中国の人気ドリンク“冰紅茶(ビンホンチャ)”に新トレンド

中国の人気ドリンク“冰紅茶(ビンホンチャ)”に新トレンド

中国における人気ドリンクの一つである「冰紅茶(ビンホンチャ)」はレモン風味が特徴のアイスティーで、同名のペットボトル飲料がよく見られます。暑い時期の夏バテ対策にピッタリなこの飲料ですが、近年は「冰茶(ビンチャ)」と名がつく製品が急速に増えており、市場に多様化の傾向が見られます。この記事では、「冰紅茶」及び「冰茶」の動向を人気商品と共に紹介します。


「冰紅茶(ビンホンチャ)」市場の歴史

億欧智庫が発表した《2025中国冰紅茶ペットボトル飲料業界白書 (2025中国瓶装冰红茶饮料行业白皮书) 》によると、2024年に冰紅茶の市場規模は300億元に達し、2025年には350億元に達することが見込まれています。勢いのある成長を見せる当該市場ですが、この冰紅茶が最初に市場に現れたのは約30年前の1993年にまでさかのぼります。以下では、冰紅茶市場のこれまでの成長過程を紹介します。

「冰紅茶」の登場と定番化(1993~2013年)

元祖「冰紅茶」は、1993年に飲料ブランド・旭日昇グループによって中国初の加糖炭酸紅茶飲料として販売が開始されました。新たな飲料の概念と爽やかな口当たりがヒットしたこの製品は市場に多大な影響を与え、わずか数年で中国茶飲料市場の70%のシェアを一気に獲得しました。
旭日昇グループが大成功を収めると、“統一”、“康師傅”といったメーカーが後に続いて冰紅茶製品を発売しました。
そして2003年に旭日昇グループが市場から姿を消すと、統一と康師傅が市場を二分し、冰紅茶ブランドや製品の認知が高まっていきました。

旭日昇の“冰紅茶”

↑旭日昇の“冰紅茶”
(https://www.iyiou.com/news/202504021094605)

康師傅の“冰紅茶”

多様化する市場 (2014~2022年)

最初の製品の発売から20年間で冰紅茶の概念が定着してくると、消費者の間には従来の冰紅茶について「甘すぎる」「健康に良くない」「パッケージがダサい」「人工的な味が強い」といった不満が生まれるようになりました。
このような健康志向などの新たなニーズが起こり、多様な製品が生まれると同時に新興ブランドも成長してきました。

代表的な例は、大手飲料メーカー“農夫山泉”から2016年に登場した “茶π”ブランドです。
「フルーツ果汁+茶」という新たな健康概念やフレーバーの多様さ、若年層向けのパッケージによって売上を伸ばし、発売から7か月で売上額が10億元を突破するという快挙を成し遂げました。
2025年現在、蜜桃烏龍茶・グレープフルーツジャスミン茶など6種類のフレーバーが展開されています。「冰紅茶」はもはや紅茶だけでなく多様な種類の茶飲料を含むようになりました。

“茶π”の商品展開

「冰紅茶」から「冰茶」へ(2023年~)

「おいしい+健康」が新トレンド

2023年以降も冰紅茶市場は発展し続け、引き続き健康志向のニーズに応えた製品や、さらなる付加価値を持った製品が人気を集めています。この背景は、現在消費者は冰紅茶及び冰茶に対して、主に健康面と製品の味に関するニーズを抱えているためと考えられています。

億欧智庫が冰紅茶・冰茶ユーザーに実施した調査によると、消費者の71.4%が製品を買う際に“無糖/減糖”表記があるかを考慮し、82.9%のユーザーが減糖成分の入った製品を特に愛好しています。
また製品の味について、ユーザーは「適度な甘さ」(74.7%)、「茶の苦すぎない風味」(55.8%)、「茶の自然な香り」(53.3%)を重視しています。同じデータによれば、製品の購買の決め手は、「口当たり・風味の良さ」(83.0%)、「製品のコスパの良さ」(60.9%)、「製品の健康的な要素」(52.7%)となっており、ニーズの中でも健康面への要求以上に依然として味の体験が重視されていることが示されています。
そこで、近年では味の品質を保ちつつ、健康面にも配慮した製品が人気を集めています。
以下では、特に注目されている製品を二つ紹介します。

“農夫山泉”の“冰茶”

2025年6月、“茶π”シリーズで知られる飲料メーカー“農夫山泉”が、“冰茶”という名称の炭酸茶飲料を発売しました。本製品はインスタントティー粉末ではなく本物の茶葉からエキスを抽出する技術の採用や、二酸化炭素の添加による独特の泡感によって、従来製品にはない味覚体験を提供しています。
さらに、天然由来の甘味料を採用することで「糖質ゼロ・脂質ゼロ・カロリーゼロ」を実現すると同時に、「保存料不使用」「人工甘味料不使用」という健康志向のニーズも満たしています。

