ページ接触前後の検索キーワードを表したものが下記です。

各サイト(※)のエアコンページ閲覧者:ページ閲覧前後の検索キーワード

各サイト(※)のエアコンページ閲覧者:ページ閲覧前後の検索キーワード
※価格.com、ジャパネット、楽天市場、ビックカメラ、Amazon、マイベスト
期間:2024年5月~2025年4月
デバイス:PC&スマートフォン

初期にもブランド名の検索、きっかけはエアコンの不具合か

情報収集の初期から「霧ヶ峰」「ダイキン」といったブランド名の検索が行われていました。

各サイト(※)のエアコンページ閲覧者:ページ閲覧前後の検索キーワード

各サイト(※)のエアコンページ閲覧者:ページ閲覧前後の検索キーワード
※価格.com、ジャパネット、楽天市場、ビックカメラ、Amazon、マイベスト
期間:2024年5月~2025年4月
デバイス:PC&スマートフォン

ある程度ブランド決め打ちで検討がスタートしている人が多く、検索されているブランドは「エアコンといえばこれ」という想起や知名度が高いことがうかがえます。購入を検討する前に、いかにテレビや口コミなどで認知を得ているか、が一つ重要なポイントと言えるかもしれません。

比較ページに到達する直前には「水漏れ」「掃除」といったワードが見られ、設置済みのエアコンの不具合から、購入検討に進んでいる様子が読み取れます。

後期はお金・設置関連のトピックが目立つ

情報収集後期には、「補助金」「費用」「工事費込み」などお金のトピックや、「工事」「自分で」「取り付け」などの設置関連のトピックが目立ちます。「処分」というワードも見られ、エアコンの買い替えが進んでいる様子も見られます。

各サイト(※)のエアコンページ閲覧者:ページ閲覧前後の検索キーワード

各サイト(※)のエアコンページ閲覧者:ページ閲覧前後の検索キーワード
※価格.com、ジャパネット、楽天市場、ビックカメラ、Amazon、マイベスト
期間:2024年5月~2025年4月
デバイス:PC&スマートフォン

メンテナンス想定で検討が進む人も

ユーザーの検索行動を見ると、買い替えかメンテナンスかで悩んでいるような行動が見受けられます。

まず、比較ページに到達する前には「掃除」や「ダスキン」といったキーワードで検索しています。このことから、最初は現在のエアコンをクリーニングして長く使おうと考えていたと推測できます。

各サイト(※)のエアコンページ閲覧者:ページ閲覧前後の検索キーワード

各サイト(※)のエアコンページ閲覧者:ページ閲覧前後の検索キーワード
※価格.com、ジャパネット、楽天市場、ビックカメラ、Amazon、マイベスト
期間:2024年5月~2025年4月
デバイス:PC&スマートフォン

その後、一度は新品のエアコンの比較サイトを閲覧しています。しかし、その後に再び「エアコンクリーニング」というキーワードが検索されていることから、やはり購入ではなくメンテナンスで対応できないかと、再検討している様子がうかがえます。

エアコンは部屋ごとに設置が必要でコストもかかることから、買い替えよりもメンテナンスにして「できるだけ費用を抑えたい」という気持ちが強いのでしょう。

このことから、エアコンの検討フローは以下のような仮説が立てられます。

エアコンの検討フロー(筆者作成)

エアコンの検討フロー(筆者作成)

まとめ

検討が7月にピークになるエアコン。今回はピークを目前に、エアコン購入検討者の検討実態を分析しました。

エアコンの検索ワードではテレビ通販を放映する「ジャパネット」が多く、情報収集媒体としては「テレビ」「メール」のポイントが高いため、エアコンの購入検討に重要なタッチポイントはテレビであると考えられます。

エアコンの検討フローを分析すると、情報収集初期から「霧ヶ峰」「ダイキン」といったブランド名の検索が行われていました。購入の検討が始まる前に、いかにテレビや口コミなどで認知を得ているかが重要なポイントである可能性があります。

情報収集後期には、「補助金」「費用」「工事費込み」などお金のトピックや、「工事」「自分で」「取り付け」などの設置関連のトピックが目立ちます。

また、クリーニングの検討から始め、エアコン比較サイトの閲覧を挟んで、再びクリーニングの検討に戻る検討者も一定存在すると考えられます。メンテナンスと買い替えを迷う検討者に対して、それぞれのメリットを訴求し、背中を押すことが有効と言えるでしょう。

マナミナでは他にも、家電に関する調査記事を発信しています。ぜひあわせてご覧ください。

高級家電を検討するのはどんな人?ロボット掃除機・キッチン家電5ブランドを調査

https://manamina.valuesccg.com/articles/4010

時間をお金で買う時代。冬のボーナスで、家電を充実させようという方も多いのではないでしょうか。今回はロボット掃除機とキッチン家電に注目し、ルンバ、eufy、バルミューダ、デロンギ、BONIQの5ブランドを対象に、物価高が続く中で高級家電への投資を検討する人の人物像を分析しました。

▼今回の分析にはWeb行動ログ調査ツール『Dockpit』を使用しています。『Dockpit』では毎月更新される行動データを用いて、手元のブラウザでキーワード分析やトレンド調査を行えます。無料版もありますので、興味のある方は下記よりぜひご登録ください。

dockpit 無料版の登録はこちら

▼また、生活者理解のためのリサーチエンジン『Perscope(ペルスコープ)』も使用しています。『Perscope』では国内最大規模のWeb行動×アンケートデータを活用し、誰でも いつでも 簡単に"生活者起点のマーケティング活動"を実現することができます。無料デモもありますので、興味のある方は下記よりぜひお申し込みください。

Perscope 詳細はこちら

この記事のライター

1997年生まれ、大阪大学卒。データアナリストを経て、Webマーケティング・リサーチを軸に、コンテンツディレクション、SNS運用、デジタル広告運用などを担当。現在はフリーで活動しています。

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