アメリカで多様化するプロテイン市場 ポップコーンやコーヒーなど、手軽に摂れる商品が拡大 | 海外トレンドに見るビジネスの種(2025年10月)

アメリカで多様化するプロテイン市場 ポップコーンやコーヒーなど、手軽に摂れる商品が拡大 | 海外トレンドに見るビジネスの種(2025年10月)

海外からやってくるトレンドが多い中、現地メディアの記事に日々目を通すのはなかなか難しいもの。そこでマナミナでは、海外メディアの情報をもとに世界のトレンドをピックアップしてご紹介します。今回は、アメリカにおけるプロテイン(タンパク質)人気について取り上げます。フィットネス界だけにとどまらず、一般の人々の間でも意識的に摂取されるようになっているプロテイン。自宅で作れる高タンパク質レシピがSNS上で話題になったり、様々なプロテイン配合商品が展開されたりと、流行は盛り上がりを見せています。


筋トレ目的だけじゃない!ウェルネスの観点からプロテインが人気に

ここ数年アメリカにおいて、プロテインを摂ることがますます重要視されてきています。

プロテインは日本語でタンパク質のことを指し、肉、魚、卵、乳製品、大豆製品などに含まれる栄養素です。普段の食事以外のプロテインの摂取方法として粉末タイプのものは日本でもよく知られています。

プロテイン商品は特に身体の筋肉量を増やすことなどを目的に利用されてきましたが、現在アメリカでは、ウェルネスの観点でより幅広い人が日常生活で摂取を心がけているようです。

米非営利団体IFIC(International Food Information Council)の調査(※)によると、2024年には回答者の71%がプロテインを摂取するように努めていると回答。2022年の59%、2023年の67%と比較すると年々プロテインへの関心が高まっていることがうかがえます。

(※)
2024 IFIC Food & Health Survey
https://ific.org/wp-content/uploads/2024/06/2024-IFIC-Food-Health-Survey.pdf
2024年3月の調査。18〜80歳のアメリカ人3,000人が対象。

米シリアルブランドCheerios(チェリオス)のプロテイン配合シリアル

米シリアルブランドCheerios(チェリオス)のプロテイン配合シリアル
出典:Adobe Stock

健康志向のトレンドに応え、プロテイン配合商品の多様化が進む

プロテイン人気の背景には、コロナ禍以降の健康意識の高まりや、SNSによる影響があると言われています。

TikTokでは、高タンパク食材と言われているカッテージチーズギリシャヨーグルトを使ったレシピや、プロテインをコーヒーに混ぜたProffee(プロフィー)を紹介する動画などが話題となりました。

プロテインのニーズの高まりを受け、より身近で気軽にプロテインを摂取できる商品も増加しています。例えばプロテイン配合の冷凍ピザ、アイスクリーム、ヨーグルト、スナック菓子などが挙げられます。食料品メーカーや、飲食店チェーンが展開する商品は各社様々です。

また、このトレンドに目をつけた有名人が考案した商品も続々と発表され、注目を集めています。カーダシアン家のクロエ・カーダシアンはKhloud(クラウド)というポップコーンブランドを立ち上げ、俳優のパトリック・シュワルツェネッガーはMosh(モッシュ)という自身のブランドでプロテインバーを販売しています。

クロエ・カーダシアンのポップコーンブランドKhloud(クラウド)

このように需要の増加とプロテイン配合商品の多様化によって、プロテインを日常的に摂取することがますます注目を集めています。

SNSで話題のプロテイン入りコーヒー「Proffee(プロフィー)」とは

コーヒーにプロテインパウダーを混ぜるProffeeは、TikTok上で多くのフィットネス系インフルエンサーに紹介され知られるようになりました。

昨今の機能性飲料の需要拡大とも連動しており、普段飲んでいるドリンクにプラスアルファの栄養を組み込みたいというニーズに合致するものと言えるでしょう。

自宅で作るレシピだけでなく、コーヒーチェーン店においてもプロテイン入りドリンクの販売は拡大しています。

スターバックスのProffee(プロフィー)カスタマイズ例

アメリカとカナダのスターバックス店舗では、2025年9月末よりプロテイン配合のコールドフォームやミルクのカスタマイズ取り扱いを開始しました。

コールドフォームは約15gのプロテインを、プロテイン配合ミルクは通常のラテと比べて12〜16gのプロテインを増やすことができるとのこと。カスタマイズ次第でプロテイン入りのラテを気軽に楽しむことができます。

