【無料レポート】デジタル・トレンド白書2025 – 食トレンド編|ダウンロードページ
https://manamina.valuesccg.com/articles/4663「デジタル・トレンド白書2025 食トレンド編」は、2025年に注目を集めた食や飲料・お菓子などのヒット分析・トレンド解説が収録されたレポートです。物価が高騰しているなか、どのような商品が人気を博しているのか。消費者の食に対する好みや購買行動はどのように変化しているのかを分析しています。
賑わいを見せるドーナツ業界
まずは直近ドーナツ業界でどんなお店が話題となっているのかを見ていきます。
■生ドーナツ専門店「I’m donut?」
「I’m donut?(アイムドーナツ?)」は、カボチャを練り込んだ生地で、モチモチながらも口の中で”ふわしゅわ”と溶けるような新しい食感を実現した生ドーナツ専門店。
「I’m donut?」公式Instagram
公式ページ閲覧者数は2024年9月以降、増加傾向にあります。特に2025年5月に急増を見せているのは、約1年半ぶりとなる国内新店舗が池袋にオープンしたこと、池袋店の開店に合わせてブランドキャラクターグッズの本格展開がスタートしたことが影響していると考えられます。
「I'm donut?」公式ページの閲覧者数推移
調査期間:2023年8月~2025年7月
デバイス:PC&スマートフォン
本記事の分析には、毎月更新される行動データを用いて、手元のブラウザで競合サイト分析やトレンド調査を行えるヴァリューズのWeb行動ログ分析ツール「Dockpit(ドックピット)」を使用しています。
参考:
「I’m donut?」公式ページ
4月26日(土)生ドーナツ専門店【I'm donut?池袋】オープン | 株式会社peace put
実際に「I'm donut?」との掛け合わせ検索ワードを集計すると、「池袋」が7位にランクインしており、2位の「店舗」も2025年5月に検索者数が増加していることがわかります。好立地に順調に店舗数を増やしている、勢いのあるブランドであることがうかがえます。
「I'MDONUT」「I'Mドーナツ」「アイムドーナツ」「アイムドーナッツ」との掛け合わせ検索ワード
調査期間:2024年8月~2025年7月
デバイス:PC&スマートフォン
■ミスタードーナツ「もっちゅりん」
「もっちゅりん」期間限定発売時の商品画像
ミスタードーナツは2025年6月4日から期間限定で、「食べてみないとわからない“もっちゅり食感”」をコンセプトに、新食感ドーナツ「もっちゅりん」を発売。XなどのSNSを中心に大きな反響を呼び、6月10日にはミスタードーナツ公式が品切れを発表しています。
Xのトレンド(2025年6月4日18時時点、Twittrend)
参考:
【ミスタードーナツ】6月4日(水)からもちもちのその先を目指して開発した新食感ドーナツ『もっちゅりん』を期間限定発売 | 株式会社ダスキン
「もっちゅりん」について | ミスタードーナツ事業本部
実際に「もっちゅりん」の検索者数は2025年6月で約38万人と、爆発的に関心を集めている様子がうかがえます。
「もっちゅりん」検索者数推移
調査期間:2024年8月~2025年7月
デバイス:PC&スマートフォン
■LAで大人気「ランディーズドーナツ」が日本上陸
「ランディーズドーナツ(Randy’s Donuts)」は、ロサンゼルスで大人気のドーナツショップ。2025年5月、国内1号店となる「ランディーズドーナツ 渋谷代官山店」がオープンしました。全てのドーナツが店内で手作りされており、ふっくらとした柔らかさやリッチな味わいに加え、インパクトのあるデザインで視覚的にも楽しめる商品作りにこだわっているそうです。
参考:「ランディーズドーナツ」公式サイト
ランディーズドーナツ渋谷代官山店の画像
公式サイトの閲覧者数は、2025年5月の渋谷代官山店オープンにあわせて急増。一気に注目が集まっていることがわかります。
「ランディーズドーナツ」公式サイトの閲覧者数推移
調査期間:2024年8月~2025年7月
デバイス:PC&スマートフォン
■丸亀製麺、セブン-イレブンも参入
その他、丸亀製麺がうどん生まれのもっちもち食感を売りにする「丸亀うどーなつ」、セブン-イレブンがお店で揚げたもっちり・ふわっと食感のオリジナルドーナツを販売するなど、ドーナツ専門店以外でもドーナツを積極展開する流れが見て取れます。
参考:
「丸亀うどーなつ」公式ページ
「セブン-イレブン」ドーナツ公式ページ
実際に「セブン」を含む検索ワードでは「セブン ドーナツ」が7位となっており、「セブン-イレブンとは」という文脈で想起されやすい商品であることがわかります。
「セブン」を含む検索ワード
調査期間:2024年8月~2025年7月
デバイス:PC&スマートフォン
なぜヒット?ドーナツ人気のキーワードは「もっちり・SNS・生・プチ贅沢」
ではなぜ今、ドーナツブームが到来しているのでしょうか。
