最速で100億円突破!劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来
2025年7月18日に公開された『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』は、公開から8日間で興行収入100億円を突破。『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』が公開10日間で記録した100億円突破の最速記録を更新する結果となり、空前の大ヒットとなっています。
興行通信社の「歴代興収ベスト100」によると、2025年9月21日時点で本作の興行収入は340億円超と、3位の「千と千尋の神隠し」を抑え、「無限列車編」に次ぐ第2位についています。
参考:
『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』が2週連続1位!新作は『ファンタスティック4〜』など4作品がランクイン(2025年7月25日-7月27日)| 興行通信社
歴代興収ベスト100 | 興行通信社
劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来、公開66日間で観客動員2362万1279人(興行収入340億1149万0700円)と大変多くの方にご鑑賞頂き心より御礼申し上げます。
— 鬼滅の刃公式 (@kimetsu_off) September 22, 2025
明日夜の第一章 新規ビジュアル発表も是非楽しみにしていただければ幸いです。#鬼滅の刃 #無限城編 pic.twitter.com/Qf1F060uRD
直近2年で最高の盛り上がりを見せる「鬼滅の刃」
では、本作への世間の関心はどのように移り変わってきたのでしょうか。なお分析には、毎月更新される行動データを用いて、手元のブラウザで競合サイト分析やトレンド調査を行えるヴァリューズのWeb行動ログ分析ツール「Dockpit(ドックピット)」を使用しています。
「鬼滅」の検索者数は、2025年7月18日の劇場版公開に合わせて、2025年7月に207万人に。ピーク月に130万人が検索した2024年5月放送開始のTVアニメ「柱稽古編」と比べても、桁違いに大きな注目を集めていることがわかります。
「鬼滅」検索者数の推移
期間:2023年9月~2025年8月
デバイス:PC&スマートフォン
■連載開始からの軌跡
「鬼滅の刃」のこれまでの軌跡を振り返ると、原作漫画は「週刊少年ジャンプ」にて2016年2月~2020年5月にわたって連載され、2019年4月~9月にかけてTVアニメ「竈門炭治郎 立志編」が放送されました。
「鬼滅」検索者数の推移
期間:2018年11月〜2020年10月
デバイス:PC&スマートフォン
※データはこちらの記事を参照
検索者数は、TVアニメが放送開始されてから少し経った2019年7月以降、伸びを見せ始めていることがわかります。
アニメ放送後も概ね右肩上がりを続け、漫画の連載が終了した2020年5月に一度ピークを迎えています。TVアニメをきっかけに作品を認知し、ファン化した人が、原作の最終章に向けてヒートアップし、漫画で物語を先取りしに行った結果と考えられます。
その後、劇場版一作目となる『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』が公開され、映画をきっかけに爆発的に認知が広がっている様子がうかがえます。
このように、作品の時系列としては原作漫画から始まり、そこからTVアニメ、漫画に回帰、映画、の順に熱狂度が高まっていった人と、映画きっかけで認知から熱狂まで短いスパンでフェーズアップした人が多い、と考えられるのではないでしょうか。
「鬼滅の刃」が熱狂度をキープし続けている理由とは?
2020年5月に原作が連載終了した作品が、2025年になってもここまでの注目を集めている背景には、どのようなものがあるのでしょうか。2024年のTVアニメ「柱稽古編」の放送終了後から、2025年の劇場版公開までの”空白期間”に注目し、視聴者の関心を維持するためにどのような戦略が背後にあったのか、調査していきます。
”空白期間”の「鬼滅」検索者の掛け合わせ検索ワード上位を見ると、8位に「舞台」、11位に「柱展」、13位に「鬼滅シアター」が挙がっています。
「鬼滅」との掛け合わせ検索ワードランキング
期間:2024年8月~2025年6月
デバイス:PC&スマートフォン
■世界観をリアルで再現。『舞台「鬼滅の刃」』
8位の「舞台」の検索流入先である『舞台「鬼滅の刃」』は、2025年9月現在「其ノ伍 襲撃 刀鍛冶の里」まで公演されており、パルクールの演出やキャラクターの作り込みなどで高く評価されているようです。
漫画やアニメに留まらず、3次元にまでコンテンツの幅を広げていることは、多くの界隈に認知を広げる本作の人気の一因なのかもしれません。
■最強の剣士にフォーカス「柱展」
11位にランクインした「柱展」は、鬼殺隊最高位の剣士である“柱”に焦点を当てた展覧会。等身大の柱のグラフィックや各柱の日輪刀(鬼殺隊士が使用する日本刀)の展示、音声で楽しめる柱の言葉など、様々な角度から柱の魅力に迫ることができるそうです。なお、2025年6月22日をもって福岡会場が閉幕されています(2025年9月現在)。
メインビジュアル解禁!作品世界観を感じさせる絵画のようなビジュアル、ぜひご覧ください! さらに本日より「少年ジャンプ+」アプリ内で、週刊少年ジャンプ定期購読者限定のチケット最速先行
— 舞台「鬼滅の刃」公式 (@kimetsu_stage) November 11, 2019
の受付を開始。 チケットや公演日程はこちらより御確認ください。 https://t.co/4t1HQy47Gg #鬼滅の刃 pic.twitter.com/dZs8zURCwf
■前作のリバイバル上映「鬼滅シアター」
13位の「鬼滅シアター」は「鬼滅の刃」の過去作品を映画館にて順次上演していく企画で、2025年4月4日から7月3日にかけて、『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』のリバイバル上映も含め、「柱稽古編」までが全国の映画館で限定上映されました。
このような企画や話題性を通して、「鬼滅の刃」は徹底した未視聴者の取りこぼし対策や既視聴者の呼び戻し、コアファンの再燃を実現していったと考えられます。
「鬼滅の刃」映画への熱量が高いのはどんな人?
