「鬼滅」検索ユーザーは、2020年5月と10月に急増
鬼滅の刃は『週刊少年ジャンプ(集英社)』にて、2016年11号(2/15発売)から2020年24号(5/18発売)まで連載された人気漫画です。漫画の人気を受けてTVアニメ化され、2019年4月から9月まで「竈門炭治郎 立志編」が放送されました。
「鬼滅の刃」公式ポータルサイト
■検索ユーザーが増えたきっかけはTVアニメ放映だった
以下のグラフは2018年11月〜2020年10月までの2年間で「鬼滅」を検索したユーザー数の推移です。ユーザー数が増加し始めたのは2019年7月以降で、きっかけはTVアニメである可能性が高いと考えられます。
TVアニメ放送開始から検索ユーザー数は増え続け、2020年5月にユーザー数が30万UUを超えました。これは5/18 発売の「週刊少年ジャンプ24号」で最終回を迎えたことによるものだと推測されます。
また、10月にはついに90万UU超えを達成。これはもちろん『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』の人気が大きく関わっています。
ちなみに、TVアニメ放送開始にあわせて、2019年3月29日からイベント的に特別上映版『鬼滅の刃 兄妹の絆』が全国11劇場・2週間限定で公開されました。現在大ヒット中の『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』の前編とされていますが、これは検索ユーザー数増加にほとんど影響を与えませんでした。
「鬼滅」検索ユーザー数推移
期間:2018年11月〜2020年10月
デバイス:PCおよびスマホ
「鬼滅」と掛け合わせるキーワードの変化
検索ユーザー数が増えたきっかけがテレビアニメの可能性が高いことがわかりましたが、具体的に何に興味を持ったのでしょうか。興味関心の内容と時系列変化について考察していきます。
「鬼滅」と掛け合わせで検索されたキーワードを分析します。
※該当期間に多く検索された掛け合わせキーワードほどフォントが大きく配置されます。
■マンガ市場からキャラクター市場へ
「鬼滅」との掛け合わせキーワード/季節比較
期間:2018年11月〜2020年10月
デバイス:PCおよびスマホ
<2018年11月〜2019年4月>
「鬼滅」の検索数も多くなく、アニメ化前の時期。掛け合わせキーワードは「アニメ」のみ。
<2019年5月〜10月>
「FROM」「THE」「EDGE」が浮上。TVアニメのエンディングテーマがLiSAによる「from the edge」で、楽曲の配信・リリース時期がちょうど重なりました。オープニングテーマである「紅蓮華」はランク外。「海外の反応」が気になっている様子もおもしろい結果。
<2019年11月〜2020年4月>
「182」「183」などの数字は週刊少年ジャンプにおける連載回数です。ネタバレ記事を検索した様子がうかがえます。
「スイーツパラダイス」とは、2020年1月に発表された鬼滅のコラボカフェ『KIMETSU CAFÉ in SWEETS PARADISE』。
2月には「モンスト」でも鬼滅コラボが発表されました。鬼滅の人気キャラクターがモンストで鬼退治をするこのイベントは、SNS上でも話題になりました。
これらを機に、さまざまな企業・商品とのコラボグッズが登場しました。
<2020年5月〜10月>
5月以降は企業名、商品名がずらりと並びました。これらの多くは販売前から話題になり即日完売になるなど、鬼滅コラボは社会現象にもなりました。
このように、連載マンガからスタートした鬼滅の刃は、アニメ市場からキャラクター市場に舞台を移し、社会に絶大な影響を与える存在となりました。
コラボ商品バブルとユーザーの動き
では次に、気になるコラボ商品について分析していきます。
鬼滅の驚異的な消費拡大の波にのろうという企業はあとを絶たず、菓子や飲料、日用品、衣料品まで実に多くのコラボ商品が並びます。…いや、並ばないこともあるほどの加熱ぶり。まさに鬼滅コラボバブルとも言える現象が起こっています。
直近6ヶ月において、「鬼滅」と掛け合わせで検索されたキーワードが以下の表のとおり。ブルーのキーワードが鬼滅の内容、映画などについて、そしてオレンジのキーワードがコラボに関するものです。コラボに関するキーワードが多く検索されていることがわかります。
企業名ではローソン、ユニクロ、くら寿司、GUが検索され、商品名ではたまごっちやウエハースなどがランクインしました。
ローソンでは6月に実施された「鬼滅の刃 × ローソン」キャンペーンに続き、『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』とのコラボキャンペーンが登場。ローソン店頭・Loppi限定のオリジナルグッズや鬼滅の刃Pontaカードの販売、スタンプラリーやスマホくじなど、鬼滅全開のキャンペーンを展開しました。
「鬼滅」掛け合わせキーワードランキング
期間:2019年5月〜2020年10月
デバイス:PCおよびスマホ
話題を集める「鬼滅」タイアップ企業
「鬼滅の刃」キャンペーン|ローソン研究所
ユニクロ|UT×鬼滅の刃スペシャルサイト|公式オンラインストア(通販サイト)
「鬼滅」は誰にウケているのか
続いて、2018年11月〜2020年10月までの2年間で「鬼滅」を検索したユーザーの属性を見ていきます。
マンガ市場からキャラクター市場へ拡大を続ける中で、ファンの属性の変化にも注目です。
■ファンは20代から40代へ
「鬼滅」検索ユーザー属性の変化
期間:2018年11月〜2020年10月
デバイス:PCおよびスマホ
男女比は時系列で大きな変化はなく、男性が4割、女性が6割でした。