ここまででご紹介した5ブランドの共通点としては、ドーナツの「もっちり・ふっくら・ふわっ」とした食感や、「SNS映え」要素が挙げられそうです。こうした食感が最近は支持されやすく、かつ見た目のデザイン性やインパクトから、SNSで拡散されやすいと考えられます。
「ランディーズドーナツ」公式サイト
また最近では、ドーナツブームの火付け役となった「I’m donut?」同様、「and TOKYO」「UNI DONUTS」など「生ドーナツ」の専門店が多数展開されています。「生食パン」「生キャラメル」「生チョコレート」など、日本人の「生」感への関心の高さにドーナツでうまくアプローチしている点も、トレンドの理由の1つと考えられるかもしれません。
他にも、昨今の「プチ贅沢」という流れにドーナツが乗っていることも考えられます。2024年にマナミナが「プチ贅沢」に関するアンケート調査を実施したところ、回答者全体の93.3%が節約を意識しており、「プチ贅沢」としてスイーツ・お菓子が最もメジャーであることがわかりました。
株式会社ヴァリューズ(2024)「スイーツプチ贅沢調査」p.9
物価高で財布の紐を緩めづらい中でも、ちょっとしたご褒美を自分にあげたい。そんな時に、ドーナツは手が届きやすく、ちょうど良い「プチ贅沢スイーツ」として候補に挙がりやすいのかもしれません。
ファミリー層からも支持。「ドーナツ」関心層を調査
最後に、「ドーナツ」関心層について分析していきます。
直近半年で、「ドーナツ」検索者は女性が74%と大半を占めていました。
「ドーナツ」検索者の性別
調査期間:2025年2月~2025年7月
デバイス:PC&スマートフォン
「ドーナツ」検索者の年代は、ネット利用者全体と比べても30代、40代の割合が高くなっており、20代の若者がトレンドを牽引している、というわけではなさそうです。
「ドーナツ」検索者の年代
調査期間:2025年2月~2025年7月
デバイス:PC&スマートフォン
「子供なし」の検索者が約58%とやや多いものの、「子供あり」の検索者も40%以上を占めており、子供と一緒にドーナツを楽しむファミリー層も一定数存在することがうかがえます。
「ドーナツ」検索者の子供有無
調査期間:2025年2月~2025年7月
デバイス:PC&スマートフォン
次に、検索者の関心とその移り変わりを調査するため、直近6カ月と前年同期間の「ドーナツ」検索後の流入ページを集計しました。
いずれの期間でも、ドーナツのレシピページが上位10位以内に複数ランクインしています。
「ドーナツ」検索後の流入ページの比較
調査期間:左)2024年2月~2024年7月、右)2025年2月~2025年7月
デバイス:PC&スマートフォン
「子供あり」の検索者が40%以上であったことをふまえると、子供のために、もしくは子供と一緒におやつとしてドーナツ作りを楽しむ人の存在や、手作りニーズが高めなスイーツであることなどが、ドーナツ人気を後押ししていると考えられます。今後、「もっちり・ふっくら・ふわっ」とした食感を、自宅で簡単に再現できるレシピが人気になっていくのかもしれません。
また、両期間でともに「ミスタードーナツ」「セブン-イレブン」がそれぞれ1位、3位にランクインしており、国内のドーナツ業界における影響力がうかがえます。
「ドーナツ」検索後の流入ページの比較
調査期間:左)2024年2月~2024年7月、右)2025年2月~2025年7月
デバイス:PC&スマートフォン
両期間を比較すると、2024年は「丸亀うどーなつ」が6位に、2025年は「ランディーズドーナツ」が8位にランクイン。その時々の新商品やブランドのローンチ時に、注目が高まっていることが読み取れます。
「ドーナツ」検索後の流入ページの比較
調査期間:左)2024年2月~2024年7月、右)2025年2月~2025年7月
デバイス:PC&スマートフォン
まとめ
今回は最近のドーナツブームについて、「I’m donut?」「もっちゅりん」「ランディーズドーナツ」「丸亀うどーなつ」「セブン-イレブン」を取り上げながら、その実態や背景を探ってきました。
「I’m donut?」が池袋に新店舗をオープンし、ミスタードーナツの「もっちゅりん」が発売からわずか数日で品切れ、「ランディーズドーナツ」国内1号店がオープンするなど、2025年のドーナツ業界の賑わいがうかがえました。
各ブランドの共通点としては、ドーナツの「もっちり・ふっくら・ふわっ」とした食感や、「SNS映え」する視覚的インパクトが挙げられます。また、「I’m donut?」のように「生」というコンセプトでアプローチしている点や、「プチ贅沢」として親しまれやすいことなどが、最近のドーナツ人気の要因として考えられそうです。
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1997年生まれ、大阪大学卒。データアナリストを経て、Webマーケティング・リサーチを軸に、コンテンツディレクション、SNS運用、デジタル広告運用などを担当。現在はフリーで活動しています。