日本の「サンド(Sando)」が海外で人気沸騰中
たまごサンドやフルーツサンドに代表される日本独自のサンドイッチが、ここ数年外国人の間で人気となっています。
日本のサンドイッチは、伝統的なサンドイッチと食感や味が異なることから、英語圏でも「サンド(Sando)」と呼ばれており、サンドイッチの新たなジャンルとして区別されています。
そもそもサンドイッチはイギリス発祥と言われていますが、日本で独自のアレンジを経た日本のサンドは、現在海外の人にとって新感覚の食べ物として受け入れられています。
欧米の伝統的なサンドイッチと日本のサンドの大きな違いは、パンの種類です。パンの耳を取り除き、ふわふわで甘みのある食パンを使用していることが、欧米のサンドイッチと一線を画す要素となっています。また、たまごサンドやフルーツサンドのような、従来のサンドイッチにはなかった食材の組み合わせも海外の人にとって新鮮に映っているようです。
SNS拡散と「食料品店ツーリズム」がブームを後押し
では、日本のサンドはどのようにして世界の人々の注目を集めるに至ったのでしょうか。
■訪日客の8割以上が利用する「コンビニ」の体験価値
まずは、訪日外国人の間で日本のコンビニに関する口コミがSNS上で広がり、コンビニで売られている食べ物への関心が高まったことが背景としてあげられます。
2021年の東京オリンピック期間中には、来日していた選手や記者が日本のコンビニの魅力をSNSで投稿したことが話題となり、海外メディアで取り上げられる機会も増えました。
その後、インバウンド観光客の増加に伴い、SNS上でコンビニに関する投稿がさらに盛り上がり、日本のコンビニは高品質の商品を提供しているというイメージが定着していきました。
観光庁の調査(※)によると、2024年の訪日外国人の買物場所として最も多かったのは「コンビニエンスストア」(84.1%)という結果が出ています。次に「空港の免税店」(59.1%)、「百貨店・デパート」(58.6%)、「ドラッグストア」(57.0%)、「スーパーマーケット」(48.4%)と続きます。他の場所と比較してもコンビニを訪れた人の割合が圧倒的に高くなっており、日本滞在中にコンビニで買い物をすることが訪日外国人の間で定着していることがうかがえます。
(※)
訪日外国人の消費動向 インバウンド消費動向調査結果及び分析 2024年 年次報告書
https://www.mlit.go.jp/kankocho/content/001884192.pdf
■「グローサリー・ストア・ツーリズム」がトレンドに
また、旅行先の食料品店を観光目的として巡ること自体が昨今のトレンドとして広がっていることも背景にあります。
2024年頃から「Grocery Store Tourism(食料品店ツーリズム)」という言葉が話題になり、一種の文化体験として旅行先のスーパーマーケットやコンビニを訪ねることに価値が見出されています。
そのようなトレンドの中で、日本のコンビニを訪ねる様子や、購入品紹介(Haul動画)をSNSに投稿する人が続出。そしておすすめのコンビニグルメとして度々紹介され、高評価を得ている食品が、たまごサンドやフルーツサンドといった日本のサンドなのです。
米セブン-イレブンや英M&Sも。「Sando」の現地販売が加速
日本観光の体験の一部として注目されてきた日本のサンドですが、ここ数年で海外の店舗でも取り扱われるようになってきました。
■米セブン-イレブンのたまごサンド
2025年12月にはアメリカのセブン-イレブンにて、日本風たまごサラダサンドの販売が開始されました。ふわふわのミルクパンにキューピーマヨネーズで和えたクリーミーな卵サラダがサンドされた商品で、5.49ドルで販売されています。
アメリカ国内のセブン-イレブンや、傘下のストライプス(Stripes)、スピードウェイ(Speedway)といったコンビニエンスストアでの取り扱いが始まったとのことで、北米における認知拡大が期待されます。
■英M&Sのフルーツサンド
2025年6月には、イギリスの高級スーパーであるマークス&スペンサー(M&S)が苺のフルーツサンドを期間限定で販売しました。苺とホイップされたクリームチーズを甘いパンで挟んだ商品で、2.8ポンドという価格設定になっています。
イギリスでは、テニスのウィンブルドン選手権の開催時期(6月〜7月)にストロベリー&クリームというスイーツを食べることが伝統とされており、その時期に合わせた形でこの苺サンドが販売されました。
SNSで話題の日本のサンドとして注目を集め、販売開始2日目の時点でM&Sにおいて最も売れているサンドイッチになるほどの人気ぶりとなりました。
どちらのサンドも、パンの耳があるという点では日本のコンビニで販売されているサンドとは細部で異なりますが、日本を訪れたことがない層にも広く「サンド(Sando)」を試してもらえる新たな機会となっています。
日本で独自の進化を遂げた食文化が海を越えて新たな市場をつくっていく可能性に、今後も期待が高まります。
【編集部考察】「逆輸入」視点で再発見される日常グルメの価値
今回の「Sando」ブームは、日本人にとって当たり前の日常食が、文脈を変えることで強力な観光資源になり得ることを表しています。今後の国内市場においては、この海外からの評価を逆手に取った「価値の再定義(リブランディング)」が進むと予測されます。
一つは、「プレミアム化」と「ヘルシー化」の二極化です。海外での高価格帯での販売実績を受け、国内でも素材にこだわった高級ラインの需要が再燃するでしょう。一方で、世界的な健康志向の高まりに合わせ、特徴である「ふわふわ食感」を維持しながらも、グルテンフリーやプラントベースに対応した「次世代Sando」の開発も考えられます。
また、小売の現場では「店舗体験の強化」が鍵になります。「食料品店ツーリズム」の流れを受け、コンビニやスーパーは単なる「売り場」から、撮影や実食を楽しめる「体験スポット」としての機能拡充が求められます。日常の風景をコンテンツ化し、インバウンドと国内需要の双方を取り込む仕掛け作りが、2026年の食品マーケティングの大きなテーマの一つとなるでしょう。
【参考】
https://www.today.com/food/trends/grocery-store-tourism-rcna162107
https://www.prnewswire.com/news-releases/7-eleven-inc-introduces-japanese-style-egg-salad-sandwich-to-us-stores-302626185.html
https://www.foodandwine.com/7-eleven-japanese-egg-salad-sandwich-usa-release-11860704
https://www.marksandspencer.com/food/content/strawberries-and-cream-recipe-ideas
https://www.bbc.com/news/articles/c75rdryk63lo









大学ではポルトガル語と言語学を学び、常に様々な外国文化や言語に興味がありました。
海外情報に関する記事を通じて、何かヒントに繋がる新たな視点や面白い発見をお届けできればと思います。