また来年2026年には、スターバックス店舗のカスタマイズオプションとしてだけではなく、スーパーやコンビニで新たなプロテインドリンク商品の販売も予定されています。

他にも、米コーヒーチェーン店Dutch Bros(ダッチブロス)では、2024年初め時点ですでにプロテイン配合ラテを展開しており、好調な売上をあげています。

このようにアメリカではライフスタイルに取り入れやすい形のプロテイン配合商品が増加し、プロテインのさらなる消費拡大が期待されています。

【マナミナ編集部考察】日本でも「手軽さ」と「多様性」が鍵に?広がりを見せるプロテイン市場の未来

アメリカでプロテイン摂取がウェルネスへと広がり、ポップコーンやコーヒーといった多様な商品に配合される動きは、今後の日本市場を考える上で重要です。

日本でも健康意識の高まりや高齢化を背景に、日常的なタンパク質摂取の重要性は増しています。既にプロテイン商品は身近ですが、アメリカのように「普段の生活動線上で、意識せずプロテインをプラスできる」という手軽さと多様性が、今後の市場拡大の鍵となるかもしれません。

特に、日常的に消費されるコーヒーやスナック菓子、冷凍食品といった分野でのプロテイン配合商品の増加や、飲食店での高タンパク質オプションの導入は、日本においても今後、一つのトレンドとなる可能性を秘めていると言えるでしょう。

【参考】
https://www.cnbc.com/2025/07/22/protein-craze-general-mills-pepsico-kraft-heinz.html?&qsearchterm=protein
https://www.cnbc.com/2025/08/09/restaurants-starbucks-smoothie-king-first-watch-protein.html
https://www.allrecipes.com/protein-trend-2025-11727473
https://www.today.com/food/drinks/starbucks-protein-drinks-cold-foam-rcna234566
https://about.starbucks.com/stories/2025/starbucks-new-protein-lattes-and-cold-foam-drinks-now-available/

この記事のライター

大学ではポルトガル語と言語学を学び、常に様々な外国文化や言語に興味がありました。
海外情報に関する記事を通じて、何かヒントに繋がる新たな視点や面白い発見をお届けできればと思います。

関連するキーワード


海外トレンド ヘルスケア

関連する投稿


中国EV市場 〜 爆発的成長の裏で進行する4つの課題

中国EV市場 〜 爆発的成長の裏で進行する4つの課題

中国の電気自動車(EV)市場は、販売台数で世界トップを誇り、街には新ブランドの車があふれています。価格競争も激しく、「誰でもEVを買える時代」が到来したかのように見えます。しかし、その華やかな表舞台の裏では、値下げ合戦による収益悪化、生産過剰による中小メーカーの淘汰、中古市場の急拡大、そしてバッテリー寿命という深刻な課題が同時進行しています。本記事では、この急成長市場を揺るがす4つの課題を整理し、今後の行方を探ります。


高まる健康意識!中国サプリメント市場が需給共に拡大中

高まる健康意識!中国サプリメント市場が需給共に拡大中

2024年、中国では65歳以上の高齢層が2.3億人を突破し、高齢化がますます加速しています。さらに健康意識の高まりや生活の質を追求する動きが重なる中、高まってきた需要の一つがサプリメントです。この記事では、サプリメントの市場動向と注目製品を紹介します。


ヴィーガン・ベジタリアンを呼び込むには 〜 PB食志向者の「食事実態」と「訪日ニーズ」を徹底解剖

ヴィーガン・ベジタリアンを呼び込むには 〜 PB食志向者の「食事実態」と「訪日ニーズ」を徹底解剖

昨今、その嗜好性の高さが謳われている「植物性食(PB食)※以下PB」。中でも米国の植物性食品市場は成長が著しく注目を集めています。本レポートでは米国人PB志向者の普段の食事実態や嗜好を把握するとともに、海外旅行時における食事場所やインサイトを探ります。日本の飲食事業・インバウンド観光関連事業関係者、また、日本の食産業における、海外(米国)向けの商品開発戦略にご活用いただける内容となっています。※本レポートは記事末尾のフォームから無料でダウンロードできます。