年代については時系列で変化があることがわかりました。
TVアニメ化される前は20代・30代がメインでしたが、TVアニメ化されると20代がメインユーザーに。
2019年後半で鬼滅コラボブームのあたりではまた20代・30代がメインとなり、同時に40代ユーザーが急増。
直近のデータでは30代・40代がメインユーザーとなっています。映画『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』は子供たちにも人気なので、親世代にもファン層が広がっていると考えられます。
「鬼滅」検索後の流入ページランキング
次に、「鬼滅」検索後の流入ページを分析します。
■無限列車編公式サイトがトップ、公式サイトを抑えてローソンが健闘
「鬼滅」検索後の流入ページランキングは以下のとおりでした。
1位は『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』の公式サイト、2位にWikipedeiaが続き、3位にローソンの鬼滅の刃キャンペーンページが入りました。
また、映画館は新型コロナの影響で席数を限定するなどの制約がある中で、前売り券ページもよく見られました。前売り券購入で鬼滅グッズが手に入ることでも拍車がかかったと思われます。
ネタバレサイトも2サイトランクインしています。
「鬼滅」検索後の流入ページランキング
期間:2019年11月〜2020年10月
デバイス:PCおよびスマホ
手鬼…おばみつ…?登場人物について調べている
最後に、「鬼滅」を検索するユーザーが世の中一般のユーザーと比較して、特徴的に検索するキーワードを集計しました。
直近1年間のデータは以下の表のとおりです。
「鬼滅」関心ワード/特徴値TOP15
期間:2019年11月〜2020年10月
デバイス:PCおよびスマホ
※一般ユーザーと比較した特徴値順にランキング
1位は、鬼滅の刃第22巻、23巻で展開された「特装版」でした。
また、15位までにランクインした以下のキーワードはすべて登場人物(または技)の名前でした。メインの登場人物よりも謎めいた、影のある登場人物に関心が集まったイメージでしょうか。登場人物の人気ランキングとも異なりそうな面白いデータでした。
2位:手鬼
4位:おばみつ(伊黒小芭内と甘露寺蜜璃の2人を指す名称)
5位:音柱(音の呼吸の使い手・宇髄天元)
8位:伊黒(伊黒小芭内)
9位:黒死牟
11位:ヒノカミ神楽(主人公・竈門炭治郎が放つ技)
13位:真菰
14位:産屋敷(産屋敷耀哉)
15位:継国縁壱
※キメツ学園(6位):鬼滅の刃作者・吾峠呼世晴による公式スピンオフ漫画。
※煉獄零巻(10位):『鬼滅の刃 無限列車編』の入場特典。
(注)考察を深めるとマニアックになってしまうのでこのあたりでご容赦を...
鬼滅の刃/手鬼(2位)
鬼滅の刃/伊黒小芭内(4位・8位)
鬼滅の刃/音柱・宇髄天元(5位)
まとめ
『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』の興行収入が約205億円、漫画の累計発行部数は最新22巻で1億部を突破した「鬼滅の刃」。一体いつからバズったのか、そのきっかけやファン層など、今回は市場分析ツール「Dockpit」を使用して検索データを調査しました。
2018年11月〜2020年10月までの2年間で「鬼滅」を検索したユーザー数の推移によると、ユーザー数が増加し始めたのは2019年7月以降で、きっかけはTVアニメである可能性が高いと考えられます。
検索ユーザー数は増加し続け、週刊少年ジャンプで最終回を迎えた2020年5月にはユーザー数が30万UUを突破しました。さらに10月には『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』の影響で90万UU超えを達成しました。
次に、「鬼滅」と掛け合わせで検索されたキーワードを分析しました。
時系列で見ると、2019年春までは「アニメ」のみ、その後、TVアニメのエンディングテーマである「from the edge」(LiSA)や「182」「183」など週刊少年ジャンプにおける連載回数が検索されるようになりました。
そして2020年5月以降検索されたキーワードはコラボ企業名、コラボ商品名が大多数を占めました。連載マンガからスタートした鬼滅の刃は、アニメ市場からキャラクター市場へと影響を与える存在となったことがわかりました。
そんなコラボバブルについて、掛け合わせキーワードのランキングを確認したところ、企業名ではローソン、ユニクロ、くら寿司、GUが検索され、商品名ではたまごっちやウエハースなどがランクインしました。
鬼滅コラボに関してはローソンが目立ちました。「鬼滅」検索後の流入ページでも同社のキャンペーンサイトが多数のユーザーを獲得しました。
マンガ市場からキャラクター市場へ拡大を続ける中で、検索ユーザーの属性の変化にも注目しました。TVアニメ化される前は20代・30代がメインでしたが、直近のデータでは30代・40代がメインユーザーとなっていることがわかりました。
また、「鬼滅」を検索するユーザーが特徴的に検索するキーワードも分析しました。その結果、1位は「特装版」、2位以降には登場人物がずらりと勢揃いしました。
分析概要
全国のモニター会員の協力により、インターネット行動ログとユーザー属性情報を用いたマーケティング分析ツール『Dockpit』を使用し、2019年11月~2020年10月におけるユーザーの行動を分析しました。
フリーライター。大手キャリア系企業で編集の仕事に出会い、その後、3つのメディアの立ち上げなど行い、2014年にフリーランスに。医療系、就活系、教育系、結婚系のサイトで執筆中。