「データは若者の武器になる」― ヴァリューズが実践する、学生支援と社会貢献のカタチ

「データは若者の武器になる」― ヴァリューズが実践する、学生支援と社会貢献のカタチ

ヴァリューズ代表・辻本に社会貢献活動にかける想いをインタビュー。「マーケティングの力で日本を元気にしたい」―創業時の情熱を胸に、大学へのDockpitの提供や同志社大学のビジコン支援など未来を担う若者育成にも注力するヴァリューズ。本記事では、社会貢献活動の具体的な取り組みと、その根底にある企業理念、「世の中のマーケティング力向上」への熱意を紐解きます。


創業の志:「日本を元気にしたいという想い」と社会貢献への原動力

――本日は、ヴァリューズが取り組んでいる社会貢献活動についてお伺いします。まず、なぜヴァリューズでは社会貢献活動に力を入れているのでしょうか?創業当初の出来事や企業理念なども含めてお聞かせください。

株式会社ヴァリューズ 代表取締役社長 辻本 秀幸(以下辻本):はい。ヴァリューズを立ち上げたのは、リーマンショックで世界的に経済も気運も落ち込み、日本がGDP2位から3位に転落する兆しが見え始めた頃でした。同時に、スマートフォンやSNSが日本に入り始めたタイミングで、コミュニケーションのあり方が大きく変わる変革期でもありました。

このような時代背景のなか、IT先端技術とマーケティングの力で経済や産業の底上げをしたいという強い思いがありました。私たちの強みであるマーケティングのレベルを底上げすることで、日本を元気にしたいと。単にビジネスを展開してゆくというよりは、社会に生きる一員として貢献できる存在でありたいという願いから、企業の事業成長支援という御旗を掲げました。自らも新しい価値あるサービスを次々と生みだしながら、これらを活用して多くの企業の新たな価値づくりに伴走し、新しい価値観さえも創造するという思いを込めて「VALUES(ヴァリューズ)」という社名にしました。

――創業時の日本を元気にしたいという熱い思いと社名の由来、大変よく分かりました。

日本のマーケティング課題:「勘と経験」から「データドリブン」へ、若い世代への期待

――「マーケティング」というキーワードが出てきましたが、現在の日本企業のマーケティングにおける課題や、その解決の道筋についてはどのようにお考えですか?

辻本:戦後の日本の成長期に成功体験を持つ方々が、現在40代、50代、あるいは経営層として意思決定の立場にあります。新商品開発などの際、彼らの若い頃の成功体験、つまり「勘と経験」に頼る傾向が今も見受けられます。勘と経験自体が悪いわけではありませんが、データドリブンな進め方を軸にし、そこに経験や直感を活かす形に移行することで、若い世代もサービスづくりや改善、そして会社の成長推進に早期から当事者として関与できるようになります。そのため、マーケティング力の底上げのためには、若い世代も意思決定に参加できる社会にしてゆくのが望ましいと考えています。

インタビュー風景

インタビュー風景

――ありがとうございます。「若い世代」とは、会社に属している若手メンバーだけでなく、学生も対象となるのでしょうか?

辻本:はい。社会に出てからマーケティングを経験することが多いですが、学生時代にデータを元に試行錯誤し、新しい仮説や気づきを得る訓練ができれば理想的です。実際にデータを多角的に分析することで多くの発見があるはずです。私たちは気軽にデータに触れられる環境を提供することで、学生にもマーケティングの面白さや重要性を広めたいと考えています。

――学生がデータ活用の面白さや重要性を理解することは、将来的に企業全体のマーケティング力向上に繋がりそうですね。

辻本:その通りです。「勘と経験」も重要ですが、組織内のコミュニケーションや合意形成の場面で、経験の浅い若い世代が発言しにくい状況を今でもよくお聞きします。しかし、データという裏付けがあれば、若い人も「このようなデータがあるので、こうした方が良い」と、社内で意見を伝えやすくなります。根拠のあるデータは、企業内で若い世代が活躍するというテーマにおいても、非常に重要な武器になると考えています。