インバウンドのリアルな動向把握とデータ活用とは 現場で活かす、人流・オープンデータの活用術と旅行実態レポート

インバウンドのリアルな動向把握とデータ活用とは 現場で活かす、人流・オープンデータの活用術と旅行実態レポート

昨今は事業成長のためのデータ活用やDXという言葉が様々な場所で耳にされるようになりました。 データ活用を通じてDXを実現するためには、段階的にステップを踏んで取り組む必要があります。段階に応じて取り組むべき内容を変化させつつ、これらのステップを繰り返していくことが事業成長に繋がるその方法とは。本レポートでは、インバウンドの現状把握や情報のキャッチアップをメイントピックとして、データの種類や活用法を解説します。※本レポートは記事末尾のフォームから無料でダウンロードいただけます。


中国の人気ドリンク“冰紅茶(ビンホンチャ)”に新トレンド

中国の人気ドリンク“冰紅茶(ビンホンチャ)”に新トレンド

中国における人気ドリンクの一つである「冰紅茶(ビンホンチャ)」はレモン風味が特徴のアイスティーで、同名のペットボトル飲料がよく見られます。暑い時期の夏バテ対策にピッタリなこの飲料ですが、近年は「冰茶(ビンチャ)」と名がつく製品が急速に増えており、市場に多様化の傾向が見られます。この記事では、「冰紅茶」及び「冰茶」の動向を人気商品と共に紹介します。


最新の投稿


Threadsユーザー数1,000万人突破。ヒットの要因と未来予測

Threadsユーザー数1,000万人突破。ヒットの要因と未来予測

「Threads(スレッズ)」は、「Instagram」や「Facebook」で知られるMeta社が提供するテキストベースのSNSプラットフォームです。2023年7月にサービス開始したThreadsですが、ここ2年でユーザー数を大きく伸ばしていることをご存じでしょうか。本記事ではThreadsユーザー増加の背景と、今後の推移について分析します。


AIユーザーの半数以上が複数のAIツールを使い分け!目的・環境ごとに最適なAIを選ぶ“使い分け時代”へ【PLAN-Bマーケティングパートナーズ調査】

AIユーザーの半数以上が複数のAIツールを使い分け!目的・環境ごとに最適なAIを選ぶ“使い分け時代”へ【PLAN-Bマーケティングパートナーズ調査】

株式会社PLAN-Bマーケティングパートナーズは、生成AIツールを日常的に使用している全国10代〜60代の就業者を対象に、「生成AIツール利用実態調査」を実施し、結果を公開しました。


Z-SOZOKEN、Z世代のJiffcyについての意識調査結果を発表!Z世代の約8割が「入力中の文字が見える」機能で感情が伝わると実感

Z-SOZOKEN、Z世代のJiffcyについての意識調査結果を発表!Z世代の約8割が「入力中の文字が見える」機能で感情が伝わると実感

Fiom合同会社は、同社が運営するZ世代当事者がZ世代の実態や価値観を分析するシンクタンク、Z-SOZOKEN(Z世代創造性研究所)にて、Z世代間で普及する新感覚のコミュニケーションアプリ「Jiffcy(ジフシー)」 に着目し、「Z世代のJiffcyについての意識調査」 の結果を発表しました。


【2025年11月25日週】注目のマーケティングセミナー・勉強会・イベント情報まとめ

【2025年11月25日週】注目のマーケティングセミナー・勉強会・イベント情報まとめ

編集部がピックアップしたマーケティングセミナー・勉強会・イベントを一覧化してお届けします。


LINEヤフー、URLを入力するだけで広告用画像を自動作成できる「URL画像生成」の提供を開始

LINEヤフー、URLを入力するだけで広告用画像を自動作成できる「URL画像生成」の提供を開始

LINEヤフー株式会社は、ビジネス用クリエイティブツール「LINE Creative Lab」において、WebページのURLを入力すると、生成AIが遷移先の内容をもとに広告用画像を作成する機能「URL画像生成」の提供を開始したことを発表しました。


競合も、業界も、トレンドもわかる、マーケターのためのリサーチエンジン Dockpit 無料登録はこちら

ページトップへ