“農夫山泉”の“冰茶”

“元気森林”の“冰茶”

新興ブランドの“元気森林”も“冰茶”という製品を発売しました。「本物の果汁、糖分カット」を掲げており、味覚体験と健康志向の両立が図られています。
この製品の大きな特徴は、中国国内で初めて飲料生産に応用された「-196℃液体窒素冷凍技術」です。この技術によって果実の新鮮さや香りが保たれ、製品の品質や口当たりの良さにつながっています。
また、白桃ジャスミン茶、葡萄柚子緑茶といったフレーバー展開も人気を集めており、馬上嬴のデータによると、元気森林の冰茶製品は2025年第二四半期に前年同期比53.9%増加の売上を達成しました。

“元気森林”の“冰茶”

「冰茶=ペットボトル飲料」とは限らない?

ここまで紹介したように、従来の「冰紅茶」からさまざまな功能を備えた「冰茶」に時代が変化してきており、馬上嬴のデータによると2025年に入って「冰茶」という名称がつく製品品目が急増しています。

馬上嬴のデータを基にヴァリューズが作成 ※ SKU:在庫管理の際の最小の管理単位

↑馬上嬴のデータを基にヴァリューズが作成
※ SKU:在庫管理の際の最小の管理単位

ここで注目されるのは、冰茶製品は飲料メーカーが提供するペットボトル飲料だけでなく、チェーン店が店頭で提供するカップ飲料としても登場している点です。
“覇王茶姫” 、“喜茶” 、“茶百道” 、“蜜雪冰城” といった有名なティードリンクのチェーンブランドが冰茶製品を販売しており、“茶百道”の “ソルティーライチ冰茶”や“蜜雪冰城”の“真梅酔青梅冰茶”がSNSで話題となっています。

“茶百道”の“ソルティーライチ冰茶”

↑“茶百道”の“ソルティーライチ冰茶”
(https://baijiahao.baidu.com/s?id=1834712531767581976&wfr=spider&for=pc)

“蜜雪冰城”の“真梅酔青梅冰茶”

↑“蜜雪冰城”の“真梅酔青梅冰茶”
(https://baijiahao.baidu.com/s?id=1833228378944427908&wfr=spider&for=pc)

まとめ

この記事では、「冰紅茶」及び「冰茶」についてのトレンドの変化と人気商品を紹介しました。一度定番化した冰紅茶製品ですが、消費者のニーズに合わせて絶えず変化を続け、現在は味が良く健康にも良い冰茶製品が人気を博しています。
さらに、冰茶はペットボトル飲料だけではなく店頭販売されるカップ飲料としても進出しており、今後も市場のトレンドに変化が生じることが予想されます。

【無料レポート】2026年 訪日インバウンド観光客調査〜中国・台湾・タイ・韓国|ダウンロードページ

https://manamina.valuesccg.com/articles/4873

2025年の訪日外国人客数(インバウンド)は、前年比15.8%増の約4,268万人となり、過去最高を記録した2024年を大幅に上回って過去最多を更新しました。背景には、大阪・関西万博の開催や円安による消費拡大も理由として考えられます。そんなインバウンド観光客の中でも、本レポートでは中国・台湾・タイ・韓国の観光客にフォーカスし、彼らの観光実態をアンケート調査しました。※本レポートは記事内のフォームから無料でダウンロードいただけます。

参考文献URL

《岁月沉淀,历久弥新:2025中国瓶装冰红茶饮料行业白皮书》丨亿欧智库
https://www.iyiou.com/news/202504021094605
冰茶市场百亿新局 健康化趋势引发行业变革
https://tech.cnr.cn/techgd/20250806/t20250806_527305855.shtml
农夫山泉冰茶入局:百亿赛 “道的 鲶鱼效应”
https://baijiahao.baidu.com/s?id=1834362191673690387&wfr=spider&for=pc
从冰红茶到冰茶,下一个“百亿单品”出现了
https://www.thepaper.cn/newsDetail_forward_31336786
前有元气森林,后有农夫山泉,冰茶市场真要变天了?
https://baijiahao.baidu.com/s?id=1839874311673224986&wfr=spider&for=pc
数读“ ”有糖茶 :冰红茶加速走向冰茶
https://www.thepaper.cn/newsDetail_forward_31271862
上市7年仍能保持高速增长,农 “夫山泉开启的 茶π美学”
https://baijiahao.baidu.com/s?id=1764043936868867606&wfr=spider&for=pc
农夫山泉入局冰茶市场
https://baijiahao.baidu.com/s?id=1834770647137318837&wfr=spider&for=pc
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この記事のライター

早稲田大学在学中。

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