――なるほど、データが若い人の武器になるということですね。

未来のマーケター育成へ:学生の可能性を広げる3つの具体的な社会貢献活動

――そうした若い世代の育成という観点で、具体的にどのような社会貢献活動を行っているのでしょうか。

辻本:はい、現在ヴァリューズでは「世の中のマーケティング力向上」を目的とし、特に学生向けにいくつか取り組みを行っています。具体的には、大学への弊社分析ツール「Dockpit(ドックピット)」の提供と勉強会の実施、一般財団法人大学生奨学財団(以下:学奨財団)へのプラチナサポーターとしての協賛、同志社大学のビジネスコンテストの審査員などです。

――それぞれの活動に対する想いをお聞かせください。

辻本:大学へのDockpit提供と学奨財団への協賛については、向上心のある学生の方々の力になりたいという思いで応援しています。彼らが社会に出て仕事をする際に、より活躍してほしい、未来ある若者たちをサポートしたいという気持ちからです。

同志社大学のビジネスコンテストは、もう5年連続で審査員を務めさせていただいています。学生たちの新しい発想や着眼点に触れることは、私自身にとっても大きな刺激になっています。新規事業開発や事業再構築に携わってきた経験を活かして、「そのアイデアをこのように展開したらどうか」といったアドバイスをしています。今の若い世代も素晴らしい能力を持っており、特にこのような場に出てくる方々のエネルギーには感銘を受けます。

――5年連続での審査員とは、並々ならぬ熱意ですね。辻本様ご自身も、学生との交流から多くを得ていらっしゃるのですね。

辻本:そうですね、審査員でありコメンテーターとして参加していますが、非常に良い刺激を受けています。今の若い人たちが見出す着眼点や気づき、アイデアにハッとさせられることも多く、それが私にとっての良い刺激になっています。

――お話全体を通して、若い世代に武器や力添えを提供することで、日本がより良く、元気になっていくという使命感をお持ちなのだと感じました。加えて、若い世代とのコミュニケーションをご自身の刺激や学びとして柔軟に捉えていらっしゃる姿勢も印象的です。

「世の中のマーケティング力の底上げ」へ:ヴァリューズが描く未来と継続的な挑戦

――今後、「世の中のマーケティング力の底上げ」という目標に向けて、さらにこんなことを実現したい、あるいは現在構想中、進行中のことなどはありますでしょうか?

辻本:もちろん、主力の事業をさらに伸ばしていくことが最重要です。また、学びのコンテンツに関しても、良い事例をたくさん掲載していきたいと考えています。日本マーケティング協会とも連携し、協会で先進的な取組みとして認定された方々を記事として取り上げることで、良い刺激を世の中に広げていく活動も行っています。

現在私たちが提供している各サービスをより一層進化させていくこと、そしてマーケティング支援ができる新しい価値を生み出し続けられる会社でありたい、と考えています。

――既存事業の進化と新たな価値創造、そして学生支援のような取り組みも継続されるのですね。本日は貴重なお話をありがとうございました。

【学生支援の実例】教科書のマーケティングを実践に落とし込む 一橋大学上原渉ゼミのDockpit活用

https://manamina.valuesccg.com/articles/3970

一橋大学商学部の上原渉教授は「学生たちに継続的なデータ活用環境を」という思いから、ゼミ生にWeb行動ログ分析ツール「Dockpit(ドックピット)」を導入しています。なぜ学生のうちからデータ活用のスキルを身につける必要があるのか、どのような活用をしているのか。今回は上原渉教授、そしてゼミ生の伊藤亜起さんと大日方佑衣さんに、取り組みの詳細をうかがいました。

この記事のライター

マナミナ編集部員。コンテンツマーケ、SEO、SNS周りに携わっています。小説と音楽が好きです。

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