では、今回の劇場版最新作に強い関心を抱いているのは、どのような人たちなのでしょうか。ここからは、映画公開から2カ月間で映画の公式ページを閲覧している人のデータを、ヴァリューズの分析ツール「Perscope(ペルスコープ)」を用いて読み解いていきます。
公式ページ閲覧者は男性が約42%、女性が約58%と、女性割合が高くなっています。「鬼滅」検索者と比較してみると、公式ページ閲覧者の女性割合が目立つ結果に。今作の映画への熱量がより高い人には、女性ファンが多いことが読み取れます。
『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』公式ページ閲覧者:性別
(「鬼滅」検索者と比較)
調査期間:2025年7月~8月
デバイス:PC&スマートフォン
公式ページ閲覧者の年代を見ると、30代をピークに、20~40代の割合が高くなっています。子供と一緒に鑑賞する親世代も多いと考えられます。
『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』公式ページ閲覧者:年齢
調査期間:2025年7月~8月
デバイス:PC&スマートフォン
閲覧者の興味関心は「アニメ」が突き抜けて高くなっており、「マンガ」「ゲーム」「映画」「動画配信サイト」なども高い結果に。特徴値(※)では「声優」も高くなっており、アニメ作品のコンテンツそのものだけでなく、声優という「演じる人」への関心が高い人の割合が特徴的に高いことがわかります。
※リーチ率:対象者のうち、アンケートで当該項目に回答した人数の比率
※特徴値:対象者のリーチ率−ネット人口全体のリーチ率
『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』公式ページ閲覧者:興味関心
調査期間:2025年7月~8月
デバイス:PC&スマートフォン
1人あたりの1カ月平均支出をネット人口全体と比べると、「イベント・グッズ購入」「ライブ、コンサートの鑑賞」などが高くなっています。「推し活」のモチベーションが高い人が集まっている傾向にあるのかもしれません。
『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』公式ページ閲覧者:1人あたりの1カ月平均支出
調査期間:2025年7月~8月
デバイス:PC&スマートフォン
ここまでで、『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』への関心がより高いファン層は、アニメやマンガ、声優への関心が高い、20~40代女性の推し活層が多いのではないか、ということが見えてきました。こうした層を取り込めば、熱狂度の高いファンとなり、長期にわたって作品を応援し続けてくれる存在になるのかもしれません。
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今後の映画、特別企画にも期待の「鬼滅の刃」
今回は、劇場版最新作の公開から約2カ月が経った「鬼滅の刃」について、認知獲得の軌跡や熱量を途絶えさせない話題性作り、ファン層のペルソナ分析を行ってきました。
原作漫画からTVアニメ、映画へと認知を広げ、興行収入100億円突破の最速記録を更新した本作。その間、舞台化や展覧会開催、過去作のリバイバル上映など、様々な面を駆使して絶えず話題性を作り、熱狂度を維持させてきたことがうかがえました。
また、映画への関心がより高い公式ページ閲覧者を分析してみると、アニメやマンガ、声優への関心が高い、20~40代女性の推し活層の存在が浮かび上がってきました。
海外でも上映が始まっている本作。今後も快進撃が続くのか、引き続き注目です。
▼今回の分析にはWeb行動ログ調査ツール『Dockpit』を使用しています。『Dockpit』では毎月更新される行動データを用いて、手元のブラウザでキーワード分析やトレンド調査を行えます。無料版もありますので、興味のある方は下記よりぜひご登録ください。
▼また、生活者理解のためのリサーチエンジン『Perscope(ペルスコープ)』も使用しています。『Perscope』では国内最大規模のWeb行動×アンケートデータを活用し、誰でも いつでも 簡単に"生活者起点のマーケティング活動"を実現することができます。無料デモもありますので、興味のある方は下記よりぜひお申し込みください。







1997年生まれ、大阪大学卒。データアナリストを経て、Webマーケティング・リサーチを軸に、コンテンツディレクション、SNS運用、デジタル広告運用などを担当。現在はフリーで活動しています。